トランスフォーマーIS   作:ダイダゼノンド

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ターンが元とかなり違います。


第八話 デストロンターンは靡かない

「やあ。親愛なる同好の士、若しくは同志諸君。改めて自己紹介だ。私はデストロンのターン。こうして予定が合い、場を整え、君達が集まってくれたことは、普段の行いの賜物だ。さて、長々と前置きをするのもつまらないだろう。本題に移る。さあ、ここに第993回!メガトロンオフ会の開催を宣言する!」

「いや、なにしてるんだこんなとこで」

 IS学園スクランブルシティの会議室に入った織斑千冬は、目の前の椅子に座りテーブルに肘を付くターンに疑問を投げた。

「おっと。君は確か織斑千冬といったな。どうだ?君もこのメガトロンオフ会に参加しないか?」

「いや、メガトロンなんて知らないが。というか、デストロンがここにいて良いのか?ブレードコンボイ」

 会議室の壁に寄りかかっていたブレードコンボイに、サイバトロン基地にデストロンがいる現状を問いただす。

「彼は信用できる。それに、デストロンに所属しているからといって、全員敵というわけではない。ターンのように、分かり合える者もいるんだ」

「ああ。私は単にセイバートロン星の社会システムが気に入らないからデストロンに所属しているだけだ。メガトロン様が創設したというのもあるがね。ブレードコンボイは義理と道理を通せば融通が利く。私の好きなタイプだ。前回のメガトロンオフ会もブレードコンボイの所有する宇宙船の会議室で行ったからな」

「良いのかそれで・・・・・・というか、メガトロン?バイオメガトロンではないのか?」

「む?ブレードコンボイ、君は我々の歴史を教えていないのか?」

「・・・・・・」

 ブレードコンボイは目を逸らした。

「そうか・・・・・・では、私から説明しよう。まずバイオメガトロンとメガトロン様は別人だ。そこだけは抑えておいて欲しい。かつてセイバートロン星には13人の指導者がいた。プライムと呼ばれていた。だが色々あって2人のプライムを残してプライムは姿を消した。その残ったプライムは、アルファートリン。そしてフォールン、またの名をメガトロナス。この2人は協力してセイバートロン星を治めていたが、ある時フォールンが忽然と姿を消した。もともと2人の指導者がいた事でセイバートロニアンは派閥が分かれかけていたが、フォールンの失踪を境に完全に分断され、セイバートロン星の所有権をかけた、セイバートロン戦争が始まった。この時サイバトロンとデストロンが完成したわけだが、その時の司令官が、コンボイとメガトロンだ」

「ん?コンボイ?」

「コンボイは襲名制でね。サイバトロン軍の総司令官が代々受け継ぐ名前なんだ。このセイバートロン戦争で活躍したコンボイ総司令官を讃えて、歴代の司令官が自分の名前にコンボイを付け加えるんだ」

「そう。サイバトロンがそんな制度を始めたせいで、デストロンも似たようなことを始めた。全デストロン軍団の中で最も強い軍団のリーダーが、破壊大帝とメガトロンという名前を名乗ることができるというものだ。全く忌々しい・・・・・・」

「じゃあ、あのバイオメガトロンの率いる軍団が、デストロンで一番強いと?」

「数の力でな。個々の戦闘力ならロックダウンの一団が最強だ」

「そうなのか・・・・・・」

「全く・・・・・・メガトロン様は迷えるフォールン派の民を導いた英雄だと言うのに、今メガトロンを名乗るのは国を作りたいだけのやつと来た。分かっていないにも程がある。メガトロン様はもっと崇高で、気高くて、カリスマに溢れていないといけないのに」

「・・・・・・」

 千冬はターンのこだわりに若干引いていた。

「とにかくだ。今はメガトロンオフ会に集中しよう。メンバーは前回と変わらず。ダージ、イオンストーム、スコルポス、そしてショックウェーブ御大だ。今回は場所が場所なため、お目付け役としてブレードコンボイに同席してもらっている。ところで、君はどうしてここに?織斑千冬?」

「いや、外から見て電気がついていたから寄ってみただけだ。逆に聞くがなんで夜の7時にやってるんだこんなこと」

「時間が合ったからだ」

「そ、そうか・・・・・・」

「質問は以上かね?それでは始めよう。何と言っても今日は、セイバートロン戦争時代にメガトロン様の忠臣であった、ショックウェーブ御大に来て頂いているのだ。有意義になる」

