最後の方に帝国鍛治職人加入を入れ込んでいます。
Side シエロ
現在私達はこのナゼールにて、この地を放浪する存在を前に身を引き締めています。
私達が虫に見えてしまう程のその巨体に圧倒され、目の前の怪物は私達を虫の様に見下ろします。
七英雄の一人、ダンターグ。七英雄の中で荒くれ者と知られていて、常に強い存在を求めて旅をしている……と言うのは先程拝見した装置を介して陛下が仰っていた通り。
モンスターから世界を救ってそれを境に姿を消して数千年後、つまり現在を経て彼等は今や唯の厄災そのもの。
行方不明の間に何があったのかは我々には分かりませんけど、世界に恐怖を振り撒く彼等を放っておくわけにはいきません。
一先ず我々のすべき事は一つ、人外の存在へと成り果てた彼をこの場で討つ事です。
『エアスクリーン!』
トパーズさんとモニカさんは我々に風属性の防御術を施します、ダンターグは人並み外れた膂力を持つと伝えられていますから、念には念を込めて補助系の術法を施す必要がありますもんね。
「簡単に死んでくれるなよ……この俺の楽しみが失くなるからなァ!」
巨大な
これを
「これは……退くわけにはいかなくなったな」
「ええ……彼を放置してしまったらナゼールの人々が貧困に喘ぎ、衰弱してしまいます。そしてこの力がいつ、帝国に向けられるのか」
クワワ陛下は弓を手に距離を取り、その足止めとしてトパーズさんが風属性の術法で迎撃します。
「熱風!」
「──カァッ!!」
四つん這いの体勢でケルートさんも加わり、口から
サラマンダーという種族柄だからでしょうか、そう言う風に火術を放つんですね。
「では私も参ります──サイクロンスィーズ!」
「乱れ突き!」
私の小剣の突きとモニカさんの水と風の合成術も合わさり直撃しますけど、その攻撃対象であるダンターグにはあまり効果が薄い。
「この程度の攻撃で俺を止められると思っているのか!」
「──イヅナ!」
クワワ陛下の風を纏った矢の一撃が右腕の関節を貫通していきます。
「ぐっ!?」
「驕るなど毛頭思っていない……だが、貴方やクジンシーを始めとした七英雄が帝国に害を齎すならば、我々は帝国の敵を叩くだけだ」
「其方こそ俺を侮るなよ…!ましてやクジンシーの様な小物と一緒にされるのは我慢ならん…!」
「うひゃあ!?」
「がはっ!」
「うぐっ!」
陛下とケルートさん、私はその巨体による体当たりで壁に激突。
「ふん!」
「うあっ!」
モニカさんは横腹に雷を纏った槍の一撃をもらい、その場に蹲ります。
「食らえ!」
「うっ!」
炎を纏ったチャージの突きがトパーズさんの腹部を突き刺し、彼女の身体は吹っ飛び──懐から短剣が転がり落ちます。
あれは何だろうかと言う疑問が浮かびますけど、今は戦闘中な為にそれどころじゃありません。
「この程度で俺を倒そうとは片腹痛いわ!」
眉間を顰めるダンターグが駆け出し、此方に向かって突撃してきます。
あの巨体で体当たりなんてされたら、怪我だけでは済まされません。
私とケルートさんは左右に別れ、陛下は奴の真下に滑り込む。
「稲妻突き!」
稲妻を纏った槍の一突きが真下の辺りに命中、予想外の箇所に攻撃されてダンターグが「ぐっ!?」と苦悶の声を上げます。
「陛下、離れて下さい!サイクロンスクィーズ!!」
モニカさんの放つ水と風の合成術、巻き上げる水に上乗せした突風が巻き起こります。
私も負けていられませんね!
「足がらめ!」
私が放つ地属性の術法。地面から隆起した根がダンターグの四足の足に巻きつこうとします、しかしダンターグはそんなに甘くありませんでした。
「そんな小細工が効くかぁ!」
「ええ……!?」
両足に力を込めて無理矢理根を引き千切るって、完全に人間技じゃないです。
ダンターグの右前足が地面を踏み、其処から鋭く尖った地面の杭が隆起します。
そしてその先にいるのは──トパーズさん!?
