トランスフォーマーIS   作:ダイダゼノンド

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追記 一部修正しました


第三話 サイバトロンとデストロン

「司令官、ここです」

「ここは・・・・・・」

「IS学園。自分達はここで匿ってもらってたんです」

 新宿でのデストロンとの戦いの後、サイバトロン総司令官ブレードコンボイは、同じくサイバトロンの偵察員、アダムスに運ばれ地球の臨時基地に向かっていた。

「うん?これは、サイバトロンシグナル?」

「リジェかトレイルブレイカーのどちらかが出してるんでしょう」

「そうか・・・・・・」

「あ、見えて来ましたよ!」

 IS学園校門前、そこには、フォーミュラカーとボックスカー、そして大勢の人間がいた。

「あそこにいるのはこの学園の職員の方々です。自分達の目的を聞いて、快く学園の一部を貸してくれたんです」

「そうか。では、礼をしなければな」

 そう話していると、着陸できる場所まで到達した。

「ブレードコンボイ!トランスフォーム!」

「リジェ、トランスフォーム!」

「トレイルブレイカー、トランスフォーム」

「久しぶりだな。2人とも」

「司令官殿もお変わりなく」

「トランスフォーム。司令官、再会の挨拶もいいけど、まずは彼女達に」

「ああ。そうだったな」

 トレイルブレイカーから、学園職員達に向き直る。

「改めまして、私がサイバトロン軍総司令官。ブレードコンボイです。部下が世話になってるようで」

「いえ、彼らの発明には我々も助けられていますよ。申し遅れました。私は織斑千冬。以後よろしく」

「ああ。よろしく」

 2人は大きさが違い過ぎるため、握手ではなく掌を合わせた。

「早速で悪いんですが、総司令官たる貴方に聞きたいことが」

「なんです?」

「あのニュース映像。アレを見たものは多い。無論この学園にも。そこで、貴方がたの存在を公にしたいと考えています」

「そうか・・・・・・私は構わない」

「司令官」

「良いんだ。トレイルブレイカー。これからスペースブリッジを通って、本格的に私の部下がアースにやってくる。余計な混乱が生じてしまうかもしれないからな」

「そうですが・・・・・・」

「無論こちらもただ発表して終わりではなく、その後の社会的影響への対処に全力をもって取り組みます」

「いやしかし、我々は宇宙人の部類だ。慎重になったほうが良い」

「固いなぁトレイルブレイカー。良いってんだからいいじゃないか」

「深く考えろリジェ。これは信用問題にも関わる。IS学園は今や世界のパワーバランスの一端を担うISの専門学校のようなもの。そんな施設が、今の今まで宇宙人を匿っていたと、あんな破壊行為があってすぐに同族と協力関係にありましたと公してみろ!中傷は免れんぞ!」

「そのために、サイバトロン軍を動かしたんだ」

「司令官・・・・・・」

「生命体は・・・・・・分かりあえる。言葉で伝え、行動で示し、歩み寄って手を繋ぐ。そのために、私はこの星に、聖地たるアースにサイバトロン軍として来訪した」

「ですが司令官。自分達が友好を結ぼうとしても、デストロンがいますよ?」

「ああ。そもそも私は、デストロンを追ってここにいる。織斑千冬君」

「何でしょう?」

「我々の事を公にするのなら、伝えてほしいことがある。サイバトロンとデストロンの二つの派閥があること。そして、我々サイバトロンはデストロンを捕獲、もしくはこの星から追い出すことができた後、この星を去ることを」

「わかりました」

「そういうわけだから、このセイバートロニアン?トランスフォーマーというのと協力関係になった。学園全体で彼らのサポートなりバックアップなりして向こうの技術なりなんなりを受け取ったりする。授業にも参加してくださるから、お前達、失礼のないようにな」

