「司令官、セイバートロン星からの第二陣到着、及び今しがたスキャニング完了します」
「そうか。メンバーリストを」
「こちらです」
「ふむ。ラチェット、アーシー、ギアーズ、オクトーン、サンドストームの5人か。司令室に案内してくれ。あと、ホイルジャックも呼んでくれないか?この学園の説明を頼みたい」
「わかりました」
サイバトロン軍総司令官、ブレードコンボイの指示を聞き、副官マイスターはやってきた5人とホイルジャックを連れて司令室に戻った。
「みんな、まずは久しぶり。この星と学園、今の我々の状況は後でホイルジャックに説明してもらう。その前に私から、君達に挨拶をしようと思ってね」
「相変わらずですね。安心しましたよ」
サイバトロン軍軍医、ラチェット。救急車をスキャン。
「もうちょっと緊張感があっても良いんじゃないの?デストロンと戦うことになるわけだし」
サイバトロン軍戦闘員、ギアーズ。オフロード車をスキャン。
「ふふ。いきなり怒号が飛び出るよりずっとましよ」
サイバトロン軍調査員、アーシー。バイクをスキャン。
「ははは。手厳しいな。だが、そのやる気が頼もしいよ」
「ま、俺達は仕事するために来たんだ。やる気は出すさ」
「そーそー。そうじゃなきゃここまで来ないっての!」
元デストロンの補給員、オクトーン。そして、サイバトロン軍偵察員サンドストーム。オクトーンはタンクローリーと旅客機を、サンドストームはバギーとヘリコプターをスキャンしたトリプルチェンジャー。
「気合い十分、だな。よし。ホイルジャック、作戦室に案内してくれ。ここの説明を頼む」
「わかりました!」
そう言うとホイルジャック達6人は司令室を出ていった。
「さて、マイスター。リジェはもう向かっているかな?」
「ええ。今朝早くにアリーナに向かいましたよ」
「そうか、良かった。では、私は事務仕事をこなすとしよう」
「あー、そうだ。クラス代表戦が近々あるからな」
織斑千冬から放たれた言葉、それは、各クラスで選ばれた代表選手がISを使って戦う、クラス代表戦の話だった。
「先生、なんでそんな投げやりなんですか?」
「うん?こちらとしても宇宙人と足並み揃えようと日々忙しいんだよ。そこの男は何も考えてないんだろうが、責任者同士で渡り合うのは手間がかかるし疲れるからな」
1人の質問に答え、一夏に飛び火した。
「全く・・・・・・ただでさえ政府への説明やら国連への報告やら大変だというのに、数ヶ月前から一緒にいたとかなんとか・・・・・・全く仕事を増やしおってからに・・・・・・」
「いやー、なんか申し訳ないな!」
「じゃあもっと申し訳なさそうにしろ・・・・・・織斑、お前もなんか言ってやれ」
「リワインド、説明はお前がやれよ」
「わーってるさ」
「そういうことじゃない・・・・・・」
一夏の席の隣に置かれた椅子に座るリワインド。ブレードコンボイが千冬に説明したことでリワインドの存在が千冬を通して全生徒に知れ渡り、腕時計に変形している必要がなくなったのだ。
始めは珍しがられたが、2、3日経つと殆どの者が慣れ、すっかり日常となった。
「あー、チャイムが鳴ったな。次の授業の準備をしておけよ」
そう言って教室を出ていった。
「疲れてたな・・・・・・」
「まあ、異例なことが続いているからな。仕方ないことだ」
「そういえば、クラス代表戦についてなんですが、2組の代表が変わったらしいですわ」
休み時間に一夏の元に箒とセシリアが集まった。
「代表が変わるってのは珍しいのか?」
「まあ、学期のはじめに決まったことだからな。異例と言える」
「誰なんだろうな。新しい代表って」
「それは、アタシよ!」
教室の後ろのドアが開かれ、1人の少女か立っている。
「お前・・・・・・鈴!」
「久しぶりね、一夏!」
「知り合いか?」
「ああ。鈴は・・・・・・」
