Re.ゼロから始める姉弟生活   作:黎川暁明

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バトル描写初挑戦!
頑張ります!


第4話 心のモヤモヤの正体は

メイザース辺境伯領、領主邸。そこの領庭に衝撃音が鳴り響き砂塵が舞っている。砂塵の中では爆炎や氷塊、光閃が飛びかい、一般人が紛れ込めば数秒とかからず原型を留めない肉塊へと姿を変えることになるだろう。

そんな領庭の砂塵の中では道化(ピエロ)のような化粧をした藍色の長髪の男と、まるで女性のような顔立ちをした銀髪の青年が闘っている。藍髪の男が十の炎弾を乱れ放てば、銀髪の青年が同じく十の閃光で相殺。逆に銀髪の青年が懐に入り込み拳を放てば、藍髪の男が回し蹴りで迎え撃つ。

二人の闘いの余波だけで既に辺りの地面は抉れ、削られ、土の色が露出して荒れ放題の状態になっている。

 

なぜこんな状況になっているのか。それは数時間前、この日の朝食後の時まで遡る。

 

__________________________

 

「ご馳走さまでした」

 

「メイザース辺境伯、今日の午後、お時間いただけますか?」

 

そう銀髪の青年ーエリオットが、藍髪の男ーロズワール・L・メイザースに問う。

 

「めずらしーぃねぇ。べつに時間をとること自体はやぶさかでもないけど、一体何の用かーぁな?」

 

「ーいえ、久しぶりに一緒に体を動かしませんか(・・・・・・・・・・・・)と提案をしようかと」

 

薄く微笑んでエリオットがそう返すと

 

「ーあぁ、なるほど。そういえば久しく体を動かしていない。久しぶりにやろうか」

 

同じく、いや彼よりも多少黒い笑みを浮かべてロズワールが答えた。

 

何も知らない人が見れば青年が親しい友人に何か運動でもしないかと誘っているような光景。しかしながら、この屋敷において、この二人において「体を動かす」は全く別の意味を持っている。

 

「今日の午後はお洗濯ものを外に干せませんわね」

 

「ですね。周囲への被害が心配です」

 

「大丈夫よレム。片方はどうだか知らないけれどもう一人はロズワール様なのだから」

 

「双子の弟もロズワールもバカとしか言いようがないかしら」

 

「今度する時はボクも混ぜて貰おうかな」

 

「二人ともケガしちゃダメよ?」

 

三者三様、又は六者(五者+一匹)六様に反応を零して朝食は終わり、冒頭へと回帰する。

 

 

__________________________

 

 

「辺境伯!また強くなりました!?」

 

「そういう君こそまーぁた出力が上がったんじゃないかーぁな!?」

 

「だったら、嬉しいです、ね!アル・ジワルド!」

 

「アル・ゴーア!」

 

極大の閃光を太陽が如き熱を秘めた火球が迎え撃つ。

 

そしてその結果(そうさい)を見届けることなく闘いは続く。

 

「エル・ゴーア」

 

ロズワールの世界への呼びかけが辺りに響き、彼のマナと引き換えに周囲に五十の火球が出現する。

 

「当たりませんよそんなもの!」

 

雨あられと降り注ぐ火球を庭を駆け回って避け切りそのまま懐に入り込む。

 

「ふっ!」

 

放たれたのは目にも留まらぬ速度の正拳。まともに食らえば内蔵破裂と複数本の粉砕骨折は免れないであろうそれを、ロズワールは両腕を交差させ自ら後ろに飛び退くことでダメージを最小限に抑えた。

 

「はっ!」

 

続けざまに放たれる連撃をバク転で回避し、お返しとばかりに銀髪が輝く頭部に目掛け回し蹴りを叩き込んだ。これまたまともに食らえば頚椎を砕かれて死にかねない攻撃。

 

しかしその回し蹴りを頭を下げて回避し、数歩下がって世界に叫ぶ。

 

「エル・ジワルド!」

 

十を超える破壊の光芒。まだ蹴りの残滓が残っているロズワールは避けられない。…はずであった。

 

