眩しくて、戻らない青春の瞬間。
目の前の拘束されていた少女へと『おかえり』と話す砂に埋もれた町で生きてきた少女達の声がその場に響き渡る。
そんな少女達に応えるように小柄な身体からは考えられない程に大きなものを背負っていた彼女は恥ずかしそうに笑いながら『ただいま』と応える。
あぁ、羨ましいなぁ……救われて、助けてくれる
そしてそんな彼女たちの近くで微笑む先生から少し離れた場所で、私は手に持った銃を握る手に自然に力が入っていた事に気付いた。
自分を偽って、周りにとって都合が良い自分を演じている私にとってはそんな光景は、本当に眩しくて、遠くて、まるで別世界のようだった。
たった5人で、抗い続けた少女達が失いかけ、取り戻した日常はまるでアニメや漫画のようで、自分が余計に虚しく感じた。
結局は、自分が変わって世界が変わるだなんて本当にありえるのだろうか。
『苛められる私が悪い』
『君に問題があるとは考えなかったのか?』
私が所属していたとある自治区にある学園から近くにある小学校、そこで苛めの相談をした私に対して教師のロボットはそう応え、まるでどうでも良いというように目の前のパソコンを操作する。
それを目にして、私はこの人が助けてくれないことを悟った。
最初はなんだったろうか?そうだ、陰口だ。
この髪が髪色が気味悪いだったろうか、そこから連鎖するように読んでいる本や趣味が気持ち悪い。声が小さい、話が合わない、気にくわない、思い出したくもないのに、脳裏にその言葉達が浮かんでは私の心を壊していく。
あからさまに趣味が同じと思わせて話しかけてきたら、適当な言葉を並べ、趣味について全く知らずにからかってくる人たちばかり。
話しかけてくる人を疑うことを、同じ趣味だと言ってくる人が本当に同じ趣味なのか疑うことを覚えた。
だれも信用できなくて、助けてくれる人もいなくて、手を差し延べてくれる人も、助けを求める先も無かった。
『おーいカリナー!』
『うぇーい!先生にアビドスのみんなー!ホシのん救出おめでとぉおおおうーー!!』
先生の声が聞こえてすぐに私はいつもの笑顔を張り付けて、疲れたからだ全体で先生達の方へと大きく手を振りながら走る。
だから、だから私は自分を守るためにこの私を演じるんだ。
頼りになって、金髪で、ずっと笑顔で、沢山の友達がいて誰も悪く言わないような、陽キャに……ギャルに。
そうなればきっと私はもう苛められなくて済むんだと、済むのだと
ミレニアムのゲームセンターに来たのは、趣味であったゲームをしたいからだ。
学園も、連邦生徒会も、シャーレも辞めた私にはなにもすることがない。
しなきゃいけない仕事も、周りの目を気にすることも、無理して笑うことも必要ない。
時間を気にせず、自分の気が済むまで周りの目を気にせずゲームが出来る。
あぁ、なんて楽しい時間だろう。
そう思いながら、また対戦相手の機体を撃ち落とす。どれだけこの自由で、周りを気にしない時間が欲しかったか。
どれだけ望んだだろうか、小学校のあの事件以来触れることの無かったこのゲーム。
私にとって大切な思い出であり、苦しい思い出を作る原因となったもの、でも今はもうどうでも良い。
ただ、目の前のこのゲームを楽しみたい。
こんなにも楽しくて、心が軽くて、全てを忘れられる事はないから。
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VS
南国ヘルメット団&逆襲のナカイ
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「ぇ!?」
「ん?」
どんな確率か、偶然か。相方が両替なのか飲み物を買いに行ったのか分からないが先程チラリと見た横でゲームをしていた少女と私が同じチームとしてマッチングした。
チラリと隣をみれば、私と同じようにマッチングして驚いた様子の少女が驚いた様子でこちらをチラチラと見てくる。すごく同族な気配を感じるけど、私には確かめる術はない。
それにしても私と彼女より少し上のランク帯が相手か、勝てるだろうか。そんな事を思いながらもワクワクしている自分がいる。ジャイアントキリング、ゲームでこれ程に面白いことはない。
知らない内にテンションが上がっていたのか、口角が上がり今回の状況に合いそうなゲームのキャラの台詞が簡単に出てきた私はそのテンションに身を任せて口を開いた。
「これも巡り合わせか、共に壁越えといこう。戦友」
「は、はぃぃぃ……」
私の言葉に怯えた?それとも動揺か?どちらか分からない声を漏らす少女を他所に、コントローラーを握る手に力が入る。
そうして始まった戦いは、制限時間ギリギリまで続いた。相手からのダメージをなるべく受けないよう避けたり、盾で防いだりして立ち回りながら相手を落としきった私たちが勝利した。
やっぱりこのキャラは私にあっている、そう実感することが出来る一方で別のプレイアブルキャラクターを使いたくなり始めている自分がいる。
このゲーム類なら、きっとあるあるだと思う。早く家庭版が販売されたらいいんだけど。
モモイちゃんとミドリちゃんは飲み物を自販機に買いに行き、アリスちゃんはお金を両替しに向かった中で私はまだ残っていたクレジットでゲームを続けていた。
対戦相手のマッチング待ちを操作キャラのコマンド確認に使っていた私は、チラリと横でゲームをしている桃色の髪の所々に金髪が混じった子のゲーム画面を眺める。
その選択された『キャラ』が、『動き』が『戦法』が、『癖』までもが全部過去擦りきれるまで見たと言っても過言じゃない映像と重なる。
五年前、このゲームを使ったミレニアムでの大会が開催された。多くの生徒と大人が参加したこの大会は、多くのプレイヤーが涙を流す事になった。
そんな大会の決勝戦、なんと大人や学校の高学年の生徒を抑え一人の少女が勝ち上がった。
彼女はなんと
そんな彼女の試合動画は多くの動画投稿サイトに投稿され、話題を呼び今でも伝説と語り継がれている。
『つよすぎワロタw』
『本当にトリニティ?ミレニアムじゃなくて?』『これもう本人乗ってる』
『名前の通りでよき』
『この歳でこの動きかよ!?』
『後ろにも目がついているのか!?』
『これは新型』
『これはゲーミングお嬢様』
するとゲームからマッチングが始まった音声が聞こえて、画面を確認する。
そしてその名前を見た瞬間に私は、驚きのあまり変な声が出た。
画面に表示された私の相方の名前、その名前は
かつてミレニアムでのゲーム大会で初出場最年少入賞者となった、私にとって憧れの人でもあったプレイヤーの名前がそこにあった。
あの人のファンが同じ名前に?でもこのゲームは同じユーザーネームには設定出来ないはず、それにさっき隣で少し見たあの動きは間違いなくあの動画の───。
「これも巡り合わせか」
隣から聞こえた声に思わず隣に座っていた桃色の髪の所々に金髪が混じった女の子をみれば、彼女も私を見ていた。
彼女は口許がまるで獲物を見つけた猛禽類のように笑っていて、その笑顔は昔のすこし画質の低い動画でみたソレと同じだった。
「共に壁越えといこう、戦友」
「は、はぃぃぃ……」
憧れのプレイヤーに話しかけられた上に戦友と呼ばれた事が嬉しくて、恥ずかしくて変な返事の言葉が口から出た。
うぅ、今日のこの試合……絶対に勝たなきゃ。
そして、かった動画を録画して家に保管しゅる!
ご愛読下さりありがとうございます。
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お待ちしています。
続きはレイサが持ち出して紛失しました。
※ファンアート欲しい(強欲な作者)
「ん、上の作者の言葉は無視していいよ」