トランスフォーマーIS   作:ダイダゼノンド

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第十話 タッグ・マッチ!

「オンスロート」

「・・・・・・なんの用だ。トリガー」

 デストロンシティの通路から、物語を始めよう。

 通路を進むオンスロートを遮るように、トリガーが声をかけた。

「少し小耳に挟んでな・・・・・・裏切る気か?」

「・・・・・・何の話だ」

「サイバトロンと、ただならぬ関係を結んだそうじゃないか?おかしいよな?我々デストロンの軍事参謀であるお前が。バイオメガトロン様への裏切りを謀っているわけではあるまいな?」

「そんなわけがあるか!」

「ならいいんだがな。ああ、ちなみに、この情報は君達が連れ帰ったタンカーを解析した結果知ったものだ。俺しか知らない」

「なんのつもりか知らないが、それでは脅しにはならないぞ」

「脅しのつもりはない。今は、同じ主に従う仲間だからな・・・・・・」

「話はそれだけか?なら、私は行くぞ」

「ああ、少し待て。聞きたいことがある。もし、裏切り者がいるとすれば、それは誰だと思う?」

「さあな。今は情報が少なすぎる。断定は決裂を生む」

「ごもっとも・・・・・・・・・・・・裏切るなよ、コンバットロン」

「・・・・・・」

 通路を進み、オンスロートは玉座の間までやってきた。

「すまない。遅れた」

「お前が遅れるとは珍しいな」

「少し話し込んでしまいまして」

「そうか。では作戦会議を始める。スタースクリーム、スタントロン達に任せた計画はどうだ?」

「概ね順調ですぜ。あと1週間もすれば、てところだと」

「そうかそうか。よろしい。それでは、ワシが考えた作戦についてだ」

「バイオメガトロン様が?」

「そうだ。近々サイバトロン基地、またの名をIS学園ではタッグマッチトーナメントなるものが開催されるという。このタッグマッチトーナメントに乱入するのだ」

「作戦としては可もなく不可もなく。てとこだが、意図は?」

「認識の改変を実行する。ワシらが現れれば、おそらくブレードコンボイはスーパーモードで暴れるだろう?そこでワシらは姿をくらますのだ。あとには被害を考えずに暴れるサイバトロン軍総司令官が残るという寸法よ」

「そう上手くいくとでも?」

「そう心配するなオンスロート。サイバトロンに破壊をさせれば良いのだ。ワシらが出ずともな・・・・・・」

「それはつまり、我々4人が攻撃に向かうと?」

「そういうことなら私はパスだ。コンバットロンとして、この前行ったからな」

「心配はいらん。向かうのはワシとスタースクリーム、レーザーウェーブの3人よ」

「・・・・・・」

「それじゃ、このトーナメントってやつの日に行くんですね?」

「ああ。準備をしておけよ!」

「IS学園・・・・・・ラウラに会えるかもな・・・・・・」

「・・・・・・」

 玉座の間を出る3人を見送り、オンスロートはメインコンピュータを操作し始めた。

「・・・・・・まあ、これを見てわかるものでもないな」

 閲覧していたのは、デストロン軍団の名簿。バイオメガトロン派のものである。

「なんの変わりもない。アプローチを変えるか?」

「何してんだ?こんなところで」

「! お前は、ラナバウト」

 玉座の間に入ってきたのは、破壊兵ラナバウト。

「別に、何をしているわけでもない。軍団内の名簿と私の記憶との差異が生じていないか確認していただけだ」

「そうか?ならいいんだが・・・・・・そうだ。ちょっといい話があってな」

「いい話?」

「そう。ロックダウンて知ってるか?」

「ああ。我々と並ぶデストロンの派閥の長だろう」

「そう!実はそのロックダウンがアースに来るかもって話があってな!」

「・・・・・・ラナバウト。確認しておくが、お前はバイオメガトロンを裏切るつもりか?」

「は?そんなまさか。逆だよ。ロックダウンの一派は実力者揃いだ。そんなヤツらをうちに引き入れれば、うちはさらに強くデカくなる。な?悪い話じゃないだろう?」

「・・・・・・理想論だな。確かに悪いとは言い切れないが、それだけだ。私はもう用が済んだ。お前も玉座の間(ここ)からさっさと出ていくんだな」

「けっ。やっぱ堅えな・・・・・・」

『準備は良いな!では、これより学年別トーナメントを開催する!』

 某日、IS学園では学生達が待ちに待ったタッグマッチトーナメントが開催された。基本的には専用機持ちの独壇場になるが、量産機を使って一般生徒の参加も可能。個人トーナメントでは毎年ジャイアントキリングを期待し、念願する者も多い。また企業の重役も見に来るため、自身を売り出す目的もある。

