鳥とお姫様   作:ブルアカ大好き

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自分が『こういうのが見たい』と思った物を自分なりに書きました。初めての執筆で拙い部分が目立つと思いますが、どうか読んでくれると幸いです。


鳥とお姫様

 

自分はかつて、人であった。

 

 

5羽の兄弟達と母が持って来てくれる餌を分けあいながら、そんなことを考えていた。

 

人だった。という自覚があるというのに、今の自分は正真正銘誤魔化しようがないほどに、鳥であった。

 

最初は混乱した。人であったころを思い出しては、今の自分との違いに狂いそうになった時もあった。

 

自身が鳥である。と受け入れられたのは、鳥になってから約15日程たった後だったと思う。我ながら、たいした適応能力だ。

 

しかしその頃になると、巣立ちの時期がやってくる。兄弟達は皆、そうそうにこの巣を羽ばたいて行った。

 

母は僕のことを思ってか、あえてこちらを厳しい目で見てくる。多分、僕が母に甘えていると思っているのだろう。…‥…‥…‥ただ、飛ぶのが怖いだけなんだけど。

 

…‥…‥分かった。行くよ、行く。…‥さようなら、お母さん。

 

いざ飛んでみると、案外楽しいことが分かった。こりゃいいや。

 

さぁてと、まずは餌を探さないとね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死、死ぬ…‥死んでしまう。お腹が空いた…‥…‥もう、飛ぶ力も…‥…‥‥あのクソ野郎…‥…‥…‥駄目だ、もう…‥意識が…‥…‥…‥

 

「…‥…‥とりさん?ナギちゃーん!こっちに傷だらけのとりさんがいる!助けてあげよう!」

 

(…‥…‥…‥…‥天使?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…‥そういえば、あなたを拾ったのも、こんな傷だらけの時だったよね。」

 

(…‥そう、だったね。)

 

「私を守ろうとして、ユスティナに突っ込んでいくなんて…‥ほんと、いつも無茶ばかりするんだから。」

 

(ごめんね…‥君を守れるほど強くなくて。)

 

「きっと、アツコは助けられたよね?私とあなたが、こんなに頑張ったんだから。」

 

(うん、君がこんなに頑張ったんだから。)

 

「サオリも、他のスクワッドも…‥…‥みんな、ハッピーエンドを迎えられたかな。先生が一緒にいただろうから、きっと…‥」

 

(うん。あの人なら、きっとやってくれたさ。)

 

 

(…‥本当に、このままでいいのか?何もしないまま、先生に任せたままで…‥…‥駄目だろ。自分の守りたいものぐらい…‥…‥ミカのことぐらい、守ってみろよ!僕!)

 

 

「うん…‥…‥それなら、いいや…‥…‥…‥シルベ?」

 

(君が読んでいたおとぎ話の中に、こんな話があったね。『悪い魔女にカエルにされた王子様は、美しいお姫様にキスをされて、元に戻る』なんていう、お話が。)

 

「シルベ?口に近づいてなにを…‥」

 

(僕は悪い魔女に魔法を掛けられた訳じゃないけど、最後に信じてみたいんだ。君が愛した物語を。)

 

「…‥急にキスなんかして、どうしたの?しかも、口にするなんて…‥あーあ、ファーストキスだったのに、シルベに上げちゃった。まぁ、いいか。どうせ…‥生きては帰れないだろうし…‥何!?急にっ…‥風が!?」

 

ミカの目の前に、まるで守るかのように凄まじい風が収束していき、徐々に人の形が構成されていく。

 

「…‥…‥…‥シルベ?」

 

遂に風が完全に収束し、晴れた視界に、純白の双翼を持つ一人の男の姿が映った。

 

「うん。僕だよ、ミカ。」

 

「嘘…‥…‥こんな、おとぎ話みたいな奇跡、あるの?」

 

「あったんだよ。…‥だって、僕が今こうして、君と話せているんだから。」

 

「あっ、あははははは…‥☆ちょっと、できすぎじゃんね。」

 

「積もる話もあるけど…‥まずは、こいつらだね。」

 

シルベの眼前に映るは、戒律の守護者『ユスティナ聖徒会』。今まさに、ミカを傷つけていた者達である。

 

「僕の大切な人を傷つけた報いは受けてもらう!」

 

そう言い放ち、足に体重を掛け、羽に力を込め、駆け出す。

 

「はぁ!」

 

ユスティナ聖徒会の誰一人として目で追うことすら出来ない程のスピード。自身がやられたことすら感じさせぬ程に繊細に、迅速に、効率的に倒していく。

 

「す、凄い…‥」

 

"ミカ!"

