トランスフォーマーIS   作:ダイダゼノンド

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第十六話 臨海学校─発動!ダイナザウラー!

「・・・・・・来たか」

 スクランブルシティにあるスペースブリッジから、この日、新しいサイバトロン戦士が地球に呼ばれていた。

「ご無沙汰しております。ブレードコンボイ総司令官。プロテクトボット、ただいま到着いたしました」

「よく来てくれた。ホットスポット、早速で悪いが、君達に頼みたいことがある」

「頼みたいこと?なんですか?」

「我々サイバトロン軍は現在IS学園と協力体制にある。そして、近々臨海学校がある。その臨海学校に、私と警備として同行してもらいたい」

「警備、ですか?それは良いですが、司令官だけですか?」

「ああ。君達を地球の土地で鍛えるということもあるが、デストロンが現れる可能性も高い。情報の共有として言っておくが、現在サイバトロン軍はデストロンのコンバットロンと同盟関係にある。作戦の開示は互いに同意していないが、最近のデストロンの動向では臨海学校に襲撃される可能性が高い。IS学園の行事スケジュールはホームページで公にされているから、デストロンへの対策もしやすくはあるが、奴らにこちらの行動が筒抜けになる。・・・・・・まあ、ここまでもっともらしい事を並べたが、結局は生徒達の享楽行事。我々が大勢で行ってもアレだろう。君達は救助のプロフェッショナルだし、コンバイナーでもある。だから、私一人の同行でも問題ないと判断したわけだ」