「一夏の幼馴染、よ!」
「・・・・・・は?」
「おい一夏、幼馴染は箒だけって聞いたが・・・・・・いや、確か小学校の時にツインテールの友達がいたって聞いたが、まさか」
「そのまさかだよリワインド。鳳鈴音。小学生の時に何年か一緒にいてさ。そうだな・・・・・・箒が、ファースト幼馴染で、鈴はセカンド幼馴染ってとこ!」
「ちょっと一夏!セカンドってどういうことよ!」
「いや、だってそうだろ?」
「一夏、聞いてないぞ!こんなの!」
「え?だって聞かれなかったし・・・・・・」
「ねえ、一夏。誰この女」
「箒だよ。話したことあったろ?引っ越した幼馴染だって」
「へえ?じゃあ、アタシより下かな?」
「はあ!?貴様・・・・・・!」
「なあセシリア」
「なんです?リワインドさん」
「こういうのが修羅場っていうのかね?」
「これは修羅場というか・・・・・・まあ、そうですわね」
リワインドとセシリアはすっかり蚊帳の外だった。
「だーかーら!」
「あ、そうだ。クラス代表が私だー、て入ってきたが、どういう事だ?えーと、鈴音だっけ?」
「フッフッフ・・・・・・そう!よくぞ聞いてくれたわね!私こそ新しい2組のクラス代表!専用機も持ってるし、
「んなアグレッシブな・・・・・・」
「・・・・・・思い出しましたわ。鳳鈴音。確か、中国の」
「そう!中国の代表候補生!少し遅れたけど、この学園に来たわ!」
「じゃあ、もしかして・・・・・・俺は鈴と戦うことになるわけか」
「そういうこと!今日は宣戦布告に来たってわけ!楽しみにしてるわ!」
そう言うと鈴音は嵐のように教室を出ていった。
「あれ〜?みんな移動しないでい〜の〜?次外だよ〜?」
「あ、忘れてた」
クラスメイトである布仏本音の忠告により、4人は教室を出た。
「よし、みんな揃ったな。改めまして、俺はリジェ。よろしく!」
IS、実技の授業。
1年1組はアリーナのに集合し、サイバトロンのリジェ、副担任の山田真耶から話を聞いていた。
「リジェさん、授業はなれましたか?」
「ああ。1時間目、だっけ?からずっとやってるからな。怖がられたり邪険にされたりしたが、授業自体は慣れたぜ」
「あ、すいません・・・・・・後で、報告しておきますね」
「いやいや、その必要は無いさ。宇宙人相手だ。しょうがないしょうがない。それより、とっとと始めようぜ!」
「そ、そうですね。今日は、皆さんにISに乗って、少し動いてもらうところまで行こうと思います。専用機を持っている織斑君とオルコットさんは補助に回ってください」
「先生、俺今専用機修理中なんですけど」
「はい。丁度良いので、この時間に返そうということになってまして。はい、どうぞ」
一夏は山田から待機状態のIS、白式を受け取った。
「それじゃあ、お願いしますね」
「あれ?」
ISを展開すると、左腕の装甲が無かった。
「先生、これ、どういうことですか?」
「ああ、それは」
「リワインド、もったいぶらずに見せてやれよ」
「そうだな、トランスフォーム!」
リジェに促され、一夏の側に立っていたリワインドが変形すると、白式の左腕の装甲に変形した。
「これって・・・・・・!」
「俺の提案さ。この先ずっと腕時計としてってのも悪いだろ?」
「リワインド。これ、通信か?」
「いや、このまま喋ってる。これからはこうやってサポートするぜ!あと、このIS武器が剣だけだったろ?サイバトロン基地にいるホイルジャックっていう人に頼んで武器をつけてもらった」
「普段の姿がちょっと変わってたけど、こういうことだったのか」
「まあ、そういうこった。問題無く動くだろ?」
「ああ。バッチリだ」
「よーし。打鉄を三つ用意してあるから、ISへの搭乗は三つのグループに分かれるぞ。オルコット、織斑、そして俺だ。誰に頼むかは任意だ。それじゃあ始め!」