「くぅっ!」
装備していた盾で衝撃を和らげたものの、彼女の身体は宙を舞っていきます。
「トパーズ…!」
「先ずは一匹目だ…!」
獰猛な笑みを浮かべて
「死ねェ!!」
「……まだ死ぬわけに参りませんわ!」
いつの間にか拾っていた短剣を投擲しながら身を捻って回避、だけど回避しても直撃は免れましたが、先端が背中を擦れて血が流れていきます。
「ぬっ!?」
短剣は肘に刺さり、その傷口から毒素の液体が零れ出てきました。
あれは……毒!?
「チッ……ふざけた真似を。毒程度で俺を倒せると──」
「──思ってなどいませんわ!!」
不意打ち程度の攻撃にダンターグはトパーズさんを罵りますけど、彼女はそんな罵詈雑言を気にすることなくファイアーボールを放ちます。
「私は陛下に付いていく事に後悔などしません!異国人であろうとも、帝国とは程遠い土地の者であろうとも、彼を潔く思わない者の蛮行を防ぐ!唯それだけです!!」
若干頬が赤いものの、まるで憑き物が落ちた様に晴れ晴れとした御様子でトパーズさんは術の攻撃を専念する。
「……我々も彼女に続くぞ。イヅナ!」
陛下の弓から放たれた矢は風を纏い、ダンターグの右肩を射抜きます。
「私も続きます……ファイナル……レター!!」
「サイクロンスクィーズ!!」
「るああ!!」
Zの字を描いた火を纏う私の小剣技、モニカさんの合成術、ケルートさんの体術による連続ジャブ……マシンガンジャブ。
的確に私達は弱点となる攻撃を目の前の脅威に蓄積させ、その連携攻撃にダンターグは巨体ながら後退る。
「まだ終わりではない…!チャージ!」
「ぐああ!?」
火を纏う刺突が胸部に突き刺さり、片足を付くダンターグ。
「ぐっ……!虫ケラにしては、やるではないか…!!」
追い込まれていると言うのにダンターグは笑みを浮かべていて、ゆっくり立ち上がると全身の筋肉が増強されていきます。
「何…!?」
「頃合いだ…!モンスターを吸収してきたこの俺の力、見せてやろう!!」
まだ全力じゃなかったんですか!?
全身に力を蓄えていき、ダンターグは姿形に変わりはありませんけど、凄まじい殺気と力を放っていきます。
「さっきまでの俺と思うなよ…!全力を発揮した以上、もう手加減は出来んからなァ!!」
我々は咄嗟に躱し、先程までいた場所には巨大な窪みが形成されていました。
「言っただろう!手加減は出来んと!!潰れろ!!」
「ぐあ!?」
『きゃああ!』
「ひいい!」
「ぬあああ!」
先程よりも凄まじい勢いで私達は体当たりで吹き飛ばされ、激痛で動けない我々に容赦なくダンターグは跳び上がって踏み付けると、地面に強烈な振動と土煙が襲い掛かる。
「はははは!どうした、もう終わりか!?」
ダンターグの嬉々とした笑い声が洞窟内に木霊する。もう勝利を確信しているのか、満身創痍の私達を虫を見ている様に見下ろす。
強過ぎる……これが七英雄。全く歯が立たず、タームの
所々に字や擦り傷が出来て、血が流れて地面に染み込んでいく。
このまま敗れて、奴に吸収されて力の一部にされてしまうのでしょうか?
いや……それは絶対認めてなるもんですか。
我々の仲間がタームに喰らい尽くされた様に、遠く離れた地で一生を終えるだなんて…!!
