トランスフォーマーIS   作:ダイダゼノンド

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前回で世界観とかの説明が大体終わったので、お話の戦闘等に力を入れ始めます。頑張ります。

色々話を考えていたのですが、他に投稿している小説があり話が思いつかなくなったため、一度全て投稿して気が向いたら更新しようと思います。
小説情報のこの文を消しました。流石にもう載せなくても大丈夫だと思ったので。


第十二話 氷のスカイファイアー

 ─────夢を見た。幸福な夢だ。

 温かい部屋。笑顔の友人。満たされる心。

 そして、それら全てが夢であることに・・・・・・

 落胆した。

 どれほどここにいるだろう。

 どれほどこうしているだろう。

 どれほど、囚われなければならないのだろう。

 待っていれば助けが来る。
助けなんて来ない。 

 いずれ友がここに来る。
友はこの星には来ない。 

 我慢すれば良い。
もう沢山だ。 

 耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ 

 ─────ああ、帰りたい。

「新しい反応があった!」

 スクランブルシティメトロフレックス司令室に、この日も一夏達スカウトチームが集められていた。

「場所はネパール。世界最高峰、エベレストだ」

 マイスターがモニターにエベレストを映す。

「今回は初めての海外任務となる。越境についてはすでに連絡済みだが、今まで以上に気を引き締めて任務に臨んでもらいたい。ただでさえエベレストは危険だからね」

「それと、君達に良いニュースがある。入ってくれ」

「はい!」

 返事と共に司令室に入ったのは、ラウラ・ボーデヴィッヒ。

「ラウラ・・・・・・!」

「ドイツ軍所属、ラウラ・ボーデヴィッヒ!謹慎期間を終え、正式サイバトロン軍と協力いたします!」

「今日からラウラ君もスカウトチームに加わってもらう。ちょうど謹慎期間も終えたし、カウンセリングでも問題無しだった」

「そういうことだ。君達には散々無礼を働いた。今さら許してほしいとは言わない。だが、同じ部隊に所属することを、許してほしい」

 そう言うとラウラは深く頭を下げた。

「そんな、頭を上げて」

「そうですよ。今のラウラさんは憑き物が落ちたようで、大歓迎ですわ!」

「そーそー、反省してるみたいだしね」

「うん。僕も、良いと思う」

「異論無し」

「・・・・・・感謝する!」

「よし!では、今回は海外任務であり、場所が場所なためオクトーンとワーパスの2名が同行する。オクトーンはすでに滑走路でスタンバイしている。スカウトチーム!出動だ!」

「ぶ~んサイバトロンの奴らが飛んでったのを確認したぶ~ん」

「ようし・・・・・・レーザーウェーブ!どこへ向かっている?」

「エベレストですね。この星で最も高い山・・・・・・」

 デストロンシティの玉座の間にて、デストロンもヒマラヤへ向かう準備をしていた。

「フッフッフ・・・・・・サイバトロンばかり戦力を増やさせてたまるか!オートボットランドの収益を使い、武器は増やした。だが、いかんせん顔の見飽きた連中ばかりでぱっとしないからな!」

