トランスフォーマーIS   作:ダイダゼノンド

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第七話 山の奥で

「私からの話は以上だ。私はこのあと別の仕事があるからな。おそらく放課後まで対応はできん。山田先生を頼ってくれ」

 朝のSHRが終わり、疲れた様子の織斑千冬は足早に教室を去る。

 ただでさえトランスフォーマー関連の問い合わせが学園に集中していたが、学園がサイバトロン基地であるスクランブルシティに改造されたことでクレームや疑問等ひっきりなしに電話、メールが送られてくる。

 その対応は織斑千冬を含めた数人が行っているのだが、ほぼ毎日繰り返される対応業務に疲弊しきっていた。

「え~と・・・・・・ということなので、何かあれば私が対応しますね。それから、今日はなんと転校生を紹介します!それも2人です!」

 転校生。それは学生にとって見慣れた教室の風景に変化をもたらすものであり、新たな出会いを意味している。

 現に、この1組の生徒達は各々喜びを顕にし、まだ見ぬ転校生に心を躍らせていた。

「では、入ってください」

 山田に促されて教室に入ってきた2人。

 1人は金色の短髪で、スカートではなくズボンを着用している。

 もう1人は銀色の長髪で、眼帯を着用していた。

「それでは、自己紹介をお願いしますね」

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。デュノア社のパイロットで、2人目の男性パイロットになります」