リジェの合図によって人集りが形成されていく。打鉄の側に立つ一夏とセシリアを中心にして。
「まあ、わかってたよ・・・・・・」
リジェには閑古鳥が鳴いていた。
「え、えと、皆さん均等に三つに分かれてください!」
誰も聞いていなかった。
「1年4組だと1人熱心なのが来てくれたが、まあこんなもんだよな・・・・・・」
「ねえねえ〜、お願いしま〜す」
「!」
天を仰いでいたリジェのもとに、1人の少女が補助を受けに来た。
「えと、名前は・・・・・・布仏さんか!良いよ良いよ!張り切っちゃうもんね!」
リジェは喜びを隠しきれなかった。
「それじゃ、俺の手に乗ってくれ」
「は~い」
リジェは手のひらに布仏を乗せ、打鉄に搭乗できる高さまで上げる。
「お〜すご~い!」
「へーあんな感じなんだ」
「私も頼んでみようかな」
布仏を皮切りに続々とリジェのもとに生徒が集まる。
「良かった・・・・・・」
その光景に山田は胸を撫で下ろしていた。
そうして均等に三つに分かれ、授業は円滑に進んだ。
そして、時は進みクラス代表戦当日。
進行は山田真耶が務め、開始、終了は織斑千冬。そして、サイバトロンからブレードコンボイ、バリケード、ホイルジャック、アーシー、ギアーズ、トレイルブレイカーが警備や緊急時対応にあたっている。
「まさか初戦とは」
「不安か?」
「まあね」
「こういうのはいつどのタイミングが良いとか無いからな。気張りすぎるなよ一夏」
「わかってるさ」
『織斑君、準備が完了したので、もう出て大丈夫ですよ』
「およびだな」
「行くか!」
ピットの中から飛行を開始。そのままアリーナのフィールドに降り立つ。
「初戦から一夏ととはね。全力で行くから!」
「ああ。負けないからな!鈴!」
降り立った2人は睨み合い、開始の合図を待つ。
「用意は良いな?では、はじめ!」
織斑千冬の宣言とともに進み出す。
「はあああっ!」
先に仕掛けたのは一夏。
雪片を振るい鈴音の胴を狙う。
「なんの!」
鈴音は振り下ろされるタイミングで上昇し回避。そのままの勢いで下降する。
「やああああ!」
「くっ!」
二振りの青龍刀、双天牙月を振り下ろしすも、一夏はバックステップを踏んで回避。
「実力は互角。いや、相手が少し上だな。このまま避け続けることは出来るが、悪手だろうな」
「攻勢にでたいけど、難しいか・・・・・・」
「取り敢えず牽制しよう。相手の武装はわからないが、威嚇して引き出し、対策を練るってのも良い」
「そうか。リワインド、早速出番ってわけだ」
「そういうこった!」
左腕に変形しているリワインドは、腕から二つの銃口を内部から顕にした。
「それで牽制のつもり?」
「発射!」
「なあっ!?」
発射された光弾はまさしく光の速度と言わんばかりに鈴音を襲い、大きく後退させシールドエネルギーを削る。
「なかなかやるじゃない・・・・・・でも、そうじゃなきゃ張り合いが無いってものよ!」
そう言うと鈴音は再び上昇する。
「何を、ぐわあっ!?」
飛行する鈴音を警戒していた一夏は突如何かに当たり、背を地面に着けてしまう。
「なんだ・・・・・・一体・・・・・・」
「フフフフフ・・・・・・」
「ぐうっ!がはっ!ぐあああっ!」
「一夏!」
次々と見えない何かに襲われる一夏。シールドエネルギーは半分を切ってしまった。
「一体何を・・・・・・」
「相手の攻撃であることは間違いない。見えない攻撃か・・・・・・少なくとも機体から放たれていることは確かなはずだ。相手と一直線に向き合わないよう立ち回れば、回避はできそうだ」
「そう、だな!」
リワインドの声を聞いた一夏は飛行を始め、鈴音から離れ横向きに進む。
「そんなもの!」
「!」
一夏を狙う鈴音の動きは胴体を一夏に向ける動作だった。それを見た一夏は変則的な動きで飛行し、鈴音に撹乱を試みる。
「この!この!この!」
