夜の神は太陽に恋焦がれた   作:黒猫ノ月

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どうもです。

お久しぶりです!!
ここ一ヶ月すみませんでした!
何をしていたか、それは……受験です!!
やっとこさ地獄を耐え抜き、今に至ります。

では、投稿です。


第19弾 「嫌な予感は大抵当たるよな」

「‥‥はあ。完全無欠なアリア先輩、ステキ……」

 

「ハイハイ。わーってる、わーってマスヨ」

 

あかりの頭の中は、相変わらずアリア先輩一色のようだ。

1時限目を終え、アタシがアリア先輩の授賞式が載ってる〈強襲科月報〉をあかりに見せたらこの様だ。

 

(あかりのアリア先輩好きも相当だよな……)

 

アタシが今も何処かにトんでいるあかりに温かい視線を送っていると、不意にあかりがアタシに振り返った。

 

「お、どうしたんだよ?」

 

「……えっと、これ‥‥何で蒼真先輩は載ってないの?」

 

「‥‥ああ。なんか訳があるんだと」

 

「訳?」

 

「よく分かんないんだけど、色々あるらしいぜ」

 

「ふ~~ん……?」

 

あかりは首を傾げながら、〈強襲科月報〉に目を落とした。

 

(あかりもアタシと同じことを疑問に思ったか)

 

そうなのだ。

実力や成績ではアリア先輩と同じ位のはずで、何かの賞を受けてもおかしくないのに、蒼真先輩は何も授与されていない。

 

(……何かしら授与されてもおかしくないと思うんだけどなぁ)

 

蒼真先輩と知り合ってから、アタシは先輩のことを色々調べてみた。

そのときに成績や戦歴も調べたのだが……まあ、凄かった。

どれもアリア先輩に引けをとらない成績だったけど、その中でも特に目を引いたのは……

 

 

 

 

 

蒼真先輩の負傷率は高いのに、メンバーの負傷率はほぼ0だったのだ。

 

 

 

 

 

アリア先輩とは真逆の成績だけど、これを見てアタシは蒼真先輩をもっと尊敬するようになった。

それと同時に、自分を平気で傷つける蒼真先輩にモヤモヤとした物を感じたりもしたが。

 

(やっぱ優しすぎるよな、蒼真先輩……)

 

……さておき。

昨日〈強襲科月報〉を見たとき、なんとなしにラーメンのことのついでに蒼真先輩にメールで聞いてみたのだが、あまり話したそうな感じではなかったので深くは聞かなかった。

それに、

 

(先輩は「……"そんなの"どうでもいい」って言ってたけど、やっぱり残念だよなぁ……)

 

蒼真先輩の優しいところを皆にも知って欲しいと思うし、何よりアタシが先輩をお祝いしたいと思っていたからなおさらだ。

 

(……って、アタシもあかりのこと言えないな)

 

机に肘をつき、いつの間にか蒼真先輩のことばかり考えていた自分に苦笑する。

 

(まっ、ともかく先輩がいいって言ってんだからアタシがどうこう言ってもしゃーないか)

 

さてさて次の授業はっと。と意識を切り替え、教科書を取り出そうとして……気付いた。

 

「……あかり? どうしたんだよ?」

 

目の前の友達の様子がおかしいことに。

 

「……アレ」

 

「アレ?」

 

あかりが似合わない難しい顔をしながら窓の外を指差した。

アタシもそちらに目をやると、朝から変わらない鉛色の空をヘリがこちらに向かって飛んでくるが見えた。

 

‥‥バラバラバラバラバラバラッ!