「ちょっと!それどういうことよ?」

「ロディの顔を見飽きたっていうの?」

「ロッドの顔をみたら、いつでも見惚れるはずでしょう!?」

「いちいち拾うなロディ!ロッド!とにかくだ!今回は遠いし山の上。生半可なやつを向かわせても駄目だ」

「ではバイオメガトロン様。俺が行きます」

「トリガー、お前が言ってくれるか!」

「ええ。必ず成果を」

「ちょっと待ちな。トリガーじゃあ軽すぎて、山の風に吹き飛ばされちまうんじゃないですかい?」

「スタースクリームッ!」

「そうカッカすんなよトリガー。俺はお前を心配してやってるんだぜ?」

「余計なお世話だ!」

「・・・・・・確かにスタースクリームに一理ある」

「んな!?バイオメガトロン様!」

「ようし。レーザーウェーブ!ラグナッツを呼べ!」

「ラグナッツですか?わかりました」

「奴の爆撃能力と体躯があれば、サイバトロンなど敵では無いわい。ワッハッハ!」

「そんな・・・・・・バイオ、メガトロン様・・・・・・」

「見えてきた!」

 日本を飛び出し、海を越えようやくエベレストが視界に映る距離まで飛んできたオクトーンは、着陸用意を始めた。

「みんな、用意は良いか?スパークシグナルを探知して探すって言っても、山登りとすることは変わらねえど。うかうかするようじゃ、命も危ねえ」

「わかってるよワーパス。一応ISを展開していくんだからさ」

「そうかい?だったら、一夏の自信を信じるど!」

「でも、今まで日本国内だったのに海外だなんて、信じられないや」

「スパークシグナルの受信装置をアップグレードしたらしい。それで、拾える範囲が広がったんだ。それに元々スパークシグナルを拾うったって、片っ端から任務として消化するわけじゃねえどぉ?サイバトロンやデストロンっていった、すでに面識のあるやつのシグナルを省いたり、そもそもスパークシグナル自体微弱だから、拾えるかどうかも怪しい。一回目で拾えなかったやつのシグナルを2回目に拾うってのも皿にあるって話だ」

「そうなんですか!」

「ねー一夏!自動翻訳用のシステムのチェック、手伝ってくれない?」

「そうですわね。普段は日本にいるので使う機会がありませんでしたが、そのような機能も追加されていましたわ」

 自動翻訳システム。サイバトロンシティとしてIS学園が新生した際にISに取り付けられた機能であり、会話をリアルタイムで翻訳するものである。

「おう!分かった!」

「じゃあ一夏、なんか日本語言って。私、中国語で返してみるから。」

「おう。えーと、こんにちは」

是的,没关系。你呢?(うん、大丈夫。そっちは?)

「なんか変な感じだけど、大丈夫。日本語で聞こえた」

「では、私もお願いできますか?一夏さん」

「じゃあ僕も。ラウラも一緒に聞いてテストしてみようよ」

「そうか?じゃあお言葉に甘えて」

「じゃあいくぞ。こんにちは」

I heard it fine !(ちゃんと聞こえましたわ!)

je suis parfait aussi !(僕もバッチリ!)

Kein Problem(問題無い)

