トランスフォーマーIS   作:ダイダゼノンド

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今回短めです


第十四話 インジュ〜爆弾

「いや~、なんか気疲れしたな〜」

「千冬姉とブレードコンボイに挟まれたからな・・・・・・まあお疲れ」

 土曜日の朝、およそ10時。この日、一夏はラットルをスクランブルシティに呼んでいた。

「まあでもあれは千冬先生が悪いよ。あんなガン詰めする事ねえよな?」

「確かに」

 ラットルがスクランブルシティに訪れると、まずメトロフレックス司令室に通され、そこでサイバトロン総司令官ブレードコンボイと、今やIS学園のトランスフォーマー関連の代表的立場となった織斑千冬との三者面談が行われた。千冬は司令室の外で待機していた一夏とリワインドに聞こえるほどの声量でラットルを問いただし、ブレードコンボイが終始千冬を宥めるのに徹していた。

「まあ千冬姉も疲れてるんだよ。クレームとかは減ったらしいけど、そのせいか対応を理由に後回しが許されてた仕事が一気になだれ込んだって言ってたし・・・・・・」

「うわカワイソー」

「まあとにかく!食堂は回ったし、外出るか!」

「外?」

「ああ。このスクランブルシティ、IS学園とメトロフレックス以外にも色々あるからな。大半は入れないけど、見て回るだけでも楽しいと思うぜ」

「じゃあそうしよっか!」

 一夏、リワインド、ラットルの三人は学生寮から外に出た。

「あそこにあるのがメトロフレックスだから・・・・・・ん?」

 メトロフレックスを見てどこへ行こうか考えようとしたリワインドの目に、明らかに見たことのないものが映る。

「なあ一夏、あんなの前は無かったよな?」

「え?・・・・・・なんだあれ」

 メトロフレックスの真横、ちょうど一夏達がメトロフレックスを訪れる際に司会に入らない位置。そこに、まるでアステカの太陽のピラミッドのようなものが建てられていた。

「あれ、この前のアマゾンにあったやつじゃあ・・・・・・」

「あそこにいたビースト戦士全員サイバトロンに入ったって聞いたけど、まさか、神殿建てたのか!?」

「え?君達アマゾン行ったの?」

 異様な雰囲気でメトロフレックス横に鎮座する神殿に、一夏とリワインドはしばらく面食らっていた。

「おや、貴方達」

「あんた・・・・・・」

「確か、ダイノシャウトさん、ですっけ?」

 神殿を眺めていた一夏達に話しかけたのは、アマゾンでスカウトしたトランスフォーマーの一人、テクノオーガニックスピノサウルスから変身する、ダイノシャウト。

「ええはい。龍神フレイムスカージ様の神官ダイノシャウトです」

「フレイムスカージだけなんですか?ライガージャックは・・・・・・」

「こら、様をつけるように!・・・・・・ライガージャック様ももちろん信仰していますが、ライガージャック様はサイドスの担当ですので。ところで、そちらの方。我々が紹介されたサイバトロンのメンバーにはおりませんでしたが・・・・・・?」

「ああ、こいつはラットル。俺達の友達で、サイバトロンのメンバーじゃない。今日はこの間まで色々あったんで、リフレッシュしたいと思って呼んだんだ」

「ラットル以外にも呼ぶ予定だったんですけど、みんな予定があったみたいで・・・・・・」

「オイラリフレッシュ要員なの!?悪い気はしないけどさあ」

「悪い悪い。言ってなかったな」

 ダイノシャウトを他所に三人は笑い合った。

「なんだお前達は・・・・・・なんだ!?」

 平和な時間が過ぎていた中、突如西方から轟音が鳴り響き、巨大な影が一夏達を覆った。

「あれは・・・・・・!」

「タ、タイダルウェーブ!」

 太陽を隠した者。それは、ダイノシャウト達と同じくアマゾンで出会ったトランスフォーマー。デストロンのタイタンにしてバイオメガトロン一派の新たな戦力、タイダルウェーブ。