 

「ああ、車輌科のヘリか。 ……ん? 緊急着陸運動をしてる。……何かあったのか?」

 

「分かんないけど、なんか…………あっ!」

 

「どうした?」

 

「ヘリにアリア先輩の友達が見えた。……なんか制服が赤かったような……」

 

「……何?」

 

あかりの言葉に嫌な予感が込み上げてきた。

それを抱えたまま、アタシとあかりが高度を下げているヘリを見ていると、

 

‥‥ピーポー、ピーポー、ピーポー……

 

遠くで救急車のサイレンの音が聞こえた。

すると突然、ゾクッとアタシの中を不快な物が駆け抜けた気がした。

 

(……なんか‥‥気持ち悪い)

 

そう思っているとあかりもなにかを感じたのか、

 

「……私、行ってくる!」

 

と言って教室のドアに向かって駆け出した。

アタシはあかりが出ていった教室の入り口を見ながら、1つ息を吐く。

 

「……ここで考えてても仕方ないか。‥‥よしっ。アタシも行くか!」

 

自分の中にある気持ち悪いものを抱えながら、アタシはあかりの後を追った。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

‥‥サアァァァァァ……

 

私は嫌な予感に体を震わせながら、勢いが弱まってきた雨のなかを走る。

 

(私の気のせいならいい。……だからっ)

 

ヘリから見えたアリア先輩の友達……レキさんの制服の白いところが赤かったのを見た瞬間、いてもたってもいられず教室を飛び出した。

 

(……アリア先輩、‥‥アリア先輩!)

 

そして私は救急車を囲むような人だかりを見つけ、そこまで走った。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

‥‥バラバラバラバラバラバラっ!!

 

アタシがあかりを見つけたのは、着陸寸前のヘリと救急車を囲むようにして、傘をさした野次馬がいる場所だった。

 

「あかりっ!」

 

「……あっ、ライカ。ライカも来たの?」

 

「うん。なんか……嫌な予感というか、気持ち悪い感じかしてな」

 

「……そう、ライカも‥‥」

 

あかりはそれだけ言ってキュッと両手を胸に抱き締め、着陸したヘリを見つめる。

アタシもあかりと同じようにそちらを見る。

救急隊員が車輪つきタンカを持ち、急いでヘリに向かう。

そして、そのヘリから……

 

 

 

 

 

"両手を赤黒く染めた"アリア先輩が、その片方の手に持った"何か"を握りしめ、遠目から分かるほど顔を暗くさせてヘリから出てきた。

 

 

 

 

 

「……あ、アリ、ア‥‥先輩っ!」

 

それを見たあかりは目を見開き、喘ぐようにアリア先輩の名を呼ぶ。

 

「落ち着けあかり! あれはアリア先輩の血じゃないっ!」

 

そう。

アリア先輩の両手は血で濡れているが、本人はいたって普通に出てきた。

おそらくは他の人の……"あの人"のっ!

 

(だから嫌な予感がしたのかっ!!)

 

アタシはその血が誰のモノであるのか見当がついた。

けど、アタシは自分の予想がハズレて欲しいと思ったが、アリア先輩の顔がアタシの予想が当たっていることを示しているようだった。

 

「…………本、当‥‥?」

 

「‥‥ああ。アレは多分……」

 

不安そうにアタシを見上げるあかりに説明しようとして、

 

‥‥ざわざわざわざわっ

 

とたんに周りが騒がしくなった。

みんながみんな、ヘリの方を指差しながら口々に騒いでいる。

アタシとあかりは、騒ぎの原因であろう場所に目を向ける。

 

そして……アタシ達は見た。

 

 

 

 

 

制服と黒色のコートを赤黒い血で染め、お腹を右手で押さえながら、フラフラと小柄な少女に支えられてヘリから出てくる……蒼真先輩の姿を。

 

 

 

 

 

「……やっぱり、な」

 

アタシは何故かその場面を冷静に見ていられた。

 

(……当たってほしくなかったよ、蒼真先輩)

 

「……え? ‥‥うそ……蒼真先輩?」

 

隣であかりの驚いた声が聞こえたが、その声が遠くに聞こえる。

……アタシの目は、耳は、全部蒼真先輩に向いていた。

アタシが見つめる先の蒼真先輩は相変わらずの無表情だが、どことなく苦しそうに見えるのは気のせいじゃないだろう。

そんな先輩に救急隊員が駆け寄るが、何故かおとなしくタンカに乗ろうとしない。

あの血の量から相当深い傷なのだろう。

それなのに……それなのに先輩はいつも通りにしている。

痛い筈なのに、苦しい筈なのに、辛い筈なのに。

そんな蒼真先輩に、アタシは……

 

