トランスフォーマーIS   作:ダイダゼノンド

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第二十一話 来訪者

 太陽系第三惑星地球。その周辺宙域に、宇宙空間には不自然な物体があった。

 それは列車。紫色をした列車に青色の列車が連結された状態で宇宙を走っていた。

「見えたねえ兄上」

「視覚機能で捉えられた・・・・・・近づいてきたな弟よ」

 それは、デストロンバイオメガトロン派に所属する星間航行兵。アストロトレインとスペーストレイン。

「とてつもない速度だ。この分では数日程度でアースに到着するだろうな弟よ」

「相変わらずの巨大な船・・・・・・ワープこそしないだろうけど、危険度が上がってきたねえ兄上」

「・・・・・・待て、違う船が見える。重なって一つになっていたか」

「あれは・・・・・・識別できない。おそらく個人の船だよ兄上」

「凄まじい速度だ。ロックダウンの船を上回っている。報告の必要があるな弟よ」

「早速暗号化して送信するよ兄上」

「頼むぞ弟よ。不審船ありとな・・・・・・ッ!なんという速度!何なのだあの船は・・・・・・」

 アストロトレイン達のすぐ側を高速で通り抜け、不審船は地球へ降りるルートを進む。

「あの速度で大気圏に突っ込むのか!?」

「よほどのバカか、それだけ装甲に自信があるのか・・・・・・なんにせよ報告はさせてもらうけど」

「うむ・・・・・・なんだ!?」

 地球へ落ちていく不審船に気を取られていた二人の周囲を回転しながら進み、地球に向かう物体。

「今度は一体なんだ!?」

「データベース照会・・・・・・あった。記録あり。あれはロックダウンが持っている小型船だよ兄上」

「なるほど。先遣隊か?いや、それにしてはどうにも丸いな・・・・・・」

 物体を注視するアストロトレインに答えるように、小型船から二つの影が分離した。

「あれは・・・・・・」

「考えていることは一緒だよ、兄上」

「そうだな弟よ。こちらに向かう飛来物。十中八九間違いない」

「迎え撃とう」

「アストロトレイン!」

「スペーストレイン!」

「「トランスフォーム!」」

 連結を解除し、二人はロボットモードに変形。銃を手に構えた。

「来る!」

「落ちろ!」

 射程距離内に入った二体に弾幕を浴びせる。

「うわああっ!?」

「当たるか下手くそ!」

 しかし一体には当たったものの、もう一体は軽々と避けて見せた。

「ジンブ!トランスフォーム!」

 弾幕を回避した黄色い戦闘機はロボットモードに変形し、巨大な砲台を手にアストロトレイン達に突撃する。

「カブトランチャー!」

「うおっ!?」

「なんの!」

 二人は難なく回避したものの、ジンブの射程距離内から出ていないことは理解していた。そのため一度離散し、敵対する二体を睨む。

「チィッ、ちょこまかと・・・・・・おい!ガンオウ!何をボケッとしている!とっとと起きないか!」

「う、うぅ・・・・・・もろに食らった・・・・・・」

「それがどうした!落ちこぼれのお前の唯一の利点を使ってやるために選んでやったんだぞ!泣き言をほざくな!とっとと攻撃しないか!」

「う、ウオオオオオッ!トランスフォーム!」

 角ばった赤い装甲車からロボットモードに変形したガンオウは、槍を手にスペーストレインに狙いを定めた。

「そっちか。まあいい。ならば俺はお前だ!」

 ジンブは砲台を構えアストロトレインを襲う。

「そのような太い光線に!」

「ゼロ距離でやってやる!」

「くっ!」

 徐々に距離を詰めるジンブに対し、アストロトレインは縦横無尽に動くことで回避する。

「当たれよクソッ!」

「噂通りパワーはあるな!ロックダウン派!だが、その分では頭は回らないと見える」

「なんだと!?はっ、ぐわあっ!?」

「ゴバアッ!?」

 アストロトレインを追っていたジンブはガンオウに近づいていたことに気付かず、アストロトレインに誘導されるがまま衝突してしまった。

「無事か?弟よ」

「勿論だよ兄上。動きは大振り狙いはブレブレ。力はあってもあれじゃあね」