「なるほど、わかりました。プロテクトボット一同、心してかかります」

「見えてきたー!」

 バスに揺られ、IS学園1年生達がやってきたのは、広大に広がる青い海。そこで学びを深める為の行事、臨海学校。

「もうすぐ着くぞ!旅館に着いたらクラス毎に整列する!わかったな!」

 千冬の声もどこ吹く風と、生徒達は目を輝かせていた。

「司令官、あれがアースの海ですか」

「ああ。我々はあそこで訓練に励む」

 ブレードコンボイ達六人は臨海学校のバスを囲むように走っていた。

 バスは浜辺の近くにある旅館の前で止まり、生徒達は整列して挨拶と説明を済ませ、この日は自由行動となった。

「本日は我々も自由行動とする。今日のうちにこの環境に慣れておいてくれ」

「「「「「了解!」」」」」

 サイバトロン軍もまた自由行動となり、ホットスポット達プロテクトボットはIS学園の生徒達に混ざり始めた。

「彼らも若いな・・・・・・」

「君は違うのか?ブレードコンボイ総司令官?」

「・・・・・・私も老齢というわけではないが、彼らより世代は上だ。それに、私も君のように責任者の立場だからね。千冬君」

「フ・・・・・・そうか」

 浜辺ではビーチバレーを始める者や泳ぎ始める者、水を掛け合う等、思い思いに楽しんでいた。

 自由時間は二時間程度続き、その後IS学園生徒達は旅館で夕食を取り、就寝。サイバトロン戦士達は駐車場で待機となった。

「おはよう」

「おはよう御座いますわ。一夏さん」

 夜が明け起床時間となり、IS学園の生徒達は朝食を摂るため旅館の宴会場に向かっていた。

「そういえば一夏君は昨日どの部屋にいたんだ?我々と近い部屋ならば人集りや歓声が上がってもおかしくないと思っていたが、そういうのは無かったが」

「君は付けなくてもいいんだけどな・・・・・・」

「先生達の方に部屋を用意されたんだよな。というか、織斑先生と同室だったけど」

 リワインドの放った一言により、その場にいた全員緊張が走った。

 ずるいという感情に支配されたのだ。

「教か・・・・・・織斑先生と同室とは、羨ましいものだな」

「織斑先生め・・・・・・職権乱用だろう!」

「まあまあ・・・・・・うん?」

「どうした?一夏?」

「いや、これ・・・・・・」

 指さす先には、ピンク色をした兎の耳のようなものが地面に刺さっていた。

「・・・・・・嫌な予感がする。行くぞ」

「・・・・・・そうだな」

「どういうことですの?」

「触らぬ神に祟りなしってか?だとしても説明が少ないぞ?」

「厄介な事案だ。忘れろ」

 箒はそう言うと宴会場に向かって再び歩き出した。

「なんなんだ一体?」

「さあ・・・・・・?」

 リワインドを含めた残りの面々は困惑を残したが、次第に思考の隅に置き宴会場へ向かった。

「全員揃ったな。まずは連絡だ。今日はISの訓練を主体として行動する。また、専用機持ちの5人と篠ノ之は食事時間終了後に私のところへ来るように!では、号令!」

 千冬の挨拶と共に朝食が始まった。

 朝食は特に何の問題も無く終わり、各々指示された場所へ向かった。

 ビーチから少し離れ、岩に囲まれた入り江に集められた一夏達は、千冬を前に一列に並んでいた。

「全員揃ったな?では、本日の訓練を始める」

 千冬の後ろにはブレードコンボイとプロテクトボットの5人が並んでおり、サイバトロンとの合同訓練を示していた。

「本日はブレードコンボイ及びプロテクトボット達との合同訓練だ。全員気を引き締めて臨め!」

「君達に自己紹介は不要だろう。だから言葉を授けておく。我々サイバトロン軍には、"5人のプライムらしくあれ"という言葉がある。これは、マイクロナスのような勇気を。ネクサスのような希望を。アルケミストのような余裕を。オニキスのように猛々しく。ソロムスのように叡智を持て。と続く。・・・・・・まあ、プライムについての説明はまた今度の機会としよう。とにかくだ。今日我々は君達の補助に回る。プロテクトボット達の人慣れにも丁度いいからね」