「はい」

「なんだオルコット?」

「あの、軽すぎませんか?」

 この瞬間、クラスは一つになった。

「まあ、本来は全校生徒を集めて発表するべきなんだろうが、昨日のニュースを見てない者のほうが少なかろう?それに一箇所に集めてパニックをおこされるのも困る」

「それに、担任を持っていない先生方が会見の準備をしていまして、人手が無いので各クラスで伝えることに・・・・・・」

「会見は昼の13時に行われる。今日はそのことで授業はこれで終了だ。私も顔を出すからな。放課後は私に用事がある場合他の教員に伝えるようにしてくれ」

「それでは、この時間は皆さんにトランスフォーマーについて知ってもらう時間にしますね」

 山田真耶は端末を操作して黒板に画面映像を映した。

「ビデオ会議の形で彼らの代表者から話を聞く。心して聞けよ」

 黒板には一人のトランスフォーマーが映された。

『はじめまして。私は、サイバトロン軍総司令官。ブレードコンボイ。遥か彼方にある惑星、セイバートロン星からやってきた。疑問等々あると思うが、以後よろしく頼む』

リワインド、あれが・・・・・・

ああ。間違い無い。総司令官だ

『サイバトロンは私だけではない。今は席を外しているが、副官のマイスター。エンジニアのホイルジャック。他にはトレイルブレイカーやリジェ、アダムス、アイアンハイドなどがいる。これからも他の仲間がこの星を訪れる予定だ。私達サイバトロンは、この星にやってきたデストロン。その中でも、バイオメガトロンの一派である、私達の敵対組織を捕獲、もしくはこの星から追い出す事が出来次第、この星を去る。それまでの間、よろしくね』

