トランスフォーマーIS   作:ダイダゼノンド

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第十五話 スクランブルシティ二種族殺人事件

「旦那様、ご用意が出来ました」

「良し。では向かうぞメイソン。IS学園・・・・・・いや、スクランブルシティへ」

「全く・・・・・・君達は分かっているだろう?私が敵ではないことくらい」

「だったらサイバトロンに入ることだな。堂々とデストロンに歩かれちゃ、体裁が悪いんでね」

 この日、スクランブルシティメトロフレックス収容室に、再びターンが収容されていた。

「そうは言うがね、君のような元デストロン兵だっているんだ。誤差だろう?バリケード」

「誤差じゃない。正式にサイバトロンに入隊してるんだよこっちは・・・・・・」

「バリケード」

「司令官!」

「ようやく来たかブレードコンボイ」

「全く・・・・・・報告を聞いて驚いたぞ?君、連絡橋の上で踊ってたらしいじゃないか。用があるなら変なことをせず、しっかり連絡をくれれば良いものを」

「つれないことを言うなよ。日々の中で楽しみがなくっちゃあ、腐る一方だぞ?」

「そういうことが聞きたいんじゃない・・・・・・」

「ああそうだ。これ、君にあげよう。セイバートロンのレース雑誌だ」

「レース雑誌?司令官、レース好きなんですか?」

「ああ。昔は購読もしていたが、学校を卒業して以降は忙しくて離れていたが・・・・・・」

「今回はそれを渡すのも来た理由の一つだ。前にスクランブルシティ(ここ)を訪れた時、意外と時間はありそうだったんでね。知り合いを頼って買ってきてもらったんだよ。感謝したまえ」

「・・・・・・ありがとう、ターン。やはり君には敵わないな。それはともかく、今日は少し用事がある。スクランブルシティに滞在しても良いが、あまり奇行には走らないでくれよ」

 受け取った雑誌をビークルモードで運転席になる懐にしまい、ブレードコンボイは収容室の鍵を開ける。

「え、良いんですか司令官?そんなこと言っちゃって」

「私が責任を取る。ターンは野放しにしておいたほうが平和かもしれないやつだから」

 収容室の扉が開き、ターンは早速収容室から出た。

「ひどい言い草だな?私と君の仲なのに」

「君と私の仲だからだ。さっきも言ったが、今日は重要な用事なんだ。静かにしておいてくれよ」

「わかっているとも。あと、もっと余裕を持ち給え。昔の君はいつも生き生きとしていたぞ?」

 そう言うとターンはメトロフレックス出入り口へ向かって歩き出した。

「全く・・・・・・さて、我々も準備に取り掛かるとしよう。なんでかは知らないが、今日はセイバートロン管理局から視察が来るからな」

「よし。今日はここまでだ。号令!」

「起立!気をつけ!礼!」

「あ、そうだ。今日はこの学園に客が来る。お前達と顔を合わせることは無いだろうが、もし会ったら挨拶しろよ」

「誰が来るんですか?」

「Dr.アーカビル。機械工学の権威だ」

「Dr.アーカビル?」

「確か、アメリカにいらっしゃるという方でしたね。かなり厳しい方だという話ですが・・・・・・」

「オルコットの言う通りだ。まあ対人において扱いづらい人物ではある。それじゃあ、私はDr.アーカビルの相手をするからな。用があれば他の先生に頼ってくれ。ああ、あと近々臨海学校だから準備しておけよ」