「フハハハ!タイダルウェーブよ!貴様のアップデートされた、真なる力!サイバトロン共に見せてやるが良い!」

「オオオオオッ!」

 タイダルウェーブの腰辺りには、ビークルモードのスタースクリームの上に立つバイオメガトロンの姿があった。

「ご機嫌なのは良いんですがね、オンスロートから言われた作戦計画忘れちゃいないでしょうね?」

「案ずるなスタースクリーム。今回はあくまでタイダルウェーブの格闘性能の確認。レーザーやミサイルは使わんのだろう?」

「そうですよ」

「本当は使いまくりたかったが、オンスロートめ猛反対して、何がやつをそこまで・・・・・・まあ良いわ。では、やれい!タイダルウェーブ!」

「ウオオオッ!」

 タイダルウェーブはその巨大な腕を大きく振り上げる。

「させん!」

「ブルゥアッ!」

 タイダルウェーブの腕が肩を越えようとした時、メトロフレックス横の神殿から声が響いた。

「ライガースピアッ!」

「ウオオオッ!?」

「こっちだ!」

「ゴハアッ!?」

 神殿から光と共に飛び出したライガージャックとフレイムスカージ。ライガージャックは武器、ライガースピアをタイダルウェーブの腕に突き刺し、その勢いのままタイダルウェーブを仰け反らせた。フレイムスカージは仰け反り倒れかけたタイダルウェーブの背中に体当たりし体勢を立て直させ海に倒れるのを防ぐ。

「やつら、アマゾンではあそこまで戦えなかったはず!?」

「ええ。あんまり活躍してませんぜ」

「この数千年、神殿に引きこもって鈍ってたからな!」

「久しぶりに体を温めた・・・・・・本調子とは言えんが、好調好調!」

 対空しながらバイオメガトロンに答えて見せたライガージャックとフレイムスカージ。タイダルウェーブは指示を待ち動けずにいた。

「ええいあてが外れた!タイダルウェーブ!内部格納ドローンだ!ちと早いが出せ!」

「了解!」

 指示を受けたタイダルウェーブは体のいたるところにあるカタパルトやエレベーターから無人戦闘機を発射する。

「空母としての機能を新たに追加!これで手も足も出まい!」

「なんでも良いんですけどいつまで俺の上立ってるつもりなんです?」

「ワシは飛行機能持っとらんからな」

「来るぞフレイムスカージ!プラティナムクロー!」

「やるぞライガージャック!デスフレイム!」

 向かい来る無人戦闘機に対し、ライガージャックは両腕から巨大な爪を展開して無人戦闘機を切り刻み、フレイムスカージは両肩から二つ龍の首を出し、その首から炎を吐いて無人戦闘機を溶かしていく。

