光のギャル、終わりました。   作:クレナイハルハ

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NOCTURNE~暗く静かな石牢で~

 

 

トリニティ総合学園、百合園セイアのセーフハウスの寝台にはカリナが寝かされ先程の銃撃でアザとなった様々な場所にセリナが薬を塗っていた。

首元のヘッドフォンや手首に着いていたスマートウォッチらしき物がとり外され、カリナの枕元に置かれている。

その場にいる補習授業部、鬼方カヨコと小鉤ハレはベッドへと横たわるカリナを黙って見つめていた。

 

「カリナが病んでるってどういう……」

 

「待って、カリナが病んでるってどういうこと?」

 

ハナコは先程、百合園セイアから送られてきたメールにあった一文を思い出していた。

 

『あと姉さんなのだが、()()()()()()()()()()()()()だろう。恐らくは私より彼女の方が療養が必要なのではと感じている。』

 

ハナコの呟きを耳にしたカヨコが驚いた様子でハナコに詰め寄る、またカヨコの言葉「カリナが病んでいる」という言葉にその場にいた全員が驚き固まっていた。

 

「さっき、セイアさんから送られてきたメールに、そう書かれていたんです。でも、何でそう思ったのかは書かれていませんでした」

 

「な、ならもう一度セイア様にメールをしてみたらどうでしょうか?事情聴取中でも帰ってきたんですよね?」

 

ヒフミの言葉にハナコは頷いて即座にスマホでメールを打っていく。そんな中でカヨコやハレ、先生達は彼女が病んでいたという事実に驚き、気付けなかったことを悔やんでいた。

そしてメールを送信した、すると即座に返信が返ってきてその場にいた何人かが微妙な表情を浮かべた。

 

「"えぇと……すぐに、返ってきたね。返事"」

 

「えぇ、その人一応事情聴取中……なんだよね?」

 

「そ、そのはずなんですけど……」

 

「事情聴取中にスマホ、普通にダメでしょ」

 

「ティーパーティー特権、という事でしょうか?」

 

ハレは事情聴取中なのにスマホでメールが出来る事に疑問を持ち、普通ならダメだとまるで経験談のように言うカヨコ。そしておすおずとティーパーティーというトリニティ総合学園のトップだからこそ出来る事だと考えるヒフミ。

先ほどまでの悲観した空気から一変して微妙な雰囲気の中、ハナコはメールを開いた。

──────────────────────

From:百合園セイア

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メールの方を確認したよ、彼女(姉さん)は無事セーフハウスに運べたようで安心した。

さっきのメールでの質問に対する返事だけどね、彼女の家に泊まった時なのだけどね。

まず彼女の家の洗面所の鏡があったと思われる場所に鏡が無くて、鏡があったと思われる場所には銃痕があった。

つまり彼女は何らかの理由で鏡、鏡に映る自分へ向け銃を撃ったというだろう。

この時点で恐らくはまともな状態ではないと思われる。

そして彼女(姉さん)は眠った際に寝言で何度も「違う、私は...私は...」や「もう、偽りたく……ごめんなさ」と呟いて泣いていたんだ。

途切れ途切れの寝言だったのだが、そこから聞き取れた内容から誰かに謝っている、そしてもう偽りたくないと話していたのが予想できた。

夢にまで魘される状態だ、間違いなくまともな状態じゃないだろう。

私も、実際にそうだったからね。

本当ならすぐにでもそちらへ向かいたいが、まだ事情聴取が続いていてね、まだ私の言葉は信じて貰えないようだ。

 

P.S.

色々と終わったら彼女の療養は私にも任せてくれ。いい病院を紹介できるし、なにより私が責任もって彼女(姉さん)を看病しようじゃないか。

 

──────────────────────

 

「カリナとお泊まり……ずるい、私ですらお泊まりまだ進んでないのに」

 

「いや、今はそこじゃないでしょ………確かに羨ましいけど」

 

メールの文面を読み上げるなか、ハレは百合園セイアがカリナの家に泊まった事へと悔しさと羨ましさを含めた声を漏らす。そしてそんなハレに今はそうじゃないと告げつつもボソリと羨ましさを出してしまうカヨコ。

