トランスフォーマーIS   作:ダイダゼノンド

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第十七話 臨海学校─出撃!コンバイナー!

「探知システム反応あり!およそ100km先に高速で移動する物体を確認!」

 ダイナザウラーベースモード内部管制室にて、スナッパーが声を上げた。

「モニター映せるか?」

「ぶぅ〜んこの距離とあれの速度じゃあ無理があるぶぅ〜ん」

 ブレードコンボイの問いに答えたワスピーターは、悔しそうに腕を振った。

「奴の速度は出せるか?」

「計測します!・・・・・・時速200km!単純計算にはなりますが、およそ30分もあればこちらに到達します!」

「空を飛べる者は直ちに空中で隊列を組め!飛べない者はダイナザウラーの甲板に出ろ!配置は個々人に任せる!スナッパー!メガザラック!お前達は海中から迎撃しろ!良いな!」

「了解!」

「メガガメガー!」

 バイオメガトロンの指示のもと、一夏達やトリガー、プロテクトボット達は管制室から迎撃のため動き出した。

「ブレードコンボイよ!お前は左舷に!儂は右舷に出て迎撃する!」

「わかった。私は念の為スーパーモードで挑む!・・・・・・共闘に感謝する」

 そう言うとブレードコンボイは管制室から甲板へ向かった。

「ふん。憎めん奴よ。ダイナザウラーよ!これより迎撃作戦を始動する!自動迎撃システムを頼むぞ!」

「ラジャー」

 バイオメガトロンの言葉にダイナザウラーは電子音声で答えた。

「よろしい」

 そう言い残しバイオメガトロンも甲板へ向かった。

「総員準備は良いな!人間達よ!便宜上IS部隊と呼称するが、少しでも異常や限界を感じた場合はすぐにダイナザウラーの中に入れ!いくら絶対防御などがあるとは言え、お前達は儂らほど頑丈ではない!良いな!?」

 甲板に出たバイオメガトロンの叫びに、一夏達は力強く頷き了承を示した。

「よろしい。ダイナザウラーの自動迎撃システムの作動を作戦開始の合図とする!」

 各々武器を構え、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の到達を待つ。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