「そんなの……絶対嫌です!!」
身体の激痛を堪えて立ち上がっていき、そんな我々をダンターグは呆れた様子で見下ろす。
「ふん……まだ立つか。そんなボロボロの身体で、貴様等に何が出来る」
「……極めて単純な答えだ」
陛下も身体がフラつきながら立ち上がる。
トパーズさん、モニカさん、ケルートさんも。
息を切らして得物を構え、クワワ陛下は宣言する。
「貴方を倒す」
「…!!ほざけぇ!!」
傷だらけの身体でも尚、抗おうとする陛下の御姿を見て癪に触ったのかダンターグは吼える。
「皆……逆転の一手となり得る一計がある。力を貸して欲しい」
「承りました」
「陛下……その一計とは?」
陛下は我々にその一計を伝える、我々はその内容を聞いて驚きました。
「そ、そんな簡単な手順で上手くいくのですか?」
「分からない……だが、我々の扱う術法であれば可能の筈だ」
「……賭けてみましょう」
トパーズさんが肯定の意を示し、私達は彼女に目を向けます。
「陛下……私は父の
自らが行おうとした罪を告白し、深々と頭を下げるトパーズさん。重鎮であるお父さんに逆らえず、ずっと強制されて暗殺を伺っていました……先程までは。
ですがその愚行を行おうとした彼女を陛下は赦しました。
「君が気にする事ではない。私の様な異国の者が帝位に就けば当然の感情、国内に不満を抱える者がいてもおかしくあるまい。トパーズ……君が己を赦せないのであれば、その身を以て父君に理解を示すしかない……もしそうでなければ法で裁く必要があるだろう」
「はい……!」
お父さんに理解されなくても、彼女は覚悟を決めたみたいです。
Side out
Side トパーズ
「全員、散開!」
もう私には陛下に対する一切の曇りはありません。愚かだった私を赦し、この御方は私にとって最も信ずる人ですから。
淡い想いを抱きながら陛下の御指示に従い、それぞれの役割を担います。
「サイクロンスクィーズ!!」
本日で幾度目の風と水の合成術はダンターグを包み込み、私達はそれに続きます。
私は熱風。
シエロさんのファイナルレター。
ケルートさんのヨーヨー。
それぞれが得意とする技と術が炸裂、ダンターグは眉を顰めている。
「足がらめ!」
「無駄だと言っているのが分からんのか!!」
シエロさんが放つ地属性の拘束術法は先程と同様に力任せに根を引き千切り、勢いよく地面を踏み付ける。
私達の攻撃は彼からすれば無駄な行為でしょう。ですが、これは陛下が一考した計略の一手です。
同時に私達は凄まじい振動に襲われ、バランスを崩してしまう。この一定時間の攻撃は後にグランドスラムと呼称されますが、今は結論を出している暇はないです。
「何奴も此奴も……無駄な悪足掻きを……!いい加減にくたばれェ!!」
「ッ!今ッ!!」
ケルートさんがシエロさんとモニカさんを両脇に抱え、私は陛下に抱き抱えられます。
凄く恥ずかしいですが、今は状況が状況です。
ダンターグが跳躍して着陸する瞬間、私達を抱えた陛下とケルートさんが同時に跳躍。
私達は攻撃を避け、ダンターグは
「──なッ!? う、動けん!!」
足が沼の様に沈み、身動きが取れないダンターグ。
これこそがクワワ陛下が一考した計略。
先ずモニカさんがサイクロンスクィーズやウォーターガンで地面を水で潤わせ、ダンターグが跳び上がった瞬間に着地すれば見事に地面はぬかるんでいき、足場は沼水と化す。
幾ら力が強かろうと、自然の力には到底叶いません。
着地すると私達はすぐさまに攻勢となり、火術や小剣技に風術を浴びせ、あまりいい気乗りしませんが袋叩きにします。
最中、私の右手に風が集まっていきます。まるでそれは剣の形を成し、ダンターグの胴体を斬り付けていく。
風の剣……言わばこれは、風神剣と呼称すべきですね。
「馬鹿なッ!馬鹿なァッ!この俺が、貴様等の様な弱い存在に──!!」
自らの劣勢が信じられず、ダンターグの悲痛な声が響く。
「ダンターグ……貴方は強敵
最後に陛下は跳躍、得物である槍を目の前の災厄に向ける。
「弱き者を顧みない貴方を此処で討つ──
「ぐああああああああああああああああああ!!!!」
首元に新たに閃いた一撃が放たれ、ダンターグは絶叫──その場で膝をつきました。
陛下は既に限界だったのか倒れそうになりましたが、慌てて私が支えました。
「お疲れ様でした……陛下」
「嗚呼……流石に骨が折れた」
私達は互いに笑みを浮かべていて、滅多に見る事のない陛下の笑顔を直視して私は頬が赤くなった気がします。
何やらモニカさん達がニヤニヤと笑みを浮かべています……べ、別に他意はありませんよ!?