「ドーナ」

 

光芒が己の身を喰む刹那、ドーナによって大地を隆起させ自身を弾き飛ばすことによって回避を成功させる。

 

しかし彼はロズワール。それだけ(回避)で終わる男ではない。

 

「アル・フーラ」

 

幾筋もの光芒によって生まれた砂塵。それに紛れ込む様にして不可視の風の刃が放たれる。

 

されど只者でないのはエリオットも同じ。彼はそれをよんでいた。彼ならば、ロズワール・L・メイザースならば必ず反撃を返してくるだろうと。不可視の刃が砂塵を断ち切りその姿を僅かに晒した瞬間、重ねがけした身体強化によって見切り横に飛び回避してみせた。

 

「メイザース辺境伯!これで最後です!僕の残った力の全てを叩き込みます!」

 

「いーぃだろう。私も本気で行くよ」

 

一瞬の静寂

 

「アル・ジワルドォ!」

 

「アル・ゴーア!」

 

目の眩む様な輝きを放つ破壊をもたらす極大の光芒。

真夏の太陽を思わせるような極熱の轟火球。

互いの全力が込められた最後の一撃は、お互いを灼き尽くし、燃やし尽くし、相殺されて爆風の余波を残して消えた。

 

 

どさっ…と砂袋を落とした様な音が二つ響く。

 

「はははっ!ありがとうございました、メイザース辺境伯。鍛錬してもぶつけられる相手がいないというのは寂しいですから」

 

「ふふ、お礼はこちらからも言わせて欲しいねぇ。全力を出せるというのは気持ちいいものだ」

 

晴れやかな顔で二人は笑い合う。砂埃で汚れた服のまま、心から楽しそうに笑っている。

 

「もうほとんどマナが尽きました。しばらく動きたくないですね…」

 

「私もマナがほとんど残っていない。この辺りを直すのは明日かな」

 

辺りの地面は二人の闘いの余波を浴び、抉れ、削られ、焦げ、穴が空き、砕け…とにかく元の整えられた美しい形は見る影もないどころか夢にも思えない状態だ。

 

「すみません、土系統も使えたら良かったんですが」

 

「気にしなくていーぃよ。それにしても、陽属性だけでこの私とやりあうとはね」

 

「他属性の適正がまるでありませんでしたから。エミリア姉さんを守る為にも、強さは必要ですから頑張りました」

 

「それで“白”と呼ばれるまでなったんだから大したものだよ」

 

「その賞賛は素直に受け取っておきます」

 

「ああ、そうして欲しいな」

 

「服がすっかり汚れてしまいました。フレデ…フレデリカさんに怒られてしまいそうです」

 

「わーぁたしも小言を言われそうだねぇ。しっかりした使用人を抱えられて嬉しく思うよ」

 

「…ロズワールさん、また手合わせしてもらえますか?」

 

「! ああ、またやろう」

 

二人は軽く拳をぶつけ合い楽しげに笑った。

 

「とーぉころでなぜ今朝いきなり誘ってきたんだい?」

 

「う…、笑わないでくださいね?」

 

「だいじょーぉぶ。きっと笑わないよ」

 

「…はい。じつは、ですね…」

 

彼は言いにくそうに口ごもるが、意を決したようにして口を開く。

 

「フレデリカさんに避けられている気がするんです」

 

「?」

 

ぽかんとした様子でロズワールが首をかしげる。

 

「アーラム村に二人で買い物に行った日の次の日の朝からどこかよそよそしくて」

 

「…ふむ」

 

「僕も僕で何故かフレデリカさんを前にすると上手く話せなくて」

 

「…ほう」

 

「上手く声をかけることもできないし、話しかけようとしたら逃げられてしまうし、もうどうすればいいか…ハァ…」

 

眉をハの字にしてため息を吐く。心なしか彼の銀髪も陰ってしまっているようだ。

 

「なーぁんでこれで気づけないのかねぇ」(ボソッ

 

「何か言いました?」

 