「ええっ!?」

 転校生の1人、シャルル・デュノアの放った一言は、1組の生徒達に衝撃を与えた。

 本来ISは女性だけが動かせるものであり、一夏の存在に慣れた生徒達にとっても2人目というのは中々の衝撃だった。

「これからよろしくお願いします」

「それでは、もう1人の・・・・・・」

「ラウラ・ボーデヴィッヒ」

 そう言うと2人目の転校生は一夏に近づく。

「うん?」

「!」

「何のつもりだよ?」

 突如一夏を殴ろうとしたラウラの腕をリワインドは掴み、ラウラの攻撃を防いだ。

「貴様・・・・・・!」

「その手、その目は害意のあるやつがするもんだ。言えよ。何のつもりだ?」

「・・・・・・織斑一夏。お前は、お前がいなければ、教官の栄誉は傷つかなかったんだ。そして、お前達サイバトロンがいなければ、教官はあそこまで生気を失わなかった!」

 リワインドの手を振り払い、ラウラは教室を出ていった。

「え、え~と・・・・・・こ、これでSHRは終わります」

『サイバトロンスカウトチーム!至急メトロフレックスに集合せよ!』

 山田が言い終わるのと同時にブレードコンボイから放送が入った。

「あ、デュノアさんも同行してください。私達の方から伝えてありますから」

「え?」

「来てくれてありがとう。そしてはじめまして。私はサイバトロン軍総司令官、ブレードコンボイだ。よろしく」

「よ、よろしくお願いします・・・・・・」

「あれ?確か、学園からは2人来ると聞いていたが・・・・・・」

「色々あってな。ちょっと問題発生したんだよマイスター」

「そうか、リワインド。まあ、時間を掛けて解決すれば良いさ。さて、今朝探知されたスパークシグナルは、長野県の山奥から発せられている」

 モニターに地図が映し出さる。地図にはちょうど長野県の中央付近が赤くなっていた。

「ところで、シャルル君はスカウトチームについて説明は受けているかな?」

「はい。それなりに・・・・・・」

 マイスターの問いかけに答える。

「それは良かった。危険を伴うものだからね。事前に知っておくことは大切だ」

「今回はサンドストームが同行する。メトロフレックスの横にある車庫にいるから、そこに向かってくれ。リワインド、案内を頼む」

「了解」

 リワインドに案内され、一夏達はメトロフレックスを出て車庫へ向かった。

「おーい!来たぞサンドストーム!」

「お!案外早かったね。こっちもちょうどメンテナンスなり終わったとこ!と、君が新しい子?僕はサンドストーム!よろしくね」

「は、はい!シャルル・デュノアです!よろしくお願いします!」

「ははは!元気が良くて結構!それじゃあ、早速向かうとしようか。トランスフォーム!」

 そう言うとサンドストームはバギーに変形した。

「さ、乗った乗った!」

 一夏達を乗せたサンドストームはスクランブルシティを出発し、新設された橋を通り本土に到達。そのまま下道で長野県まで向かった。

「よし、着いたぞ!」

 朝の9時頃に出発し、およそ4時間掛けての到着だった。

「う、これは、なかなか・・・・・・」

「気持ち悪・・・・・・」

「ん、ああぁ〜・・・・・・」

「かなり、しんどいもの、でしたわ・・・・・・」

 急いだためか、一夏と鈴音は車酔いに倒れ、セシリアとシャルルは道中車体が揺れ続けた影響で体を痛めていた。

「あー、なんとか着いたな」

荷台に乗っていたリワインドは途中何度も放り投げられそうになっていたが、どうにかしがみついていた。

「う、ちょっと戻しそう・・・・・・」

 途中昼食をとったことで、車酔いは深刻さを増していた。

「トランスフォーム。あれ?そんなに辛かった?」

「人間相手にやりすぎだ。無事か一夏、鈴?吐きたきゃ吐いとけよ」

 リワインドは四つん這いになっている一夏た鈴音の2人の背中をさする。

「とにかく、ここからは徒歩で進んでいくから。みんな、無理のない程度でね」

 サンドストームを先頭に道なき道を進む。

 山の中の峠道から山の中に入っていくため、サンドストームのビークルモードは使えない。

「スパークシグナルはこの先から検出されている。みんな、ついてこられてる?」

 振り返ると、そこには息を切らした一夏達がいた。

「まさか・・・・・・こんな・・・・・・野山を、歩くとは・・・・・・」

「どうして・・・・・・ISに・・・・・・乗れないんですの・・・・・・」

 4人は慣れない山道に疲労困憊といった様子で、なんとかついてきていた。

「仕方ないさ。こんな山奥でISを展開したら、ろくに進めない道だってあるし、何よりエネルギーの消耗を抑えないといけないからね」

「ていうか・・・結構進んできたが、本当にスパークシグナルは近づいたんだろうな?」

「それは間違い無い。あ、ほら!もうちょっともうちょっと・・・・・・そこだ!」