慌てて否定していても彼女達は笑みを崩さず、私は終始赤面状態でした。
「こ……この俺が、こんな虫ケラ如きに…!!」
自らの敗北が信じられない様子でダンターグは悔やみ、その巨体は徐々に崩れていきます。
「……その虫ケラと呼ぶ私達に、貴方は敗れたのです。現実を認めなさい」
モニカさんが堂々として彼に現実を突きつけ、気品あるその気迫は目を張るものを感じました。
「皇帝よ……覚えておけ。俺はまだ強くなれる」
「何…?」
「いずれ最強となって、貴様の前に現れるゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」
そして限界を迎えたのか、ダンターグの身体は霧散。その巨体は影も形もなく崩壊していきました。
後には静寂が残り、私達は緊張の糸が切れてその場で尻餅を付くのでした。
「はあ〜〜。こ、今度こそ死ぬかと思いました」
「あれが七英雄……あの手の敵がまだ五人もいるだなんて」
「うむ……最後の最後まで恨み言を零すとは……何にせよ、死した今では絵空事ですな……陛下」
安堵した様子でモニカさん達は零しますが、陛下は「いや……どうだろうか」と浮かない様子で呟く。
「どう言う事ですか?」
「嘗ての帝国を襲撃し、最終的にジェラール陛下に敗れたクジンシー……奴は死に間際、俺は必ず戻ってくると言う言葉を遺していた。先程のダンターグも貴様の前に現れると遺した」
「え……え?」
「まさか……流石に偶然なのでは」
「死した存在が復活するなど有り得ない……それは歴史が物語っております故」
「……だといいのだがな」
嫌な冷や汗を流し、居心地の悪い空気が流れていきます。
Side out
Side クワワ
ナゼールでのダンターグとの一戦から暫しの日が流れ、我々は現在──サバンナの南にあるメルー地方を訪れている。
今我々がいるこの町、ビハラはメリー一のオアシスと呼ばれている。
ダンジョンで起こった事を村長に話し、勿論ダンターグとの一戦の事も話した。
村長もそれには驚き、ナゼール一帯を放浪してはモンスターを吸収する存在の事を耳にした事があるらしい。
十中八九それが奴だと察したが、村長は何故そんな行為を取るのか不可解である様子。
確かに気にはなるが、いつまでもそれに捉われても仕方あるまい。
我々が問題を解決した事により、トバとの交易を再開出来た。食料や物資も手に入り、村に活気が戻ってきた。
他にはトバとの交易で不思議な海産物が手に入り、何でもそれは海の主の声を聞く事が出来るらしい。
それから南でムーと共に暮らす同胞達の情報を話し、この先にある氷海へのルートの事を伝えてくれた。
嬉しい朗報ではあるが、我々がナゼールを訪れたのは海の主との対話の為。残念ながら、ナゼールを領地に収める担い手は次代の皇帝に託すとしよう。
そして現在──海の主がいるとされるワイリンガ湖行きの船が出ているとシティシーフ経由で知り、我々はワイリンガ湖へと出港。
ワイリンガ湖は魚類モンスターが海を徘徊しており、モンスターを退けつつ海の主がいるとされる場所へと向かわねばならない。
モンスター達からすれば我々は恰好の餌、獲物を求めて船に襲い掛かる彼等を我々は次々に一蹴、航路を進む。
航路を進む中で岩壁で覆われた洞穴を目視する。もしやと考え、船は洞穴の中へと進んでいく。
洞穴に入ると妙な静寂感を覚え、我々五人は得物を構えて周囲を警戒する。
直後、凄まじい水飛沫が起こった。船を覆う程の巨大な影が飛び出し、船の頭上を軽々と飛び越える。
「モ、モンスターですか!?」