「クソが・・・・・・バカにしやがって・・・・・・良いだろう。認識を改めるぞ。オーバーキルだ!ガンオウ!あれをやるぞ」

「あれ?だがあれの目的は」

「口答えするな!なんのためにお前をうちにいれてやったと思ってる!?愚図は愚図らしく強者に従え!」

「う、わかった・・・・・・」

「それでいい。ジンブ!」

「ガ、ガンオウ・・・・・・」

「「リンクアップ!」」

 そう叫ぶとジンブは上半身に、ガンオウは下半身に変形し、合体した。

「カブト装着!ダイジンブ!」

「なんと、リンクアップとは・・・・・・」

「驚きだねえ兄上。しかし、少しばかり気にくわないね」

「そうだな弟よ。組織とは手を取り合ってこそ。協力してこそだと言うのに、あれではな・・・・・・」

「ごちゃごちゃうるせえな!強い者が弱い者を支配する。何も間違っちゃいない!」

「間違っていないだけだ。個々の力などたかが知れている。相も変わらず弱肉強食主義の個人主義で、些か安心したよロックダウン派!」

「うるせえええええええ!」

「如何なる生命体にも出来ることと出来ないことはある。それを補うために組織はある。まあ、イヤーセンサーに入ってもブレインには届かないだろうけど」

 怒声を上げるダイジンブを散開して回避する。

「ヂイッ!・・・・・・待て、時間だ。思いの外時間を食った。バイオメガトロン派、侮っていたな・・・・・・今すぐにロックダウン様のところへ向かわねば・・・・・・!」

 動きを止めたダイジンブは、アストロトレイン達に背を向け、地球へ体を向けた。

「用意は良いな?ガンオウ」

「待、待ってくれまだ、まだ・・・・・・!」

「元々このためにお前を使う予定だった。それはお前も理解しているはず」

「で、でも・・・・・・」

「あばよ、鉄屑」

「うわあああああああっ!」

「なに!?」

「なんと!?」

 ダイジンブは下半身になっているガンオウを爆破し、爆破の勢いを利用して地球へ落ちる小型船に追い付くよう進んだ。

「よもや捨て駒を用意しているとは・・・・・・そして合体まで・・・・・・」

「思った以上の脅威だねえ兄上」

「元より警戒はしていたが、優に上回ったな弟よ」

「あれが、地球に・・・・・・」

「祈ろうではないか。我等の主を。期が来れば我等も呼ばれよう」

「それもそうだねえ兄上。我等は星の間を周回する列車。バイオメガトロン派だけの特別な線路を走る者」

「この事も伝えておけ弟よ。大事になるかもしれない」

「勿論さ、兄上」

「それにしても、聖地と呼ばれるこの星に、どうしてこうも来訪者のいることか・・・・・・」

 スクランブルシティメトロフレックス司令室に、ブレードコンボイとマイスター。そして、IS専用機持ちでありスカウトチームの面々とターンが集まっていた。

「こうして集まってくれた理由は、皆分かっているだろう。君達に対し、情報共有が足らず、申し訳なかった」

「いや、そんな。誰だって失敗とかありますよ」

 ブレードコンボイの謝罪から始まり、神妙な面持ちの中話が始まった。

「それで、トキシトロンとは一体何者なんだ?」

「トキシトロン・・・・・・奴は、私の二期上の士官学校生だった」

「奴が問題をおこしたのは、正しくはサイバトロン入隊後だがな」

 ブレードコンボイの言葉をターンは訂正した。

「ああ。学校での成績も良く、新兵達の中でもリーダー格だったという。士官学校の後輩達を鍛えてくれることもあった。誰もが理想的な戦士、上に立つ者として素晴らしい存在だという印象を持っていた。だが、トキシトロンは事件を起こした」

「事件?」

「遭遇した君達なら、奴の性格が分かるだろう?シャルロット君、ラウラ君」

「ああ。言動も支離滅裂で、破綻者といったところだな」

「そうだ。それが奴の本来の性格だった。後輩や上官達に見せていたのは、取り繕った見せ掛けの人格。人格抑制プログラムを使っていたらしい」

「人格抑制プログラム?」

「トランスフォーマーのブレインに作用して、口調や言動を矯正する類いのものだ。種類は豊富にあるが、犯罪者の社会復帰やPTSDの治療に使われる。医師の処方が必要になるよう規制されていて、個人で購入するにしても一握りの富豪が数百年かけて稼がなければならないほどの金額が設定されている」