「‥‥~~~~もうっ!!」

 

「あっ! ライカ!!」

 

……心底、ムカついた。

気づいたら、アタシはあかりを置いて蒼真先輩に駆け寄っていた。

 

「あ、君っ!」

 

救急隊員の1人がアタシを止めようとするが、無理矢理押し通る。

 

「……先輩っ!!」

 

蒼真先輩に駆け寄り、アタシは小柄な少女……レキさんの反対を支えて先輩に呼び掛けた。

近くで見たら先輩の惨状がよく分かる。

どうやら左肩も負傷しているようで、ダランと血が滴る左腕をブラブラさせている。

そして、先輩の顔は少し青くなっていた。

 

「…………ライカ、か」

 

蒼真先輩はアタシの声に反応するが、少し反応が遅い。

やっぱり無理をしているようだ。

 

「喋らなくていいですから、おとなしくタンカに横になってください!!」

 

「…………大」

 

「丈夫ではありません。先程から言っています。変な意地を張らずに横になってください」

 

蒼真先輩の反対を支えているレキさんがアタシと同様にタンカに乗らせようとする。

 

「…………まだ、やることが」

 

「「黙って横になってください(!!)」」

 

「…………はい」

 

それでもなお何かを言おうとする先輩に、レキさんと一緒になって有無を言わせぬよう圧力をかけて横になるように言った。

それでようやっと近くにあるタンカに乗り、横になった。

……どうやら、血の量はかなりのようだが先輩は大丈夫そうだった。

 

(……だからと言って、無理させて言い訳じゃないけどな)

 

「……先輩、後でお話があります。だからポックリ死なないでくださいよ?」

 

「…………はい」

 

「私からもありますので、逃げないでくださいね?」

 

「…………はい」

 

そして救急隊員の人が蒼真先輩が乗ったタンカを救急車に運んでいく。

救急車の搬入口には暗い顔をしたアリア先輩が立っていた。

蒼真先輩が救急車に乗り込むときに、そんなアリア先輩に声をかけた。

 

「…………アリア」

 

「っ! ……何よ?」

 

「…………"それ"、頼んだぞ」

 

「……分かったわ」

 

蒼真先輩がそう言うと、アリア先輩は右手に持った……黒色の布に包まれた"何かを"、自分の胸の高さまで持ってきてキュッと握りしめた。

 

「では、今から病院まで行きます。お連れのかたは……」

 

「私が行きます」

 

「わかりました。では」

 

救急隊員とレキさんがそう話し合い、一緒に乗り込もうとしたところで少女が、

 

「ありがとうございます、ライカさん」

 

とアタシに一言声をかけてきた。

 

「えっ!? あっ、いえっ! アタシは、何も……」

 

アタシは急に恥ずかしくなって、うつむいてしまった。

そんなアタシにレキさんは「また、会いましょう」とだけ言って救急車に乗り、救急車はサイレンを鳴らしながら去っていった。

それを呆然と見送ったアタシ。

すると、隣にいたアリア先輩がアタシに声をかけた。

 

「……貴女、あかりの友達よね?」

 

「あっ、はい」

 

「あかりに言っておいてくれる? 今日はずっと病院にいるから帰らないって」

 

「‥‥分かりました」

 

「ん、ありがと。‥‥じゃ、私は色々しなくちゃいけないから」

 

そう言って、アリア先輩は近くにいた先輩方に指示したり報告したりしながら去っていった。

右手に持った何かを大事に抱えながら。

 

「…………ふぅ」

 

アタシはため息をつき、なんとなしに空を見上げた。

空は変わらずの灰色。雨も少し強くなった気がする。

 

(……制服、濡れちまったな)

 

これじゃ下着が透けちまう。

……何故か、この状況でそんなことが頭に浮かんだ。

 

「ライカっ!」

 

空を見上げながらそんなことを考えているアタシに、あかりが駆け寄ってきた。

 

「‥‥あかり」

 

「あ~あ、アリア先輩行っちゃった」

 

