SPECIALな旅でもなくたって   作:闇音猫

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ニビは灰色 石の色 ──3番道路って段差多くね?

 

 

「す……すみません!バトルの申し込みをしたいんですけど……」

 

 受付時間ギリギリに滑り込み、ジム戦を受ける

 

「選手名はなんですか?」

 

「レモンです」

 

「承りました。まもなく最終ブロックでのバトルが始まるので用意をしてください」

 

 前座である精鋭のトレーナーなど、僕の敵ではない。

 ロコンはいわ技を足場にして“かえんほうしゃ”を繰り出す。イシツブテやゴローン、ディグダにカラカラ。全てほのおタイプの弱点だが難なく予選を突破する。

 そして迎えた最終戦……

 

「ついに俺への挑戦権を得たやつが出たか」

 

「では、対戦よろしくお願いしますね。ジムリーダーのタケシさん」

 

「望むところだ」

 

 カーンッと試合を始める音が鳴る。相手はイワーク。

 

「ロココ、“しっぽをふる”!」

 

 こちらから先手で仕掛ける。とりあえず気を引きつけて、“だいもんじ”で決める作戦だ。

 しかし相手はジムリーダー。そう簡単にいくわけがない

 

「だよね、全く効いてない。流石は『強くて 硬い 石の 男』一筋縄では行かないか」

 

「次はこちらだ!“いわとばし”!」

 

「ロココ!足場にして高く飛んで……」

「“かえんほうしゃ”!」

 

「これを待っていた。予選と同じ手が通用すると考えたら大間違いだ。オレのイワークの最終技は自らの体を竜巻と化した攻撃!とどめだ!“ロケットずつき”!」

 

 竜巻のようなイワークがロコンに突っ込み、挑戦者の負けで勝負アリか。と思われたが、土煙が晴れた後立っていたのはロコン。しかもピンピンだ。一方のイワークはリング横の柵に頭を思いっきりぶつけて戦闘不能になっている

 

「ふぅ……足場から高く跳んだ時に隙をついて“あやしいひかり”を使って良かったー……」

 

『勝者は挑戦者のレモン!』

 

 わあああああっ!と歓声が上がる。もう夜に近くて人もあまりいなかったがそれでも凄い歓声だ

 

「ははは、完敗だよ。君には勝利品の“グレーバッジ”を渡そう。いい戦いをありがとう、レモン」

 

「こちらこそ、跳んでる時に“ロケットずつき”されたから対策してなかったり、混乱が発動しなかったなどのズレが起きたら間違いなく負けてました。ありがとうございます」

 

 最後にギュッと握手を交わしてジムを後にする

 

「ほへーこれがグレーバッジかー……ニビシティの肩書きの色だ。ってあ、そうだ」

 

 ボールから捕まえたピカチュウをポンッと出す。ピカチュウ側はまだ警戒しているのか尻尾を地面に打ち付けている

 

「大丈夫。君に危害を加えようとしているわけじゃない。……先程ロケット団が森に入ってポケモンを乱獲していったから警戒してるんだろ?」

「僕は断じてそんな良心に問えないような事はしない。だから安心してくれ」

 

 僕はピカチュウに優しく手を差し伸ばす。

 ピカチュウは驚いた顔をした後、恐る恐る差し伸ばされた手に触れる。パチッと鳴る静電気が少し痛い

 

「うん、警戒を解いてくれてありがとう。君は……“ライ”にしよう。君の名前はライだよ」

 

 別の名前で呼ばれたのに戸惑っていたが、すぐに「いいじゃん!」とでも言うようにニカッと笑った

 

「良かった。気に入ってくれて……じゃあ、僕のポケモンになるうえでやってほしい事を話すよ。ポポろうもロココも出ておいで」

 

 モンスターボールを空高く投げ、2匹が「眠いんだが?」とでも言うような半開きの目でこちらを見てくる

 

「……今はこんなに楽しく冒険してるけど、いつかは自分の身が危険に晒される事がある。自分が抱えてる謎を解く過程で必ずしも危険にぶつかるんだ」

「だから……その時は全力で僕を守ってほしい。護身用に1匹いるけど、迂闊に出せるような奴じゃないから」

 

 やってくれる?というようにじっと3匹を見つめればやってやるよと闘志をたぎらせている

 

「お〜やる気あるねぇ。話聞いてくれてありがと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃ、この先の3番道路で火焚いて野宿しよっか。トキワまで戻るのは暗いし迷惑になっちゃうからね。ライ、明るく照らしてくれるかな?」

 

 その場がパァッと明るくなる。ニビシティを出て3番道路にはいった時、何やらポケモンが争っている音が聞こえる。

 