 鈴音の疑問にマイスターは答えた。

「トキシトロンは人格抑制プログラムを、セイバートロン会議の際に解除した。この会議はサイバトロン軍の上層部と、セイバートロン管理局の上層部。最後の一人(ラスト・プライム)であるアルファートリンの親衛隊、そしてサイバトロン最高評議会の面々が行う報告会のようなものだ」

「サイバトロン最高評議会?」

「サイバトロン軍と管理局を統括する組織さ。コンボイの任命や政治における最終決定を担っていた。まあ、今はセンチネルが業務や権利のほとんどを管理局に移したので、あってないようなものだがね」

 箒の疑問に再びマイスターは答えた。

「トキシトロンがセイバートロン会議の際に行ったのは、破壊と殺害。設備や建物を破壊し、当時の上官や管理局からの参加者、最高評議会のメンバーなどを殺害した。それに、奴の体から出る粘液、スライムによって、汚れもした」

「その後奴は姿を消した。そうだろう?」

「ああ。ターンの言う通り、その後トキシトロンは消息を絶った。その後もトキシトロンによるものだと思われる事件は起きた。しかしこの事は秘匿され、それぞれの上層部のみが知るものとなった。戒厳令こそ出てはいないがね」

「私達が聞きたいのはそこだ。何故、知らされていなかったのか」

 話し終えたブレードコンボイにラウラは追及する。

「それは・・・・・・」

「それは?」

「・・・・・・必要が無いと思っていた。元よりある程度の地位のある者に知らされることだ。それに、この星に来てはいないだろうと断定していた」

「そうだったのですか。司令官の考えあってのことだ」

「聞き捨てならんな」

 納得を示さんとしたセシリアの言葉を遮り、ラウラは再度ブレードコンボイに問いかけた。

「必要が無いだと?仮にも要注意人物だ。話を聞く限り、地位の高い者ならば知らされるのだろう?だがその言い方じゃあ、教官・・・・・・いや織斑先生やこのIS学園の学園長にも話していなかったのだろう?どうなんだ?」

「・・・・・・その通りだ」

「つまり、我々を信用しきっていなかったんだな?」

「そんなことはない!この星の人々への信頼は、本物だ!」

「なら何故言ってくれなかった!?命の危機にすらなったんだぞ!?」

「そ、それは・・・・・・」

「そんなにメンツが大事か!?そんなに例外が嫌か!?答えてくれブレードコンボイ!」

「落ち着けよ、ラウラ」

「これが落ち着いていられるか!一夏、君と私では軍というものの理解度が違うだろう。だからわからないかもしれないがな、上の勝手な都合で死にかけるような目に会うなんてことは、どんな高尚な理屈があろうと言葉だけではいそうですかと流せやしない!」

「・・・・・・」

 ラウラの叫びにブレードコンボイは言葉を返せなかった。

「そりゃあメンツは大事だよなあ。守らなきゃあ恥なんだから」

 静寂を破ったのはターンだった。

「私が士官学校にいた頃からそうだった。管理局も評議会も、何よりも自分達のメンツを保つためにはどんなことであれ躍起になる!とうに腐っていた。お前もその一人になっていたとはな」

「それは誤解だ!確かに問題があるというのは認めるが、私もだと?」

「その発言が何よりの証拠だろう。他を落としても自分は違うと、自分だけは違うと!」

「そんなことはない!言葉の綾だ、揚げ足を取るような真似はやめるんだ!」

「ハンッ!そうかいそうかい。では君に聞こう。近々ヴェロシトロンレースが開催されるが、どこでやるのかな?」

「そ、それは・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・この宙域だよ。前に私が持ってきた雑誌にこの事は書いてあったんだがね。その様子では、読まずに捨てたか」

「そんなことはない!捨ててなど、捨ててなどいない!」

「捨てていないだけだろう。開いてもいない、積んであるだけか。・・・・・・かつてのお前ならば、もっと上手くやっていた。時間の作り方も、何もかも衰えたな」

「っ・・・・・・」

「お前はいつもそうだった。責任感は強いがどこか甘い。厳しさは微量で、飴と鞭の成立しない奴だった。それが今回のことに繋がった・・・・・・理解しているんだろ、ジークブレード!」