「それはわかりましたが・・・・・・何故箒さんがいらっしゃるのです?」

 専用機持ちが集められたが、この場には専用機を持っていないはずの篠ノ之箒も同席していた。

「ああ、それは・・・・・・」

「ほーおーきーちゃーーーん!」

「こういうことだ・・・・・・」

 千冬が説明しようとした瞬間、空からニンジンのような形をしたロケットが、箒の名前を叫びながら降ってきた。

「ひっさしぶり~!成長したね〜!」

 ロケットの中から現れたのは、およそ千冬と同い年位の、朝宴会場に向かう途中に見た兎耳をつけた女性。

「お前達も知っているだろう。天災と呼ばれた存在。篠ノ之束。こいつが篠ノ之に用があると言うんでな」

「うんうん!束さん嬉しかったよ〜!」

「ちょ、姉さん!離れて!」

 ロケットから出るやいなや箒に飛びついた束は、箒の体に頬ずりしながら言葉を紡いだ。

「おい、束!大事な用があって来たんだろ?早急に終わらせろよ」

「わかってるって〜。金属人形がいるのは気に食わないけど。箒ちゃん!プレゼントだよ!」

 そう言うと束の背後のロケット内部から光が溢れ、赤いISが実体化した。

「かわいい箒ちゃんへの特別プレゼント!専用機、紅椿!第四世代だよ〜!」

「第四世代だと!?」

 真っ先に驚いたのはラウラだった。軍属であるため、この第四世代というものの異常さを直感で理解出来たためである。

「第四世代って・・・・・・今は第三世代が主流になって少ししか経ってないのに・・・・・・」

 IS専門の会社であるデュノア社の血縁であるシャルロットが続き、より第四世代を強調する。

「ふふん。束さんは天才なのだー!」

「なるほど。確かにセイバートロンの科学者と比べても類を見ない」

 ブレードコンボイも束の技術力に感嘆の声を漏らした。

「さ、早く乗って!最適化を済ませちゃおう!」

 束に促されるままに紅椿に乗り、最適化が行われた。

「よーし、では訓練を始める」

「ちょっと待ってください。箒さんは現状代表候補生でもない一般人のはず。それなのに専用機とは、理屈が通らないのでは?」

「束の妹だから一般人というわけではないぞ」

「しかし・・・・・・」

「お偉方にした説明をもう一度私にさせろと言うのかオルコット?」

「あ、はい」

 生気のない死んだような目で千冬に迫られたセシリアは納得を見せた。

「では、始めようか。全員ISを展開してくれ。飛行訓練から入ろう」

「司令官」

「なんだ?ストリートワイズ」

「デストロンの反応をキャッチしました」

「そうか・・・・・・すまない!我々は席を外させてもらう」

 そう言うとブレードコンボイとプロテクトボット達は入り江から離れた。

「デストロンか・・・・・・我々は訓練を優先させる方が良いか?」

「織斑先生!」

「なんだ山田先生。そんなに慌てて」

「実は・・・」

「・・・・・・なるほど。他の生徒たちに旅館へ戻るよう指示を」

「はい!」

「お前達!今日の訓練は一旦中止!旅館へ戻るぞ!」

「え?どういうことですか?」

「トラブルだ。国際間のな!とにかく戻るぞ!指示は後でする!」

 旅館のすぐそばにあるビーチ。昨日生徒達が遊び、本日ISの訓練に使われるはずだったビーチに、紫色のマークを太陽の光で煌めかせ、デストロンが波の中から現れた。

「ハーッハッハッハ!読み通りサイバトロンの姿は無いな!やはりお前の勘は頼りになるわい。オンスロート」

「それは良かった。だが、目的を忘れるな」

「オンスロート貴様!バイオメガトロン様になんという口の聞き方を!」

「良い。そうカッとなるなトリガー」

「しかし!」

「落ち着け。儂らは今日、IS学園をこのビーチで襲撃し、織斑千冬を人質に、学園を占領する!そして、大デストロン帝国の第一歩として、IS学園の名前を変え、デストロン学園とするのだ〜!」

「いえ〜い!デストロン学園になったら、僕ちゃん理科室のホルマリン漬け食べてみたいぶぅ~ん!」

「ホルマリン漬けは漬物ではないぞワスピーター」

「えぇ~!本当かよスナッパー!」

「緊張感の無い奴らだな全く・・・・・・」

「メガザラーック!」

 バイオメガトロンはコンバットロン、トリガー、ワスピーター、スナッパー、ラナバウト、メガザラックを連れていた。

「フッフッフ・・・・・・いないな」

「いないですね。ざっとサーチしてみましたが、このエリアに織斑千冬の反応はありません」

「ボルター、トランスフォーム。空中から探せ」

「了解。トランスフォーム!」

 ヘリコプターに変形したボルターは上昇し、探知機能を最大出力で使用する。

「あれは・・・・・・ブレードコンボイ!」

「なんだと!?」

 ボルターの探知機能が見つけたのは、千冬ではなく今最も会いたくない相手であろうサイバトロン戦士だった。

「そこまで・・・・・・いや、何もさせはしないぞバイオメガトロン!」

「ブレードコンボイめ、フットワークの軽いやつよ」

「どうしますかバイオメガトロンさま〜、やっちゃいます〜?」

「まあ待てワスピーター。ブレードコンボイよ!儂と話をしよう!」

「話だと?」

「そうとも。戦うにしても、言論を交えた後でもよかろう?」

「・・・・・・いいだろう」

「よろしい。ではブレードコンボイよ、貴様に問う。何故儂らデストロンと戦うのだ?」

「何故だと?我々サイバトロンが守るのは秩序だ。それを乱すことは許されない」

「それだけか?・・・・・・ああ、それだけだろうな。サイバトロン軍総司令官には。ならばブレードコンボイよ、本心ではどうだ?」

「なに?」

「その胸の内・・・・・・本当に思っていることはなんだ?サイバトロン軍として平和と秩序を守ることができれば満足なのか?前にも言ったな。お前の正義が、お前の弱点だと。なぜだかわかるか?」

「・・・・・・」

「知的生命体である以上、心の中には肯定と否定の意思が存在する。お前の持つ正義、それはお前が本心から望むものではない。サイバトロン軍の総司令官であるが故の責任!それがお前の正義の正体だ!」