「質問がある奴は・・・・・・いないな。じゃあ終了するぞ」

 黒板に映されていた映像がきれた。

「これで今日は終わりだ。我々は会場設営諸々があるから」

 そう言うと織斑千冬と山田真耶は教室を出ていった。

「本当に終わったよ・・・・・・」

「一夏、これからどうする?」

「どうするもなにも・・・・・・何かすることあるか?」

「無いよな・・・・・・」

「あの、少しよろしいですか?」

 一夏と箒が今後の事を話していると、セシリア・オルコットが話しかけた。

「なんだ?オルコット、さん」

「セシリアで構いませんわ。一夏さん。あの、私、謝りたくて」

「謝る?」

「はい。決闘の際、シールドエネルギーの不具合があったと知ってなお、私は攻撃を続け、怪我を負わせてしまいました。本当に、申し訳ございません」

 セシリアは深々と頭を下げた。

「いいって、そんな。俺も続けようとしたわけだし」

「ですが、傷つけたのは事実!謝罪させてくださいまし!」

「わ、わかった。セシリアももうあんなことはしないだろ?じゃあこの話はおしまいだ」

「ありがとう、ございます・・・・・・ですが・・・・・・」

「それじゃあ、今日はもう暇だし、ちょっと早いけど食堂に行こうぜ。セシリア、なんか奢ってくれよ。それでチャラだ」

「へ?そんなので、そんなことで、良いのですか?」

「良いよ。軽傷だし」

「ああ・・・・・・はい!」

 そう言うセシリアの頬は赤らんでいた。

 食事を済ませ、一夏は箒と共に部屋に戻っていた。

「トランスフォーム。まさか、こんなに早く公になるなんてな」

 リワインドがそう言うと、一夏と箒は深く頷いた。

「思わずサイバトロンシグナルも切ったけど、これからどうするかな・・・・・・」

「どうするって?」

「総司令官がこの学園にいるんなら、俺がいる事を伝えたほうが良いか、てこと。隠し通すのも手だが、メリットが無い。でも正体を明かして何かあるかと言われても微妙だし」

「ああ、そっか・・・・・・」

「やましいことがないなら、別に問題無いのでは?」

「いやー、実を言うと俺は脱走扱いなんだよね。そんなのがあんな責任者に顔を出すってのもね・・・・・・」

「そういうことか・・・・・・」

「まあ、今すぐじゃなくても良いんじゃないか?」

「それもそうかぁ・・・・・・そうだよな。丁度良い時期に言うとしよう」

 会見が終わり、世間の反応は様々だった。

 トランスフォーマー、セイバートロニアンという異星人の存在。サイバトロン。そしてその行動と帰結。

 デストロンなる者達を捕らえるために来訪したこと。永住することはないこと。

 それらを聞いた人々は、楽観する者。興味を示さない者。忌避する者。恐れる者。実に様々だった。

「新聞持ってきたぜ」

「号外じゃん」

「・・・・・・」

 渡された新聞紙の文字を読む。

「宇宙人トランスフォーマー。だってさ。変身する人、なんて安直な呼び名つけたもんだよなー」

「セイバートロニアンで良いのにね!」

「でもどうすんの?デストロンも来たんなら、アイツラのとこに戻る?」

「何言ってんのさフレンジー!おまえこき使われたいのか!?」

「そんなことはねえけどよ、でも見つかって連れ戻されるよりはさ!」

「静カニシロフレンジー、ランブル」

「サウンドウェーブ・・・・・・」

「デストロンニハ戻ラナイ。サイバトロンニモクダラナイ。ココニイル」

「そ、そうだよな。俺達は、そのために逃げたんだ」

「戻ッテキタナ。ジャガー、リターン」

 四足歩行動物の姿をしたロボットはカセットのような姿になり、胸に収まった。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ココモモウダメダナ」

「え!?なんで、こんな薄汚い雑木林を選んだのに!?」

「雑木林ガ裏目二出タ。原住民ノ中二ココノ管理者ガイタラシイ。移動スルゾ。フレンジー、ランブル、リターン」

 人型の2人もカセットのような姿に変形し、胸に収まった。

「・・・・・・デストロンニハ戻ラナイ。サイバトロンニモクダラナイ。モウ、疲レタ。セイバートロンヲ手二シタトコロデドウニモナラナイ。モウ、オレニハナニモ、関係ナイ」

 雑木林の奥へ進んでいく。

「同胞ニナリウルカセットボットヲ見ツケ、声ヲカケタガ無駄ダッタ。ドウセオレハ、誰二モ理解サレルコトハナイ。コノ星は聖地、オレノ安寧ノ地デアルハズナンダ・・・・・・」