「いぃや、なぁんにも」

 

「そうですか」

 

「…それでエリオット君」

 

「はい」

 

「君はその心のモヤモヤをどうにかしたくてわーぁたしを誘ってきたわけだ」

 

「…すいません、利用するような真似をして」

 

「べつに構わないよ。わーぁたしは君を友人だと思っているしねーぇ。それで?君はどうしたいのかーぁな?」

 

「僕は…僕はまたフレデリカ さんと話せるようになりたい。避けられたままでいるのは、凄く、寂しい」

 

「…心当たりはなーぁい?」

 

「……」ぽふっ…///

 

何を思い出したのか、エリオットの顔がにわかに赤く染まる。

 

「どうやら少なくとも君の方には心当たりがあるようだ」

 

「わーぁたしが思うに道は二つ。もっと押していく。自分の事情何か捨て置いてね。またはあえて引いてみる。悩んでても何も進まないんだから、ダメ元でやってみるのも手だよ」

 

「はい…ありがとうございます…」

 

 

__________________________

 

 

ロズワールさんに…もといメイザース辺境伯に助言を貰った。とりあえずもっと押していく!僕もあの日から何かおかしいけどそんなことどうでもいい。自分の事情なんか二の次だ。なんで避けられているのかすら分からずに避けられてる今が一番辛い。

それで屋敷を歩き回っていると…いた!

 

「フレデリカさん!あ、待って!」

 

やっぱり逃げられる!でも今朝までの僕じゃない、もう少し避けられる程度でへこたれるものか!

 

「捕まえた!」

 

小走りで逃げていくフレデリカさんに走って追いついて左腕を掴んで引き止めた。

僕の方が体が大きい、身体強化だって使えるんだから追いつけないわけがないんだ。僕自身が無意識に逃げていただけだ。もう逃げない!

 

「え、エリオット様?わたくしに何のようでしょうか…?」

 

「フレデリカさん、買い物に行った日の次の日からずっと僕のこと避けてるでしょ?」

 

「な、何のことだか分かりませんわ」

 

嘘だ。僅かにだけど動揺の色が見える。

 

「僕が何か気に触ることをしちゃったなら謝る。だから教えて。何で僕を避けてるの?そんな風にフレデリカさんに避けられるのは…話せないのは寂しい、よ…」

 

ダメだ…声が小さくなる…、もう逃げないって決めたのに…顔が熱い…フレデリカさんを見れない…

てか僕は逃げようとする女性の腕を掴んで無理矢理…うぐわぁああああああ゛あ゛あ゛!

 

「ゴメン、フレデリカさん!全部忘れて!」

 

逃げる!もう無理!僕は一体全体何をしているんだ!

 

逃げ…逃げられない!?

何で!? !?

何でフレデリカさんが僕の腕を掴んでるんだ!?

 

「ふ、フレデリカ さん!??」

 

「ま、待ってくださいまし!」

 

「え、あ、何で!?」

 

「あの、わたくしからも謝らせてください!買い出しに行ったあの日はまだ大丈夫だったのです。ですが、次の日冷静になってからその、色々と恥ずかしくてたまらなくて…」

 

じゃあ、もしかして…?

 

「…じゃあ僕が嫌いになったわけじゃない?」

 

「まさか!そんなことあり得ませんわ!」

 

「良かったぁ〜〜〜」

 

力が抜けた。良かった、嫌われたわけじゃなかった。フレデリカさんも僕と同じだったんだ。

…なんで僕はこんなに安心してるんだろう。

 

「また僕と話してくれる?」

 

「…はい。また、たくさんお話ししましょう」

 

鼓動が早くなる。心臓が暴れ出す。喉が渇く。目が閉じられない。顔が熱くなる。

笑ったフレデリカさんが、凄くキラキラして見えた。




というわけで無自覚ですがエリオットも恋に落ちました。
戦闘描写はどうだったでしょうか。分かりやすく書けてるといいんですが。

次回からリゼロ本編を始めます。頑張ります!
長月先生、オラに力をお分けください。
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