「織斑先生、到着したとの連絡が」

「そうか。お前達!騒ぎは起こすなよ!」

 千冬はそう言うと教室を後にした。

「今凄い大事なこと言ってなかった?」

「臨海学校か・・・・・・」

 千冬と山田はDr.アーカビルの待つスクランブルシティ入口、連絡橋及びモノレール駅まで向かう。

「ようこそおいでくださいました。ミスターアーカビル」

「急な来訪でありましたが、歓迎をありがとう学園長殿。しかし私はミスターではなく、ドクターとお呼びください」

「それでしたら私も、殿は結構」

 Dr.アーカビルをIS学園の学園長は握手をして迎え、千冬達は後ろに並んで待機していた。

「それで、今回はスクランブルシティが見たいということでしたが・・・・・・」

「ええ、この歳になってお恥ずかしいことですが、いかんせん宇宙人の技術というものに、好奇心が抑えられず・・・・・・」

「いえいえ、誰だってそういうものです。では、諸々の手続きがありますので、一旦学園長室へ」

「わかりました。行くぞメイソン」

「かしこまりました」

「あ、荷物お持ちします」

「いえ結構。キャリーケースですので」

 Dr.アーカビルの執事、メイソンはキャリーケースを引いており、山田麻耶に預けることを良しとしなかった。

「ですが・・・・・・」

「お気遣い感謝します。ですが私は執事の身。こう何か仕事をしていなければ落ち着かないのです」

「そう、ですか」

 そうしてメイソンはキャリーケースを引いたままアーカビルや学園長と共に学園長室へ向かった。

「・・・・・・あぁ、疲れた」

「ここから案内しなければいけませんからね・・・・・・まだ気は抜けませんよ」

「わかっているとも・・・・・・」

 ため息をつきながらも千冬は学園長達に続いた。

「来る!」

 メトロフレックス近辺、スペースブリッジにて、ブレードコンボイは副官であるマイスター。アイアンハイドやホイルジャック、トレイルブレイカー達と共にセイバートロン管理局員達を待っていた。

 スペースブリッジを電気が走り、円形の輪になっている装置の中心に青白い光球が形成されていく。光は分かれ3つの人型を形成し、光が晴れるとそこには3人のトランスフォーマーが立っていた。

「出迎えご苦労。私が視察を担当する、セイバートロン管理局中間管理委員会のパーセプターだ」

「スティールベイン!よろしく!」

「エアグライド」

(中間管理委員会・・・・・・セイバートロン管理局最高管理者であるセンチネルの下にある最高管理員会、その準備期間と言われる中間管理委員会から来るとは・・・・・・)