 セシリア、シャルル、ラウラの順に母国語で返し、一夏もそれを聞き取った。

「多国籍だど・・・・・・」

『着陸するぞ!』

 エベレストの斜面、およそ麓に近い若干平たい場所にオクトーンは着陸した。

「全員降りたな?トランスフォーム!」

「ようしみんな、行くど。こっちだ!」

 ロボットモードのワーパスを先頭に進む。ちょうど反対側にいるのかエベレストの斜面を斜めに登るように歩いていく。

「あれおっかしいな・・・・・・この辺りのはずなんだけどな」

 エベレストの中でも雪が積もり続ける辺りまで来ると、ワーパスが頭を抱える。

「この辺か?見渡す限り何も無いが・・・・・・」

「こういうのはあれじゃない?隠された洞窟とか!」

「映画の観すぎじゃないか?鈴」

「・・・・・・そんなに観てないわよ」

 リワインドに茶化され、鈴音はぶっきらぼうに返した。

「いや、そうかもしれないぞ」

「え?」

 少し不機嫌な鈴音にラウラが声をかけた。

「ワーパス、座標はここで合ってるんだよな?」

「おう。誤差はあるが、概ねここだど」

「その誤差は、どの方向に?」

「どの方向ったって、この山肌の方だけど・・・・・・」

「よし。壊してみるか」

「壊すって、斜面を攻撃する気か!?」

「ああ」

 驚愕する一夏を他所に、ラウラはレールカノンの照準を合わせる。

「発射!」

「うおおっ!?」

 雪や岩の破片を飛ばし、山の斜面を抉る。するとそこにはオクトーン達が通れる程の大きな穴があった。

「ほ、ホントに洞窟あった・・・・・・」

「行こう」

 洞窟の中は暗く冷気を帯びていた。オクトーンが非常用の照明をつけ、警戒しながら奥へと進む。地面は凍り滑りやすくなっていた。

「あ!あれは!」

「大きい、トランスフォーマー・・・・・・氷漬けにされてる・・・・・・」

 洞窟の最奥で見つけたのは、氷漬けにされた白い大型トランスフォーマー。

「こんなんになるまで一体どれくれえの時間が必要なんだ・・・・・・こんな真っ暗な場所で一人ぼっちで、かわいそうなやつだ」

「助けられないんですかね?」

「助けたいのは山々だが、どうするべきか・・・・・・」

 一夏に問われたオクトーンは頭を抱えるしか無かった。

「それだったら、光線を使えば良い」

「本当か?リワインド?」

「ああ。上手いこと当たらないように氷に照射すれば、熱で溶けるはず」

「よしきた!サイバトロンガンでいっちょやってみるど!」

 オクトーン、ワーパス、一夏の左腕のリワインドがサイバトロンガンの光線を放ち、氷を溶かす。

「よおし体が出てきたどお、もうちょっとだ!」

「顔が出てきた!」

「これで・・・・・・最後!」

 氷の牢獄から解き放たれたトランスフォーマーは、未だ動かずにいた。

「おっかしいな・・・・・・死んじまってんじゃねえの?」

「縁起でもないこと言うなよワーパス。電気ショックを試してみよう。ラウラ、レールカノンの要領で電気を流せるか?」

「やってみよう」

 レールカノンの先端をつけ、微弱な電流を発生させる。電流は一定のリズムで流れ、かつ大きくなっていく。

「・・・・・・अह!」

「起きたか!」

 電気ショックにより、トランスフォーマーは瞳に光が宿り、息を吹き返した。

「大丈夫、なのか・・・・・・?」

「おそらくブレインがまだ起動しきっていないんだろう。言語機能が古いままで、使用言語を切り替えられていないんだ。どれ、ケーブルを繋いでアップデートさせてみよう」

 そう言うとオクトーンは胸部装甲を開け中からケーブルを引き伸ばしトランスフォーマーの頭部に繋いだ。

「अह・・・・・・aa・・・・・・君達は・・・・・・?」

「俺達はサイバトロンの」

「サイバトロン!うわああああああっ!」

 一夏が問いかけに答えようとすると、トランスフォーマーは頭を抱え唸りだした。

「やめろ!よせ!来るな!」

「落ち着け!オイラ達は敵じゃねえ!」

「嘘だ!私をここに閉じ込めた!奴は、奴はサイバトロンと名乗ったぞ!」

「ええい仕方ない!ちょっくらデストロン流でいくぜ!」

 錯乱し手のつけられないトランスフォーマーに痺れを切らし、オクトーンは思い切り顔を殴った。

「おいオクトーン!そりゃ流石に逆効果なんじゃねえか!?」

「こうする以外に手があったかよ。それに見ろワーパス。大分落ち着いたようだ」

「う、うぅ・・・・・・」

「さて、俺の名はオクトーン。この赤い戦車がワーパス。人間達は織斑一夏、セシリア・オルコット、シャルル・デュノア、鳳鈴音、ラウラ・ボーデヴィッヒ。あんたの名前は?」

「うぅ・・・・・・私は、スカイファイアー・・・・・・」

「スカイファイアー、良い名前じゃないか。ほら、立てるか?」

「ああ、ありがとう・・・・・・」

 スカイファイアーはオクトーンの手を取り立ち上がった。

「ところで、あんたさっき聞き捨てならないこと言ったな?サイバトロンに閉じ込められたと」

「ああ。私は、サイバトロンだと名乗る者に、この洞窟に閉じ込められた。奴の名は今でも覚えている・・・・・・ロックダウン。ロックダウンと名乗ったあいつが・・・・・・!」