『1回戦目は織斑一夏とシャルル・デュノア対ラウラ・ボーデヴィッヒと篠ノ之箒!10分後にスタートする!』

 織斑千冬による開会の挨拶は放送によってスクランブルシティ全体に響き渡った。

「いよいよだね!」

「ああ、そうだな・・・・・・」

 試合に使われるアリーナの控室に一夏とシャルル、リワインドはいた。

「どうした?なんかテンション低いな?」

「いや〜なんか、このトーナメントに優勝したら、俺が何でもお願いを聞く。とか言う話になっててさ・・・・・・」

「あー、なんか話題になってたな。優勝したら一夏と付き合えるって・・・・・・て、そう解釈したのか!」

「え?解釈って?」

「はぁ~、こりゃ皆苦労するわ・・・・・・」

「?」

「確か鈴も言ってたな。酢豚がなんで結婚がどうのと。それが、今度はクラス全体ときたか・・・・・・」

「うん?鈴がどうしたって?」

「何でもない」

「ははは・・・・・・まあ、とりあえずもう始まるからさ。行こう」

「そうだな。トランスフォーム!」

 リワインドは白式の左腕に変形し、一夏達はアリーナに降り立った。

「初戦でラウラか・・・・・・」

「織斑一夏・・・・・・!」

『両者位置についたな?選手各位に忠告しておくが、このトーナメントはサイバトロン軍が警備をしている!ヒートアップして問題行動を起こさないように!それでは、初め!』

「一夏!」

「わかってる!」

 開始の声と同時に、一夏はラウラに向かって動き出した。

「ハアアアッ!」

「ふん」

 雪片弐型を振り下ろすも、ラウラはプラズマ手刀で受け止める。

「くうっ・・・・・・」

「貴様ごときが、私に勝てるわけがない!」

「うおっ!?でぇっ!」

「なに!?く!」

 プラズマ手刀で雪片弐型を弾くが、一夏は左腕のリワインドの銃を発砲。ラウラのシールドエネルギーを消耗させる。

「勝手に動くな!ボーデヴィッヒ!」

「君の相手は僕だ!」

「んなっ!?ぐああああっ!」

自身を見向きもせず一夏と戦うラウラに意識を向けていた箒はシャルルの銃弾をモロに食らい怯んでしまう。

「どうした!ペアが押されてるって言うのに、余裕だな!」

「あんな者知るか!もとより私は、私一人で十分だ!」

「ああ、そうかよ!」

「!」

 一夏はワイヤーブレードを伸ばすラウラに向かって、進む。

「うおおおおっ!」

「んなっ!?ああっ!」

 自らのISと体を切りつけるワイヤーブレードを意にも介さず、一夏はラウラの目の前まで進み、思い切り殴った。

「貴様ァ・・・・・・」

「ここから一気に・・・・・・シャル!」

「うん!」

 銃弾をラウラに浴びせ、シャルルは牽制をしていた。

「なんのっ!」

「危ない!」

「くっ!」

 ラウラを撃つシャルルの隙を狙い、打鉄を駆る箒だったが、シャルルにたどり着く前に一夏に止められる。

「一夏・・・・・・!」

「ウオオオッ!」

「ぐうっ!?」

 鍔迫り合いの末、一夏は箒を弾き飛ばした。

「小賢しい!」

「!?」

 一夏が箒に打ち勝ったと同時にラウラはレールカノンを動かし、シャルルに向かって放つ。

「シャルー!」

「一対一だ・・・・・・織斑一夏!」

「ぐあっ!?」

 レールカノンが直撃したシャルルに気を取られていた一夏にワイヤーブレードが襲う。

「ぐ、うぅ・・・・・・」

 地面に叩きつけられ、雪方弍型を落とした一夏は呻き、その様を見るラウラは笑っていた。

「ふふふ・・・・・・そうだ!お前には、それがお似合いだ!私から教官を奪った・・・・・・お前なんかには!」

 プラズマ手刀を起動し、一夏に迫る。

「くうっ・・・・・・が、はあっ!」

「ははははは!そうだ!このまま!」

「ぐふっ!がぁっ!く、うおおおっ!」

「んな!?離せ!」

 プラズマ手刀を受け続けた一夏は、ラウラの腕を掴み膠着状態に持ち込んだ。

「このまま・・・・・・リワインド!」

「おう!」

 左腕のリワインドの銃を発射してラウラのISのシールドエネルギーを削っていく。

「貴様ァッ!」

 対するラウラはワイヤーブレードを再び動かし四方八方から一夏を斬りつけていく。

「ぐ、このおっ!」

「んなっ!?」

 斬られ続ける一夏は力を振り絞り、ラウラを背負投のように投げ飛ばした。

「ウオオオッ!」

 落とした雪片弍型を拾い上げ、投げ飛ばしたラウラに向かって走る。

「ここだ!そこをっ!」

「こんのを!」

 立ち上がったラウラはレールカノンを起動。向かい来る一夏に狙いを定める。

「ウオオオッ!」

 その時、一夏のISである白式が淡く光った。

「はあっ!」

「そこだ!」

「ぜりゃあ!」

「んなあっ!?」

 一夏が雪片弍型を振り下ろすと、今までラウラがレールカノンに充填していたエネルギーが全て消滅したのだ。

「これは・・・・・・」

「貴様・・・・・・何をした!?」

「・・・・・・なるほど、零落白夜・・・・・・これが、白式の単一仕様能力!」

 一夏の視界に映るガイダンスが、白式の覚醒を一夏に知らせる。零落白夜。今までIS同士の本気の戦いをそこまでしていなかった一夏が、ようやく開いた、真の突破口にして真の活路。リワインドとの連携による理詰めではない、機体の性能を真に活用できる境地。