怯えながらシエロが小剣を構える、だが攻撃をしようとする彼を制すると懐にしまっている海産物が光を灯している。
その海産物──海風貝を取り出し、その巨大な存在は攻撃どころか警戒することなく近付いてくる。
《……その何者をも恐れない毅然とした雰囲気……貴方、皇帝ね》
「声が……」
我々とは異なる透き通る声音が響く。その存在は我々がこの場へ訪れた理由を承知しており、レオンブリッジを破壊してしまった事に罪悪感を感じている。
彼女は自身の娘を七英雄が一人、スービエから守る為に逃走を図り──それが今回の件の真実のようだ。
話を聞く限りスービエは彼女とその娘を吸収し、力を得ようと目論んでいる。彼女は奴と争う事が出来るが、娘の方はまだ力不足で逆に足を引っ張ってしまう。
その存在に似た小さな存在を傍目に見つつ、私は彼女に問う。
「貴女が海の主か?」
《そう呼ばれる事もあるわ……》
橋の事はまた作り直せばいいだけの事。事の経緯を知り、これで復興の目処が立った……ヒラガ氏に早速伝え、橋の復興を依頼せねばならないな。
海の主
「どうした?」
「ダンターグといい、スービエといい……モンスター達を
確かに気にはなる。例の七英雄の過去を拝見する限り、当時の彼等は我々人間と変わらぬ姿形であったが、現在はモンスターと変わらぬ異形に成り果てている。
今更ながらそうなった経緯が気にならないわけではないが、詮索しても根本的な解決に為さないだろう。
「……そう言えば」
『?』
「鍛治職人の探す純鉄石だが、最後の一つはメルーにあるのだったな」
「ええ……正確にはメルー砂漠にある事は地図の目印で明らかになっていますが」
「…………」
「……へ、陛下、まさか?メルー砂漠は地獄に等しい熱砂地帯なのですよ!?ほ、本当に参るのですか!?沈黙を一貫せず何か仰って下さい、陛下ァァァ!!?」
※
「こ、これは……正しく純鉄石!」
私が手渡した五つの純鉄石を掌に納め、彼女──帝国鍛治職人のフロスティは驚愕と歓喜が入り混じった声を上げる。
何の因果か、ダイナマイト帝の時代を生きた当代の鍛治職人と同じ名を持つ(恐らく当代は曽祖母の可能性がある)彼女は家宝の小槌の修理の目処が立ち、内心嬉々としているだろう。
「皇帝陛下……我が御先祖様の代より山よりも高く、海よりも深く感謝します」
「気にする事ではない。私は民の為、最低限の行動を取ったまでさ」
「あの……さっきから突っ込みたかったんですが、どうして全身砂塗れなんですか?」
「其方も気にしなくて構わないさ」
メルー砂漠に飛び込んだのだからな。砂嵐や強い陽射しの中でモンスター達を薙ぎ払い、漸く最後の一つを手にしたわけだ。
トパーズ達から終始冷めた眼差しを向けられたが、気にしてはキリがない。
ヒラガ氏に海の主殿のレオンブリッジ破壊の経緯を話し、すぐさま修復に取り掛かったのが昨日の昼間。
そして修理が終わったのが今日の朝、耐久力を限界まで上げた為にもう破壊される事はないとヒラガ氏は宣った。
そしてフロスティは恩を感じ、それに報いるべく帝国の力になりたいと宣言。
鍛治職人としての彼女の腕は目を張るものであり、日頃から我々も世話になっている……鍛治屋に閉じ籠ってばかりでは技術を腐らすのは実に惜しい。
「これから君が飛び込むのは死と隣り合わせの過酷な戦いだ……引き返すのなら今しかないが」
「心配要りません!相手が七英雄だろうと何だろうと、私は陛下の為に、帝国に命を捧げる覚悟です!」
鼻息を荒く立ててフロスティは宣い、覚悟を決めて豪語。
これ以上言う事はなく、私は心の中で彼女を歓迎するのだった。
続く
次回はマーメイドの駆け落ちイベントを前後編でお送りします。