「ロックダウンだと!?」

「そうだ!奴は、サイバトロンの部隊だと言って、私のいた集落にやってきた!そして、私に見せたいものがあるとここまで連れてきた!」

〜回想〜

「見せたいもっていうのは、こんな場所にあるのかい?ロックダウン?」

「ああ。ちょうどこの洞窟の中に・・・・・・」

「うん?なんだ、何も見えないが・・・・・・」

「フフフ・・・・・・はあっ!」

「ぐわあっ!?何をするんだ!銃なんて!」

「フン。クライオテック!洞窟の奥に押し込んで氷漬けにしてしまえ」

「了解」

「や、やめろ・・・・・・やめてくれぇ!!!」

〜回想終了〜

「それ以来、私はずっと閉じ込められていた。数えて2サイクル程意識を保てていたが、それ以上は・・・・・・」

「ロックダウン・・・・・・ラットルが言ってたやつ・・・・・・」

「そうだ!友は、彼らはどうなっている!?この山の麓にあった集落が・・・・・・」

「・・・・・・念の為確認しておくが、その集落にある家は、どのようなものだった?」

「家?確か、木の柱に布をかけたようなものだったが・・・・・・」

「それは、現代のものではない。君は、数百年ここで氷漬けになっていたんだ・・・・・・」

「そんな!?」

 ラウラの言葉に動揺し、スカイファイアーは再び頭を抱えた。

「それでは、私の友は・・・・・・仲間たちは、もう」

「・・・・・・」

「そうか・・・・・・私は、私の友は、もう会えないのか・・・・・・」

「スカイファイアー・・・・・・」

 自らの状況を理解したスカイファイアーは見るからに落ち込み、活力を無くしていた。

「・・・・・・君達は、私に、何か用があったんだろう?なんなんだい?」

「俺達は、貴方の力を貸して欲しくて、ここに来ました。デストロンと戦うために、サイバトロンに入ってもらおうと」

「そうか・・・・・・そうか。では、そうしよう」

「え!?」

 一夏の話を聞いたスカイファイアーは、それに快諾した。

「い、いいんですか?」

「ああ。私の友はもういない。それに、私も元はサイバトロン。この時代で軍に入ることになる。そこに抵抗は無いよ」

「だけど・・・・・・」

「いつまでも、過去に囚われるわけにはいかない。残念だし、とても悲しい。だが、振り切れず引きずっていては、生きている意味がない。彼らは生きることを尊んだ。なら、前を向かなければ失礼さ」

「そう、ですか」

「さて、話は纏まったんだ。こんな薄暗い洞窟とっとと出ようぜ」

 オクトーンに賛成し、スカイファイアーを含めた9人は洞窟を出る。

「にしてもスカイファイアー、お前はデカいなあ。俺達を軽々運べるだろお?」

「ああ。かつては友や家畜を運んでいた」

「じゃあちょうど良い。スカイファイアー、帰りはお前に乗ろうかな?」

「お望みとあればね。オクトーン」

ラ〜グ〜ナ〜ッツ!!!」

「ぐわあっ!?」

「オクトーン!?」

 洞窟を出て談笑していると、突如下方から何かに激突され、オクトーンは山を転がり落ちた。

「ツ〜・・・・・・臆病者撃破ッツ」

「臆病者?オクトーンが臆病者ってのはどういう事だ!」

 現れた大型爆撃機にリワインドは反発した。

「あいつはバイオメガトロン様の理想についていけなくなったッツ!だからサイバトロンに逃げたんだ!・・・あ、ツ!」

「なんだとてめえ、よくもオクトーンを!許さねえど!」

「ツ〜・・・・・・お前に用はないッツ!そこの白いの!お前に用があるッツ!」

「私に?」

「そうだ。お前はデストロンに入り、バイオメガトロン様が掲げる大デストロン帝国を作るため尽力するのだ!・・・あ、ツ!」

「デストロンか・・・・・・」

「聞く必要は無いわスカイファイアー!あんな自分のキャラも忘れるようなやつ!」

「うるさいッツ!最近クロウバーとか言う同型機が入ったからキャラ付けないといけなくなった苦労も知らず!スカイファイアーとかいうの!こんな人を小馬鹿にするやつのいるサイバトロンじゃなく、デストロンに入るッツ!」