「違う!私は責任だけで動いてなどいない!」

「誰がそこまで言った!わかっているのだろう?自分のことなのだからな!」

「・・・・・・だとしても、だとしても!お前達を見逃すことにはならない!」

「マトリクス」

「!?」

「フフフ・・・・・・サイバトロン軍総司令官が代々受け継いできた、胸に収められるリーダーの証・・・・・・古くはセイバートロン戦争の英雄、コンボイがアルファートリンのマトリクスを模して作り上げた勲章。持ち主によって姿を変え、良い影響をもたらすプライマスの神秘・・・・・・お前はそれを、()()()()()()()

「・・・・・・なんだと?」

「確かに、マトリクスを継承した時、お前の姿は変化しただろう。だが、それで何ができた?儂らデストロンとの戦いで、サイバトロンは常に後手に回るのみ・・・・・・これを持て余すと言わずしてなんとする?」

「・・・・・・」

「儂は国が作りたい。儂が帝王として絶対なる権力を持ち、永劫の平和が約束された国を。大デストロン帝王を!」

「司令官・・・・・・」

「ブレードコンボイよ!貴様に理想があるか!願いがあるか!命と生涯の全てを賭してでも手に入れたい望みはあるか!?我が行動の全ては我が未来のため!理想無く、願い無く、ただ職務に勤しむくらいならば!その胸のマトリクス!儂によこせ!正しく使い、この世界に、平和に満ちた場所を作り上げてくれる!」

「そ、それは・・・・・・」

「ねぇ~、バイオメガトロンさまってあんなにマトリクス欲しがってたっけ〜?」

「マトリクスは純粋なエネルギー源としても優秀と聞く。なんでも、胸に収めておけば死ぬまでエネルゴンを補給せずとも動き続けられるとも」

 問答が続く中、呑気に疑問を呈したワスピーターに、オンスロートが答えた。

「なるほど。それがあれはバイオメガトロン様の野望を叶えるための時間が短縮されるな・・・・・・」

「そうかあ〜?」

 トリガーとラナバウトもまたワスピーターが壊した雰囲気に乗り自由に喋り始めた。

「とにかくだ!責任だけのお前に、儂らを止める権利は無い!マトリクスもまた同じだという話だ!」

「総司令官!」

「・・・・・・確かに、お前の言うことも一理あるだろう。だが、マトリクスに収められているのは、先代の、コンボイ達が築き上げてきた全てだ!偉大なる先達達の魂だ!それをお前に渡すことは出来ない!バイオメガトロン!」

「結局は責任だけではないか。つまらん男よ。まあ良い。もはや問答は無意味!織斑千冬も見つからぬ以上、お前達を倒してゆっくりじっくり探すのみよ。やれい!お前達!」

「メガザラーック!」

「あらほらさっさー!」

仰せのままに、我が大帝(イエス、マイマスター)

「各員戦闘態勢!デストロンを迎え撃つ!」

 バイオメガトロンとブレードコンボイの一声によって、両軍が走り出す。

 旅館、職員宿泊室の一室に、教員と専用機待ちが集められていた。

「お前達を呼んだのは他でもない。先ほどアメリカから連絡があった。アメリカで極秘に開発されていたIS・・・・・・銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)が暴走したとのことだ」

 いつも以上に真剣な眼差しをした千冬に、一同は固唾を呑んで指示を待つ。

「この銀の福音は有人機と無人機の切り替えをシステムに組み込んでいたらしく、それが暴走の原因だと考えられるそうだ。最悪なことに、この銀の福音は太平洋を西に進んでいる。到達地点をたところ、ジャストでここだ」

「この、旅館なんですか!?」

 いの一番に千冬の言葉に反応したのは一夏だった。

「そうだ。幸いにも対処法は出ている」

「その対処法というのは?」

「お前達の・・・・・・いや、織斑の白式を使う」

 ラウラの質問に、千冬は冷静に返した。

「白式にはエネルギーを消滅させる機能がある。それを使い銀の福音のエネルギーをゼロにして機能を停止させる。異論はないか!?」

 千冬の言葉を聞き、口を開く者はいなかった。

「いないようだな。学生のお前達には荷が重いものだろう。そこは我々も申し訳なく思っている。だが、頼らせて欲しい。頼む」

 そして、千冬の口から詳細な作戦行動が説明され、一夏達は銀の福音への対処に動き出した。

 旅館の外でISを展開、太平洋に向かって飛び出した。

 はずだった。

「ウオオオオッ!」

「オオオオオッ!」

「きゃああああっ!?」

 飛行して銀の福音まで向かおうとした瞬間、空中でJブレードを持つブレードコンボイと拳でぶつからんとするバイオメガトロンの衝突に巻き込まれ、鈴音がバランスを崩して墜落した。