ガサ

「!」

 背後からした音に振り返る。しかし、そこには何もなかった。

「・・・・・・風カ・・・・・・グワアッ!?」

 警戒を解いた瞬間、横から何かに襲われる。

「ヴヴヴ・・・・・・」

「オ前ハ・・・・・・デストロンノビースト戦士!確カ、バーバリアンカ!」

「アァ・・・・・・変身!」

 バーバリアンと呼ばれた巨大熊は人型に変身した。

「サウンドウェーブ・・・・・・連れ戻す・・・・・・命令・・・・・・」

「デストロンメ、捨テ駒ヲ送ッタナ」

 銃を構え臨戦態勢に入る。

「バットスカウト!」

「グゥッ!」

 右肩から射出されたコウモリ型ロボットを受け止める。しかし、その隙に脇腹を爪で攻撃されてしまった。

「連れ戻す・・・・・・褒められる・・・・・・肉・・・・・・!」

「ビースト戦士、野性的ナ奴ラダッタガ、コイツハ特二理性ガ無イ・・・・・・」

「肉・・・・・・肉・・・・・・肉ウウウウウウウウウッ!」

「ウ、ウオオオッ!」

「グガバァッ!?」

 突進してくるバーバリアンの体に銃を押し付け、そのまま乱射する。

 ゼロ距離で胴体に銃撃を受けたバーバリアンは力無く倒れ、目から光が消えた。

「ハア、ハア、ハア。ヤハリ、銃ハ乱射スルモノデハナイナ」

 バーバリアンを殺した銃は煙を上げ、表面が大破していた。

「流石は情報参謀サウンドウェーブ。幹部まで成り上がれるほどの強さだな」

「オマエハ、スナッパー!」

「バーバリアンも期待外れだな。せっかくグリズリーという強い生物をスキャニングしたというのに」

「ナニガ目的ダ!ナゼオレノ前二イル!?」

「バイオメガトロン様は貴方の力を必要としている。貴方はデストロンに必要な存在だ」

「イヤダ!モウ、アンナトコロニハ戻ラナイ!」

「邪険にされたものですね。ビースト戦士を総動員して貴方を探した。貴方がどこへ行こうと、我々は貴方を見つけ出す」

「勝手ニシロ!誰ガ来ヨウト、返リ討チ二シテヤル!」

「まあ、いいでしょう。今日は挨拶です。いつか必ず、貴方をデストロンに連れ戻す」

 そう言うとスナッパーは姿を消した。

「勝手ダ。ナニモカモ」

「しかし、これからどうするかね・・・・・・」

 日が沈み暗くなった頃、一夏とリワインドは学園の海沿いのベンチに座っていた。

「サイバトロンとデストロンが、しばらく滞在するってんなら、結構慎重にいかないと行けないよな・・・・・・」

「見つかったらどうなるかわからないもんな。確か、リワインドみたいに地球に逃げてきたセイバートロニアンって、結構いるんだろ?」

「ああ。俺が知ってる限りだがサウンドウェーブの他にも、バンブルやビーチコンバー。プロールにブルホーン、スチールジョーとかな」

「その人達と話せないか?今後どうするかとか」

「バンブルとスチールジョーなら通信できる。だが、向こうの都合もある。通信して居場所が割れて・・・・・・なんてこともな」

「あー、なるほど」

「とにかく今は危険な可能性の方が高い。用心するに越したことはないさ」

「そう警戒しなくても良いんだけどね」

「!?」

 突如一夏達の背後から聞こえた声、それは、ブレードコンボイのものだった。

「驚かせて済まない。サイバトロンシグナルが出ていたんだが、私の部下に確認しても誰も出していない、と言われてね。アダムスに頼んで学園中を探してもらったんだ」

「あ、いやー、その、別に逃げようとか、そういうことでは」

「安心してくれ。別に君を捕まえようとか、そう考えているわけじゃない。寧ろ逆だよ。こうしてアース、いや地球人と友情を築けていることが嬉しいんだ」

「へ?」

「あの、ブレードコンボイ、さん」

「さんはいらない。呼び捨てで結構。もしくは司令官で頼む」

「あ、じゃあブレードコンボイ司令官。貴方は、この星に来たセイバートロニアンをどうするつもりなんですか?」

「捕縛して連れ戻す」

「え!?」

「と、いうのは評議会の命令だ。私はどうもしないよ。全て各自の意思に任せる」

「ほ、良かった・・・・・・」

「少し話をしよう。良いかい?」

 一夏とリワインドは頷いた。

「サイバトロンは完全な縦社会なんだ。一番上に最後の1人(ラスト・プライム)であるアルファートリンがいて、その下に最高評議会。その下に私、サイバトロン軍総司令官とセイバートロン星最高管理者がいるんだ。総司令官、という肩書だが、それはあくまで軍部のもの。サイバトロン全体の総司令官というわけじゃない。その性質上、私は直属の部下か、関わりの深い者の名前しかわからない。君の名前は?」

「リワインド」

「そうか、リワインド。そして、君は?」

「一夏、織斑一夏です」

「一夏君か。正直、私は君たちが羨ましい」

「え?なんでです?」

「何度も言うが、私はサイバトロン軍の総司令官。そしてサイバトロンは縦の繋がりが強い。横の繋がりが薄いんだ。私が友と思っている者達も、どこか私に遠慮がちでね。時折寂しさを感じる事がある。それに変わって、デストロンは横社会と言える」

「デストロンが?」

 リワインドは疑問を口にした。

「ああ。デストロンは破壊大帝といったリーダーを絶対的な頂点として、その下の全員が平等なんだ。派閥の中で部隊を作って上下関係を作っている者もいるが、それでも横の繋がりは強い。デストロンはあくまでも非正規軍。だから明確な上下関係は、破壊大帝とそれ以外しかない。正直、そこだけはデストロンが羨ましいよ」