「ッ!その名前で呼ぶな!ターン!」

「ジークブレード?」

「ブレードコンボイのかつての名前さ・・・・・・コンボイになる前のな。コンボイに就任すれば名前をガラリと変える奴もいるが、こいつは一部を取ったのさ」

 一夏の疑問の呟きにターンは答え、さらに続ける。

「みっともない奴だよ。いや、みっともない奴になっちまったな!私が、俺が嫌った奴らと同じになった!責任がそこまでお前をつまらなくしたのか!?かつての熱もなにもかも冷めきったな!多少の例外がなんだ!お前は誰かのためになるなら平気で禁止行為にも走る奴だっただろうが!」

「黙れ!」

 止まらないターンの言葉にブレードコンボイは声を荒らげた。

「大人しくしていれば好き勝手に!お前に何が分かる!?私に無いものを全て持っていたくせに!才能がありながら、自分勝手に逃げ出したお前に!」

「分かるね!ジークブレード、お前の中のコンボイでない部分なら、俺はお前と同等くらいに理解しているぞ!」

「馬鹿を言うな!」

「いいや!お前とどれ程の期間過ごしたと思っている!?前々から変わっちまったと分かっちゃいたがな!トキシトロンで確信出来たよ!この馬鹿野郎!」

 激情を露にしたターンはブレードコンボイの胸ぐらを掴み窓際へ押し付ける。

「お前なら、お前ならば今までと違うと!今までとは違うんだと思いたかったよ!ジークブレード!」

「本当に・・・・・・本当に勝手な奴だお前は!勝手に望んで失望して!私が今までどれ程忙しかったか!お前は知らないだろうが!」

 組み合ったブレードコンボイとターンは窓を突き破りメトロフレックスを飛び出しスクランブルシティの地面に叩きつけられた。

「タアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!」

「ジークブレードオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

 落下の衝撃で距離が取れた二人は叫びながら走り、拳が拮抗する。

「バカだよお前は・・・・・・俺が思った以上に!」

「ならお前は阿呆だターン!愚か者だ!」

「ウオオオオオオオッ!」

 再び距離を取ったターンは右腕の2連砲塔を乱射しブレードコンボイを狙う。

「スーパーモードッ!」

 襲い来る光弾を飛び上がって回避、そのままスーパーモードになった。

「ブレードミサイル!」

「そんなものがっ!トランスフォーム!」

 ブレードコンボイの右腕から放たれた二つのミサイルを避け、地面に着弾したミサイルの爆風でターンは飛び上がりビークルモードに変形。そのままブレードコンボイに突撃した。

