次があれば 生き方を変えてみるのもいいかもしれない 両面宿儺inテイワット 作:dokogumi_3054
次があれば考えてみるのも悪くない――。
そう呟くと、呪いの王・両面宿儺は、一人の童の手を引きながら闇の中へと消えていった。
「なんだよ、丸くなりやがって! つまんねぇ!」
背後から、子供の癇癪にも似た甲高い叫び声が響く。以前の宿儺ならば、そんな声を放った者を躊躇なく殺していたことだろう。だが今、その声すら妙に耳障りには感じなかった。
――随分と変わったものだ、と自嘲する。
それからしばらく歩き続けた。闇は果てしなく、道なき道を進むようだった。どれほど歩いただろうか、気が付けば、己のかつての体が消えていることに気づく。
それでも意識は鮮明だった。魂は確かにここに在る。そして――背後にいる裏梅の存在を、姿を見ることなくはっきりと感じ取ることができた。
「……付いてくるか、裏梅」
低く呟く宿儺の声が、闇に静かに溶けていった。
次に目を覚ましたとき、宿儺の視界に広がっていたのは、果てしなく広がる海だった。波が穏やかに打ち寄せ、潮風が肌を撫でる。その静かな光景に、宿儺は一瞬、呆気に取られる。
「……何だ、ここは」
つぶやきながら拳をグーパーグーパーと握り直す。その動作のたびに、感触が微妙に違うことに気付いた。まるで自分の身体ではないかのような、馴染まない感覚――いや、これは明らかに小僧、虎杖悠仁の身体だ。
宿儺は眉間に皺を寄せ、思考を巡らせる。自分の魂はこの肉体にある。しかし、小僧の魂の気配はどこにも感じられない。以前のように二重の存在ではなく、この身体は完全に宿儺のものになっていた。
「小僧が消えた……いや、最初から存在していないのか」
言葉にすることで、自分の推測を確認する。俺は呪術師共に敗れ 死んだはずだ――だが、己の魂を失わず、心の臓を止めずに生きているということは、死後の地獄ではないという確信を抱かせた。
「次があれば とは言ったものの ここまで早く来るとは思わなんだ」
呟きながら、宿儺は視線を遠くへ投げる。ここの地がどこであるにせよ、この奇妙な状況が自分に何をもたらすのか、
----もう一度やってみよう 誰かを呪うんじゃなくて 誰かと生きるために----
「 いいだろう 」
宿儺の唇が僅かに歪む。微笑とも嘲笑ともつかない表情を浮かべながら、彼は一歩を踏み出した。未知の地での、新たな物語の幕開けを告げるように。
プロローグです 基本的に宿儺主軸で話を進めていきます いろんなキャラと絡ませたいです、 至らぬところもあると思いますが アドバイスや感想 これからの方針などコメントしてくださると嬉しいです!