『グオオオオオオッ!』

「!」

 数分の沈黙。ダイナザウラーの自動迎撃システムが作動し、ようやく銀の福音が視認できる距離までやってきた。

「おいでなすったな!」

 真っ先に声を上げたのはホットスポット。彼の声を聞き、今まで以上の緊張が走る。

「ようしワスピーター!切り込み隊長だ!行ってこい!」

「ぶぅ〜んぼくちゃんにお任せ〜!」

 トリガーに唆されたワスピーターはビーストモード変形し一人銀の福音に突っ込んだ。

「◇◇◇◇◇」

「ぶぅ〜んやっぱりやられた〜!」

 しかし、銀の福音が謎の機械音を出したかと思うと、それとは関係なく手前で回避され海に蹴り落とされた。

「だろうな。よし!コマンド1より各位!気合入れていくぞ!」

 ワスピーターの墜落によって緊張が和らぎ、オンスロートが喝を入れ集中をし直させ、銀の福音への銃撃、討伐作戦が始まった。

「◇◇◇◇◇◇」

「作戦では俺の白式のエネルギー吸収能力を使うことになったんだよな?」

「ああ。そこまで持っていくために、今は攻撃するのみだぜ一夏!」

「おう!」

 リワインドはサイバトロンガンを放ち、一夏は縦横無尽に飛びリワインドの銃撃を銀の福音に浴びせんと動く。

「撃ち落とすつもりで・・・・・・行きますわ!」

 セシリアはビットで銀の福音を包囲し、ライフルの標準を合わせる。

「◇◇◇◇◇◇」

 銀の福音は全ての光弾を機械音と共に避け、距離を縮める。

「こうなったら接近戦!切り落としてやるわ!」

「◇◇◇◇◇◇」

「はあああっとぉ〜!?」

 機械音が大きくなったと思うと、斬りかかる鈴音の真横に高速で移動、回避していた。

「逃がさん!」

「◇◇◇◇◇◇」

 トリガーは銃を独自の構えで発砲するも、これもまた機械音と共に避けられる。

「なんの!」

「◇◇◇◇◇◇」

 トリガーもまた狙撃手としてのプライドからか、正確に標準を定め連射する。しかし、一発も当たることはなかった。

「あいつ・・・・・・まるで空間が歪んでいるような・・・・・・」

「◇◇◇◇◇◇」

「!?」

 避け続けていた銀の福音は一転、機械音を響かせながらトリガーに襲いかかる。トリガーはそれを避け足を空に向け再び構えを取る。

「喰らえ!」

「両足失礼!」

「なんだ!?」

 真正面に銀の福音を捉え、引き金を引こうとしたトリガーの足を踏み台代わりに、鈴音は双天牙月を振り上げ銀の福音へ飛ぶ。

「はあああっ!」

「◇◇◇◇◇◇」

 だがそれもまた避けられた。しかし

「フ・・・・・・良い位置だ!」

 回避のために体勢を崩し、移動したところを、トリガーはすかさず引き金を引き銀の福音を狙い撃つ。

「◆◇◆◇◆◇」

 機械音にノイズが混じり、ようやく銀の福音にダメージが入った。

「今だ!」

 トリガーの銃撃によって機械音に不調が出る銀の福音に、一夏は零落白夜を発動し雪片弐型を振り上げる。

「◆◇◆◇◆◇◇◇◇」

「んな!?があああっ!」

 雪片弐型の刃が当たる寸前、銀の福音はビームを放ち、一夏を撃ち落とした。

「一夏!貴様ァッ!」

「待て!箒!」

「ハアアアッ!」

 目の前で一夏が倒れ、海に落ちる様を見た箒は怒り心頭といった様子で紅椿の刀、空裂を振りかざしながら銀の福音に向かって飛びかかる。

「◇◇◇◇◇◇」

「ハアアアッ!」

「◇◇◇◇◇◇」

「ヤアッ!」

 振るわれた空裂は銀の福音の右肩を抉り、海面に叩きつけた。

「なんと!」

「あの娘中々やりおる・・・・・・」

 箒の活躍を目にしたブレードコンボイとバイオメガトロンは感嘆の声を漏らし、箒本人は自らの行いに脳が追いついていなかった。

「ハーッ!ハーッ!ハーッ!」

「箒・・・・・・凄い・・・・・・やった!やったね!」

「・・・・・・」

「ラウラ?」

「シャルロット、警戒を続けろ」

 そう言うとラウラは息を切らし佇む箒に近づく。

「箒!」

「◇◆◇◆◇◆◇◆」

「ああっ!」

「くっ!」

 海に落ちた銀の福音は海からビームを放ち、箒を狙う。しかし箒は側にいたラウラの停止結界によって威力が軽減され、また箒への直撃が避けられた。

「ラウラ!」

「無事、だな・・・・・・すまん・・・・・・」

 銀の福音の攻撃を受けきったラウラはそう言い残すと、一夏と同じように海に落ちた。

「あ、ああ・・・・・・あああ!」

「◇◇◇◇◇◇」

 態勢を立て直し、再び向かってきた銀の福音。しかし箒は動けずにいた。大切な人が目の前で落ち、自分を助けようとした友をも落ちる様を見た。幾度となく戦いを見ているといえど、その心は少女。限界を超えていた。