 ビークルモードのまま怒り、ラグナッツは再度スカイファイアーを勧誘する。

「悪いが、私はデストロンに騙されていたのでね。サイバトロンに入る意思は変わらないよ」

「んな!・・・・・・そう言われれば仕方ないッツ、ラグナッツ!トランスフォームッツ!」

 ラグナッツはロボットモードに変形しながら上昇した。

「言葉がダメなら、強制的にデストロンにするだけッツ!無理やりデストロンシティに連れ帰り、大デストロン帝国の素晴らしさを、三日三晩徹底的に教え込むッツ!ミサイル発射ッツ!」

 一夏達よりも遥か上空にいるラグナッツは体からミサイルを放つ。

「みんな飛べ!」

「うわああっ!」

 一夏達はISにより、スカイファイアーは飛行能力によって飛んで逃れることができたが、ワーパスはミサイルの雨を直に浴びてしまった。

「大丈夫か!?」

「うぅ、ああ問題ねえ。ワーパス様は頑丈だ!」

「まだまだ終わらないッツ!」

 上空にいたラグナッツは下降し、スカイファイアーの顔前までたどり着くと同時に拳を振るう。

「ぐうっ!」

「至近距離ミサイルだッツアッガッ!」

 ミサイルを放とうとしたラグナッツは、突如四方八方から光線を浴びた。

「ビット攻撃ですわ!」

「ぐぅ・・・・・・ラグナッツトランスフォームッツ!」

 セシリアのビットによって山から滑り落ちようとしていたラグナッツはビークルモードに部屋して難を逃れた。

「もう許さないッツ!喰らうッツ!」

 そう言うとラグナッツは再び上昇し、両腕を一夏達へ向ける。

「これがデストロン伝統、カノン砲ッツ!」

 両手から赤白い光が溢れる。

「発射!」

 放たれた光弾は一つは山肌に当たり、岩を溶かしクレーターを作り上げた。

「ツーツッツッツ!この威力。きっと今頃鉄の塊に・・・・・・ナッツ!?」

 一夏達に意識を向けたラグナッツは目を見開いた。

 そこには、無傷の一夏やスカイファイアー達が立っていたからだ。

「な、なんで・・・・・・」

「アクティブ・イナーシャル・キャンセラー・・・・・・停止結界だ。あいにく今まで披露することが出来なかったが、有効に働いたな?」

「そ、そんなデタラメ、ふざけるなッツ!」

「止められるのは光線系だが、それでも十分なアドバンテージだ!」

「だったらミサイルを撃ちまくるだけッツ!」

 ラウラの啖呵に鬱憤を溜めていくラグナッツは、さらにミサイルを放つ。

「数さえあればいけるッツバアッ!?」

「あれは!」

「オクトーン!」

 ミサイルを放つラグナッツは下から昇ってきた巨大なものに当たり、バランスを崩してエベレストの麓まで落ちた。この巨大なものは、飛行機に変形したオクトーンの翼であった。

