病名『秘匿』   作:侑音

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最終話です。番外編は書く予定です


また会えたら、笑ってね

長々ここまで書いてきたけど、もう1週間しかないし、私の体力もない。なので最後に私のことについて軽く書こうかなと思う。

 

 

 

 

私は『  』を患っていて赤子の頃に長くは生きられないと言われていたらしい。母は私が幼い頃、何度も何度も私に「 ごめんね。 」と言っていた。そんな母に私はいつもぼーっとした表情で頷いていたような記憶がある。

そんな母も私が不気味だったのだろう。妹が…椿が生まれてから私を避けるようになった。そりゃあそうだろう。椿は病弱な部分が根は優しくいい子で、表情に動きがない兄にも無邪気な笑顔を見せ、

 

「 おにぃ!あたしとあそんで!えーっとね、せんたいごっこしたい! 」

 

と言って周りを驚かせたり、またある時には私が少し疲れていた時は、

 

「 おにぃはすごいよ。だって、あたしのたったひとりのおにぃでいてくれるもん。おにぃはあたしのほこりだよ! 」

 

なんて言ってくれて、私はそんな椿を凄く甘やかしてしまっていた。だって妹って可愛いだろ。シスコンで悪かったね。こんなん言われたら誰でもシスコンになると思わないか??

 

 

 

 

 

 

話が逸れてしまったけれど私は家族を嫌いだと思ったことは無い。むしろ、優しくて好ましい家族だったと思う。生まれつき感情の起伏が薄いと言われる私がそう思うのだから多分そうなんだと思う。

でも仕方がなかった。だって私は     で、下手に感情を表に出すと私が壊れてしまう可能性が高かった。だから本当に…でも、これを仕方なかったで済ませるのも良くないんだろうな。だから母とも関係が優れなかったんだろう。

 

 

本当に可愛げのない子供だったなとつくづく思う。でも、最後くらい、何か本音を呟きたいな。折角自覚した本音なんだから、最後くらいぶちまけていいよな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

普通に生まれたかった、なんて強欲だろうか。でも、()も当たり前に日常生活を送れるような子供だったらこんな願いなかったと思う。

自由がほしかった。当たり前のように空を飛べる鳥のようになりたかった。ふざけあって、馬鹿みたいに笑いあって。そんな子達が羨ましかった。

ほんの少しくらい感情が荒ぶったって、と思って荒れかけた日。俺が倒れて母さんと父さんが大慌てでおれの元に来てくれた。なんだか嬉しかった。あぁ、俺もちゃんとみてくれてるんだって思えた。でも…こういう状態じゃないと、俺の事相手にしてくれないのかな、とも思った。悲しいかな。でも不思議とその日から感情は出なかったんだ。人間って凄いよな。限りのない人生なら、研究者になれば良かっただろうか。でも俺にそんな地道な努力向いてないな、笑

 

恵まれた環境に生まれて良かったと思う。もし噂に聞くような毒親、と呼ばれる家庭だったら、俺はどうなっていたのだろう。愛情に飢えていただろうか。あぁでも、椿みたいな子がいたらそれでも何とかなったかもな。

幸せって何なんだろうな。俺は幸せだったのだろうか。

 

いつだったか、水希が俺のことを繊細な五感が鋭い子、と言っていた気がする。HSC…だっけな。内向的で、繊細な気質を持つ子供のことを指すらしい。なんでかな、俺を見てくれた気がして嬉しかったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ、俺って   きっ と  、

     あ され  か った  のかも  しれない

 

 

あれ、  文字が ぐ  ゃぐ  になっ   る、?