 そう言うブレードコンボイの顔は、どこか寂しげだった。

「デストロンの、バイオメガトロンの目的は、大デストロン帝国なるものを築き上げることらしい。バイオメガトロンは、圧政による平和を掲げている。全宇宙の生命体を支配する国を作り上げようとしてるんだ」

「そんな、すごい連中なんですか、デストロンって」

「ああ。すごいよ。私1人ではどうにもできないほどに」

「大丈夫なんですか!?」

「ふふ。私1人では駄目だ。だから仲間がいる。スペースブリッジという瞬間移動装置を使い、続々とサイバトロン軍の仲間が訪れている。私はきっと、この星をデストロンから守るさ。奴らは乱暴者も多い。被害は甚大になるだろう。正直私は彼らを倒し切るつもりはない。ただ、この星を守ることに注力しようと思っている」

「倒さないのか!?」

「ああ。デストロンを目の上のたんこぶのように扱っているのは、あくまでも最高評議会と最高管理者だ。私はきっと、彼らと和解できると信じている。まあ、戦っている奴が言うことではないかな」

「そんなこと、ありませんよ。立派だと思います」

「ありがとう。実を言うと、私の部下には元のデストロンの者も多くてね。サイバトロンの中では、浮いているんだ。おっと、随分と話し込んでしまった。付き合わせてしまって悪かった」

「いえ、良い話を聞けました」

「それに、あんたは信頼できるってこともわかった。自慢じゃないけど、俺は人の性格が話し方でわかるんだ。なんとなくだけど。あんた、本当に優しい人だよ」

「ありがとう。自由とは、全知的生命体が持つ権利だ。君達の仲を引き離すことはしない。君達のことは、私から織斑千冬に言っておこう。私の仲間達にも伝えておく。今日はありがとう。また授業で会うこともあるだろう。その時は、また。トランスフォーム!」

 そう言うとブレードコンボイはビークルモードに変形し、去っていった。

「・・・・・・これで俺は常にロボットモードで入れるってわけか?」

「まあ、そうなんじゃないか?でも、学園のみんなが知ってるわけじゃないし、しばらくは説明が忙しくなるだろうな」

「あー・・・・・・確かに・・・・・・」

「なるほど。あれはそんな事を隠していたのか」

 IS学園職員室にて、織斑千冬は通信機を用いてブレードコンボイと話していた。

『隠していた?気付いていたのか?』

「ああ。私はあいつが腕時計をしているところは見たことがなかった。心境の変化があったのかと思っていたが、そういうことだったとは」

『彼らは固い絆で結ばれている。引き離すことは望ましくない』

「ふ。私はあいつの担任であり、姉だ。確かに秘密にされていたことは癪だが、あいつ自身が選んだことだ。干渉はしないさ」

『そうか。良かった』

「それよりも、厄介な問題が出来た」

「なに!?まさか、デストロンが・・・・・・!」

「いや、転入生だ。今日生徒に行った説明をもう一度しなければならない。だが、そんな時間は無い・・・・・・そうだ。君が説明してやってくれないか?」

『私が?』

「ああ。実物を見せる方が手っ取り早いだろう」

「私は構わないが・・・・・・その子はなんというんだ?」

「鳳鈴音。中国の代表候補生で、2組に編入予定だ」

「そうか。わかった」

「それと、クラス代表戦も近い。苦労をかけることになるが、よろしく頼む」

「ああ。私達が力になれるなら、なんであれ手を貸そう」

「頼もしいな」

 

「ああ。ではまた明日」

 織斑千冬との通信を切り、ブレードコンボイはIS学園サイバトロン臨時基地の面々に向かい合う。

「みんな、改めて、ここに来てくれてありがとう。これから我々は、デストロンと戦うことになるだろう。それに並行し、この学園の生徒たちを指導する役割もある。不満がある者はいないか?」