「何で声かけなかったんだよ?」

 

「うっ! だ、だって……なんか声かけにくかったんだもん」

 

「……確かにな」

 

(さっきのアリア先輩の顔、めっちゃ暗かったからな)

 

きっと蒼真先輩と何かあったのだろう。

アリア先輩を庇ったとか、そんなことが。

 

「ねぇ、ライカ。蒼真先輩は大丈夫なの?」

 

「ん? ああ。大丈夫そうだったよ」

 

「そっか、よかったぁ!」

 

(絶対痩せ我慢だろうけどな)

 

でも、レキさんもそんなに慌ててなかったから大丈夫だろう。

でも、

 

(……やっぱ、心配だな。…………あ)

 

そして閃く。まあ、閃くってほどのことでもないが。

アタシは自分の惨状を見る。

制服は蒼真先輩の血と雨でグショグショ。

替えの服はない。

ならば、

 

「あかり」

 

「ん? 何、ライカ?」

 

「アタシ、今日は帰るわ」

 

「えっ!? 何で?」

 

「ほら、この服。それになんか寒いしな」

 

「あっ。‥‥うん、分かった。じゃあカバン持ってくるよ!」

 

「いいって。アタシ基本置き勉だし」

 

「そう?」

 

「ああ、あんがとさん。……あ、それとアリア先輩から伝言。今日はずっと病院にいるから帰らないって」

 

「ええ~~!? うっ、そうか蒼真先輩。……私もお見舞いいこうかなぁ」

 

「そうだな、その方が先輩も喜ぶだろ。じゃ、またな!」

 

「うん、またねライカ!」

 

アタシはあかりと話を終え、自分の家に向かって走る。

 

(さって、まずは着替えて。それからお見舞いの品と、あと……)

 

アタシは走りながらこれからの予定を組む。

 

‥‥ザアァァァァァァ……

 

雨の勢いが少しずつ強くなっていく。

だけど、アタシはそれに負けずひた走る。

蒼真先輩のことを考えながら……。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

「ライカ行っちゃった。……なんか納得しちゃったけど、別に帰らなくたっていいんじゃ?」

 

あれ?と首を捻るが、

 

‥‥ザアァァァァァァ……

 

「ま、いっか。アタシも濡れちゃったし、早く戻ろ」

 

雨が強くなってきたことで思考を中断した。

さっきまでいた野次馬も、今ではどこにもいない。

みんな急いで授業に行ったみたいだ。

 

「えっと、教室に戻る前に保健室に制服を借りに……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……その必要はないわよ、間宮の子」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!!?」

 

誰も居なかった筈なのに、私の隣から女の人の声が聞こえた。

私はバッとその場から横にとび、女の人と距離を置いて対峙する。

 

「……えっ」

 

そして、その女の人を見た瞬間……私の時間が止まった。

私の体が震える。

それは寒さからじゃない。

 

 

 

 

 

これは……恐怖だ。

 

 

 

 

 

その女の人は黒いセーラー服を身に纏い、瞳も長い髪も黒く、さらに黒い傘をさしていた。

全身黒で統一されたなかに、1つだけ違う色があった。

それは左手の手袋。

白い手袋で覆われた左手は、黒の中にある小さな白は、女の人の存在を歪にしていた。

けど、私が驚いたのは……怯えたのは、そんなことじゃない。

この人は……こいつはっ!!

 

 

 

 

 

「久しぶりね、間宮 あかり。……おいで」

 

 

 

 

 

私たち家族を、《間宮》を破滅させた奴等の1人……っ!!

 

 

 

 

 

───毒の華、夾竹桃  開花───




如何でしたか?

もうね、受験なんて無くなってしまえと思う黒猫ノ月です。
人は頭だけではありませんよーーー!!
んんっ、失礼。

さてさて皆様、これからは平常運転で参りたいと思います。
一週間に一回投稿を目指したいと思います。ので、これからも応援よろしくお願いいたします!!

ではでは(^-^)/
感想や意見、心よりお待ちしています!
これからのモチベーションのために、皆様よろしくお願いいたします!!
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