「トランスフォーム。誰が臆病者だよ、誰が」

「オクトーン!無事だったか!」

「あの程度でこのオクトーン様がくたばるかよ。それより、あのデストロンがこっちに来る前にトンズラしようぜ」

「だったら、私が運ぼう。場所を教えてくれ」

「そりゃもちろん」

「では、トランスフォーム!」

 スカイファイアーはセイバートロンジェット、輸送機に変形した。

「もしやと思ったが、やっぱりスキャニングしてなかったんだなあスカイファイアー」

「昔はスキャニングできるものも限られていたからね。さ、早く乗った!」

 一夏達はスカイファイアーに乗り込んだ。

「全員乗ったね?それじゃあ出発しよう」

「ナビゲートは俺がしよう」

 オクトーンがスカイファイアーの中で最も先頭の位置まで行き、地図情報の設定を始めた。

「にしてもデカいなあ、これじゃあこれから遠方へ出向くときはスカイファイアーを頼るようだな!オクトーンはお役御免かも知れんどお?」

「馬鹿なこと言うなよ。俺はトリプルチェンジャーだぜ?活躍の場所は空以外にもある」

「違いねえ!」

 のんびりとした空気が流れ、スカイファイアーは帰路についた。

「まだ終わらないッツー!!!」

「ラグナッツ!?ぐわあっ!」

 順調に進んでいたスカイファイアーの後方に、ビークルモードのラグナッツが接近する。

「何事ですか!?」

『ラグナッツだ!私達を追ってきたんだ!』

「復帰の早いやつだな。急所は狙ったつもりなんだが」

「言ってる場合ですか!」

「なんとか振り切れないの!?」

『振り切ると言っても、私が向かっているのはサイバトロンシティ、振り切ったとしても意味があるか・・・・・・』

「そんなあ!」

 一夏や鈴音の泣き言を掻き消すように、ラグナッツはミサイルを放つ。

「ぐぅ・・・・・・このままでは・・・・・・」

「そこだ全速力ッツ!」

 ミサイルを浴び続け、速度を失いつつあるスカイファイアーにさらに近づく。

「ラグナッツトランスフォームッツ!」

「んなっ!降り給え!」

「嫌ッツ。このまま中の奴ら諸共、デストロンシティまで連れて行くッツ!」

「うっ!離してくれ!」

 あろうことかラグナッツはスカイファイアーの上に立ち、機首を掴む。

「このままこのまま・・・・・・太平洋まで一直線ッツ」

 スカイファイアーは徐々に高度が下がり、このままいけば日本を越え太平洋に胴体着陸するような角度をとらされていた。

「ツッツッツ・・・・・・これで出世間違い無し!大デストロン帝国が建国された暁には、要職間違い無しッツ・・・・・・」

「ラグナッツ!」

「ツ〜?」

「そこまでだ!スカイファイアーから離れてもらう!」

「ツ〜、人間一人に何ができるッツ?どうせそのようじゃ反対を押し切って出てきたタイプッツ。悪い事は言わないからとっととスカイファイアーの中に入るッツ。トランスフォーマーの体は頑丈だから海面に叩きつけられてもそこまでのダメージは無いッツ。わかったらとっとと戻るッツ!」

「一人じゃない。確かにみんなから反対されたよ。でも、俺はいつだって、一人じゃないんだ!」

 ラグナッツと同じくスカイファイアーの胴体上に立つ一夏は、堂々と啖呵を切った。

「わからない奴だッツ。まあ良い。そこまで言うなら、実力で黙らせるッツ!ミサイル発射!ツ!」

 ラグナッツはミサイルを放ち、一夏は飛行することで回避。そのままラグナッツに近づき雪片弍型を振り降ろした。

「くっ・・・!」

「詰めが甘いッツね。この程度の攻撃なら、片手だ十分防げるッツ」

「・・・・・・リワインド!」

「んな、ガバラッツ!?」

 片手で雪片弍型を受け止めていたラグナッツは、一夏のISの左腕に変形しているリワインドが装備しているサイバトロンガンを至近距離で喰らい、雪片弍型を掴む手を離してしまう。