「今回我々が視察に来たのは他でもない。君達サイバトロン軍がこのアースで無体を働いていないか」

「まーまー良いじゃないか。そう固くなるなよ。早い話、管理局としてもアースは特別な場所だ。だから僻んでるのさ」

「スティールベイン!」

 陽気に話すスティールベインをパーセプターは怒鳴りつけた。

「お前はいつもいつも、自覚が足りない!私やエアグライドを見習ったらどうだ!」

「そうは言いますがね、管理局ったって早い話役場でしょう?それに俺たちは公務員だ。そう厳格である必要も無いでしょう?」

「貴様ァ!」

「落ち着いてください。みっともないですよパーセプター!」

 掴みかかろうとしたパーセプターをエアグライドが抑え、落ち着いたパーセプターはブレードコンボイに向き直った。

「とにかくだ。案内を、ブレードコンボイ総司令官」

「え、ええ。こちらへ」

 ブレードコンボイはパーセプターをメトロフレックスへ案内する。司令室へ通した後会議室へ移動し、それぞれで情報交換を始めた。

「これからは私とブレードコンボイ総司令官の二人で話す。お前達は下がって良い」

「わかりました」

「はい!」

 スティールベインとエアグライドは会議室を離れ、他のサイバトロンメンバーからスクランブルシティについて説明を受ける。

「そうだ。外に出てもよろしいか?」

「外に?」

 エアグライドはアイアンハイドに尋ねる。

「折角アースに来たんだ。ビークルモードがジェット機の者として、目に焼き付けておきたいからね」

「俺も賛成。大丈夫か?」

「それくらいなら問題無いだろう。司令官には話を通しておこう」

「そいつは良かった」

「では、失礼」

 エアグライドとスティールベインはメトロフレックスからスクランブルシティの大地に立った。

「おおー!あれは!」

「あれが・・・・・・!」

「トランスフォーマー!」

「アースの人間!」

 エアグライドとスティールベインは、メトロフレックスを出てすぐ地球人と邂逅を果たした。

「いやー運が良い!手続きを終えてすぐに出会えるとは!」

 学園長室での手続きを終えたDr.アーカビルは、校舎を出てすぐにトランスフォーマーとの邂逅を果たした。

「どうも、私はエアグライド。こっちはスティールベイン」

「わ、私はアーカビル。この星で科学者をしている者です!」

「アーカビル!よろしくな!」

 奇しくもこの日、IS学園スクランブルシティを訪れた者同士に交流が生まれた。

 Dr.アーカビルとメイソン、セイバートロン管理局の視察団は1泊し、翌朝帰宅する予定であったため、この3人は一旦分かれ、それぞれ交流を広げる運びとなった。

 夜、午後8時を越えると、アーカビルや管理局の視察も一段落し、スクランブルシティに静寂が訪れた。

「うわあああああああああああああああああああああああっ!!!!!」

 静寂を切り裂く絶叫が、スクランブルシティに轟いた。

 叫びを聞いたブレードコンボイや千冬達は、叫び声の主の元へ急いだ。

「これは・・・・・・!」

「なんと・・・・・・」

 IS学園の校舎、コンクリートで造られた学舎に、大小二つの人型と、腰を抜かしたパーセプターと、うつ伏せになって倒れているスティールベインと山田麻耶の姿があった。

「あれは・・・・・・エアグライド!?」

「あのヘッドギアは、Dr.アーカビル!?」

 校舎の壁に寄りかかるようにしている人型は、エアグライドとアーカビルだった。

「・・・・・・Dr.アーカビル、っ!」

 千冬がアーカビルに近づくと、焼け焦げた臭いが鼻を刺激した。千冬は脈に手を当て、死亡を確認した。

「エアグライド・・・・・・スパークが、無い・・・・・・」

「そんな・・・・・・嘘だ。嘘だあああああああああああああああ!!!」

「落ち着いて下さいパーセプター中間管理委員。ドリフト、スティールベインと山田君は?」

「・・・・・・生きてはいます!」

「ラチェットを呼んできてくれ!」

「ああ!」

 同行していたマイスターとドリフトは、パーセプターを落ち着かせながら医者であり救急車であるラチェットを呼びに動いた。

「まさか・・・・・・殺人事件が起こるとは・・・・・・いかん。とにかく、この場にいる者はメトロフレックスの会議室に来てくれ!今後について話そう」

「ラチェット、到着しました」

「ラチェットは山田君とスティールベインを頼む。メトロフレックス内にある看護室へ。それとバリケードとスカルを呼んでくれ。翌朝騒ぎになるといけない。ここを警備させる。エアグライドの遺体は私が運ぼう。アイアンハイド、Dr.アーカビルの遺体を頼む。トランスフォーム」

「わかりました。トランスフォーム」

「・・・・・・これは」

 ビークルモードに変形したアイアンハイドにアーカビルの遺体を乗せるため、千冬は遺体に触れる。しかし遺体は何かで固定され、力を入れなければ持ち上げることができなかった。

「メトロフレックスに霊安室は無いが、空いている部屋がいくつかある。そこに運ぼう」

 遺体の安置や倒れていた2人の看護室への入室等が終わり、メトロフレックス会議室にブレードコンボイやパーセプター、織斑千冬達が揃った。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 会議室に集まったものの、衝撃的な光景を目にして話は全く進んでいなかった。