「そうか・・・・・・やっぱり・・・・・・!」
変則的に飛び始めてから一夏には一撃も当たっていない。
「見えない攻撃は、一直線にしか進まない!それに、さっき当たった時、光線みたいな熱は感じなかった!」
「わかったのか、からくりが!」
「ああ!あれは、空気だ!どこから打ってるかはわからないけど、鈴は空気砲を使ってる!」
「へえ、龍砲を見破るなんて、やるじゃん!」
「ビンゴ!」
「でも、出してるのは空気というより、もっと上。衝撃波ってやつ!」
鈴音のIS、甲龍に搭載された武装、龍砲。
それは、空間を圧縮して衝撃波を打ち出すものだった。
「ま、見破られても勝てるかは別よ!」
「だが知ったアドバンテージはある。攻勢に出るぞ一夏!常に死角を意識するんだ!そこから一気に!」
「「斬り伏せる!」」
一夏はISの速度を上げ、鈴音の視界から外れる。
大きく弧を描き旋回する姿は、セシリアとの戦いで見せたものより洗練されているように思える。
「なんの!」
一夏に対し鈴音は下手に動くことはせずアリーナの地面に降り双天牙月を構える。
構えたまま後ろに下がり壁を背に一夏を目で追う。
「はああああああああっ!」
「来た!」
横から勢いをつけた一刀を振り下ろす一夏を二振りで受け止め、そのまま後ろに押され勢いを殺していく。
「止められた・・・・・・だと!?」
「フフンッ!伊達に代表候補生やってないわよ!」
互いに離れて距離をつける。
開幕からそう時間は経っていないものの、観客は2人の戦いにめが釘付けられていた。
「・・・・・・」
「フフフ・・・・・・」
静寂の中、確かに距離を詰める2人。
互いの間合いを測り、なおかつ一夏は龍砲に気をつけつつ、勝機を探る。
「「はあああああああああああ!」」
2人が動いたのは、およそ同時。
一夏は剣を振り上げるように、鈴音は青龍刀を横薙ぎに振るうように。
アリーナの中心、そこで、刃が交えられ、決する。
はずだった。
「ぐああああっ!」
「キャアアアア!」
突如上空から2人を襲った者。それは、人と言うにはあまりに無骨な存在。
「な、なんだ!?」
「あいつ・・・・・・天井をぶち抜きやがった・・・・・・!」
アリーナ上空を覆うシールドを突き破り、微かに電気の走る音が耳に届く。
「何あれ・・・・・・一夏!一夏、無事!?」
「ああ!そっちは!?」
「大丈夫!ていうか、なにあれ!?」
未だアリーナ中央に佇む存在に、動揺を隠せない。それは、観客達も同じだった。
「山田君、あれは・・・・・・」
「所属不明!乱入者、明確な敵意があると思われます!」
「避難アナウンスを!」
「はい!」
アリーナ全体にアナウンスがされ、パニックに陥った観客達は一斉に出口に駆け込む。
「これより、対象をゴーレムⅠと呼称する。ブレードコンボイ!頼めるか?」
『了解!』
緊急時に備え待機していたブレードコンボイに連絡する。
「トレイルブレイカー!フォースバリアを観客席全体に貼れるな!」
「はい!」
「アーシー!君は観客かに降りて整理を!多少強引になっても構わない!責任は私が取る!」
「わかった!」
「ホイルジャック!君は基地に戻り、この学園の監視カメラや基地のカメラを確認し、侵入者の情報を集めてくれ!アクセス権限はすでに許可を取ってある!」
「ありがたい!」
「残ったバリケード、ギアーズの2人は私と実戦対応だ!」
「ああ!」
「腕が鳴るな!」
ブレードコンボイの指示を聞いたサイバトロン戦士達は行動を開始。ブレードコンボイ含めた3人はアリーナのフィールドに降り立った。
「一夏君!鈴音君!下がれ!私達が対応する!」
「ブレードコンボイさん!」
[□□□□□□□。□□□□□、□□□□]
「来るぞ!」
ゴーレムⅠは姿勢を正し、ブレードコンボイ達を捕捉する。
「ねえ、あれ、IS、よね?」
「
[□□□□□□!]