「そうか。では達者でな」

「待てどこへ行く」

 部屋を出ようとした千冬をターンは引き留める。

「職員室へだ。もう良いだろう?電話対応業務で仕事が溜まってるんだ」

「折角この場に居合わせたのだ。聞いていくといい」

「遠慮しておく」

「メガトロン様の素晴らしさを教えてあげよう」

「結構だ」

「まあそう言わず」

「あ、ちょっ!何をする!」

 踵を返した千冬を掴み、ターンは千冬をトランスフォーマー用の会議机の上に乗せた。

「特等席だ」

「・・・・・・ブレードコンボイ!」

 苛立ちを顕にした千冬はブレードコンボイに呼びかける。

「今すぐ私をここから降ろしてくれ!仕事が溜まる憂鬱は君もわかるだろう!?」

「参考までに聞いておくが、どんな仕事が溜まっているんだ?」

「国連に提出するISやトランスフォーマーに関する資料の作成!それに文化祭やら臨海学校についての会議資料の整理!関係各所への連絡!職員会議と溜まりに溜まっているんだ!」

「それは今日でなくても良いのでは?」

「良い訳あるか!」

 口を挟んだターンに怒りを吠える。

「まあまあ。千冬君、ターンがすまなかったね」

 自らの手に千冬を乗せ、ブレードコンボイは会議室を出た。

「むう。折角の布教のチャンスが・・・・・・」

「何を好んでも良いが、強要は良くないな。で、始めるんだろう?」

 会議室に戻ってきたブレードコンボイが場を仕切り直した。

「そうだな。では、本日はメガトロン様の主武装たる融合カノン砲について・・・・・・」

「昨日のオフ会は盛り上がったな。途中ショックウェーブ御大が興奮して光線銃乱射した時はどうしたものかと思ったが、なんだかんだ楽しかったな・・・・・・次はいつできるだろうか。次はセイバートロン星で行うか。いやセイバートロン星にはあのセンチネルの野郎がいるからな・・・・・・やはりデストロンの故郷、惑星ジャールで行うべきか・・・・・・」