「ゴハアッ!」

「トランスフォオオオムッ!ウラアッ!」

「グハァッ!」

 ロボットモードに変形したターンはそのままの勢いでブレードコンボイの頭にかかと落としを食らわせらる。

「お前とは分かり会えていた!そう確信していた!だが結局こうなるか!」

「お前が・・・・・・望んでいただけだ・・・・・・私に・・・・・・俺に・・・・・・幻想を見ていただけだ!トライファイアー!」

 立ち上がったブレードコンボイは口から火を放ち、ターンを炎で包む。

「こんなものをっぐっうぅ!あああああ!」

 炎の中で耐えるターンだったが、突如顔を抑え苦しみだし、炎の勢いに押され吹き飛ばされた。

「痛むか?痛むのかターン!その顔の傷が!」

「どうということはない!甘く見積もるようになったな!本当に!」

 仮面を顔に強く押し付け、ターンはブレードコンボイを睨む。

「忘れていたな・・・・・・忘れる程に染まったんだな・・・・・・ッヴォイスブラスター!」

「んなっ!?ガアアアアアアアッ!」

 ターンの胸部から放たれた衝撃波がブレードコンボイを襲い、火花を散らしながらスーパーモードが解除された。

「ぐ、ううぅ・・・・・・」

「隠し球、などとは言わせん。かつて幾度か見せたものだ。俺のグリッチシステムはな!」

「音と振動のグリッチシステム・・・・・・ああ、そうだな。お前のそれは、この上なく厄介だ。だがお前も忘れているぞ?俺がそれをどういなすか!Jブレード!」

 二本の剣を手にしたブレードコンボイは真っ直ぐターンに向かって走り出す。

「!・・・・・・ヴォイスブラスター!」

「フンッ!」

 再び放たれた衝撃波に対し、ブレードコンボイはJブレードをターンの足元に向けて投げた。

「ウオアアアアアッ!?」

 するとターンはバランスを崩し地面に叩きつけられた。

「ヴォイスブラスターは威力が高い。だがその分反動も凄まじい!そこだ。ターンッ!」

「グ、ウオオオオオオッ!」

 殴りかかるブレードコンボイを前に、気合いで立ち上がったターンも拳を突き出した。

 二人の拳がぶつかり合い、力が拮抗する。

「タアアアアアアアアアアアアンッ!!!」

「ジークブレードオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

 ついに互いの両手を掴み合い、地面に亀裂を走らせるほどの力を見せる。

「ウガアアアアアアアアッ!!!」

「オオオオオオオオオオッ!!!」

 激しい力の拮抗は徐々に二人の腕をも蝕み、火花が散り軋む音が響く。

「おーい!そこの二人ー!」

 その時だった。

「退いてくれー!というか逃げてくれー!」

「何!?」

「邪魔をするな!」

 互いに力を掛けながらも意識を声の方に向けると、そこには走りながら叫ぶファングウルフの姿があった。

「逃げてくれー!フレイムスカージ様がー!」

「ブルゥゥゥゥゥアアアアアアアアア!!!」

 メトロフレックスの横にある神殿から炎と怒りを孕んだ叫びを上げながらフレイムスカージが姿を現した。

「バナァナアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!お前らいつもいつも馬鹿の一つ覚えみたいにバナナ持ってきやがって!肉を食わせろ!!!」

 怒りを爆発させながらブレードコンボイ達の方へ走り出す。

「な、なんだ一体!?」

「あわわわ・・・・・・いつも肉じゃなくて、安くて栄養があるバナナばっかり捧げてたから限界が来たみたいで・・・・・・」

「そんなバナナ!?」

「ふざけている場合じゃないぞ!?」

「とにかく逃げてー!」

 迫り来るフレイムスカージから手を掴んだまま逃げ出すブレードコンボイとターン。

「何事!?」

 メトロフレックスから出てきた一夏達は目の前の愉快な状況に困惑する。

「我々がメトロフレックスから出てくる間に何が・・・・・・?」

「ゼェ、ゼェ、ゼェ・・・・・・広すぎでしょメトロフレックス・・・・・・こんな走るなんて・・・・・・」

「とにかく、早いとこ止めなければ。・・・・・・ンフッ」

「でも、何て言うか・・・・・・司令官とターン、楽しそうですね。さっきまであんなにバチバチしてたのに・・・・・・」

「ぶつかり合って、良い方に作用したんだろうな」

 フレイムスカージと炎から逃げるブレードコンボイとターンを見て、一夏とラウラはそう溢した。

「ウオオオオオオオオッ!」

「オオオオオジークブレード!私は失礼させてもらう!」

「ウオオオオオオオオッ!」

「は、離せ!手を!離せ!貴様道連れにする気か!?」

「私だけは御免だ!せめてお前も焼かれてもらうからな!」

「正気か貴様!?」

「正気でこんなことが出来るか!?」

「貴様ァー!」

「ブルゥゥゥゥゥアアアアアアアアア!!!いちゃついてんじゃねえぞゴルァ!フレイムスカージ!変身!ウルゥアアアアア!」

 ロボットモードに変身したフレイムスカージは、自らの尻尾が分離した混紡をブーメランのように二人に投げつけた。

「「ウワアアアアアアアッ!!!」」

 混紡が直撃した二人はボーリングのピンのように弾け飛んだ。

「フゥゥゥーーー・・・・・・今日のところはこれで勘弁してやるぁ・・・・・・明日は肉だ!」

 ひとしきり鬱憤を晴らしたのか、フレイムスカージは神殿に戻っていった。

「あああごめんよ二人共・・・・・・」

「フ」

「フフ」

「?」

「「フハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」」

 困惑するファングウルフをよそに、ブレードコンボイとターンは笑いだした。

「ハァー・・・・・・なんだか、こんなに我を忘れたのは久しぶりだ」

「フフフ・・・・・・ああ、なんだか童心に帰ったような気がする」

 立ち上がった二人は向き合い、お互いの目を見つめ合う。

「・・・・・・お前を、もう少し信じることにする。じゃあな」

 そう言い残し、ターンは連絡橋へ歩きだした。

「ターン!」

「・・・・・・」

「・・・・・・また来いよ」

 ブレードコンボイの言葉にターンは手を振って答えた。

(ジークブレード・・・・・・今回は発散出来たんだろうが、お前の性格じゃあな・・・・・・いつか壊れてしまうぞ・・・・・・)