 

よ  ねー、  んかくも、  らば   じゃん

 

   あの  、おれ   うれしか   

                    たよ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 そして、その少年は静かに息を引き取ったんだ。幸せそうな顔で亡くなったんだと。 」

「 せんせ、それって実話? 」

「 俺の実体験だよ。詳しく言えば、俺が知人に聞いたものだけどな。 」

 

 

 

そして俺は先生になった。()()()に向いてるよ、と言われたけどなんで先生が向いてると言われたのか教師になった今でも分からない。でも、あの人が望んでいたようにも感じる。

 

あれから20年が経った。俺も大学卒業して高校教師として仕事をするようになっていた。

この少年はあの人が亡くなった2年後に生まれた、あの人の弟。信じられないくらいあの人そっくりなのにどこもかしこも健康で、自由気ままにふらふらする、ちょっと危なっかしいけど優等生な少年。名前は神崎菊。あの家は本当に花の名前が好きだなと思う。そんなあの人そっくりな少年は俺のことをぼーっと見つめ、俺に質問を投げかけてきた。

 

 

 

「 せんせーは、今もその人に会いたいと思う?…あ、せんせーと仲良かったとは限らないのか。 」

「 いんや、仲良かったしお世話になった人だな。もちろん会いたいよ。 」

「 じゃあ、もしその人と会えたらなんて言う? 」

「 …もう二度と、俺の前から突然消えないで、って言いたいかな。いきなり消えるのはほんとに怖いからなぁ。 」

「 ふーん…。 」

「 おい、どうでもいいと思ったろ今。 」

「 げ、なんで分かんの。せんせー怖。 」

「 お前なぁ…。 」

 

 

そんな軽口を叩き合いながら目の前の少年、神崎と話をする。

……この少年を名字で呼び捨てするのは未だになれない。あまりにもそっくりな顔立ち、性格。あの人の時みたいに目が離せなかった。

 

 

神崎蘭先輩。俺の大事な、大好きな先輩。

いかにも、蘭先輩が元気ならなりそうな生徒会長という立場で、生徒会顧問の俺の過去話を俺の顔をじっと見つめながら聞くその姿は蘭先輩そっくりで。

 

「 神崎。椿さん元気? 」

「 姉さん?元気だよ。あーあ。みんな僕にそっくりって言ってる兄さんに会ってみたかったな。せんせーもそう思うの?確かせんせーって兄さんと仲良かったんでしょ? 」

「 …あぁ、そうだね。すごい似てるよ。 」

「 …あ、あんま聞かなかった方が良かった?ごめんせんせ。流石に良くないよね。 」

「 いいよ別に。もう20年前の話なんだから。 」

「 …ふーん。 」

「 …なんだよ。ほら、もう帰るぞ。 」

「 いーや。なんでもなーいよっ。帰ろ、悠李せんせ 」

 

 

『 帰るよこーはい君。…なーに。僕と離れるの寂しいの?かっわい〜。 』

『 茶化すのも大概にしてくださいよ!もう、さっさと行きますよ先輩! 』

『 ふふっ、はいはーい。 』

 

 

ほんと、俺の事忘れてたんじゃないかってくらい何も言わないで置いていっちゃって。先輩最低ですよ。…あんなこと言った俺も悪いけどさ…。それに

「 せんせー?置いてくよー。 」

「 家が近いから一緒帰ってるだけだろ。ったくもうお前は…。あっこら、そっちは行くな。 」

「 せんせーのけちー。 」

「 ケチでよろしい! 」

「 うわっ、なにせんせ。僕もう子供じゃねーぞ。 」

 

 

変わんないね、こーはい君は。もー、俺が全く知らない無垢な子供だったらどうするつもりだったのかなぁ。まぁ、そうだと思ってるんだろうけどなぁ。椿もだけどさ。あーあ、水希だけかぁ…。

「 何をぶつぶつと…。 」

「 うぇっ!?いつの間にいたのせんせ。怖いよ。音立てて近づいて来て!? 」

「 大袈裟だな…。 」

「 ねっ、せんせ。今日姉さんが夕飯一緒にどう?だって。どする? 」

「 なんか最近ずっとお邪魔してるんだが…。 」

「 いーのいーの!ほら、行くよせんせー! 」

「 うぉっ、ちょ、待てって。あーもうお前は…。 」

 

 

あぁ、そうだ。

 

ねぇ、先輩。貴方に言いことがあるんですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今までお世話になりました。()()()()()()()()()()先輩()




勘のいいガキ大好きだよー!!!
これにて本編閉幕です。ここまで読んでくださりありがとうございました!
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