 リワインドの疑問に答えたサンドストームは、目の前に流れる川を指差した。

「この川のもう少し上に・・・・・・あれ?」

「どう、したん、ですか?」

 息も絶え絶えな様子の一夏が尋ねた。

「いや、なに。スパークシグナルを辿っていたんだが・・・・・・パワーダウンしたトランスフォーマーを見つけてね」

「ええっ!」

 サンドストームの言葉に一同は驚愕する。

「パワーダウン。て、生きてるんですか!?」

「ああ。エネルギーが切れただけ。スパークは無事だろうから、エネルゴンがあれば復活する」

「では、その、エネルゴンというのは?あるのですか?」

「セシリア、お前・・・・・・」

「なにも、間違った、ことは、言って、おりません。リワインド、さん。助けられるなら、手を、差し出すべきです」

「いや、でも・・・・・・」

「リワインド。君は、このトランスフォーマーを知っているのかい?」

「・・・・・・ああ。こいつはフレンジー。()デストロンのマイクロン、カセットロンさ」

「なるほど、脱退者か。それにカセットロンといえば、情報参謀サウンドウェーブの部下という話だ。まさかサウンドウェーブまで出奔していたとは」

「で、どうするのよ・・・・・・これ」

「エネルゴンを与えよう。何か情報を聞けるかもしれない」

 鈴音の問いに答え、サンドストームはエネルゴンキューブを取り出すとフレンジーの口に入れ、口を閉じた。

「これでよし」

「ん・・・・・・んあ・・・・・・あれ?て、うわあああああああ!」

 目を覚ましたフレンジーは怯えたように後退り距離をとった。

「だ、誰だお前ら!」

「落ち着いてくれ。僕らは君を害する存在ではない」

「そうだフレンジー。落ち着け」

「お、お前はリワインド!なんで!?」

「知り合いなのか?」

「俺だってカセットボットだ。目をつけられて何度か話したことがあった」

「そ、そうだ!サウンドウェーブのところに行かねえと!」

 フレンジーは何かを思い出したように立ち上がり、立ち去ろうとした。

「待て、まだ用事は済んでないぞ!」

「わ!なにしやがるリワインド!」

 後ろからフレンジーの脇に腕を通して拘束し、フレンジーを引き止める。

「おいフレンジー、お前達はデストロンシグナルは切ってるんだよな?」

「当たり前だ!あんなの!」

「よし。サンドストーム!スパークシグナルはこいつらから出てるんじゃないんだよな!?」

「ああ。フレンジー、サウンドウェーブはどこに?」

「ち、近くの洞穴だ!こっから東に行ったとこ!」

「ふむ。スパークシグナルは彼らのものではないな」

「よし。じゃあ案内しろ。サウンドウェーブのところへ」

「待てよ、リワインド。どうしたんだよ、そんなにして」

「サウンドウェーブはデストロンの中でも指折りのやつだった。取り敢えずサイバトロンと面識を作っておいて損はないだろ」

「だからって・・・・・・」

「いや、リワインドの言うことも一理ある。サウンドウェーブがどれほどのものかはよく知っているわけじゃないが、繋がりを持って損はないだろう」

「じゃあ、その、サウンドウェーブ、て人の、ところに、いくんですか?」

「ああ。案内してくれ、フレンジー」

「ケッ!どうせついてきたんだろ」

 そう言うとフレンジーはリワインドの拘束から解放され、黙々と歩を進めた。

「ほら、ここだぜ。おーい!サウンドウェーブ!」

「帰ッタカ。遅カッタ、ナ・・・・・・フレンジー、何ノツモリダ?」

 洞穴から出てきたサウンドウェーブは一夏達を確認すると、露骨に機嫌を悪くした。

「俺は悪くねえよ。案内しろっていわれて、こいつらが後をついてきたんだ」

「・・・・・・」

「はじめまして。僕はサンドストーム。彼らは・・・・・・」

「リワインド」

「織斑一夏」

「セシリア・オルコット」

「鳳鈴音」

「シャルル・デュノア」

「だ。僕らはサイバトロン軍で、君と話をしたいんだ」

「話スダト?ソンナモノ意味ハ無イ!ドウセサイバトロン二引キ摺リ込ムツモリダロウ!ソノ手ニハ乗ラナイ!」

「そんなつもりはないさ。ただ、君の考えが知りたくてね」

「そうですよ。なにも取って食おうってんじゃないんだから」

「お話くらい、できませんか?」

「・・・・・・」

 一夏とシャルルの声に、人間と話している現状に困惑し、サウンドウェーブは落ち着きを取り戻した。

「教えてくれ。君は今、デストロンを抜けているんだよね?」

「・・・・・・ソウダ。カセットロン達ト共二ナ」

「それは、どうして?」

「デストロンハ、強大ナリーダーノモト、イクツカノ集団ヲ作ッテイル。ソノ中デ、バイオメガトロンノ派閥二入リ込ンダ奴ガイル。ソイツガ現レテカラ、ウチハ変ワッタ。意味モ無ク星ヲ襲イ、ワケノワカラナイモノヲ作リ始メタ。リーダーバイオメガトロンハソレ二気ヅイテイナイ。ソンナ組織に、居続ケルコトハデキナイ」