 手を上げる者はいなかった。

「良かった。みんなも知っての通り、この臨時基地はIS学園の敷地内に新たに建造されている。アダムス達3人が、職員達と協力して作り上げたものだ。決して乱暴に扱わないこと。特にホイルジャック!研究や開発は細心の注意をすること!」

「いやー、誤解です司令官!ワシはいつも細心の注意を払っています!払った上で爆発したりするんです!」

「それを直せ全く・・・・・・!」

「まあまあ落ち着いて司令官」

「ああ。少し熱が入ってしまった。ありがとうリジェ。とにかく、私達はこれからこの学園の厄介になるんだ。この星は私達の星ではない。聖地ではあるが、私達の所有物ではなく地球人達のものだ。失礼のないようにな」

「わかってますよ。私達はあくまで客人なわけですからね。それなりのもてなしを期待するなら、それに見合う存在でなきゃいけない。そうでしょう?」

「ああ。そうとも言える。アイアンハイド。君はいつも頼りになるな」

「その言葉、ありがたく受け取っておきますよ」

「司令官。準備、整いました」

 臨時基地の司令室に入ってきたのは、副官マイスター。

「準備?何かしてたんですか?」

「ホイルジャック、君のように地球のものをスキャニングできていない者達にスキャニングをしてもらうために、機材を調節してもらっていたんだ。行こう」

 司令室を出て移動する。

 そこは広く、中央に巨大なポッドが鎮座していた。

「あのポッドの中に入って、スキャニングするものを選ぶんです。私がお手本をしましょう」

 そう言うとマイスターはポッドに入り、中のパネルを操作する。するとパネルの上に車のモデルが出現し、それを目から放たれた光で読み込むことで、スキャニングを実行した。

「まあ、こんな感じです」

 ポッドから出たマイスターは、クラシックスポーツカーを模した装甲をした姿になっていた。

「よし、ホイルジャック、アイアンハイド。君達も」

「ではワシから」

 ホイルジャックは白、緑、赤色のトリコロールのスポーツカーをスキャニングした。

「私の番だな」

 アイアンハイドは赤いボックスカーをスキャニングした。

「司令官!遅れました!」

「いや、問題無いよ。バリケード」

 バリケード。元デストロンのサイバトロン戦士。役職は警備員。

「スカルはどうした?一緒に巡回させていたはずだが」

「スカルなら遅れますよ。あいつはビーストモードなんで、足が遅いんだ。丁度良いから、じっくりと見ていくとさ」

「そうか」

「司令官、この2人に何をさせていたんです?」

「ああ、そういえば伝えていなかったな。ホイルジャック。2人はそれぞれ警備員と防衛戦士。この学園の地理を直接見ることで覚えてもらっていたんだ」

「なるほど」

「それじゃあバリケード、君もスキャニングをすると良い。スカルは戻ってき次第伝えるとしよう」

「スカルの奴はもうしたってさ。司令官と同じく、この星に来た時にデータアーカイブからスキャニングしたらしい」

「そうか。なら強要するわけには行かないな。マイスター、明日か明後日にセイバートロン星から第二陣が来る。迎える準備をしておいてくれ。アイアンハイドとアダムス、君達はバリケードと交代して学園内の見回りを。バリケードは休憩だ。スカルには帰還しだい私から伝えておく。ホイルジャック、トレイルブレイカーの二人は自由で良い。リジェ、君は私と明日の打ち合わせをしよう」

 そして、サイバトロンの1日は過ぎていった。

「フッフッフ・・・・・・ついに来たわ!待ってなさい!一夏!」

「学生か?」

「へ?ギヤアアアアッ!でかいワニイイイイイイ!?」

「あ、おい待て!そっちは何も無い・・・・・・行ってしまった」

 元デストロンのサイバトロン戦士にしてビースト戦士、防衛戦士スカル。彼は常にビーストモード、アリゲーターの姿であり、その存在自体が防衛に一役買っている。

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