腕を上げ、搭載された光弾を発射。光が一夏達を襲う。
「くうっ!」
「バリケード!」
「トランスフォーム!」
パトカーに変形したバリケードは一夏と鈴音の前まで走り、横向きに倒れることで盾の役割を果たす。
「隠れろ!」
「ありがとうございます!」
「恩に着るわ!」
「サイバトロンガン、セーフティ解除!ギアーズ、銃撃を許可する!私と対象を無力化するぞ!」
取り出した銃を構え交戦する。
「ブレードコンボイさん!俺達も」
「駄目だ!君達は学生、戦わせるわけにはいかない!」
「でも!」
「私たちも、あんなふうにめちゃくちゃにされて、黙ってられるもんですか!」
「・・・・・・」
「司令官!戦力は多いに越したことはないでしょう!?バリケードの後ろから援護なら問題ないかと!」
「・・・・・・わかった!2人とも、頼む!」
「「はい!」」
バリケードの後ろから一夏はリワインドの銃を、鈴音は龍砲でゴーレムⅠを攻撃する。
「□□□・・・・・・□□□□□□□」
ゴーレムⅠは徐々に押され、機体に傷が目立ち始める。
「よし!このまま・・・・・・なに!?」
ゴーレムⅠにダメージを与えていたさなか、突如ゴーレムⅠは何者かに上空から狙撃され、破壊されてしまった。
粉々になったゴーレムⅠには誰も乗っていなかった。
「何者だ!」
「全く・・・・・・ちったぁ堪えるかも思ったが、やっぱりこの星の兵器は駄目だな。耐久性が低い」
「お前は・・・・・・デストロンの、トリガーハーピー!」
「ハーピーは捨てたよ。冥土の土産は短い方が覚えやすいからな。今はただのトリガーだ」
土煙が晴れ、さらなる侵入者トリガーの全貌が露わになる。
「! それは・・・・・・その手に持つものは・・・・・・!」
「うん?ああ、まとわりついて目障りだったんでな。ブレインを一撃だよ」
そう言うと持っていた鉄塊を投げ捨てる。
「トリガー・・・・・・アダムスを!」
「まさかあんなずんぐりむっくりに空を任せていたとはな。骨が無いにも程がある」
「てめぇ・・・・・・よくもアダムスを、許さねぇ!」
「待て、ギアーズ!」
「うおおおおおお!」
サイバトロンガンを持ちトリガーに突撃する。
「うおおおおおお!」
「・・・・・・」
「ギアーズ!」
自らに向かって来るギアーズに対し、トリガーは片手の銃でギアーズの腹を撃ち抜いた。
「ギアーズ!!」
「あ、ああ・・・・・・」
「程度が低い」
倒れたギアーズに近づき、トリガーは左手に持った銃を顔に連続で発射する。
「ギアーズウウウ!!!」
「フン」
トリガーはギアーズの胸部装甲を引き剥がし、中のコグを引き抜いた。
「いい加減
「トリガー、お前は・・・・・・許すことができない!」
「許す?何を言ってる?これは戦争だ。終わらなければ何をしようと、善悪は無い!」
「・・・・・・Jブレード!」
「・・・・・・」
剣を出しトリガーに向き合う。
「はっ!本気でやるとでも?」
「私は本気だ!」
トリガーに斬りかかるも、既のところで避けられる。
「その程度、うん?」
右腕に光弾の当たった感覚が走る。
そこには、ブルー・ティアーズを展開したセシリアがスターライトmkIIを構えていた。
「へえ、ここにも
セシリアに狙いを定めたトリガーは上昇し、ギアーズのコグをしまい両手に銃を持つ。
「バリケード、援護を!」
「トランスフォーム!」
ブレードコンボイとバリケードはサイバトロンガンに持ち変え上空のトリガーに撃つ。
「はん」
一夏と鈴音も一緒になって銃撃を始めるが、トリガーは避け続けていた。
「所詮は日和見主義のサイバトロン!それに与するやつも甘い甘い!」
トリガーは右腕を曲げて胸の前に、その上に左手に持つ銃の銃身を乗せる。
「キャアッ!」
銃を構えてすぐ、セシリアは撃ち落とされてしまった。
「セシリア!ぐあっ!」
被弾したセシリアに気を取られた一夏は肩の装甲を撃ち抜かれた。セシリアも一夏も一撃でシールドエネルギーがゼロになってしまった。
「一夏!この!」
「鈴!動くな!」
「きゃああっ!」
一夏を撃たれた怒りのままに龍砲を動かした鈴音は、龍砲を撃ち抜かれ暴発し、顔に傷を負ってしまう。
「3人も・・・・・・アダムス、ギアーズに続いて・・・・・・よくも・・・・・・よくも・・・・・・よ゛ぐも゛!」
怒りを孕んだ声を漏らし、ブレードコンボイはトリガーの元へ進む。
「ふん」
トリガーは射撃を続けるが、ブレードコンボイは耐えながら進み続ける。
「司令官・・・・・・」
「バリケード、3人を頼む・・・・・・私は、筋を通させる」
「! わかりました!」
バリケードは倒れた3人を抱えアリーナを離れた。
「・・・・・・なんのつもりだ」
「・・・・・・アダムスとギアーズのことは、もちろん許せない。だが、サイバトロンとデストロンの戦いに関係ない、彼らを襲ったことは、さらに許せない!トリガアハーピイイイイイイイイイイイイッ!!!」