「そんなことが・・・・・・」

「その、入り込んだ奴っていうのは、なんてやつなの?」

「ソレハ・・・・・・」

「やーっと見つけた!」

「!?」

 サウンドウェーブが鈴音に答えようとすると、どこからか高い声が山に響いた。

「コノ声ハ、ロディ!」

「正解!トランスフォーム!」

 けたたましくエンジン音を響かせて現れたセミトラックはロボットモードに変形した。

「あら?あらあら?あらあらあら!?サイバトロンを釣ったつもりだったけど、まさか貴方もいるなんてね?サウンドウェーブ!」

「トランスフォーム。あら、良い偶然ね。ロディ」

「そうねロッド」

 遅れて現れたスポーツカーもロボットモードに変形し、一夏達の前に立った。

「サウンドウェーブ、彼女達は?」

「デストロンノ火炎兵、ロディトロッドダ。二人組デ行動シテイルガ、オ前達マデ現レルトハ」

「勘違いしないで。私達はサイバトロンに用があるの。今さら逃げ出した臆病者に用はないの」

「ふふ。かっこいいわよ、ロッド」

「ありがとうロディ」

 人目を憚らずに抱き合うロディとロッドを前に、一夏達は困惑する。

「と。それじゃ、そろそろ本番と行きましょう。やりなさい!」

「「「「「「「「「「オオオオオオオオ!」」」」」」」」」」

 ロディの声に応えるように現れた、十個の影。

「なんだあれ!?」

「ウオオオッ!」

「危ねえっ!」

 襲いかかる影から一夏を突き飛ばしてかわさせたリワインドは、影の正体を見る。

「頭が二つある、竜?」

「外したか・・・・・・とうっ!」

 双頭の竜は飛び上がり、残る9つの影に並ぶ。

「聞いて驚きなさい!」

「コイツラは、宇宙に悪名轟くモンスタートロン!」

「その名は」

「「テラートロン!」」

「テラートロンだと!?」

「知ってるんですか!?サンドストームさん!」

「ああ。テラートロンといえば、デストロンの派閥の一つで様々な惑星に現れる小悪党という話だが・・・・・・」

「へ?小悪党?」

 サンドストームの口から出た言葉にシャルルは拍子抜けした。

「だ、誰が小悪党だ!俺達テラートロンは、全宇宙に悪名を轟かせる大悪党だ!そこの2人も言っていただろう!」

「やっぱり無理があったわね、ロディ」

「随分早くメッキが剥がれたわね、ロッド」

「な、そんなぁ・・・・・・」

 ロディとロッドの言葉に、双頭の竜は肩を落とした。

「リーダー!そんな気を落とさないで!」

「ソゥだ。俺たチは、噂ヨりやれル!」

「見せつけてやればええんやで!ワイらの実力を!」

「あんたは無敵のハングルー!俺たちゃ無敵のテラートロンだ!な!」

「うう、ダブルクロス、ブット、カットスロート、エイプフェイス・・・・・・そうだよな!」

 同じく双頭の竜、ダブルクロスと、亀のようなモンスターのブット、怪鳥のカットスロート、ゴリラのようなロボットのエイプフェイスが、テラートロンのリーダーであるハングルーを励まし、ハングルーは調子を戻した。

「そうだ!俺達はビーストモードであって、ビースト戦士ではない、ビースト型ロボットに変形するモンスタートロン!誰が何と言おうと、俺達は強い!俺達は強いんだー!よーし!俺達の実力を、この場にいる全員に思い知らせてやるんだ!デストロンが一派テラートロンメンバー!俺、ハングルー!リッパースナッパー!シナーツイン!ブット!カットスロート!ダブルクロス!グロテス!リパッグ!エイプフェイス!スナップドラゴン!行くぞおおおアタアアアアアック!」