「ぜ、全機撃墜・・・・・・」

「なん、だと?」

 バイオメガトロンとスタースクリームは啞然としてその場で硬直した。

「主、次ハ何ヲスレバイイ」

「あの世へ落ちな!」

「ブルアアッ!」

「グオオオッ!」

 バイオメガトロンの指示を待つタイダルウェーブはその隙にライガージャックとフレイムスカージの攻撃を受け、体中から黒煙を上げ始める。

「強くね?」

「ええい、計画全部ご破産だ!全く!・・・・・・あれはISを使っているサイバトロンの奴!こうなったら八つ当たりだ!行けスタースクリーム!」

「え?なんですって?」

「あそこの者共に向かって行け!」

「あいよ!」

「こっち来た!?」

 苛立ちをあらわにしたバイオメガトロンはスタースクリームを一夏達の元へ進ませる。

「こうなったら・・・・・・くらえ!」

「うわっ!なんだ!?」

「ちょ、バランスが!」

 ラットルが咄嗟に投げた爆弾のようなものに当たり、バイオメガトロンはスタースクリームから落ちてしまった。

「みんな無事か!」

「ブレードコンボイ司令官!」

「遅れて済まない!」

 遅れながらもブレードコンボイが到着し、形勢は逆転した。

「くぅぅ・・・・・・撤退だ!」

「あ、あいあいさ〜」

「了解!」

 そう言うとタイダルウェーブは全身から煙幕を放つ。煙が晴れる頃にはバイオメガトロン達の姿は無かった。

「消えた・・・・・・」

「タイタンめ、今度会ったときが最後だ」

「首を洗って待っていろ・・・・・・」

「なあ、ラットル。最後何投げたんだ?」

「ああ、あれ?インジュ〜爆弾」

「へ?なにそれ?」

「時間差式のガス爆弾でさ、トランスフォーマーがガスを吸引すると秘めていた誰かへの気持ちが爆発しちゃうんだ」

「ほう?それは興味深い」

「あ」

 一夏からの問いかけに答え、危険兵器の使用を認めてしまったラットルはブレードコンボイにメトロフレックスへ連れて行かれてしまった。

 太平洋にあるデストロンシティの玉座の間にて、バイオメガトロンは玉座に座り唸っていた。

「あの2匹にはしてやられたわい全く・・・・・・」

「お疲れさまでした。おや?その腕についているものは一体?」

「うん?これは、あの時投げられたものだな。まあ良いわ、それよりも・・・うわっ!?」

 特に気にせずに腕についていたインジュ〜爆弾を取ると、爆弾は爆発し、ピンク色のガスを充満させた。

「な、なんだこれは、レーザーウェーブ!換気!換気を急げ!」

「はい!」

 レーザーウェーブは玉座の間の扉を開け、さらに換気扇を回したことでインジュ〜爆弾のガスがデストロンシティ中に撒き散らされてしまった。

「うぐぅ~・・・・・・無事かお前達!」

「はあ、はあ、はあ・・・・・・バイオメガトロン様!(マイマスター!)

「うわっ何をするトリガー!?」

 玉座の間にいたトリガーは、煙が晴れると同時にバイオメガトロンに飛びついた。

「もう、抑えられません!耐えられんのです!さあ、俺と愛の逃避行(ランデブー)を!緊急発射(スクランブル)を!俺と、深いところまで合体(リンクアップ)を!」

「ええい鬱陶しい!」

「ぐはあ!」

 トリガーはバイオメガトロンによって壁に叩きつけられ気を失った。

「レーザーウェーブ!状況を報告しろ!」

「うぅ、ラウラァ・・・・・・」

「レーザーウェーブ!」

「ハア・・・・・・おそらく、これは、精神作用系のガス爆弾・・・・・・秘めたる思いを・・・・・・私自身・・・・・・この身から溢れんばかりの・・・・・・ラウラアアアアアグッハアッ!」

「レーザーウェーブ、しばらく眠っていろ。ワシも働かせすぎたな」

 叫びだしたレーザーウェーブはバイオメガトロンのライオバレルで後頭部を叩かれ気を失った。

「しかし精神作用系のガス爆弾とは・・・・・・こんな危険兵器、ロックダウンのやつくらいしか使わんと思っていたが、よもやサイバトロンが使うとは・・・・・・まあ良いわ。この事態を収束させなければ」

 そう言うとバイオメガトロンは玉座の間にあるコンピュータを使い、自身の軍団の名簿を閲覧する。

「スタースクリームは今回復ポットの中。ロディとロッドは・・・・・・論外だな。ワスピーターとスナッパー!奴らならば大丈夫だろう。早速通信だ!」

 コンピュータからワスピーターに回線を繋ぐ。

「ワスピーター!ワシだ!今どこにいる!?」

『ぶうぅう〜ん!ぼくちゃんメロリンコロコロ〜!女王蜂様〜ぼくちゃんを選んでおくれよ〜ん。ぶうぅう〜ん!』

「・・・・・・あの馬鹿!」

 バイオメガトロンは思わずコンピュータを叩いた。

「次!スナッパー!あいつなら大丈夫だろう!・・・・・・スナッパー!ワシだ!今どこだ!?」

『はい、今はオートボットランドにおりますが・・・・・・すみません。イベントに呼ばれておりまして。あと10分で始まりますので、申し訳ございません。終わり次第折り返します』