「音……的に羽音?むしポケモンかな?行ってみようか」

 

 1人と3匹が音のする方へ向うと、3匹のスピアーが何かを攻撃している。目を凝らせばそこにいたのは

 

 ───真っ白なイーブイだった

 

「色違い……!?」

 

 茂みに隠れていたのに大きな声を出したせいで、スピアーがこちらに気づいて襲いかかって来る。

 

「やばっ!でもあのイーブイ弱ってる……助けなきゃ!」

「ポポろう!できるだけ長く、強く、“かぜおこし”!近づけないで!」

 

 ポポろうと戦闘意欲満々のライが相手してくれているところで滑り込みながらイーブイの容態を図鑑で見る

 

「毒だ……しかも猛毒……しかもあのスピアー、大きい方は羽が──そういうことか!」

 

 とりあえず、毒直しとしてモモンのみを食べさせようとしたタイミングでポポろうの“かぜおこし”のPPがゼロになる。

 ちぇっ、あげられるような時じゃない!

 完全に敵意剥き出しのスピアーはこちらに向かってくる

 

「保険で入れてたコイツ、使えるかな……いけるか!キャタピー!」

 

 トキワの森で捕まえていたキャタピー。

 戦闘にも出したことがなく、後ろを向けば捕まえてくれたトレーナー、前を向けば強そうなスピアーが3体迫って来ている。もはや泣きそうな目である。

 

 そんな顔しないでくれ……チャーミングなお顔がもっと可愛くなってるじゃんか

 

「キャタピー!1番大きいやつの手とおしりの針に“いとをはく”!ロココはその位置から他の2匹に“あやしいひかり”!」

 

 ロコンの位置からスピアーの位置までは5mはある。戦闘したことがないポケモンに、対象よりも遠くにいるポケモン

 2匹に無茶させている事は分かってる。でもやってくれるはずだ。

 

「ピッ!」

 

 恐る恐るながらもキャタピーは糸をはいて針を完全に使い物にならなくする。一方ロコンも技を命中させて、他の2匹はふらふらしている。ひゅ〜流石は相棒。

 

 使い物にならなくなった針を見ながら明らかに敵意剥き出しのスピアーに僕はきずぐすりを見せる

 

「戦おうとしてるわけじゃないよ。君の羽直してあげようかと……正確に言えば補強してあげようかなって思って」

「女王バチの争いで追い出されたんだろう?そこへ、きのみを取ろうとしてきたイーブイの投げた石が当たってこんな事になったんじゃないかな……違う?」

 

 問いかけてみたら図星のようで、負けたのが悔しかったのかションボリする。敵意は感じられない

 

「羽はイーブイの“スピードスター”の傷だね。きずぐすりを塗って、キャタピーの糸で補強したらリハビリは必要だけどしっかり飛べるようになるよ。糸もほどいてあげるね」

 

 針についていた糸をほどいてあげ、他の2匹も混乱が解け、襲われるかと思ったら女王バチのスピアーに怒られる。

 大人しくなったたところで、ポポろうがふらふらと飛んでくる。何やら体調が優れないご様子で……って

 

「どく……!“ダブルニードル”でやられたのか!はい、モモンのみときずぐすりで治療ね」

 

「いや……マジでよかった〜。母さんが人とポケモンの医者で。覚えとけって言われたの役に立ったわ」

 

 僕の母さんは、クチバシティに拠点を置く医者だ。その腕はポケモンや人がすぐ、「良くなった!」と言うほど。

 しかし、今は病気で病院に入院しているが、入院先でも診るなど働き詰めだ。

 

「さて……イーブイの治療を──って嘘だろ?きずぐすりもうないし……どくけしも、モモンのみもない!なぁ、スピアー達?この辺でモモンのみがなってる木知らない?」

 

 3匹に聞いても首を傾げたり、横に振るだけだ。

 

「どうしよう……フレンドリィショップは閉まってるし、暗い中探すのも多分戦闘戦闘で逆に傷を増やすだけだ。オツキミ山の前にもポケセンはあるけど間に合うか分からない」

 

 医者の子供だと言うのにここで救えなくてはその品性を疑われてしまうし、母にも申し訳ない。

 

「クソ……どうする……!」

 

「あの……!」

 

 遂に悩みすぎて幻聴が聞こえるようになっちゃったか……

 

「すみません!そこのお兄さん!何かお探しですか!?」

 

 子供の声だ。声がする方を見ると、髪をポニーテールにまとめた7歳くらいの子供が居た。この子に賭けてみるしかない

 

「うん。そうなんだよ……このイーブイがもうどく状態で、あいにく毒を消せる道具が無いんだ」

 

「それなら私、持ってますよ。はい、どうぞ……食べられる?」

 