本文の後に書かれた追伸をスルーしつつ、本文からカリナの状態についてハナコは考える。

カリナは今まであの明るく誰とでも仲良くなれる性格を演じてきた。そして演じることが嫌になって染めた髪も元に戻し友人関係やモモトークを全て消去した。更にはトリニティ総合学園を退学し連邦生徒会を辞め、持っていた銃すらも売った。

ここまでは分かる、でもそうなったなら普通は解放感で少しは明るくなったりする筈。

でもセイアさんや先生達の見たカリナは明るい状態とは違い、関わってきた仲の良かった殆どの人に対して突き放すような言動を取っていた。

まるで()()()()()()()()()()()()()()()を拒否するように。

そしてセイアさんが聞いた『偽りたくない』『ごめんなさい』『違う、私は』の言葉から、カリナは明るい状態を演じることが辛かった事は勿論だが、謝っていることから恐らく演じていたこと、

()()()()()()()()()()として、色んな人たちと関わっていた事が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

そのせいで罪悪感を感じていたと推測できた。

だが、カリナはそれを演じていることが辛いと、苦しいと思う原因だと()()した。

だから彼女は演じることを止め、関わってきた人たちを全員拒絶する方に行動してしまった。

辛いなら止めればいい、辛いなら関わらなければいい、消えればいいと思いカヨコさんやハレさんを見て話しかけられても突き放すような言動を取った。

問題はここからだ、だとしたらなんでカリナは家の洗面台の鏡を銃で撃ったのか。なんでセイアさんの事を誘拐した犯人となっているのかだ。

 

「コハルちゃん、なぜカリナが犯人として追われているのか誰かに聞けませんか?」

 

「えっと、現場の映像に映ってたハスミ先輩に聞いてみる」

 

そういいながらモモトークで連絡したコハルのメッセージへの返事を待っていると、返事はすぐに返ってきた。

 

「えっと……ハスミ先輩が本人の口から百合園セイア様の誘拐について自白したのを聞いた!?」

 

「"えぇ!?"」

 

「自白!?やってないのに!?」

 

ハスミから返ってきたメッセージにその場にいた全員が驚愕する、だが実際に百合園セイア本人はそれを否定している。

なら、どうしてカリナは自分が犯人であるなんて嘘をつきこのような状態へ自らを追い込んだのだろうか?

そんな疑問を浮かべつつ、ハスミがカリナの口からセイアさんを誘拐した事について自白したという事実について、セイアさんにメールで送る。

 

「セイアさんも、カリナが自分がセイアさんを誘拐したと話したことは知らなかったみたいですね……」

 

「現状を打破するには、カリナ自身が誘拐した事は嘘だと証言する必要がある訳だね」

 

ともかくは、彼女が起きるまでは動くことは出来ない。そう話を決めた全員は取りあえずカリナが起きるまでセーフハウスで過ごすことにした。

そしてハナコは先生に自分が考えたカリナの現状についての仮説や推論をいくつか話した。

 

「"なるほど、ハナコはカリナがそうなってると思う訳なんだね"」

 

「はい、なのでこの推察が事実なのかどうかは先生からカリナに聞いて欲しいんです。私たち生徒だと恐らく彼女の本音を聞き出せません、きっと拒絶されてしまいます。でも、私たち生徒ではない()()である先生なら、きっと……カリナも話してくれると思うんです」

 

「"分かった、頑張ってみるよ"」

 

ハナコの言葉に先生は頷き、話を聞いていたハレやカヨコもそれに賛成した。

全員がカリナの目覚めを待ち時間を過ごす中、彼女の頭にヘイローが浮かび上がったのは午前3時頃であった。

 

 

 

 





前回の後書きで『師走 莉乃愛』様のイラストが挿絵表示が出来ていなかったこと、お詫びします。
何故か以前まであったサイト内の挿絵使用申請のページが見つからなかった為、『師走 莉乃愛』様に許可を頂き私の方でイラストをダウンロードさせて頂きアップロードした物を載せさせて頂きます。
改めまして『師走 莉乃愛』様の書いて下さったイラストがこちらになります。

【挿絵表示】

前話の挿絵表示の方も修正しイラストを見られるように直しておきました。

また、この度ブルーアーカイブのサークルにてアマノイワトというサークルを立ち上げさせて頂きました。
興味をお持ちのかた、入団して下さる方は是非サークルにいらしてください。

ご愛読ありがとうございます。

感想、お気に入り登録、高評価

お待ちしています。

続きはカリナが抱えています
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