「これなら、いける!」

「一旦下がれ!距離を取って立て直そう!一夏!」

「ああ!」

「貴様・・・・・・貴様アッ!」

 ラウラは距離を取った一夏を睨む。

「ウオオオッ!」

「ぐっ!」

 プラズマ手刀を雪片弍型で受け止め、零落白夜でさらにエネルギーを消していく。

「くううぅ・・・・・・!」

「いける、これなら!」

「待て、一夏!なんか、おかしいぞ!」

「なに!?」

 ラウラを弾き、一夏は飛行してラウラを見下ろした。

「見ろ。ラウラの飛んできた跡に、黒い、何かが・・・・・・」

「本当だ・・・・・・なんだあれ?」

「にげるなあっ!」

「危ない!」

「うぅっ!」

 焦燥しきった顔をしたラウラを避け、一夏はリワインドとの会話を続ける。

「あれ、先生達に言ったほうが良いやつかな?」

「ISの不具合っていうのもあり得る話だ。戦いどころの話じゃないかもな・・・・・・」

「だよな・・・・・・」

「なにを・・・・・・なにをはなしている!?きさま、きさまも、けっきょくわたしを!」

 ワイヤーブレードを動かすも、上手く操作が出来ないのか自身の周囲を漂うだけだった。

「はあ!はあ!はあ!ウワアアアアッ!」

 息を切らしたラウラはその場に立ち尽くし叫んだ。すると、IS、シュヴァルツェア・レーゲンから黒い液体が溢れ出した。

「な、なんだあれ・・・・・・」

「あ、なに、なにこれ・・・・・・しらない。こんなの、しらない!」

 アリーナにいる全ての者が困惑している中、液体は溢れ出し続ける。

「あれは・・・・・・まさか、VTシステムか!?」

「VTシステム・・・・・・確か、過去のモンド・グロッソ部門の優勝者の動きをトレースする・・・・・・禁止されているはずでは!?」

「ああ。そのはずだが・・・・・・」

「千冬君!こんな時に悪いが、デストロンだ!」

「なに!?」

 アリーナでは本来禁止されている兵器が発現し、外ではデストロンが襲来。スクランブルシティは地獄と化していた。

「〜〜〜!とにかく避難誘導!山田君!」

「は、はい!」

「フハハハハハ!まさか貴様が出迎えてくれるとはな。ブレードコンボイ!」

「バイオメガトロン!この一大事に、空気も読まず!」

「空気など知るか!」

 ラウラのISのVTシステムが発動したほぼ同時に襲来した、バイオメガトロン、スタースクリーム、レーザーウェーブ。

「マイスター!スキッズ!ホイルジャック!避難誘導に向かえ!アイアンハイド!ドリフト!バリケード!スカル!私と共に応戦するんだ!」

 それぞれが武器を取り出し、地面に降り立ったデストロンと対峙する。

「レーザーウェーブ!お前はアリーナに穴を開けろ。その時、サイバトロンも引き込めよ!」

「わかっています!」

「絶対にアリーナに近づけるな!」

 そして、サイバトロンとデストロンの戦いが始まった。

「ミサイル攻撃だ!」

「ぐわあああっ!」

 スタースクリームが放った二つのミサイルがブレードコンボイ達を襲う。

「ええいっ!時間をかけてはいられない!ブレードコンボイ!スーパーモード!」

 早急に解決する必要があると判断したブレードコンボイはスーパーモードになり、飛行するスタースクリームとアリーナの壁を攻撃するレーザーウェーブを掴み投げつける。

「トライファイアー!」