「ツッツッ、うわああああっ!」

 そのままバランスを崩し、ラグナッツはスカイファイアーから墜ちてしまった。

「気をつけろ一夏!あいつは爆撃機に変形するんだ。まだ終わってない!」

「ああ!」

 一夏は再び飛行し、ラグナッツを追う。

「トランスフォームッツ!よくもやったッツね、こうなったら、お前を片付けるのが先決だッツ!」

 ビークルモードに変形したラグナッツは向かってくる一夏に対し、同じく一直線に飛ぶ。

「!」

「ツー!」

 既のところで一夏はラグナッツを回避し、スカイファイアーから距離を取るのように進路の逆に向かって進む。

「逃げる気ッツか?そうは行かないッツ!今のスカイファイアーなら、どれだけ離れていても追いつけるッツから!」

 スカイファイアーから離れ続ける一夏を追ってラグナッツもまたスカイファイアーから遠ざかっていく。

「来たぜ一夏!」

「ああ・・・・・・今!」

 ラグナッツが自身を追っていることを確認した一夏は、一転スカイファイアーの元へ進路を変えた。

「翻弄する気ッツか?そうは行かないッツ!ラグナッツトランスフォーム!そしてもう一度トランスフォーム!」

 自らの真後ろにいる一夏を追うため、ラグナッツは一度ロボットモードに変形してから体を回転し、もう一度ビークルモードに変形することでスムーズに180度回転してみせた。

「もっと・・・もっと・・・もっと・・・」

「ミサイル発射ッツ!」

 ミサイルを避けながら、一夏は変わらずスカイファイアーを目指す。ラグナッツもまたそれに何の疑問も抱かずに追い続けた。

「今!」

「なに!?」

 スカイファイアーとの距離がおよそ数メートルといった距離まで来ると、なんと一夏はISの飛行機能を切り重力に従って落下した。

「なにを、てんな!?」

「一夏の勇気に感謝するど!喰らえ!」

 スカイファイアーの搬入口が開かれ、そこにはワーパスが立っていた。ワーパスは胸の砲をラグナッツに向かって放った。

「んなっバラあああああああっ!!!」

 真正面にエネルギー弾が直撃したラグナッツはバランスを保てなくなり、そのまま日本海に落下した。

「ワーパス様にかかればこんなもんだな!」

「それより、一夏は・・・・・・」

「あんな状況で飛行機能を切ったんだ。だから、無茶な作戦だと言ったのに・・・・・・」

「一夏さん・・・・・・」

「やったんですね!?ワーパスさん!」

「おう!バッチリ決めたどお!一夏!」

 お通夜のような雰囲気になっていた中、そんなことはどこ吹く風と明るい口調で戻ってきた一夏に、ワーパスもまた明るく答えた。

「一夏さん!」

「無事だったのね!一夏!」

「一夏ぁ、良かったぁ・・・・・・」

「運の良い、いや。大した男だ」

 セシリアや鈴音、シャルルは今にも泣きそうな顔で一夏を出迎えた。

「一夏も戻ったな。進路戻せるか?スカイファイアー」

『ああ。なんとかね。少し時間はかかるかもしれないけど、サイバトロンシティには向かえるよ』

「それは良かった。そうだ、サイバトロンに入ってもらうにあたって、サイバトロンのマーク、インシグニアを付けてもらいたいんだが、どこに付けたいとかあるか?」

『そうだな・・・・・・じゃあ、胸にお願いしようかな?』

 オクトーンからの問いかけに、スカイファイアーは朗らかに答えた。

「うぅ・・・・・・ひどい目に遭ったッツ・・・・・・あんなに大口叩いてこの始末、お仕置きじゃ済まないッツ〜!」

 デストロンシティに戻ったラグナッツは、玉座の間の前で震えていた。

「・・・・・・覚悟を決めるッツ。失礼しまツ!・・・・・・あれ?」

 玉座の間に入ると、そこには誰もいなかった。

「誰もいない・・・・・・助かったあ〜」

「何がだ?」

「ツツ!」

 全身の力が抜けたラグナッツに背後から声がかけられ、ラグナッツは固まった。

「オ、オンスロート・・・・・・」

「バイオメガトロン様は今諸用で出払ってる。用があるなら伝えるが?」

「あ、ああいや、その・・・・・・」

「うん?なんだ、もったいぶるな」

「その・・・・・・任務失敗ッツ〜!」

「あ、ちょ待て!」

 耐えきれなくなったラグナッツは逃げるように玉座の間から出ていった。

「任務失敗、か。まあやんわりと伝えておくか。それよりも、参謀2人にトリガーとオクトパンチ、それにメガザラックまで連れて行くとは。それほどまでに期待しているというのか?アマゾンにいるという、()()()()に」

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