「「「「「「「「「おおおおおおおおお!」」」」」」」」」

「ジャガー、コンドル、ラットバット、イジェクト」

 サウンドウェーブの胸から射出されたカセットがそれぞれジャガー、コンドル、コウモリに変形し、テラートロン達を一瞬で撃退した。

「く、くそお・・・・・・あんな、マイクロンに負けるなんて・・・・・・」

「カセットロンハ鍛エラレタ戦士。舐メルナ」

「ギャアス!キシャー!シャーシャー!」

「うう、すまねえリッパースナッパー・・・・・・俺は、不甲斐なさで立てねえ・・・・・・」

「まだだ・・・・・・まだあるだろ!ハングルー!」

「シナーツイン・・・・・・」

「そうだ。テラートロンには、まだ奥の手がある!」

「スナップドラゴン・・・・・・そうだ。まだ、俺達には奥の手があるんだ!よし合体だ!合体して、オボミナスになるんだ!」

「「「「おおおおおっ!」」」」

 飛び上がったハングルーを中心に、リッパースナッパーが左腕に、シナーツインが右脚に、カットスロートが左脚に、ブットが右腕になり、オボミナスが完成した。

「うおおおっ!お前達、覚悟しろ!」

「みんな、ISを!」

 オボミナスは銃を乱射し、一夏達はISを展開して回避する。

「あいつ、自棄になったか!?」

「慌てる必要は無いわ、ロディ。元から期待なんかしてなかったじゃない」

「ええ・・・・・・そうねロッド。じゃあ、呼ぶわね」

 ロディは腕からパネルが映し出して操作を始める。

「フハハハハハハ!もう誰も止められねえ!」

「良いぞやっちまえ!」

「それでこそだ!よ、大統領!」

「アーハッハッハ!」

 合体していないテラートロンにおだてられ、オボミナスはさらに肩からレーザーを放つ。

「セシリア!狙い撃てないか!?」

「避けるのに必死で・・・・・・狙えません!」

「だったら!」

「フハハハハハハ、は、ぐわあっ!?」

 前に出たシャルルはアサルトライフル、ヴェントを放ち、オボミナスに攻撃。

 銃撃を受けたオボミナスはバランスを崩し倒れ、合体が融けてしまった。

「リーダー!」

「うう、すまねえ・・・・・・調子に乗り過ぎた・・・・・・」

 グロテスに支えられ、ハングルーは立ち上がった。

「くそお・・・・・・なんとかしねえと・・・・・・」

「もうあんた達は必要ないわ」

「え?」

 未だ闘志を燃やすテラートロンに、ロッドは冷たい言葉を投げた。

「さ、ここからが本番。ハングルーのスパークシグナルを強くしたのはただのまき餌。やりなさい、モールダイブ!」

「モールダイブだと!?」

「知っているのかリワインド!?」

「ああ!モールダイブといえば、惑星を穴だらけにして破壊するマジモンの大悪党だ!」

「オマエ!傷心中のリーダーの前で何言っとるんや!」

「モールダイブ・・・・・・ナラ、下ダ!来ル!」

 サウンドウェーブの忠告と同時に、地面が揺れ、ヒビが走る。

「な、なにこれ・・・・・・」

「モールダイブだ・・・・・・全員飛べ!トランスフォーム!」

 ヘリコプターに変形したサンドストームに従い、一夏達はISで飛行する。

「アハハハ!来た来た!」

「ウオオオオオオオッ!」

 大地を割って現れたのは、左右で違うドリルが付いたドリルタンク。

「モールダイブ!トランスフォーム!」

 モールダイブはロボットモードに変形し、自らが割った大地をさらに崩して立つ。

「モールダイブ!あんたが本命なんだ!とっとと人間を無力化して、ISを奪うんだよ!」

「そして、サンドストームとついでにサウンドウェーブを無力化して捕縛するんだ!」

「ウオオオオオオオッ!」

 ロディとロッドに催促されたモールダイブは、左腕のドリルを振り下ろす。

「ウワアアアアアアアアアッ!」

 振り下ろされたドリルはテラートロン達を巻き込み、さらに大地を掻き乱す。

壊す(ブレイク)壊す(ブレイク)壊す(ブレイク)!」

 そう叫びながらモールダイブはドリルを回し、木々をなぎ倒して破砕し、岩を砕いて吹き飛ばし、山の地形をも変えていく。

「どうにかできないのか!?」