 ブレードコンボイは口から炎を吐きバイオメガトロン達を溶かさんとする。

「ぐおおおおおっ!・・・・・・ふ、ぬかったな」

「!?」

 炎の中にいたバイオメガトロンは、炎の中から手持ち銃ライオバレルを放ち、炎によって温度が上がった光弾がアリーナの壁を破壊した。

「突っ込め!レーザーウェーブ!スタースクリーム!」

「しまった!」

「ははははは!ブレードコンボイ!貴様の弱点は、貴様の正義だ!貴様の掲げる正義が!ワシらのような敵への容赦が!貴様の弱点なのだ!」

「!」

 立ち尽くすブレードコンボイをよそに、バイオメガトロン達デストロンはアリーナに侵入した。

「あれは・・・・・・ラウラ!」

 アリーナに侵入したレーザーウェーブが見たものは、黒い液体に体が覆われかけているラウラの姿だった。

「あ・・・・・・ああ・・・・・・みるな、見ないでくれえええ!!!」

 そう叫ぶと、ついにラウラは液体に呑まれてしまった。

 液体は徐々に形を整え、第一世代のISを模したような姿になった。

「あれは・・・・・・千冬姉の、暮桜?」

「なんと・・・・・・あのような兵器がアースにあったとは・・・・・・」

「■■■■■!」

「んな!ぐわあっ!」

 独特の機械音を響かせながら、ラウラだったものは一夏に襲い掛かる。そしてその勢いのままアリーナに侵入したバイオメガトロン達も薙ぎ倒してしまった。

「な、なんなのだあれは・・・・・・」

「いてて・・・・・・あんなのがあるなんて聞いてねえぞ!」

「ワシも知らんわ!ええい!攻撃だ!」

 攻撃を仕掛けるバイオメガトロンとスタースクリームだったが、その攻撃を全て避けられ接近を許し、殴られ投げ飛ばされ地面に叩きつけられてしまう。

「ぐ、くぅ・・・・・・なんなんだよ、あれ・・・・・・」

「通信があった!あれはVTシステムっていって、簡単に言うと過去にいた強いIS操縦者の動きとか機体の性能やらをコピーするものだって!」

「なんだって!?」

 リワインドから説明を聞いた一夏は驚愕し、また別の感情を湧かせていた。

「そんな、それじゃあ、あれは千冬姉を・・・・・・許せない!」

「待て。感情的になるな。男性操縦者」

「お前は!?」

「デストロンの防衛参謀、レーザーウェーブだ!」

 怒りを燃やさんとした一夏を静止したのは、敵であるはずのレーザーウェーブだった。

「あれを止める。そのため、協力を要請したい」

「ま、待ってくれ。何でそんなこと・・・・・・」

「放置すれば我々にも被害が及ぶ。それに、ラウラ・ボーデヴィッヒ。あの中にいる少女には、少々思うところがあるのでな」

「そう、なんですか」

「ああ」

「どうする?リワインド」

「うーん・・・・・・レーザーウェーブについては悪い噂は聞かないし、今だけなら、良いかも?」

「ぼさっとするな!来るぞ!」

「え!?」

「■■■■■!」

 バイオメガトロンとスタースクリームを完全に叩き伏せたラウラだったものが一夏達に狙いを定め、突撃してくるが、既のところでレーザーウェーブが一夏を掴み回避する。

「な、俺を助けて?」

「我々としても、無駄な犠牲は出すつもりはない・・・・・・訂正しておくが、トリガーについては、アイツが過激なだけだ」

「そ、そうですか・・・・・・」

「それで、あれについてどれだけ知っている?男性操縦者」