「・・・・・・この」

「グッイブニ〜ン!こんな時間に何を集まっているのかな?」

「ターン!?」

 静寂を破ったのは、勢い良くドアを開けて入ってきた完全なる部外者、ターンだった。

「おいブレードコンボイ!なんでこいつがいるんだ!?」

「いや、私に聞かれても・・・・・・ターン、君まだスクランブルシティにいたのか!?」

「アリーナでバスケットボールを嗜んでいた。案外良いものだっよ?」

「そういうことを聞いてるんじゃない!」

 思わぬ登場に千冬は声を荒らげ、ブレードコンボイ他数名は困惑した。

「待て!お前はデストロンだろう!なぜここにいる!?」

 パーセプターもまた千冬と同様に声を荒らげターンに問い詰める。

「なんか明かりがついてて人が集まってそうだったから、来ちゃった♡」

「はぁ!?そんな理由が通るものか!貴様のような顔にデストロンのインシグニアを貼り付けているような奴を、スクランブルシティに入れるとは何たることか!ブレードコンボイ総司令官!?」

「ひどいねえ。私は顔の傷を隠すためにマスクをつけたらそれっぽくなっただけなのに」

「そんな理屈があっ!」

「落ち着いて下さいパーセプター中間管理委員。彼は信用できますから。私が許しているだけです」

「んな!?それがどういうことか、わかっておいでか総司令官!?」

「もちろん。しかし、サイバトロン軍には元デストロンの者も多く在籍しています。敵意がない以上、こちらも敵対することはない。それだけです」

「んな!?」

「ふ〜む?なるほど。殺人事件か・・・・・・」

 ブレードコンボイがパーセプターと話している中、ターンは会議室のスクリーンに映し出された事件の情報に目を通していた。

「なあブレードコンボイ、この事件、私に任せてくれないか?」

「「「「「はあ!?」」」」」

 突然の言葉に、その場にいたほとんどの者が驚愕の声を漏らした。

「・・・・・・解決できるんだな?」

「もちろん」

「待て!おかしいだろう!こいつはデストロンで、死んだエアグライドは管理局員だ!これは管理局の管轄だ!」

「落ち着いて下さい。ここスクランブルシティはサイバトロン軍の施設でもある。ここにおける決定権は、私にある」

「ぐぬぬ・・・・・・」

「で、真面目に解決へ取り組もうというのか?ターン?」

「ああ。名探偵ターン、ばっちり解決してみようじゃないか」

「良いのか?ブレードコンボイ。こいつに任せて、そういう問題解決能力とか大丈夫なのか?」

 千冬はブレードコンボイに当然と言える疑問をぶつけた。

「ああ。何か一つのことに集中したターンの実力は凄まじいものだった。昔はそうしてカリスマを発揮していたからね。それに野放しにしておくよりこうして何かやらせておいたほうが目に届いていいだろう」

「なるほど。確かにそうだ」

 千冬は納得した様子で頷いた。

「さて、ではまず現場を見せてもらおうかな?」

「なるほど。ここに計4人が倒れていたと」

「正確には2名死亡、2名気絶だがね」

 会議室を出たターンはブレードコンボイを連れて事件現場まで来ていた。

「ふむふむ・・・・・・うん?これは・・・・・・」

「なにかあったのか?」

「ふ〜む。見ろ、ブレードコンボイ」

「これは、傷か?」

 ライトで照らされた事件現場でターンが見つけたのは、校舎の壁についた大きな傷だった。

「大きいな。なぜ今まで気づかなかったのだろう」

「・・・・・・」

(あの傷、会議室の資料で見たエアグライドの身長と同じくらいの高さだな。地面には・・・・・・何もなし。いや、これは?)

 ターンが手に取ったのは、曲がった金属の破片。

「・・・・・・ブレードコンボイ、ここにはもう何もないだろう。安置所へ案内してくれ」

「わかった」

 現場を離れ、ターンとブレードコンボイは安置所で遺体を調べ始めた。

「Dr.アーカビルには触れるなよ。我々では破損させてしまうかもしれないからな」

「わかっている。さて・・・・・・」

(なるほど。このアーカビルなる人物は至る所が黒焦げだ。まるで高電圧の電流を流されたように。体には・・・・・・ああ。電気の走った跡が通っている。リヒテンベルク図形が足から上へ。酷いものだ。これでは瞬殺だったろうに・・・・・・エアグライドの方は、同じく電流によるものだな。一瞬で耐えられないレベルの電撃で、体中の回路がイカれ、そしてポックリか。可哀想に)