「おい、そこの」

「うん?」

「その顔、デストロンのマークだな?デストロンがこんなところで何をしている?」

 IS学園スクランブルシティの北東部にある滑走路。そこにターンは寝転がっていた。

「何もしてはいない。ただ転がっているだけだよお嬢さん」

「まがりなりにもここはサイバトロン。部外者が許されるとでも?」

「私はブレードコンボイに融通が利いてね。ちょっと顔を出せば通してくれる。顔パスだ」

「・・・・・・なんでも良いが、聞きたい事がある」

「なんだ?人にものを尋ねる時は名乗ったらどうだ?」

「・・・・・・ラウラ・ボーデヴィッヒ。レーザーウェーブという者を知っているか?」

「レーザーウェーブ?ああ、バイオメガトロンの一派の奴か。悪いが私はどこにも属していない。デストロンであるが、どの集団にも入っちゃいないんでね。無理だ」

「そうか・・・・・・」

 そう言うとラウラは顎に手を当て去っていった。

「・・・・・・さて、折角だ。このIS学園、いやスクランブルシティとやらを観て回るか。トランスフォーム」

 ターンはエイリアンタンクに変形し、滑走路を離れる。

「さて、どこ行こうか・・・・・・メトロフレックスの中を見て回るのも良い。学園の生徒達に挨拶するのも、また・・・・・・」

「おい」

「おや?」

「お前、デストロンだろ。よくも白昼堂々忍び込んだな」

「ふーむ・・・・・・ブレードコンボイは部下に話していないのかな?」

「司令官がなんだって?」

「トランスフォーム。私はターン。確かにデストロンではあるが、君達の司令官とはタメなのだよ」

「そんな話は聞いたことがない。スカル!変身!」

 ターンに話しかけたワニ、スカルはロボットモードに変身し、銃を構える。

「おっ、やるか?」

 右腕に2連砲塔を装備し、ターンはスカルに向き合う。

「投降しろ。膝をついて両手を上に上げろ!」

「豚箱は趣味じゃないな。通信してみろ。ブレードコンボイにな。私はターン。良いか?」

「拘束完了!」

「む?」

 スカルと睨み合っていたターンは、突如背後から拘束用ワイヤーで体を縛り付けられた。

「バリケード!」

「よく気を引いてくれたな、スカル」

「むう・・・・・・よほど私のことを話していない、いや話したくないのか?ブレードコンボイめ」

「ゴタゴタ言ってないで、行くぞ!」

「むう・・・・・・」

「ターン・・・・・・君は、まだここにいたのか」

「酷い言い草だな、ブレードコンボイ。知っているだろう?私は帰る場所も向かうべき場所も無い風来坊。風の吹くまま気の向くままに流れるだけさ」

「そうは言うがね・・・・・・」

 捕縛されたターンはメトロフレックス内部にある収容室に入れられ、ブレードコンボイと対峙していた。

「まあなんでも良い。君が来たなら話は早い。出してくれ」

「全く・・・・・・」

 収容室の鍵を開け、ブレードコンボイはターンを解放した。

「今度からは、部下にも交友関係を言いつけておけよ?また縛られるのは御免だ」

「あー!何やってるんですか司令官!」

「リジェ」

 ブレードコンボイがターンを解放している場面を見てしまったリジェは、大声で近づく。

「駄目じゃないですか、独断でこんなことしちゃあ!」

「大丈夫。ターンに危険は無い。私が保証する」

「そうだとも、サイバトロン君。私とブレードコンボイは固い絆で結ばれた仲なんだからね」

「固い、絆ぁ?はん!そんなちゃんちゃらおかしいね!サイバトロン軍の総司令官が、なんでデストロンと仲が良いって言うのさ!?」

「いや、それは・・・・・・」

「どうした?そんなモゴモゴして。君と私の関係はややプラトニックで、それはそれはディープなものだ。確かに説明しづらいというのはよくわかるが・・・・・・」

「・・・・・・」

「ど、どういうことですか?司令官・・・・・・?」

 ターンに肩を組まれ、されるがままで黙りこくるブレードコンボイに、リジェは後ずさる。

「・・・・・・別に大したことじゃない。ターンと私は、士官学校時代の同期で」

「親友と呼べる仲だった。そうだろう?」

「ああ。親友だった」

「へ?士官学校時代の同期?親友?」

「ターンは昔からメガトロンが好きでね。実力もカリスマも兼ね備えていたが、メガトロンはデストロン。上層部に目をつけられて、追い出されてしまってね。それからも交流は続けているんだ」

「サイバトロンは、いやセイバートロンは管理局が牛耳っていて、上に行けば行くほど干渉される。それが嫌だった」

「そ、そういうことなら言ってください!嫌だな・・・・・・変な勘違いするところでしたよ!」

「ハハハ、済まないね」

「デストロンというのは、サイバトロン軍に所属せず、デストロンインシグニアを装着した者達の事を指す。今のサイバトロンはデストロンをイコールで敵としているんだろう?嫌な時代になったものだ」

「それで?ターン。君はこれからどうするつもりだ?」

「そうだな・・・・・・どうしたものか」

「まあ、決まっていないのならいれば良い。私が許そう」

「そうか?じゃあありがたく観光させてもらうとしよう」

 ひとしきり話したターンは収容室前を離れ、メトロフレックスから出ていった。

「良いんですか?」

「ああ。彼は根っからの悪人では無い。どちらかといえば、根は善側だ。それに、デストロンだからといって、悪人しかいない訳じゃない。セイバートロン星の体制に不満を持つ者がデストロンになることも、珍しいことじゃなかった」

「セイバートロン星の体制に?そんな不満を持つようなものでしたっけ?」

「セイバートロンの社会体制は、評議会の下に我々サイバトロン軍と、セイバートロン管理局がある。リジェ、君のような若い戦士には不思議だろうが、私が士官学校生だった時代から、管理局の権力が強くなり始めたんだ」

「権力が強く?どういうことです?」

「私が士官学校に入って少しした頃、管理局のトップである最高管理者の補佐にセンチネルという男が就任した。センチネルが補佐を務めてから、管理局は熱心に活動するようになった。自分達に有利な法律を、評議会に大量に提案し、自分達が動きやすい土台を作った。そこからセンチネルはその仕事ぶりを称えられ、最高管理者に昇格。そこからだ。今のようなデストロンへの排他主義が強まったのは」

「そんな事があったんですか・・・・・・」

「ああ。元々デストロンはセイバートロンとは違う惑星ジャールで生まれるか、サイバトロン軍に入らなかったセイバートロニアンが所属するかだった。今思えば、センチネルが最高管理者になってから、サイバトロン軍からデストロンになるものや、サイバトロン軍を抜ける者がで始めたんだ・・・・・・」