「エアラクニッド」

「は」

 セイバートロン星にそびえる巨大タワー。セイバートロン管理局局長室。

「遂に話がまとまった。場所も割り出せた。アースへ向かうとしよう」

「船の準備は完了しています。後は貴方の承認のみでございます。センチネル様」

 セイバートロン管理局局長、センチネル。青い体に豪華絢爛な装飾で着飾った、セイバートロンにおいて最も強い権力者である。

「もうすぐだな。ご老人は丁重に扱っているな?」

「はい。望むものを与え嫌がるものを遠ざけ、完璧に管理しております」

「よろしい。エアラクニッド、君は先に高速船でアースに向かい、マトリクス捜索に当たれ。私は基地を磐石のものにする」

「かしこまりました。」

 そう言うとエアラクニッドは局長室を後にした。

「フ、フフフ・・・・・・フハハハハハハハハハハ!ああ、もうすぐだ。もうすぐだ!もうすぐ私のこの胸に、マトリクスが収まる日がやってくる!あの頑固なジジイから、とはいかなかったが・・・・・・まあその内奪えるさ。どうせ私よりも早くくたばるものな!アルファートリンは!ハハハハハ!・・・・・・ん?」

 上機嫌に笑うセンチネルだったが、局長室の電話の音に現実に引き戻される。

「んっんん・・・・・・なにかね?」

『景気が良さそうだなセンチネル』

「ああ。おかげさまで」

『仮にも権力者が、私にそんな口調で良いのかな?』

「ご冗談を。今、私がここまで順調に事を進められるのは貴方のおかげなのですから」

『そうか。こちらとしてはただの利害の一致。感謝されるつもりなど無いが、その言葉素直に受け取るとしよう』

「はい!ありがとうございます・・・・・・ところで、本日はなんの御用で?」

『今、私はアースにいる』

「な!?アースに!?」

『この事を伝えておこうと思ってね・・・・・・何か不都合があったかい?』

「い、いいえ!なにも!」

『それは良かった。互いに気持ちの良い関係を続けたいからねぇ・・・・・・』

「は、はい!私達にも手伝えることがあれば、何なりと!」

『そうか。では、一つ頼まれてくれないかな?』

「はい!どんなことでも承ります!」

『頼もしいよセンチネル。流石は私の見込んだ、いやさ惚れ込んだ男だ』

「そんな・・・・・・もったいないお言葉にございます!」

『では、本題に移ろう。今、それなりに大きな仕事をしていてね・・・・・・君のところに、スペアパーツはどれくらいあるのかな?』

「スペアパーツ?そこそこの数ならありますが・・・・・・」

『よろしい。それを全てくれないかな?』

「す・・・・・・全て、ですか?」

『ああ。全てだよ。ギアや内部回路から装甲にいたるまで、ありとあらゆるパーツが欲しい。君が、自分の持っている物を渡すのが嫌だ。と言うのなら・・・・・・医療機関を当たり、どうにか工面して欲しい。具体的には、平均より少し上くらいの大きさの者を賄える程と、念のため予備にもう一体分が欲しい。ダメかな?』

「い、いえ!ダメということはありません!しかし、その量となると、些か時間が掛かってしまうかと・・・・・・」

『・・・・・・これは、なるべく急ぐべきものなのだ。君の力を信じ、君の心を信じ、君の勇気を信じて頼んでいるのだよ?なるべく早く。なるべく良いものを・・・・・・頼めるかな?』

「・・・・・・・・・・・・わかり、ました。アースを基準に、一、二週間程掛かると思いますが・・・・・・あぁ、私にも用事があります!アースに着いて、一番にやらなければならないことが!」

『うむ。では待とう。君の計画は少しだけ私も知っているからね。確か、あのレースで挨拶をするんだったかな?』

「はい!左様でございます!」

『では、そこから一週間以内。出来るね?』

「はい!」

『ありがとう。私は、良い仲間に恵まれたよ』

 相手は通話を切った。

「・・・・・・余計な仕事が出来てしまった。だが完璧にこなしてみせるとも!何故なら私は未来の英雄。万民に敬われ恐れられ慕われ崇め奉られるようになるんだからな!それまでの下積みと考えれば安いものよ・・・・・・フフフ・・・・・・フハハハハハハハハハハハハハ!!!」

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