「・・・・・・いや、大した用ではない。しっかりやれよ」

『ええ!もちろん!』

「・・・・・・この差はなんだこの差は・・・・・・まあ良い次だ!ラナバウトは・・・・・・こういう時役に立ちそうにないな。コンバットロン達は今はトレーニングの時間だし、ビルドロンはネメシスとダイナザウラーの定期メンテナンスだからな・・・・・・そうだ。こいつらがおったわ。早速通信だ!ワシだ!応答しろブラジオン!」

『はい。何用でしょうか』

「今どこにいる?」

『自室にいます。得物の手入れをば』

「よろしい。そこを動くなよ。ワシがそこへ向かうからな。ところで、今このデストロンシティで起きていることを把握しているか?」

『なにやら外が騒がしいと感じておりますが、詳しくは何も』

「そうかわかった。では待っておれ」

『わかりました』

「次はシックスショットだ。聞こえるかシックスショット!応答しろ!」

『こちらシックスショット。応答します』

「シックスショット、今どこにいる?」

『今、貴方の後ろに」

「おわあっ!いつからいた!?」

「ブラジオンに連絡した当たりから。なにやら基地内にぼんやりと桃色の煙が見えた故、陛下の元へ馳せ参じた次第」

「そうか。流石は忍者兵。頼りになるわい。何か異常は無いか?」

「問題ありません」

「それは良かった。ではブラジオンの元へ行くぞ」

 バイオメガトロンはシックスショットを連れて玉座の間からブラジオンの個室へ向かった。

「ブラジオン!いるな!」

「はい!バイオメガトロン様!」

 個室から顔を出したのは、髑髏の顔と甲冑のような体を持つトランスフォーマー、将校ブラジオン。

「今回お前達を呼んだのは他でもない。サイバトロンが使った精神作用系ガスによって引き起こされたこの事態を解決してもらいたいからだ」

「お言葉ですがバイオメガトロン様、何故我々に?もっと適任者がいるかと存じますが」

「そういうやつらは仕事をしておったわい。それでお前たち以外ガスにあてられるようなのばかりだったからだ」

「なるほど」

「ですが事態を解決と言ってもどうするのです?お言葉ですが、(やつがれ)はこういったものは不向き。シックスショットだって本業は隠密なわけで」

「そこはお前3人寄れば文殊の知恵と言うだろう?それに行動が過激化するのはトリガーで確認済みだ。あとシックスショットの潜入能力は目を見張る。お前たち2人がいれば、主要な科学者がガスにやられていてもどうにかなるだろうと判断したのだ」

「なるほど。それほどまでに拙者等を信じていただいておられたとは」

「それは嬉しいんですが、実際問題どうするんです?」

「我が軍団には科学者として優秀な者も多い。その中でこういった事態に強い者を頼る。最悪メガザラックがデストロンシティと連結して都市機能を司っておるから、メガザラックを使って全員強制的に眠らせて叩き起こせば治るだろう」