「あれ?だったら、なんで司令官が元デストロンを軍に加えることが許されているんです?」

「あくまでサイバトロン軍とセイバートロン管理局は別の組織だ。それぞれの行動と権利は最後の1人(ラスト・プライム)であるアルファートリンの下に保証されている。つまり、セイバートロン管理局は政治、サイバトロン軍は軍事として明確に区別されていて、互いが互いに過度に干渉することが許されていないんだ」

「だからまかり通ってるんですね」

「評議会の連中は、センチネルの思想に染まりかけているがね。まあ、サイバトロン軍は私の管轄だ。管理局にも評議会にも、壊させはしないさ」

 IS学園のアリーナにて、この日、一夏はISの訓練をしていた。

「よっ、と。やっぱ当たんないな」

「じゃあ、まずは普通の銃で練習してみなよ」

 練習に付き合っていたシャルルは、自らのISを操作し、武装の1つであるアサルトライフル、ヴェントを一夏に持たせた。

「撃つ時はこうやって・・・・・・」

「・・・・・・納得いきませんわ」

 同じアリーナを使っていたセシリアは、そう呟いた。

「確かに、あれはちょっと近すぎな気がする」

「・・・・・・男同士だぞ」

 同席していた鈴音の賛同に、同じく同席していた箒が突っ込んだ。

「だとしてもです!普段なら私達にも話を振ってくるリワインドさんも、今日に限って静かにしていますし!」

「男同士だからだろ」

「何より!あんなにくっついちゃって、一夏が目覚めたらどうするのよ!?」

「いや、男同士ならあんなもんだろ」

「というか、箒さんはなにも思わないんですか?相部屋ではなくなってしまったというのに」

「んぐ・・・・・・」

 シャルルが転校して来た日、箒はシャルルが一夏と同性という理由で相部屋が解消されてしまっていた。

「・・・・・・今は、別のルームメイトがいるから」

「ですが!箒さんにとって数少ないアドバンテージが無くなってしまったのですよ!?」

「数少ない言うな!」

『皆、聞こえるか!?至急、連絡橋に集まって欲しい!』

「ブレードコンボイからだ!」

「箒さん!失礼いたします!」

 ブレードコンボイからの通信で一夏達がアリーナを後にし、箒は1人取り残されてしまった。

「・・・・・・」

「あれか!」

 連絡橋の丁度真ん中に、2人のトランスフォーマーの姿があった。

 一夏達が駆けつけると、待っていたブレードコンボイとマイスター、そしてドリフトが、警戒態勢を敷いていた。

「ブレードコンボイさん!どういう状況なんです?」

「平たく言えば、デストロンの襲撃だ」

「デストロンの!?」

「ああ。だが、どうやら揉めているようでな・・・・・・」

 視線の先の2人のデストロンは、ロボットモードで何かを話している。

「ねえラナバウト〜、本当にやっちゃうの?」

「当然だろ!破壊こそデストロンだ!とっととやれ!アイアントレッド!」

「でもさ、こんなの作るの相当時間もお金もかかったと思うよ?ビルドロンがいれば何て言うか・・・・・・」

「いない奴のことを考えるな!とっととやれ!お前それでもデストロンか!?」

「やっぱ気が引けるよこんなのは。というか、バイオメガトロン様の目的は国を作ることだろ?こんなとこ壊して何になるんだよ?」

「屁理屈が多い!ええい、アイアントレッド!この使えないガラクタめ!」

「うわ!ちょ、なにをする!?うわあああああああああああ!」

 自らに反抗するアイアントレッドに苛立ちを抑えられなくなったラナバウトは、持っていた銃で足元を撃ち壊し、アイアントレッドを海に落としてしまった。

「全く・・・・・・あいつのミサイルには期待していたが、まあしょうがない。用意しておいて正解だったな。やれ!ジェットストーム!」

 連絡橋の下にある海から現れた無数のジェットストームは、ロボットモードで一斉にスクランブルシティに飛びかかる。

「このままじゃ!」

「迎撃システムがある」

「え?」

 飛来するジェットストームは次々とスクランブルシティの防衛システムであり、中央のロケットから放たれる大量の光弾を浴び、爆散していった。

「すごい・・・・・・これが、迎撃システムなんですね!」

「ああ。ドローン兵位なら造作もない」

「クソ・・・・・・だが、流石に迎撃システムだ。このサイバトロン基地の範囲内には攻撃できまい!残ったジェットストーム共!ビークルモードトランスフォーム!低空飛行!そして高速でアタック!」