「聞いてなかったか?その名は捨てた!」
構えを崩し両手の銃を使うが、ブレードコンボイは動じない。
「ウオオオオオオオオオッ!スーパーモードッ!」
飛び上がったブレードコンボイのもとに、アリーナの搬入口からビークルモードの際のコンテナ及び後部が飛んできた。
コンテナはキャリアシールドと分離、そして開いた。中からモーターラダーとギムジャッキがそれぞれ両手、両足に変形し、変形していたブレードコンボイと合体した。
コンテナが二つ折りになり巨大な翼として合体。キャリアシールドを左腕に装備。ブレードコンボイはスーパーモードとなった。
「トリガーハーピー・・・・・・無事で帰れると思うなよ」
鬼のような風貌となったブレードコンボイは、剣が2本爪のようになった右腕、キャリアシールドが付き、万力のような左手を持っていた。
翼は薄く、物を切り裂けるほどの鋭さを持っていた。
「虚仮威しだ、大したことはない!」
「トライファイアー!」
射撃を続けるトリガーを狙い、ブレードコンボイは口から炎を放つ。
「う、おおお・・・・・・」
「パワーアーム!」
「グゥッ!」
炎に一瞬怯んだトリガーは左腕をブレードコンボイの左手に掴まれてしまう。
「ぐ、が、あああっ!」
「おおお!」
金属が歪む音がアリーナに響き渡り、トリガーは苦悶のあまり両手の銃を手放してしまった。
「うあああああああっ!」
ついにトリガーの左腕はひしゃげて潰れ、引き千切られてしまった。
「ぐ、うぉああああ・・・・・・」
「これで、終わりだ・・・・・・!」
「終わり、だと?・・・・・・は・・・・・・コグは手にした。土産は十分!腕はまあ、必要経費と思えば安い!トランスフォーム!」
戦闘機に変形したトリガーは上昇し、ゴーレムⅠが開けた穴に向かう。
「行かせない!ブレードミサイル!」
右腕の爪をミサイルとして発射し逃げるトリガーを追うも、シールドに被弾し、爆煙が煙幕となり逃げ切られてしまった。
「・・・・・・」
戦いの終わったアリーナには、炎とブレードコンボイ、そしてギアーズとアダムスの遺骸が残った。
「ウゥ・・・・・・ウオアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
「司令官、今回の襲撃でIS学園側には軽傷者はいましたが、幸い死傷者も重傷者も・・・・・・」
「ああ・・・・・・」
炎も消えた夜のアリーナ。
そこに、ブレードコンボイはスーパーモードを解き佇んでいた。
「ラチェット、トリガーは・・・・・・」
「逃亡を確認。サイバトロンの被害は、アダムスとギアーズの2名・・・・・・不甲斐ないものです。医者の手が、届かないのは」
「・・・・・・2人は勇敢に戦った・・・・・・忘れていた。これは、戦争だったな」
「司令官・・・・・・悲観しすぎないことです。囚われて前に進まないことは、彼らの死を無駄にすることになる」
「わかっている・・・・・・わかっている・・・・・・!」
「・・・・・・気休めになるかはわかりませんが、バリケードが言うにはデストロンにも穏健派と過激派があるという。トリガーは過激派だった」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・今回の件で、IS学園はデストロンへの対策に本格的に予算を投じるとのことです。そのために、我々との連携をより強くすると」
「・・・・・・この戦争は、私達セイバートロニアンの戦争だ。他の星を巻き込んではいけない・・・・・・デストロンは、我々の手で。これ以上迷惑を増やすわけにもな」
「ですが、意志を否定してはいけない」
「!」
「貴方が言った事だ。自由は、全知的生命体が持つ権利だと」
「・・・・・・受け売りだよ」
「だとしてもです。彼らの権利を侵害するのは、サイバトロンらしくない。相手から協力しようと言ってくれているんだ。手を取り合ってこそですよ」
「そうか・・・・・・そうだな」
「ええ。バーウィップグラーナウィーピニボン」
「それは?」
「古い時代の挨拶です。サイバトロンとデストロンの、始まりの戦争の時代にできた、今は平和への願い等の意味で使われます」
「バーウィップ、グラーナウィー、ピニボン・・・・・・」
ブレードコンボイは何かを決心したようにラチェットに振り向いた。
「IS学園とは、さらに連携を強めよう」
「司令官!」
「ラチェット、リサイクリングの準備だ。戦士の死を無駄にしてはいけない。弔い、進もう。我々は絶対に、この戦いを、戦争を、終わらせなければならない!」
「はい!わかりました!」
そう言うとラチェットはサイバトロン基地に走っていった。
「デストロン・・・・・・私は逃げない。もう、避けはしない。戦うというのなら、真っ向から受けて立つ!」