「司令官、山田真耶及びスティールベイン、意識回復しました」

「そうか。わかった」

 安置所を訪れたラチェットが気絶していた2人の意識が戻ったことを知らせる。

「では、2人から話を聞くとしよう」

「案内してくれ、ラチェット」

「わかりました」

 ラチェットの案内で看護室で横になっている山田真耶とスティールベインに面会する。

「ベッド大きすぎないか?」

「トランスフォーマー用らしいので・・・・・・」

 山田の寝かされているベッドはトランスフォーマー用だった。

「それじゃ、事件にあったときのことを聞かせてもらおうか。まずは、山田くん?」

「あ、はい。私は学園長からアーカビルさんの手続きの書類を整理しておくよう頼まれて、それを終わらせて、あの道を通って職員室に戻ろうとしていたんです。そうしたら、バチン!という音がして、何かと思って走ったんです。そうしたら・・・・・・」

「そうしたら?」

「その、なんて言えば良いのか分からないんですが、凄い光がして」

「凄い光?・・・・・・電気の発光か?」

「それで、目を離す前に気を失ってしまって」

「光の明滅を短時間で見続けてしまったため、脳が意識をシャットダウンしたんでしょう」

 山田の説明にラチェットは補足をした。

「ふむふむ。では、スティールベイン。君にも聞こう」

「俺にも聞くったってな・・・・・・」

「彼は記憶回路に不具合が生じています。事件について、有益な情報は期待しないほうがいい」

「ふーむむむ・・・・・・」

 ラチェットの言葉に、ターンは唸りで返した。

「そうだ。ラチェット、スティールベインの体に破損箇所はあるかい?」

「ああ。後頭部に少しある」

「そうか。少し失礼」

 ターンは事件現場で拾った金属片をスティールベインの後頭部に当てていく。

「・・・・・・ビンゴ。スティールベインの欠片だな」

「それは?」

「ああ。解決のカギだよ。そうだ。パーセプターに確認したいことがあるんだが」

「わかった。パーセプターは会議室にいるだろう」

 看護室から会議室に移動し、そこには期待通りパーセプターが座っていた。

「なんのようだ」

「一つ、いや三つ程聞きたいことがあってね」

「手短に済ませろよ。私は上にどう報告すれば良いか考えてるんだからな・・・・・・」

 明らかに余裕のない雰囲気を出すパーセプターに、ターンは飄々とした態度を崩さなかった。

「では一つ目。セイバートロン星から地球まで通信できる手段を貴方は、もしくは管理局は持っているかな?」

「高性能通信機ならサイバトロン軍だって持っているだろうが」

「では二つ目。貴方からスティールベインに対する態度が悪かったらしいが、その理由は?」

「奴はだらしがなさすぎる。折角セイバートロン管理局という場所に勤めているというのに、その自覚が無さすぎる!本当ならエアグライドではなくあいつが・・・・・・いや、忘れてくれ」