「なるほどそれは荒療治・・・・・・」

「言うなシックスショット。とにかくだ。ワシが目をつけておるのはグラインダーよ。奴はビークルモードがヘリコプター、こういったガス兵器への造詣も深いからな」

「ならば通信で呼べば良かったのでは?」

「あれは呼んでくるような奴ではなかろう」

「それは確かに。では早速グラインダーの元へ行きましょう」

「ああ。やつのことだ。どうせ研究室に籠もっていることだろう」

 ブラジオンの部屋から移動し、暴走しかけている軍団員達を落としながらグラインダーがいるであろう研究室へたどり着いた。

「全く、みんなどれだけ秘めたる思いがあるんじゃ・・・・・・」

「バイオメガトロン様って叫んでたのが5割くらいいましたね」

「トリガーよりはマシだったわい。とにかくじゃ。グラインダー!いるか!?ワシだ!バイオメガトロンだ!」

「はーいどうぞー!」

「入るぞグラインダ、あ・・・?」

「あー!オーバーライド様ー私に!私めに!夜のヴェロシトロンレースを!うおおおおおー!」

 研究室の中にはVRゴーグルを付けてくねくね動いているトランスフォーマー、グラインダーがいた。

「シックスショット」

「は。トランスフォーム!」

「・・・・・・」

「ふげぶらぁっ!」

 バイオメガトロンはガンモードに変形したシックスショットでグラインダーを撃ち、VRゴーグルを強制的に外した。

「貴様またVRオーバーライドやってたのか」

「ああバイオメガトロン様、これは違いますよ」

「何が違うというのだ全く・・・・・・は?」

 VRゴーグルを付けてみると、そこにはサーキットを走るトランスフォーマーの車内から見たレース風景が映されていた。

「今の時代はVRレーサーですよ!この臨場感!レース向きでない私でも、あの、オーバーライド様と走っている感覚!たまらない!」

「シックスショット」

「は。トランスフォーム!」

「ぐわああっ!」

 ガンモードからウルフモードに変形したシックスショットはグラインダーに噛み付いた。

「今回お前を訪ねたのは他でもない。今デストロンシティに蔓延しているガスについて聞きたいからだ」

「ああ・・・・・・それなら現在解析中です。解析完了まで時間があるのでVRを喫していたわけです」

「なるほど流石グラインダー・・・・・・」

「もう少し時間がかかるので、私はもう少し喫します・・・・・・あぁ!オーバーライド様〜!デッドヒートォ!!!」

「今更ながらこいつ軍団に入れておいて良いのですか?」

「まあ・・・・・・優秀ではあるから・・・・・・」

 ブラジオンの問いにバイオメガトロンは頭を抱えながら答えた。

『チーン!』

「あ、解析終わった」

「あの音でか!?」

 VRゴーグルを外したグラインダーはPC型端末を操作し、結果に一通り目を通す。

「結論から申し上げますと、このガスの効果は治せます」

「おお!本当か!」

「ええ。このガスは例えるならウィルス入りメモリーカード。一度差し込まれればウィルスに侵されますが、ウィルスバスターなどで対処可能です。それに今回のガスは効果がある程度弱く、放っておけば治りませんが、対処すれば持続力も無い一過性のもの」

「そうかそうか!では、早速治療薬を作ってくれ」

「それは良いですが、投与には医者のテイルレネゲイトと協力する必要があります。呼んでおいてください」

「ああ良いとも!」

「それと、今回のガスを解析して分かったことがあります。それはこのガス、過去にロックダウン一派が使ったガス兵器とはすこし違うんですよね。いくつか類似する箇所があるので、ロックダウンが関わっていることは事実でしょう。まあうちにあるデータがロックダウン一派全てのガス兵器を把握しているわけではないでしょうが、考えられる可能性は二つ。ロックダウン一派の新兵器。もしくはロックダウン一派のガス爆弾を無関係の誰かが改良したか」