「箒!」

「箒さん!」

 シャルロットとセシリアに両脇を支えられ、向かい来る銀の福音を回避する。

 銀の福音は空高く上がり、機械音を響かせながらダイナザウラーを眺める。

「ええい・・・・・・こんな時にあの3人がおれば良かったものを・・・・・・!」

「3人?あんたの合体に必要なのはあと2人だろう?」

「・・・・・・サウンドウェーブの名残だ。ふとした瞬間に口から出てしまう」

「それは良いが、どうするんだ?セシリア嬢のビットとシャルロット嬢の援護があるとは言え、作戦の根幹が海に」

「拾ってきました」

 バイオメガトロンと話すホットスポットの言葉を遮るように、スナッパーが海から一夏とリワインド、ラウラをダイナザウラーに引き上げた。

「ハァー・・・・・・死ぬかと思った・・・・・・」

「内側に塩が・・・・・・痛ぇ・・・・・・」

「あぁ・・・・・・鼻に入った」

 ダイナザウラーに上げられた三人は各々愚痴を漏らした。

「大丈夫かい?」

「動けはします。ISの絶対防御のおかげですね・・・・・・リワインドは?」

「俺もなんとか。全身痛いけどな」

「ハァ・・・・・・直撃で回路が焼けた。停止結界は使えん」

「スナッパー、白式を先に診ておけ。作戦の要だからな」

「了解しました」

「しかし、あそこまでされてまだ暴れるとは・・・・・・こうなれば私も空で加勢するか!」

「よせ。お前は集団での空戦に慣れてはおらんだろう」

「ではどうすれば良い?このまま現状維持したところで、どうにもならないならばいっそ私のトライファイアで」

「高火力で破壊するのも良いが、この戦い、白式のエネルギー消滅能力を使用する理由は大体想像がつくだろう?おそらくだが、あの銀の福音をなるべく損傷の少ない状態で機能停止させたいのだろう。ならば儂や貴様が出れば木っ端微塵だ。今はトリガー達の弾幕でこの場に留めている現状、いずれエネルギーも尽きて出力も下がるだろう」