 ラナバウトは残りのジェットストームをビークルモードに変形させ、一夏達にけしかけた。

「来る!」

「Jブレード!」

 一夏達はそれぞれ武器を構え、ジェットストームを迎え撃つ。

「サイバトロン戦士、アタック!」

 ブレードコンボイの声と共に走り出し、それぞれ武器を振るう。

 そのとき、どこからともなく二つの光弾が飛来し、ジェットストームを吹き飛ばした。

「この攻撃は・・・・・・」

「全く・・・・・・うるさいぞ。人が折角気持ちよく寝ていたというのに」

「ターン!」

 ジェットストームを吹き飛ばした攻撃をしたのは、未だスクランブルシティから出ていなかったターンだった。

「ん?ふーん。なるほど。デストロンの襲撃というわけか」

「お前、デストロンだな!その顔のマスク!生粋のデストロン兵だろう!?」

「顔のマスク?これは口のあたりを怪我したときに良さげなマスクを見つけて着けたら角と相まってそれっぽくなっただけだ」

「は?」

「というか、お前か?昼間っからドンパチやって。うるさいったらありゃしない。折角私が海の音を聞きながら心地よい睡眠体験をしていたというのに。迷惑にも程がある。謝罪しろ」

「な、なんだと・・・・・・?」

「ほら、いいから謝罪。膝を地面につけて両手を前に置いて頭を地面に擦り付けろ。ほら早く」

「土下座じゃねえか!誰がやるか!さっきからゴチャゴチャと、お前から始末してやる!」

 激昂したラナバウトはターンに向かって走り出し、飛びかかろうとする。

「ふん」

「ぐわあああああああああああっ!」

 しかし、ターンの右腕に装備された2連砲塔の攻撃をボディに食らい、そのまま吹き飛ばされてしまった。

「なんだ。あっけない」

「ターン!」

 ラナバウトを吹き飛ばしたターンにブレードコンボイ達は駆け寄った。

「お前・・・・・・まだいたのか」

「助っ人参上からの勝利で、まずかける言葉がそれか?」

「え?あの、デストロン、なんですよね?」

「あー、後で説明するよ。ドリフト」

「あぁ・・・・・・ひどい目にあった・・・・・・」

 海に落ちていたアイアントレッドは橋桁を登り、再びブレードコンボイ達の前に姿を現した。

「君は、アイアントレッドと言ったな!」

「え?ああそうですはい」

「まず聞いておこう。戦う意思はあるか?」

「え?そんなまさか。元々ラナバウトに引っ張って来られただけだし。このまま帰りますよ」

「そうか。ならいい」

「あーあ。いつもは地上行きの地下通路を通るから基地から出るにも濡れないのに。あーやだやだ。トランスフォーム」

 そう言うとアイアントレッドはビークルモード、ダンプトラックに変形し去った。

「さて。じゃあ私も行くかな」

「やっとか」

「そう言うな。また会おう」

 軽く別れの挨拶を済ませたターンは連絡橋を歩き出した。

「全く・・・・・・戻ってくれば良いものを」

「あのー、ブレードコンボイさん?」

「ああ、こんなことで呼んでしまって悪かったね。一夏君。皆、今日は済まなかった。ゆっくり休んでくれ」

 そう言うとブレードコンボイは踵を返した。

「クソ・・・・・・こんなはずじゃ・・・・・・」

「ところでこの案だが・・・・・・」

「やべえっ!」

 デストロン軍海底基地にて、帰還したラナバウトは玉座の間の前を通りがかり、咄嗟に身を隠した。

「やはり我々の知名度や社会的印象がネックになるだろう。まずは足がかりを作らなければ」

「ですが、今の作戦のスピードじゃあ、いつまでも終わりませんぜ」

「では、二つの作戦を同時に行うのはどうでしょう。二つと言わずそれ以上も」

「それなら戦闘作戦はうちに任せてもらおう」

 玉座の間ではバイオメガトロン、スタースクリーム、レーザーウェーブ、オンスロートの4人が集まっていた。

「そうだな。軍事行動においてコンバットロンを上回る者はいないからな」

「では来週あたりに。それで、もう一つの作戦はどうします?」

「そこが問題だ。第一印象では完全にサイバトロンが善玉のように扱われてしまった。そこをどうにかしなければならん」

「でしたら、俺にいい考えがありますぜ」

「なんだ?スタースクリーム?」

「よく言うでしょう?普段素行の悪い奴は、ちょっと募金しただけでイメージがガラリと変わる。それを利用するんですよ」