「投げたのはサイバトロンだった。後者だろうな」

「そうですか。では、もう調べることもありませんし、治療薬開発に移行します」

「うむ!よろしく頼むぞ!」

 スクランブルシティメトロフレックス取調室にて、ラットルとホイルジャックが向かい合って座り、ホイルジャックの横にブレードコンボイが立っていた。

「つまり纏めると、ラットル君。君はかつてデストロンの派閥の一つであるロックダウン一派に所属していて、嫌になって抜け出して地球にいたと」

「う、うん・・・・・・そうそう・・・・・・」

「あの投擲物はロックダウン一派所属時に作った物を改良したもので、我々サイバトロンと交戦の意思は無いと」

「は、はい・・・・・・」

 取調を受けるラットルを、隣の監視室から一夏とリワインド、千冬が見ていた。

「ラットル、大丈夫かな・・・・・・」

「ブレードコンボイのことだ。そう心配するな」

「そうそう。あいつはもう足を洗ってるんだ。心配することはない」

 心配する一夏に対し、千冬とリワインドはブレードコンボイを信じ、静かに見守っていた。

「それで、君はどうしてロックダウン一派を抜けたのかな?話せる範囲で構わない」

「お、オイラ、恐ろしくなったんだ・・・・・・あいつらが、あいつらがやろうとしてたことが・・・・・・」

「やろうとしていたこと?」

「あいつら・・・・・・戦いが欲しいんだ。未来永劫戦いの終わらない宇宙を・・・・・・そんな世界で、荒稼ぎしたり、戦って殺して楽しんだり・・・・・・そんなのを目指してるんだ」

「なんと・・・・・・」

「それに、あいつら、その為になんだってして・・・・・・バイオメガトロンにスパイを送ったとも言ってたし・・・・・・」

「それは誰だ!?」

「よく覚えてないけど・・・・・・確か、ラナマックって言ったっけ・・・・・・」

「ラナマック、司令官!」

「ああ。オンスロートに連絡しなければ」

「それに、それだけじゃない!あいつらは、もっと、もっと恐ろしい物を掘り出したんだ!」

「掘り出した?」

「昔いたっていう、トランスフォーマーの敵対種族・・・・・・そいつらがトランスフォーマーを改造して作った、トランスフォーマーを殺す為のトランスフォーマー・・・・・・ギ、ギル・・・・・・この先は恐ろしくて言えないよぉ!」

「いや、もう十分だ」

「司令官」

「これ以上はラットル君の精神に問題が生じる可能性がある。止めるべきだ」

「わ、わかりました」

 取調室から出たラットルは、明らかに元気のない様子だった。

「ごめんな、勝手に呼んで、こんな仕打ち・・・・・・」

「一夏が謝ることじゃないよ。それに、後ろめたいことがあったのは事実なんだしさ。オイラ久しぶりに一夏達に会えた良かったよ」

「ラットル・・・・・・」

「で、これからどうするんだ?お前は」

「・・・・・・オイラ、ここにいようかな」

「ラットルお前!」

「ロックダウン達は目敏いんだ。あの爆弾を使った以上、ロックダウン達が来てもおかしくない。オイラ一人だとどうにもできないけどさ、危惧するなら、サイバトロン基地にいた方が良いしね」

「そういうことなら、ワシのラボに来ると良い。君とは馬が合いそうだ」

「え?君研究者なの?じゃあ願ったり叶ったりかな!オイラもつまんないのは嫌だしね!」

「では、ラットル君はホイルジャックに任せよう。君達も、立ち会いご苦労様。これで解散としよう」

 そう言うとブレードコンボイは取調室から離れていった。

(にしても、トランスフォーマーの敵対種族・・・・・・トランスフォーマーを殺す為のトランスフォーマー・・・・・・ラナマックもそうだが、ロックダウンも警戒するべき対象だな。今までは最大派閥ということでバイオメガトロン一派に注力していたが、これからはそうもいかないな)

 メトロフレックスの廊下、ガラス張りの壁からブレードコンボイは空を眺める。

「この星からデストロンを追い出す、か。そう息巻いて来たが、いつからだろうか。目的が見えなくなったのは・・・・・・この星やセイバートロンだけではない。この世界には、直面させられる問題が有り余っている。私はこの先、その全てに対応できるだろうか・・・・・・いや、対処しなければならない。私はサイバトロン軍総司令官なんだ。かつてサイバトロン軍を率いたコンボイ司令官を継いだのだ。弱気になってはいけない。とにかく、今はスパークシグナルを追うことだ。それがなくとも戦うことだってある。大丈夫。大丈夫・・・・・・まだ迷いが心にあるとしても、まだ・・・・・・」

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