「だが、そうなるまでにさらなる犠牲が出るかも・・・・・・待てよ?」

「どうした?ブレードコンボイ?」

「バイオメガトロン、私に良い考えがある。確か、コンバットロンは合体出来るな?」

「ああ。空陸両用のスクランブル合体・・・・・・まさか」

「そうだ。プロテクトボットもまた空を飛べる。高火力での破壊が出来ないなら、巨大な質量で狂わせれば良い!」

「そうか、コンバイナー・・・・・・なるほどな!それならばちょうど良くいけるかもしれん!」

「そうと決まれば・・・・・・ホットスポット!プロテクトボット、合体だ!」

「はい!」

「オンスロート!ブレストオフとボルターを呼び戻せ!合体せよ!」

「了解!」

 ブレードコンボイとバイオメガトロンの合体司令を受け、プロテクトボットとコンバットロンはリーダーであるホットスポットとオンスロートに集結する。

「プロテクトボット合体要請!」

「コンバットロン合体司令!」

 変形したホットスポットとオンスロートの両腕にグレイズとグルーブ、ブレストオフとボルターが合体。飛行する二人に追従するように残りの四人が両足に合体。

「総合救助エリート!ガーディアン!」

「戦略級巨人将軍!ブルーティカス!」

 合体し、巨体となった二人が弾幕の中へ進む。

「◇◇◇◇◇◇」

「ちょこまかと・・・・・・!」

「箒さん!気をしっかり!」

「う、すまん・・・・・・だが、私は・・・・・・」

「今は一人でも人手がいるんです!少なくとも一人で浮いてくださいまし!」

「あ!そっちに!」

 未だ正気に戻れていない箒を抱えながらビットで応戦するセシリアのもとに、無情にも銀の福音は狙いを定めた。

「箒さん!」

「うぅ・・・・・・」

「◇◇◇◇◇◇」

「このっ!」

 真っ直ぐ正面から加速する銀の福音を前に、セシリアはビットから手に持つライフルに意識を向け、迎撃しようとするが避けられ、残り数メートル。

「ッ・・・・・・・・・・・・?」

 ぶつかる。そう思い目を閉じたセシリアだったが、一向に衝撃が来ない。

「あ、貴方方は・・・・・・?」

「ガーディアン!」

「ブルーティカス!」

 セシリアが目を開けると、そこには二つの巨体。ガーディアンとブルーティカスが銀の福音を弾き返して並び立っていた。

「我々に任せてくれ。今織斑一夏の白式を整備中だ」

「時間稼ぎとして来たわけだが、機能停止まで追い込んでも構わないだろう?」

「合体できるんだ・・・・・・ねえシャルロット、あれ大きいわよね?」

「う、うん。十分大っきいよ!」

 タイダルウェーブによって大きさの感覚を狂わされているが、並び立つ合体戦士(ユナイトウォーリア)に目を奪われる鈴音とシャルロット。

「◇◇◇◇◇◇」

「独特の機械音。所詮は下等AI、スパークを持たない金属の塊」

「そう言うなブルーティカス。我らは生命。奴はマシン。比べるだけ無意味だ」

「そうか・・・・・・行くぞ!」

 ブルーティカスの声を皮切りに、二人は動き出す。機械音を響かせながら縦横無尽に飛び回る銀の福音を、四つの剛腕が狙う。

「◇◇◇◇◇◇」

「そこだ!」

「◇◆◇◆◇◆◇」

 銀の福音の脚部をガーディアンの拳が掠め、その衝撃と風圧で銀の福音は姿勢制御機能を破損する。

「こんなやつ、武器を使えれば軽く破壊できるが・・・・・・」

「要請にその内容は無い。あくまで体一つで、だ」

「わかっている!」

 なんとか態勢を立て直した銀の福音に、今度はブルーティカスの掌が迫る。

「◇◆◇◆◆◆◆」

 ブルーティカスに握られ、その握力で体を軋ませ銀の福音はノイズ混じりの機械音で悲鳴をあげる。

「やりすぎか・・・・・・ふんっ!」

 頃合いを見たブルーティカスは銀の福音を投げ捨てる。

「◆◆◆◆◆◆◆」

 発せられる機械音がノイズだけになり、いよいよ破壊寸前にまで銀の福音は追い詰められた。

「やりすぎだ。ヒビまで入っている」

「あれが最適だったろう。どの道な。それに、これでおとなしくオシャカになるほどヤワじゃないらしい」

 そう言って視線を移させると、壊れかけの銀の福音がエネルギーを暴走させ、ビーム攻撃を放たんとする光を漏らしていた。

「まだ来るか」

「もう一仕事だな。トリガー!セシリア・オルコット!弾幕を!」

「あ、ああ!わかった!」

「はい!」

 ブルーティカスの声を聞き、一方的な戦いに目を奪われていたトリガーやセシリア達はハッとした。再び銃を構え弾幕を張る。

「◆◆◆◆◆◆◆」

「そう来るか・・・・・・!」

 壊れかけの銀の福音は全身のヒビから光線を放ち、全方向に攻撃しながら合体戦士達に向かって飛ぶ。

「ハアアアッ!」

「!」

「◆◆◆◆◆◆◆」

 暴走する銀の福音が受けたもの。それは雪片弐型の一閃だった。

「一夏!」

「悪い!遅くなったか?」

「バッチリだ。むしろ、おいしいところを持っていったな」

 ブルーティカスの言葉に、零落白夜によってエネルギーを消滅させられた銀の福音を抱えながら、一夏ははにかんだ。

「一夏!無事、なんだな?」

「ああ。俺も、リワインドも、ラウラもな!」

「ああ、良かった・・・・・・」

 箒のか細い声に、元気よく答え、一夏はサムズアップを披露した。

「帰ろうぜ。みんな」

 臨海学校の宿泊場所。その前のビーチに一夏達は集まっていた。

「よくやってくれた。少々破損は目立つが・・・・・・まあ良いだろう」

「色々切羽詰まっていた。容赦してくれ」

「ま、困るのは米国のお偉方だ。私はもう知らん」

 オンスロートの弁明に千冬は我関せずと言った様子で返した。

「にしても疲れたわね〜。私もう走れないわ」

「歩けはするんだ」

「まあね。あんたは?シャルロット?」

「僕はそんなに。こう言ったらアレだけど、僕は銃撃ってただけだから」

「走れないなら乗せてくよ。バイクは好みかい?」

「ありがたいけど臨海学校もあと1日あるし、帰りもバスだから遠慮しとくわ」

 鈴音はグルーブと軽快なやりとりを交わした。

「私はしばらく戦線離脱だな。シュヴァルツェア・レーゲンの破損が思ったより深刻らしい。一度本国に戻ってオーバーホールだ」

「直撃を受けていましたからね・・・・・・」

 肩を回すラウラにセシリアは心配そうに答えた。

「なんにせよ、終わって良かった」

「そうだな・・・・・・全く、興醒めだ。帰るぞお前達」

「はっ!」

「戦わないのですか?」

「ふん。あそこまで協力したのだ。これ以降は野暮・・・・・・どうしたって奇襲、裏切りのようなものだ。儂は冷徹冷酷、非情にはなれるが、非道になる気は無い」

「流石はバイオメガトロン様。このトリガー感服の至り」

「貴方が良いのなら良いが・・・・・・」

「メガガガメー!」

 ブレードコンボイ達に背を向け歩き出すバイオメガトロン。そしてそれに続きトリガー達も歩を進める。

「バイオメガトロン・・・・・・」

「・・・・・・ブレードコンボイよ。立場が違えば、儂らは無二の友となれたかもしれんな」

「・・・・・・だが、そうはならなかった。私とお前は、敵同士だ」

「ふん。わかっている・・・・・・理想を持っておけよ。空っぽのやつと覇を競ったところで、面白くはないからな」

 そう言い残し、バイオメガトロンは海に浮かぶダイナザウラーに乗り込んだ。

「ブレードコンボイ!」

「っ!・・・・・・これは?」

 続々とデストロンがダイナザウラーに乗り込む中、オンスロートはブレードコンボイに何かを投げ渡した。

「今まで我々が実行してきた作戦、及び戦闘記録だ。その中に今回までのものが全て入っている。こちらでも解析したが、いかんせん身内だからな。外野として解析してくれ。頼んだぞ」