 目の前の少女はモモンのみをイーブイに差し出した。食欲はあるのかガツガツと食べて、図鑑を確認すれば毒は消えているようだった

 

「ありがとう。君のおかげで助かったよ」

 

「いえいえ……あ、あの……他にも傷ついているポケモンいませんか?見せてください」

 

 そういやロココもライも戦ってたし、ポポろうは毒にやられていた。

 

「うん?いいけど……」

 

 ボールを投げて図鑑をみれば回復はしたがHPが赤になっているポポろうと、残党と戦っていたのかHPが黄色になっているライとロココが出てくる。

 

「ちょっと待っててくださいね……?」

 

 少女はポケモン達の前に手を添える。するとみるみるHPが回復していく。

 

 ポケモン達も驚いているし、僕が1番驚いている。

 

「え……凄い」

 

 そういえば、母さんから聞いたことがある。

『トキワにはね?10年に一度、ポケモンの回復や意思疎通ができる子が産まれるという言い伝えがあるのよ。本当かどうかは分からないけどね。うふふ』

 なんてこと言ってた気がする。けど深くは踏み込まない

 

「よし、みんな元気だね。お役に立てたならよかったです。あ、あと……」

 

「うん?どうかした?」

 

「ニビジムでの戦い、かっこよかったです……!応援してますね!」

 

 えへへ……と照れ笑いした顔が可愛くて一瞬ボッと顔が赤くなる。隠すかのように下を向いて帽子を深く被る

 

「そ、そっかぁ〜〜初めて身内以外に褒められたなぁ……。ふ、不本意ながらなんですが、お名前を教えてもらっても……?」

 

「えぇ……?まぁ、お兄さんの名前は知ってますし……私はイエローです。トキワシティに住んでます」

 

 イエローか。まだトレーナーに満たない年齢だろうが次会ったらもう少し話をしたい

 

「ふぁあ……お話してたら眠くなってきました……」

 

「家はトキワシティなんだろ?親も心配してるだろうし、送ってあげるよ。野宿しようかと考えてたし」

 

「いいんですか?あと、3番道路での野宿はやめたほうがいいですよ。スピアーが『ここはもう、縄張り争いに勝った群れの縄張りだから危ない』って言ってます」

 

 ほんと?と聞くようにスピアーをみれば、コクコクと頷く。……やっぱり言い伝えは本当らしい。凄いなぁ……トキワの森の力

 

「じゃ、野宿はやめ。オツキミ山前のポケセンで泊まろう」

 

「あと……この力は内密にお願いします……」

 

「オーケー。それじゃ行こうか──っと、イーブイと3匹はどうする?仲間になるかい?」

 

 イーブイは仲間になる気満々だが、スピアーは治療してあげたやつだけが仲間になりたいと思っているらしく、近衛であろう2匹が止めている。

『決めた選択を邪魔する権利はアンタたちにはない!』とでも言うようにスピアーが怒ると、渋々2匹は引き下がった。

 

「いいの?ホントに」

 

 スピアーに聞けば頷いてくれる。僕は2匹にボールをぶつけて捕まえる。そしてしっかりカチッと音がする。これで手持ちは5匹だ。とは言えスピアーは治療で無理だけど……あと護身用もいるから6匹だし……

 

「わぁ!凄い……!」

 

 イエローのキラキラとした眼差しが眩しい。こうやって応援してくれる人がいるんだ。モチベ上がりまくりだ

 

「それほどでも〜?ささ!送ってくよ!」

 

 照れ隠しをしながら、ライを先頭にしてトキワまで歩く。

 こう……飛んだり乗れたりするポケモンが居たらいいんだけどね……

 ポポろうが進化するまでは無理か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イエローという少女を送り届けた後、3番道路を駆け抜けてポケモンセンターに入る。

 

「すみません、仮眠だけでもいいので……、少し寝させてください」

 

 了承を得た僕は椅子に座って、眠ることになる──

 

 





レモン、1つ目のバッジを獲得!そしてイーブイとスピアーを仲間にしました。ここでイエローを出したのは見ててくれた人がいたら嬉しいよね!ってだけです。伏線になるかもしれませんが…

まぁまぁ御愛嬌。

技は基本決めた4つしか使ってないんですけど、話進むごとに沢山使えるようになるだろうから、使っている一部を載せます

ロコンのステータス↓↓↓

ロコン:ロココ ♀ LV: 35 おとなしい性格
技: あやしいひかり かえんほうしゃ だいもんじ しっぽをふる など

レモンの相棒。何がなんでも進化しようとしない。不思議なロコン。ボールの外に出ている時は肩に乗る


ばいねこ〜


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