「では三つ目。貴方は事件の第一発見者になるわけだ。なぜ事件現場に?」

「・・・・・・たまたまだ。たまたまあの道を通って、そうしたらあの惨状だった」

「なるほど・・・・・・ブレードコンボイ、最後に確認したいことがある織斑千冬を呼んでくれ」

「わかった」

 ブレードコンボイにより、会議室に千冬がやってきた。

「織斑千冬、君に聞きたいことがある。良いかな?」

「ああ」

「では、Dr.アーカビルに助手はいたかな?いたなら荷物は?」

「ああ。メイソンという執事のような男がついていた。荷物は、やけに大きなキャリーケースを持っていたな。重そうにしていたが・・・・・・」

「なるほど・・・・・・では最後に、Dr.アーカビルに悪い噂はあったかな?」

「悪い噂?あー・・・・・・そうだな、人使いが荒いとかはよく聞いたな。最近は従業員も執事のメイソンだけになったとか」

「ふむふむ・・・・・・ブレードコンボイ、あらかた推理がまとまった。関係者を大体ここに集めてくれ」

「わかったんだな?犯人が?」

「推論の域を出ないが、なんとなく、ね」

「わかった。現場にいた者を集めよう」

「さて、お集まり頂き恐縮です。では、早速私の推理を聞いてもらいましょう」

 会議室には織斑千冬やパーセプター、マイスターと言った面々や、スティールベインと山田真耶の2人もラチェットの付き添いでやってきていた。

「まず前提として、この事件は他殺だ。そして、少なくともDr.アーカビルは意図的に殺された」

「意図的に?エアグライドは違うというのか?」

「そうともブレードコンボイ。私の推理では、エアグライドはおそらく、スティールベインを庇ったんだ」

「俺を?」

「ああ。君が覚えていれば良かったんだが、まあいいだろう。まず殺害方法から披露させて頂く。この事件における凶器、それは電気だ。犯人はバッテリーか発電機を使い、Dr.アーカビルを電気によって殺害した。そしてエアグライドはスティールベインを庇い、死んでしまった。エアグライドがスティールベインを庇ったということは、これで分かる」

 そう言ったターンが取り出したのは、スティールベインの頭部の欠片。

「通常トランスフォーマーは転んだくらいでは体が欠けたりなんてしない。よって、これは相当強い力でスティールベインが倒された事を意味する。よほど強かったんだろう。気を失わせる程なんだから。そして、何よりこれだ」

 会議室のモニターには、事件現場にあった壁の傷が映し出された。

「これはちょうどエアグライドの肩と同じくらいの高さにあった傷だ。よほど焦っていたのだろう。壁側の腕を出してスティールベインを後ろに倒し、自分は体勢を整えようとした瞬間、電気を流された。ということだろう。Dr.アーカビルは言葉巧みにあの場所に立たされ、エアグライドは巻き込まれただけだ。何とも悼ましいことか」

「ふざけるな!」

 ターンの推理を聞いている中、パーセプターが声を上げた。

「我々はお前のあやふやな妄想を聞きに来たわけではない!さっさと犯人を言ったらどうなんだ!?」

「では、言いましょう。ですが、この事件には実行犯が一人。そして、殺人教唆を行った者がいる」

 瞬間、会議室に動揺が広がった。

「ああ、その前に。山田真耶が倒れていた件について。あれはラチェットが言っていたように、光の明滅が原因と言っていいだろう。この事件とは無関係と言える。ではお待ちかね。実行犯、それは・・・・・・メイソン、君だ」

「えっ?いや、なぜ私が・・・・・・」

「Dr.アーカビルには悪い噂が絶えなかったそうじゃないか?それに、君の持ってきた、キャリーケースの中身は何かな?」

「いや、それは・・・・・・書類です。旦那様の大切な」

「では見せてくださいよ。キャリーケースの中身を」

「キャリーケースは今、お借りした部屋に」

「織斑千冬同伴で取りに行くと良い」

「・・・・・・私じゃない!なんなら、ここにいるトランスフォーマーがやったんじゃないのか!?」

「サイバトロンは人を殺せない。その証拠に」

「ひ!?」

 ターンはメイソンに自らの武器である2連砲塔を向けた。

「!」

「ほ〜ら」

 するとその場にいた全てのサイバトロン戦士がターンに銃を構え、側にいたブレードコンボイは臨戦態勢を取っていた。

「サイバトロンは人を殺せない。今、ここで私がこの2連砲塔にエネルギーを貯めようとすれば、私は即座に拘束される。それと同じ事をサイバトロンはやっている。相互監視の元、サイバトロンでは安全が担保されているのだよ」