「鈴音君!?」

「IS乗りだと・・・・・・?」

「ちょ、何してるんですか貴方達はー!?」

 混沌とかしていたサイバトロンとデストロンの戦いは、一夏の叫び声によって止められた。

 思わぬ展開により、両軍共に状況が飲み込めず交えていた剣を下ろし構えていた銃の引き金から指を離した。

「見て分からぬか?戦っているのだ」

「一夏君、君達は旅館に隠れていてくれ」

「・・・・・・そういう話じゃないんですよー!」

「どういうことだ?」

「うーむ・・・・・・事情があるのだな?話せ」

「バイオメガトロン様、なんのつもりですか?このままあの子供達ごとやっちゃいましょうよ?」

「馬鹿者!いずれこのバイオメガトロンが治める国の住人になるやも知れぬ者達だ。特に子供は丁重にしなければならん。未来を潰す気か?ラナバウト」

「ッ!・・・・・・ですがね!」

「でしゃばりすぎだ。下がれ・・・・・・!」

「ト、トリガー・・・・・・」

 バイオメガトロンに食い下がるラナバウトの頭にトリガーは銃を突きつける。

「思い返せば・・・・・・いつからそこまで偉くなったのだ?作戦に口を出し・・・・・・バイオメガトロン様の代弁でもしているつもりか?恥を知れ」

「・・・・・・」

「話を逸らすなトリガー。ラナバウト、お前もだ」

「失礼しました」

「さーせん」

 トリガーとラナバウトを静止し、バイオメガトロンは一夏に向き直った。

「どうした?事情を話せ。場合によっては、此度のサイバトロンとの戦い・・・・・・矛を収めるのもやぶさかではない」

「バイオメガトロン・・・・・・」

「貴様とて無闇矢鱈に争いたいわけではなかろう?ブレードコンボイ」

「それは、そうだが・・・・・・」

「ならばこれ以上の問題は不要。織斑一夏と言ったか?話してくれ」

「ああ、はい。実は・・・・・・」

 一夏は銀の福音のことを話した。

「なるほど。暴走したマシンを止めると」

「そんなことが・・・・・・」

 話を聞いたバイオメガトロンとブレードコンボイは考え込み、そして互いに目を合わせ頷いた。

「ならば、優先すべきはそちらだ」

「その銀の福音がここまで到達すれば、被害は計り知れないだろう。争っている場合ではないな」

 両軍のリーダーが結論を出し、次の動きを待っていたプロテクトボットや、トリガー、コンバットロンと言ったトランスフォーマー達もそれに従い一夏達の元へ集まった。

「その銀の福音ってやつは空を飛んでるんですよね?だったら、戦える者も限られるかと」

「我々コンバットロンは合体して対応しよう。スナッパーは海中を、ラナバウトはメガザラックに乗って戦える」

「待て、まだその銀の福音の強さは未知数。一度偵察を出した方が良い」

「偵察ならうちのグレイズが適任だろう。頼めるか?」

「ああ。任せてくれ」

 続々と話が纏まり、先ほどまで生死を賭けて戦っていたとは思えない団結力を見せた。

「ブレードコンボイ司令官達が協力してくれるなら百人力だな。デストロン達も、味方ならば頼もしい」

「えぇ~要らないよ〜」

「束さん!?いつの間に!?」

 銀の福音を倒すため話し合っていると、突然後ろから声が聞こえ、振り返ると束が立っていた。

「そんな頼らなくてもさ、束さんの作ったISは完璧なんだよね。ハッキリ言って邪魔だよ?」

「束さん、そんなに言わなくても・・・・・・」

「甘いな〜いっくんは。エイリアンに肩入れするなんて」

「姉さん!」

「箒ちゃんもだよ?せっかくお姉ちゃんがプレゼントしてあげたのに、初陣を脇役で終わらせるつもり?」

「わ、私はそんなこと思っていない!平和的に解決できるならそれで!」

「ふーん。ほんとに?」

「ああ。そうだ」