 そう言い残しオンスロートもダイナザウラーへ向かい、デストロンはビーチから去った。

「ああ。任された」

「司令官」

「ああ。我々も行こう。やることはまだ残っている」

 その後、銀の福音騒動により臨海学校のスケジュールの見直しなどがあり、一日が終わった。

 余談であるが臨海学校は無事に終了することができたが、それによって千冬が胃に穴を開けたことを知る者はいなかった。

「ぶぅ~んぼくちゃんふっか~つ!て、あれ?みんなどこ行っちゃったの?もう夜だし・・・・・・まさかみんなぼくちゃんのこと置いていったな〜!もう〜いつまでビーストのノリやるんだよ〜、スナッパーもこっち側のくせにすっかり順応しちゃってさ!なんだよなんだよ、ぼくら元々はマグマトロン派閥にいた同僚だってのにさ〜!嫌になっちゃうね。移籍してもこんな扱い。はぁ~あ。まあいっか。帰ろ帰ろか〜えろ。カラスが鳴くからか〜えろ」

「な〜んだ。結局金属人形の大活躍か」

「束様、お飲み物をお持ちしました」

「ありがとね〜くーちゃん!」

 この星、地球のどこか。

 この場所に篠ノ之束はいた。その場所で束はどうやって撮ったのか、銀の福音と戦う一夏やサイバトロン達の戦いを観ていた。

「折角束さんがお膳立てしてあげたのに、もったいな〜い」

「束様お楽しみのところ申し訳ございませんが、お電話です」

「誰から?」

「こちらです」

「あ~なるほど。下がっていいよ。ていうか席外して」

「かしこまりました」

「さてさて、お仕事お仕事〜」

「オンスロート」

「なんだ?トリガー」

 デストロンシティの廊下、そこでトリガーはオンスロートに声をかけた。

「貴様、バイオメガトロン様を裏切る気か?」

「何の話だ?」

「とぼけるなよ。帰る最中、ブレードコンボイに何を渡した?」

「・・・・・・まあ、いつかは話さなければと思っていた。ハッキリ言おう。我々コンバットロンはサイバトロン、ブレードコンボイと同盟を結んでいる」

「なんだと!?貴様裏切る気か!?」

「違う!裏切り者を見つけるためだ!」

「裏切り者だと?」

「工作員と言ってもいい。ここには確実に紛れ込んでいる。その裏切り者を見つけるため、外部であるブレードコンボイと共同で調査をしている!今回の共闘でブレードコンボイが信頼できることはわかっただろう?奴は日和見主義だが、求められれば答える男。バイオメガトロンの野望のために、不穏分子を消そうとしているだけだ!」