「・・・・・・織斑一夏です。俺の名前。それで、左腕にいるのがリワインド」

「そうか。織斑一夏、リワインド」

「聞いた情報は、あれは過去のすごい人の動きとかをトレースするっていうことです」

「新しい通信だ!VTシステムの情報が来た!」

「私にも回してくれ・・・・・・なるほど。エネルギーを液体化させているのか・・・・・・」

「エネルギー?それなら・・・・・・零落白夜で・・・・・・」

『織斑、聞こえるな!?』

「千ふ・・・・・・織斑先生!」

『いいか、今すぐその場から離れろ。あれはこちらで対処する』

「でも、それって・・・・・・!」

『心苦しいが・・・・・・仕方のないことだ。それに、これ以上被害を広げるわけにもいかない。最小限に抑えるためだ。ラウラ・ボーデヴィッヒを抹殺する』

「それは、そんなことはできない!確かに、色々あったけど、それでも、ラウラは俺のクラスメイトだ!俺達の仲間なんだ!殺すなんて、俺は納得できない!」

『そうは言うがな』

「通信に割り込んですまないが、あれはエネルギーの塊という認識で正しいんだな?」

『んな!?誰だ!』

「デストロン軍防衛参謀レーザーウェーブだ。敵対の意思は無い。協力する」

『信用できるとでも?』

「四の五の言っていられない状況のはずだ。教えてくれ。あれはエネルギーの塊なんだな?」

『・・・・・・ああ、その解釈で問題ない』

「そうか。なら手はある」

「それは!?」

「前に回収したISを解析して作り上げたものでな。ISの出力を一時的に下げ機能を停止させるジャミング装置がある。どうせ使わないだろうと思っていたが、持ってきておいて正解だったな」

「機能を停止・・・・・・それなら、その後に零落白夜を使えば、助け出せるかもしれない!」

「本当か!?リワインド!」

「ああ!零落白夜はエネルギーを消滅させる。機能を停止したところに使えば、元に戻せるかもしれない!」

「ならば迷う必要は無いな。やるぞ!トランスフォーム!」

 四脚戦車に変形したレーザーウェーブはラウラだったものに接近。砲撃で牽制していく。

「行けるか?一夏?」

「白式のエネルギーは僅か・・・・・・頑張るさ!」

 再び飛び上がり、レーザーウェーブに続き接近する。

「■■■■■■!」

「トランスフォーム!これで!」

 ロボットモードに変形したレーザーウェーブはジャミング装置を付ける。装置が起動するとラウラだったものは動きを止めた。

「今だ!織斑一夏!」

「ウオオオッ!」

 零落白夜を使い、一刀両断する。暴走したISの外殻は斬られた面が黒い液体となって溶け始めた。

「ラウラ・ボーデヴィッヒ!」

 内部が露出し、そこには気を失ったラウラの姿があった。

「う、ウオオオッ!」

 一夏はすかさずラウラの腕を掴み引き抜いた。

(なんだ・・・・・・眩しくて、温かい・・・・・・)

 暴走したISから引き抜かれる中、ラウラは不思議な感覚に浸っていた。産まれた頃、試験管の中から見た光景。成功した姿、転落期。人生の転換点。今まで生きてきた中で見た、経験した全てがフラッシュバックしていた。

(ははは・・・・・・馬鹿らしい・・・・・・結局私は・・・・・・羨ましかったんだな・・・・・・教官と、離れることなく繋がっていられる、お前が。織斑一夏が・・・・・・)