「なるほど一理ある」

「ではそういうのが得意な奴に任せましょう。そうですね・・・・・・」

 レーザーウェーブは玉座の間にある端末を操作し、デストロンシティ内にいるデストロン兵士を検索する。

「こいつなんてどうでしょう」

「どれどれ・・・・・・ほう、モーターマスターか」

「はい。企画経営という点ではスタントロンの右に出る者はいないでしょう」

「よし。レーザーウェーブ。スタントロンに招集をかけろ。これからスタントロン達との会議を始める」

「わかりました」

「いやー今日も1日終わったねえ」

 夜。

 シャルルは一夏とリワインドとの相部屋になり、ベッドに座って談笑していた。

「でも、スカウトチームっていうのも大変だね。呼ばれたら必ずいかないといけないんでしょ?」

「まあな。でも、悪いもんじゃない。活躍こそそんなに無いけど、出会いがあったり、楽しいよ?」

「ふーん。僕も、そんな経験できるかな・・・・・・」

「期待していいと思うぞ」

「・・・・・・そうだね。じゃあ、僕お風呂入るから」

「ああ」

 シャルルは立ち上がり、浴室に向かった。

「にしても、どうにも気になるな」

「なにが?」

「この前サウンドウェーブに会ったとき、紛れ込んだ者がいるって言ってたろ?」

「確かに言ってたな」

「それで、今日のアイアントレッド。あいつはラナバウトが連れてきたらしいし、どうにも引っかかるんだよな・・・・・・」

「そうか?」

「なんかな・・・・・・」

「まあ、そのうちわかるだろ。そういうのは」

「そうかな・・・・・・」

「あ、そういえばシャンプー切らしてたな」

「ん?今シャルルが入ってるだろ?」

「大丈夫だろ。男同士だし」

 一夏は立ち上がると浴室へ向かった。

「シャルー、シャンプー補充するぞー」

「ふえっ!?ちょ、ちょっと待っ!」

「・・・・・・え?」

「わ、わああ・・・・・・!」

 脱衣所のドアを開けると、そこには一糸まとわぬ姿の女性。

「わ、わわわ・・・・・・出てって!」

「うおっ!?」

 一夏は突き飛ばされ、尻もちをついた。

 シャルルは浴室のドアを勢いよく閉めた。

「痛てて・・・・・・シャル、シャンプー入れようとしてたんだな」

「どうした一夏?」

「いや、なんか、シャルがシャルじゃなくて、女の子で・・・・・・」

「・・・・・・疲れてるのか?」

「そうかな・・・・・・そうかも・・・・・・」

「いいから2人共部屋戻って!」

「「?」」

 一夏とリワインドは言われるままにベッドに戻った。

「えーと、その・・・・・・」

「お、おお・・・・・・」

「デカいな・・・・・・」

「ちょっと!」

 ベッドに腰掛ける2人の前に立つのは、シャルルだったのだが、その姿は女性らしい曲線を帯びていた。

「え、と・・・・・・見た通り、です」

「シャル、お前・・・・・・」

「女だったのか・・・・・・」

「うん・・・・・・会社の意向でさ。僕の父親、デュノア社の社長で。業績が悪化してきててさ、それで、一夏の白式のデータを盗むためにさ、男装してきて・・・・・・」

「そうか・・・・・・」

「だが、これからどうするんだ?データ盗むって、結構なことだろ?それに性別詐称って、学園に対してもまずいだろ・・・・・・」

「うん。良くて強制送還、かな」

「・・・・・・!」

「どうした一夏?」

「いや、確か・・・・・・」

 立ち上がった一夏は生徒手帳を取り出し、何かを探している。

「これ!この項目だ!」

「え?学園は、いかなる国家の干渉も受けない・・・・・・これが、どうしたの?」

「つまり、この校則があればシャルは帰らなくて良いんだよ!」

「一夏お前・・・・・・なんでそこまで」

「そうだよ!僕は、騙そうとしたんだよ!?」

「でも、俺は何も失ってない。それに、シャルがやりたくてやったわけじゃないんだろ?」

「それは、そうだけど・・・・・・」

「じゃあ、卒業するまでどうするか考えれば良いよ!先生達に対してもさ!」

「一夏・・・・・・一夏!うん!うん!」

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