「避けるのに必死な今、接近戦はできねえし、銃撃も狙いを定められない!クソ!一夏、今は避けるしか無い!」

「リワインドでも、打開策は出ないか・・・・・・」

壊す(ブレイク)壊す(ブレイク)壊す(ブレイク)!」

「分ガ悪イナ。カセットロンリターン。離脱スル」

 胸部にカセットロン達を戻したサウンドウェーブは、この場を離れた。

壊す(ブレイク)壊す(ブレイク)壊す(ブレイク)ゥ!」

「アハハハハハハ!流石!高い金払っただけはあるわ!」

「そうねロッド。このまま私達は高みの見物。良いわぁ」

もっと(モア)もっと(モア)もっと(モア)!」

 山は姿を変え、緑で覆われた姿はついに茶色く禿げた姿になってしまった。

 それでもモールダイブはドリルを回し、破壊を続ける。

「まずいわね。まさか、ここまでするなんて・・・・・・」

「デストロンも多種多様だが、あいつは破壊衝動が振り切れてるんだ!」

 サンドストームの恐怖を帯びた声を聞き、一夏達は何もできない現状に歯噛みする。

破壊(ブレイク)掘る(ディグ)均す(スムース)そして壊す(アンドブレイク)!」

 そうしている間にもモールダイブは破壊を続ける。

止まらない(ノンストップ)止まらない(ノンストップ)止まらない(ノンストップ)!」

「くっ・・・・・・このまま・・・・・・見ているだけなんて・・・・・・」

「ウオオオオオオオオオオオッ!」

「く・・・・・・そぉ・・・・・・」

「ウオオオオオオオオオオオッ!」

 その時である。

「な、なんだ!?」

「あれは、光?」

 遥か上空に、輝く光が一夏達を照らす。

「ロッド、あれ、何?」

「ごめんなさいロディ。あれは、分からないわ・・・・・・」

 光はなおも燦然と輝き、地上を白く照らす。

「これは、この光は、何かがおかしい!」

「これ、僕達の所にだけ・・・・・・」

 光は一夏達がいる山にのみ降り注がれていた。

なんだ(ホワイ)?」

 すると光は消え、地上に闇が戻る。

「何だったの?」

「さあ・・・・・・キャアッ!」

「ロッド!」

 光が消えたかと思うと、突如モールダイブの前に、1つの影が現れた。

誰だ(フー)・・・・・・誰だ(フーアーユー)!」

「・・・・・・」

 現れた影はモールダイブより小さく、一般的なトランスフォーマーと同じ背丈をしていた。

 その顔には宇宙服のヘルメットのような物が被られている。

答えろ(セイ)・・・・・・答えろよ(セイアンサー)!」

「・・・・・・私は、コスモフライヤー」

「コスモフライヤーだって!?」

「知ってるのか、リワインド?」

「ああ。コスモフライヤーは、宇宙の秩序を守るっていう、伝説のトランスフォーマーだ!」

 リワインドの驚愕した声を背に、コスモフライヤーはモールダイブの前に佇む。

「デストロンのモールダイブ。現在、合計1968個の惑星を破壊。その中で生命体が生息していた惑星は1258個。貴様の行為は許されない」

知るか(ドンノウ)!」

 淡々と話を進めるコスモフライヤーに苛立ち、モールダイブは左腕のドリルを回し、コスモフライヤーに殴りかかる。

()・・・・・・何故だ(ワット)・・・・・・?」

 しかし、モールダイブの腕は動かず、いや前に進まず、その場に硬直する。

「モールダイブ。清算の時だ」

嫌だ(ノゥ)・・・・・・待って(ウェイト)・・・・・・!」

「数多の星を破壊し、我が兄弟の墓標たるこの星まで手をかけた。最早許されない」

 すると、モールダイブは突如上昇した。

「この、宇宙の彼方へ」

 ある程度の高さまでいくと、モールダイブの下の空間に穴が空き、そこにモールダイブは落下した。

「ノオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

 そして、モールダイブは消えた。

「・・・・・・」

 コスモフライヤーは穴を閉じると、近くに埋まっていたテラートロンに目を向けた。

「ま、待て待ってくれ!こいつらは、こいつらだけは・・・・・・!」