「・・・・・・」

「そして、その相互監視は学園側だってそうだ。そうだろう?」

「ああ。サイバトロンと本格的に協力するにあたり、我々もそれに参加している」

「とのことだ。織斑千冬程の人間が言うのだ。信憑性は十分。よって、これは外部犯しか考えられないんだよ。よく死角を見つけたものだ」

「・・・・・・で、ですが、私は唆されたのです!決して、私の意思では」

「実行した時点で自分の意思だ。そこは変わらない。だが、唆したやつがいるのも事実。それは・・・・・・パーセプター、貴方だろう」

「・・・・・・何故だ」

 名を呼ばれたパーセプターはいかにも不機嫌と行った様子だった。

「まず忘れてはならないのが、エアグライドは間違って殺されたということ。貴方が本当に殺したかったのはスティールベインだ」

「嘘だろ、パーセプター中間管理委員・・・・・・!?」

「貴方は常日頃からスティールベインへの恨み辛みを溜め込んでいた。動機は十分」

「・・・・・・」

「そして貴方は、先程の私の質問、セイバートロンから地球まで通信できる高性能通信機の存在を認めている。その通信機を使い、メイソンの持っている電子機器にメッセージを送り、唆すことは可能だ」

「・・・・・・・・・・・・」

「そして、貴方は第一発見者だ。それだけではない。貴方が悲鳴をあげたのは、エアグライドの死亡を確認した後。叫び声を上げてはいたらしいが、それは演技と言える。スティールベインに対して、何も無かったからね」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「おっと、何故私が知っているのか?という顔だ。私を侮るなよ?私のイヤーセンサー・・・・・・聴覚回路は他者より優れていてね。叫び声を聞いて近くまで寄ってみたのだよ。姿こそ現さなかったがね。話がしたが、これで最後だ。パーセプター。貴方がどれだけ否定しようとも構わない。通信機に関しても、貴方は履歴などのデータは消しているだろう。だが、君の記憶回路はどうかな?このサイバトロンには名医がいるからねえ?記憶回路の映像や音声くらい、筒抜けにできるだろうねえ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・うわあああああっ!お前が!スティールベイン!お前が何もかも悪いんだ!」

「本性現したねぇ?」

「スティールベイン!貴様が、貴様が真面目にやっていれば、私は今頃出世しまくって、最高管理委員会に上り詰めていたんだぞ!お前を殺すために、どれだけ労力をかけたと思っている!この中間管理委員という立場で、動きやすい立場で、最後の別れとこの視察を計画したんだぞ!お前が!お前が死ねばよかったんだ!お前のせいでエアグライドは死んだんだ!」

 激情のまま、パーセプターは肩のブラスターにエネルギーを充填し始める。

「取り押さえろ!」

「ぐわあっ離せ!私は、私はあああああっ!」

「今回のことは、管理局にも報告させてもらう。覚悟しておけ」

「・・・・・・」

「どこへ行こうと言うんだ?」

「ヒッ!」

 ブレードコンボイ達がパーセプターを拘束している中、一人逃げ出そうとしていたメイソンの肩を千冬が掴んだ。

「お前も殺人罪だ。しっかり豚箱に入ってもらうからな」

「う、うぅ・・・・・・」

「一件落着。じゃ、私はこれで」

「どこへ行くつもりだ?ターン?」

「さあ?風の行くまま気の向くままに、流離うだけさ。難しことは君達に任せるよ。ブレードコンボイ」

「・・・・・・君なら、コンボイになれたろうに」

「どうだかね」

 そう言うとターンはメトロフレックスから去っていった。

 太平洋海底にあるデストロンシティ。その資料室に、コンバットロンが集結していた。

「ラナマック・・・・・・そんな奴はうちにはいない。そっちはどうだ?」

「見つかりません。ラナ、でラナバウトなら見つかるんですが・・・・・・」

「そうか・・・・・・ブロウル、奥の棚を調べてみてくれ。他のみんなも引き続きラナマックや、ロックダウン関連の資料を集めておいてくれ。私は作戦会議に呼ばれているからな。では頼んだぞ」

「「「「イエスサー!」」」」

「しかし、臨海学校襲撃作戦、か。規模縮小は難しいかもしれんな・・・・・・」

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