 救出されたラウラは目を覚まさず、地面に寝かされる。

「ラウラ!ラウラ!・・・・・・駄目だ。なんの反応もない」

 ISをしまいリワインドもロボットモードに変形し、ラウラを起こそうと揺すったりするが、未だに目を覚ます気配はない。

「私に任せろ」

「え?」

「有機生命体を起こすのに、最も手っ取り早い方法・・・・・・それはショックだ」

「は?」

「なに言って・・・・・・?」

「見ていろ」

 左腕の銃身をラウラの胸につけたレーザーウェーブは、ちょうどAEDと同じ電圧の電気を流した。

「ん!はあ!はあ、はあ、はあ・・・・・・」

「目を覚ました!」

「無事か?ラウラ」

「レーザー・・・・・・ウェーブ・・・・・・なんで・・・・・・」

「・・・・・・色々あってな。織斑一夏、ラウラを医務室にでも運べ。立場上、これ以上の滞在は無意味だ」

「あ、ああ。すぐに、連絡する」

「まだだ!まだおわらんぞ!」

 事態が収束し、一夏が千冬に連絡をしようとすると、叫び声を上げる者がいた。

「バイオメガトロン様」

「まだだ・・・・・・このまま未確認の存在に倒されたといって、むざむざと帰れるか!そうだろう!スタースクリーム!」

「ええ・・・・・・俺はもう帰りてえんですが・・・・・・体の節々が痛えし、あんたもそうでしょう?」

「だとしても奮い立つのがデストロンだぐわあっ!腰が!?」

「あーあー無理に立ち上がるから・・・・・・」

 腰部の内部機関に傷を負ったバイオメガトロンは膝から崩れ落ちた。

「レーザーウェーブ!運ぶの手伝ってくれ!ほら行きますよバイオメガトロン様」

「うぐううう・・・・・・いつか、いつかまた来てやるからな・・・・・・覚えて痛たたた・・・・・・」

 両肩に腕を組まれたバイオメガトロンはそのままスクランブルシティを後にした。

「お邪魔しまーす・・・・・・」

「織斑一夏、か。1人か?」

「ああ。リワインドには外で待ってもらってる」

 医務室のベッドの上で寝転がるラウラは、ベッド横までやってきた一夏に声をかけた。

「すまなかった。私のせいで、トーナメントを中止させてしまって」

「・・・・・・知ってるのか」

「聞いたさ。目が覚めてすぐに。今日だけじゃない。今まで、申し訳ないことをした」

「いいって。そんなに気にしてないしさ」

「ははは・・・・・・そう言ってくれると気が楽になるよ・・・・・・私は、君が羨ましかった。私は軍に所属して、失敗作と言われ・・・・・・その中で教官に、織斑千冬。君の姉に救われた。救ってくれた人の弟。だから嫉妬した。怒りもした。突き詰めると、そんなことだった・・・・・・」

「ラウラ・・・・・・」

「迷惑をかけすぎたな・・・・・・君にも、いろんな人にも・・・・・・レーザーウェーブにも」

「・・・・・・」

「こんな事を言うのは、場所が悪いのかもしれないし、ベッドの上では伝わる誠意も無いと思うが、言わせてくれ。今まですまなかった。ごめんなさい」

「・・・・・・」

「許してくれなくて良い。どのみち、私は取り返しのつかないことをしたんだ。お咎め無しとは行かないだろうからな」

「それに関して話がある」

「教官・・・・・・いや、織斑先生」

 話に割り込むように、織斑千冬が医務室に入った。

「今回の件は、本来なら除籍。ひいてはドイツ軍からも追放は免れない事案だ」

「そう、ですね」

「だが、だ。専用機といえど、操縦者が自由にカスタマイズできるほど自由度の高い代物ではない。ラウラ・ボーデヴィッヒが独断で搭載したものではないと判断し、現在学園はドイツ軍にVTシステム搭載について話をしている。まあ、貴様は最悪の場合謹慎だろうな」

「それって!」

「ラウラ・ボーデヴィッヒ。今のお前は私の生徒だ。IS学園に所属する生徒の1人だ。先生には生徒は守る役目があるんでな」

「織斑先生・・・・・・ありがとうございます」

「ふ。これに懲りたらもう問題行動を起こすなよ。いよいよ私の胃に穴が開くからな」

「あ、ははは」

「他人事じゃないからな、愚弟め」

 スクランブルシティメトロフレックス司令室にて、ブレードコンボイは物思いに耽っていた。

(私の弱点が・・・・・・私の正義・・・・・・バイオメガトロンはあの時、本来ならばどんな金属であれ溶かす私のトライファイアーの中でも動けていた・・・・・・それが、私の正義が原因だと?私の主義が、精神が、容赦をしたというのか?いや、手加減を?)

「失礼します・・・・・・ああ!司令官!」

「マイスター」

「やはりここにいらしたんですね。事後処理が一段落ついてから姿が見えなかったので探してたんですが、やっぱりここだった。それで、こんな夜中に司令室に篭って、なにか作戦の立案でも?それか、日誌でも付けてるんですか?」

「いや、今日のデストロンの襲撃の件でな・・・・・・」

「考え事ですか。ですが、デストロンは退けられたじゃないですか」

「だが、私は何もできなかった。部下達も、立ち尽くす私に動揺し、一夏君達の元へ向かわせることができなかった」

「過ぎたことにくよくよするのも考えものですよ司令官。過程を気にするのも立派ですが、こういうときは結果を見ないと参ってしまいますよ」

「そうだな・・・・・・」

「そうだ。気分転換に音楽でも聴きましょう。この星の音楽もノリノリで、ゴッキゲーンなものばかりですよ」

「・・・・・・そうだな!ここで沈んでいても何も変わらないんだ。ありがとう、マイスター」

「ふふふ。何の話です?」

「いいや、なんでも」

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