 いち早く土の中から出たハングルーは、他のテラートロン達の前で腕を広げ、コスモフライヤーの前に立った。

「お、おお俺だ!俺だけで、勘弁してくれぇ!」

「・・・・・・」

「頼むぅ・・・・・・お願いだぁ・・・・・」

「・・・・・・」

 ハングルーから視線を外したコスモフライヤーは、再び光に包まれて消えた。

「は、た、助かった・・・・・・良かった・・・・・・お前達ぃ・・・・・・」

 安心したのかハングルーは膝から崩れ落ちた。

「チッ。あんなのが来るなんて聞いてないわよ」

「想定外はあるものよ、ロディ。それより、今は私達の方が分が悪いかも」

「そうねロッド。今回は諦めましょう」

「また機会があるわ、ロディ」

「ええ。その通りねロッド」

「「トランスフォーム」」

 ロディとロッドはビークルモードに変形し、去っていった。

「トランスフォーム。さて、今回はまんまと騙されたね」

 地上に降り立ち、サンドストームは荒地となった山を見る。

「騙されたねって・・・・・・そんな軽く言って良いものじゃないでしょう」

「そうは言うけど、こうして生きてるんだから、それで万々歳だろ?一夏君」

「でも、これ・・・・・・この山どうするんです?」

「そうだね・・・・・・取り敢えず、これはスクランブルシティに持ち帰ろう。学園の方で、案外なんとかできるかも知れない」

「また織斑先生の悩みの種が増えるのですね」

「俺もうこれ以上姉の疲れ切った姿見たくないんだけど・・・・・・」

「日に日に目が死んでいってるもんね・・・・・・」

「それだけ大変なんだろうな」

「そういえば、サウンドウェーブは?」

「あ、そういえばいないな」

「逃げたんじゃないの?もともとアタシ達の事も煙たがってたし」

「確かにそうですわね」

「よし。それじゃあ、帰るとしよう。トランスフォーム。さ、乗って」

 ヘリコプターに変形したサンドストームは、ISを解除した一夏達を乗せて飛び立ち、スクランブルシティ、IS学園へ向かった。

 デストロン軍海底基地にある、防衛参謀レーザーウェーブの研究室で、破壊大帝バイオメガトロンはレーザーウェーブと共に、台に乗せられたISを眺めていた。

「やはり難しいか?レーザーウェーブ」

「はい。やはり型落ちでは無理があったかと」

「むう・・・・・・IS・・・・・・始めてみたときからその兵器としてのポテンシャルは期待していたが、まさかここまで難航するとは」

「このISコアという物が厄介なものでして。ブラックボックスになっていて、私の技術をもってしても開かないのです」

「そうか・・・・・・ISを集めるように言っておいたが、無駄骨だったか・・・・・・」

「いえ、まだそうとは限りません。ISコアの解析を諦めて、単に金属として扱えば、いくらか使いようはあります」

「だとしても補修材とかだろう。全く、ワシとした事が読みを外したな・・・・・・」

「・・・・・・バイオメガトロン様。ここは、私にIS学園に赴かせて頂けませんか?」

「なにIS学園にだと?」

「はい。気になる人が・・・いえ、IS学園が所有しているデータを解析すれば、いくらかISコアを解析できるかも、と・・・・・・」

「だがそれなら他の有能な奴に頼めば良かろう。というか、気になる人だと?」

「あ、いや、その・・・・・・」

「ハハハ!なんだお主も隅に置けんな!で、どういう奴に惚れたというのだ?」

「ほ、惚れただなんて!いや、まあ確かにラウラには惹かれるものがあるが・・・・・・」

「ほうラウラというのか」

「あ、いや・・・・・・」

「良い良い。ワシは色恋には疎いからな。好きにすれば良いわい。まあとにかく今はこのISについてだ。まだこいつについて研究すべきかどうかをな」

「・・・・・・そうですね。冷静に考えて、これ以上は時間の無駄でしょう」

「そうか。よし。これから我々デストロン軍団は、別の作戦を進めるとしよう。まずは立案からだな。スタースクリーム達を集めてくれ」

「了解しました」

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