「・・・・・・わからないなぁ。こんな金属人形の何が良いんだか!」

「貴様!今の言葉、侮辱と取るぞ!」

 束の発言を聞いたトリガーは銃を構えた。この場にいる他のトランスフォーマー達もまた、行動や言葉には出さずとも苛立ちや怒りを覚えていた。

「・・・・・・確かに、君の言うことも一理ある」

 そんな中、最初に口を開いたのはブレードコンボイだった。

「我々は地球の生命体では無い。我々を嫌う者がいることも理解している。だが、協力できるなら、するに越したことはないだろう」

「・・・・・・」

「ブレードコンボイの言う通りだ。トリガー、銃を下ろせ」

「・・・・・・貴方がそう言うのなら」

「儂らとて無駄に争いたいわけではない。聞けば銀の福音とやら、中々の脅威。共通の敵が出来たのだ。今さら不和に戻ることもなかろう。それに、専用機とやらを持ち、戦えるとは言え所詮は子供。守られるべき存在だ。戦いの苦労を軽減させられるなら、負担してやるのが大人というもの」

「・・・・・・あっそ。じゃ、私帰るね」

「姉さん・・・・・・!」

「ばいば〜い」

 そう言うと束はどこかへ消えた。

「さて、では話を戻すぞ。ブレードコンボイ、お前はトランスフォーマーはその5人組だけ連れてきたのだな?」

「ああ。だが、一夏君のもとに一人いる」

「ほう・・・・・・なるほど。・・・・・・理想だな・・・・・・よしわかった。ブレードコンボイよ、儂にいい考えがある」

「なんだ?」

「海上に基地を設ける。そこを前線基地として使い、敵を倒す」

「基地を設ける?どうすると言うんだ?」

「まあ見ておけ。聞こえるか!レーザーウェーブ!儂だ!バイオメガトロンだ!頼みたいことがある。・・・・・・そうか。ではすぐに出発させてくれ。待っているぞ」

 レーザーウェーブと通信したバイオメガトロンは、通話を終えると一夏達に向き直った。

「もうすぐ丁度いいのが来る。少し待っていろ」

「丁度いいの?」

 それからおよそ5分。海面から轟音が響き出した。

「な・・・・・・これは!?」

「でっかい・・・・・・でかいよな?」

「タイダルウェーブで感覚がおかしくなってるが、十分デカいぞこれ!」

 一夏の疑問にリワインドは驚愕混じりに答えた。

 海面から現れたのは、平均的なオフィスビルと同じ程度の巨体を持つ、黒いメカ恐竜。

「これぞ、タイダルウェーブを引き入れるまで儂らの中で最も巨大だった者。移動基地、ベースモードを持ったトランスフォーマー・・・・・・その名も、ダイナザウラー!」

「■■■■■■■■■■ー!」

 海を割り荒波を起こし登場したダイナザウラーは雄叫びを上げバイオメガトロンに答えた。

「ダイナザウラーよ!トランスフォーム!ベースモード発動せよ!」

「■■■■■ー!ダイナザウラートランスフォーム!」

 そう叫んだダイナザウラーの首が180°回転し、全身を回転させ胴体が半分に開く。

 ダイナザウラーベースモードの一つ。移動要塞モードが完成した。

「さあ乗った乗った!銀の福音のもとまで一直線だ!」

 ダイナザウラーの甲板や内部に乗り込み、轟音と共に海進み始めた。

「銀の福音・・・・・・実際どの程度のものかは知らんが、やってやろうではないか」

「スーパーモードも視野に入れなければな・・・・・・プロテクトボット達にも切り札を出してもらうかもしれないな・・・・・・」

 ダイナザウラー内部、両軍のリーダーはこれから始まる戦いに備え、思考を巡らせていた。

 今、ブレードコンボイとバイオメガトロン。両者初の共闘が始まった。




後半へ続く
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