 

「!せ、せ…‥…‥先生!?なんでここに…‥ど、どうして…‥」

 

"言ったでしょ?私はいつもミカの味方だって。ごめんね、遅くなって。…‥…彼は?"

 

「信じてもらえないかもしれないけど…‥シルベなの。」

 

"シルベ?ミカのペットの?"

 

「うん、そのシルベ。何故かは分からないけど、人間になったの。正直私も、まだあんまり飲み込めてないかな…‥信じてくれる?」

 

"うん、勿論。生徒の言うことを疑うなんて、教師としてあってはならないからね。"

 

「…‥ありがとう。」

 

 

 

「お前で最後だ!」

 

遂にバルバラ以外の全てのユスティナ聖徒会を倒し、一対一の勝負へと持ち込む。

 

(くっ、もう、体があんまり動かないや。まだ、動かし慣れてないんだろうな…‥それでも…‥)

 

「おおッ!」

 

今の自身の許容量を越えるほど限界まで体を動かしたことにより、思うように身体をうごかせなくなる。しかし、『ミカを守る』という気持ちのみで、眼前の敵を倒そうとする。

 

「はぁっ!」

 

バルバラの掃射攻撃を時に食らい、時に躱しながらも、バルバラへと向かっていく。今、自身の攻撃手段が格闘しかないことに歯がゆい思いをするが、無い物ねだりをしても仕方がないと割り切る。

 

(このままじゃ、たどり着く前に倒れてしまう。…‥どうする?)

 

現状を分析し、打開策を探している中に、一人の大人の声が響く。

 

"シルベ!!これを受けとって!"

 

「!?これは…‥ありがとうございます!」

 

先生から受け取った物。それは、ミカ愛用の武器『Quis ut Deus』。自身が欲していた遠距離への攻撃手段を渡してくれたことへの礼を言い、バルバラへと向き直る。

 

(僕は誰かを祈れるほど優しくない。けれど、そんな僕でも、君のためになら…‥…‥)

 

「貴女のために、祈るよ。」

 

最大限の祈りの想いを込めながら、引き金を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミカ!」

 

 

「ふぇ!?」

 

(抱きしめられた!?)

 

「あの時、僕を拾ってくれてありがとう!君に拾われなかったら、僕はあの時死んでいたと思う。本当に、本当にありがとう!…‥ミカ?」

 

「…‥あれっ、なんでだろう…‥涙がっ、止まんない…‥嬉しいはずなのに…‥」

 

「…‥泣きたい時は、思う存分泣いていいんだよ。君に寄り添うために、僕は人間になったんだから。」

 

「うっ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

 

 

 

 

 

"シルベ…‥でいいんだよね?"

 

「先生!先ほどは、ありがとうございました。」

 

"うん。それはいいんだけど…‥"

 

「…‥もしかして、僕が『元々鳥だったなんて信じられない!』って思ってます?」

 

"いや、私は生徒が言ったことは疑わないよ。そうじゃなくて…‥男の子、だったんだね。"

 

「…‥雌だと思ってたんですか?」

 

"ミカが『この子は女の子!』って言ってたから…‥"

 

「あぁ、そのことですか。簡単なことですよ、最初、ミカは僕のことを女の子だと思ってたんです。でもナギサに訂正されて、男の子だって分かったんですけど…‥小さい時の間違いを認めたくなくて、意地になってたんです。可愛いですよね。」

 

"あぁ、そういうこと…‥"

 

「もう!勝手に色々話さないでよ!シルベ!」

 

「ごめんごめん。…‥涙は、止まったかな?」

 

「止まったけど…‥」

 

「なら良かった…‥ヨイショっと…‥」

 

「うぇ!?」

 

"シルベ!?"

 

「うん。やっぱり、君の笑顔は最高だね。」

 

(急に抱えられて飛んだと思ったら、まさかのお姫様抱っこ!?)

 

「…‥王子様みたい…‥…‥…‥はっ!?」

 

「…‥君はこういうのが好きだと思ってたけど、お気に召したようでなによりだよ。」

 

"…‥私、忘れられてない?"

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございました。良かったら感想を書いてくれると、作者が狂ったように喜びます。
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