「その言葉に偽りは無いか!?コンバットロン全体の意思か!?」

「そうだ!」

「フフフ・・・・・・ハハハハハ!オンスロート!どうやら俺は、お前達の忠誠、お前達の献身を見誤っていたようだ!」

「トリガー!」

「オンスロート!このトリガー、我が主君に絶対の忠誠を誓っている。その主君のためになるというのなら、喜んで力を貸す!」

「本当か!?」

「ああ!」

「ありがたい!感謝する!」

「同じ主を持つ者同士、当然のことよ」

「聞い〜ちゃった聞い〜ちゃった」

「誰だ!?」

「せーんせーに言ってやろ」

 壁から現れたのは、忍者兵シックスショット。

「お前・・・・・・いつからそこに」

「初めからいたが?」

「まあお前はそういう奴だよな。で?この事をバイオメガトロン様に伝える気か?」

「いいや?なんなら君達に協力したい所存」

「本当か?」

「本当だとも」

「なら良いが」

「言質頂いた」

 そう言うとシックスショットは再び姿を消した。

「あいつも大概よくわからんな」

「失敬な」

「まだいたのか」

「忍者兵を甘く見ないことだ」

「まあなんでも良い。とにかくこのことはバイオメガトロンに伝えるべきじゃない。余計な混乱を招くからな。分かったな二人とも?」

「わかっているとも」

「承知」

「じゃあ解散!」

 宇宙。太陽系から遠く離れた旧アニマトロス系が属するある宙域に、一隻の船が当てもなく銀河を進んでいた。

「おい聞いたか?今度はアース付近でレースをするってよ」

「・・・・・・また賞金でこの"ロストライト"を改修するとか言わないでくれよ?()()()()()?」

「ははは!それも良いな!相変わらず冴えてるねぇ()()()()()()()()!」

 ロディマスと呼ばれた男は軽快に答え、ウルトラマグナスと呼ばれた男は不機嫌そうに顔を顰めた。

「で、だ。まあレースには出るとして、本当の目的は二つあるんだよ。アースでの目的は」

「なんだ?」

「アースってのはプライムの墓標だ。当然そこにはプライム達の遺体もあるだろう」

「墓荒らしでもする気か?もしそうなら全力で止めるぞ」

「よしてくれよ。お前の全力じゃスペアパーツがいくつあっても足りなくなるぜ・・・・・・プライムの一人、ロゴスプライムが残したプライムレコード。あれ解析できたってよ」

「なんだと!?」

 ウルトラマグナスの叫び声は船を揺らした。

「い〜・・・・・・もうちょい声量抑えてくれ」

「ん、すまない」

「まあ良いけどさ。とにかく、ファーマの奴から聞いてな。それでそのレコードは地図の情報を音楽として記録していた。それでその地図は、ある場所を指していた」

「それが、アースか」

「そう!プライムレコードがいつ、どうやって作られたのかとかは置いておいてだ。わざわざプライムが残した宝の地図。行動理由にしないわけには行かないだろ?」

「それもそうだが・・・・・・」

「それで二つ目の目的だ。あくまでプライムレコードの情報はこれのついでだな」

「そんなに重要な目的なのか?」

「重要も重要!場所が場所ならトップシークレットさ!」

「ほう?なんだ?」

 ロディマスの言葉にウルトラマグナスは今まで以上に興味を示した。

「デストロンのバイオメガトロン派閥。そこの参謀、サウンドウェーブが抜けたってのは知ってるな?スカウトに行く」

「お前・・・・・・正気か?」

「ああ!正気さ!サウンドウェーブは通信系の達人!でもって音楽の玄人って聞くぜ。一緒に旅したら面白そうだろ?」

「面白そうで行動するな・・・・・・」

「ハハハ!もとを辿ればこのロストライト号の旅だって面白そうから始まったんだぜ?ちょうど良いじゃないか」

「ハァ・・・・・・まあ、お前が艦長だ。好きにすれば良い」

「ありがとうよマグナス。愛してるぜ」

「よせよ気持ち悪い。私はしばらく仮眠する。起こすなよ」

「しばらくするんなら仮眠とは言わないんじゃないのー?」

「そうだな!寝るから起こすなよ!」

「はいはい。わかってるさ」

 一人残ったロディマスは静かに宇宙に目を移した。

「きれいなもんだぜ・・・・・・戦いなんかないみてぇだ。実際はどっかでいつもドンパチやってんだろうが、ここじゃ関係ねえや」

 そう言うと静かに手を伸ばす。

「待ってろよヴェロシトロンレース!待ってろよアース!この()()()()()()()()が!今から行くぜ!」

 ロストライト号艦長、ホットロディマス。燃える心を持った、熱き若者。

「しゃあっ!マグナスはあんなこと言ってたが、もう我慢ならねえ!ロストライト号全速力だ!目的地はアース!出発進行!」

 ホットロディマスの声に合わせ、ロストライト号は速度を上げる。

 その時である。

「うおっ!?なんだ!?」

 突如としてロストライト号に衝撃が走る。ホットロディマスのいる艦長席の前にあるモニターには、"襲撃"の文字。

「畜生・・・・・・こんな時にもかよ!飽きねえな、()()()()()()!」

 そう叫び、ホットロディマスは立ち上がる。

「ロストライト号速度上昇!今は一応船員達の就寝時間だ。ワープ機能で一気に逃げる!」

 指示を聞き、ロストライト号は急加速し、次第に光りに包まれていく。

「あばよ!今は遊んでやれねえんだ。また今度じっくりしごいてやるぜ!」

 光が晴れるころに、そこには何も残っていなかった。




とりあえず一段落つきました。
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