――――――――最強であるからと油断してはならない。必ず負けないとは言い切れないからだ。
こんにちは兄のサトシです。閉じ込められた地下からようやく抜け出し、外に出ることに成功したんですが、そこで待っていたのはプラズマ団の集団と捕まっていたアイリスたちの姿でした。
Nさんと妹達が穴からなんとか抜け出したため、俺は妹達を後ろに庇い、目の前にいる操られている敵の集団を見た。
「っておいおいルカリオ……お前何操られてるんだよ…!」
『ピカピッカ!』
「ルカリオ…」
『カゲェ…』
『ピチュゥ…』
『………………………』
目の前にいるのは、白の遺跡に到着したときに見たポケモンたち。人と一緒に活動し、遺跡を発掘しようとしていたポケモンたちが今は操られ目が真っ赤に染まっている。…そしてルカリオもその中にいた。ルカリオの目は真っ赤に染まり、俺たちを敵として認識し、戦おうとしていた。
…お前俺たちが地下に閉じ込められていた間に何やってんだよと苦笑する。まあルカリオもポケモンだし仕方ないとは思うけど…でも後で修行不足だとか言って落ち込まないよな?とも思ってしまった。アーロンさんから休暇としてこっちに来たと言っていたけれど、その休暇返上して修行三昧になったりしそうだ…まあそれは後で考えるか。
「さて…全員正当防衛として怪我するかもしれないけど…まあそれについては文句は言わせないということで…やるか?」
『ッ―――――!!!』
俺の手持ちのポケモンたちは皆やる気を上げ、大声で叫ぶ。リザードンなんて早々にかえんほうしゃをルカリオに飛ばしているぐらいだ。…でもルカリオはさすがというべきか、それとも操られているせいで能力が向上しているせいか…まあどっちもだと思うが…すぐにリザードンのかえんほうしゃを避け、そしてはどうだんを放ってきたのだでもそれはリザードンのドラゴンテールによって消滅したため何とかなったけどな。
「リザードンにチャオブー!かえんほうしゃバージョン炎の渦!!」
『グォォォオオオ!!!!』
『チャォォオオオ!!!!』
『…………………』
「ワルビアル後ろ!!」
『カゲカゲ!』
『ピチュピチュ!』
『ワルビ?!ワルッビァ!!!』
リザードンとチャオブーのかえんほうしゃがゴルーグ達に命中し吹っ飛んでいく。でも操られているルカリオはそれをすぐに避けて反撃に出たため、ワルビアルが妹達の声を聞いてとっさにあなをほるで攻撃を避けて技を放とうとする。でもルカリオは波動でそれがすべて分かっているのか、すぐに避けていく…。
「一番の最難関はルカリオか…?避けまくるのうまいからな…」
『ピカピカ!ピカッチュ!』
『タジャ!』
「…よし、ピカチュウ、エレキボール!ツタージャ、エレキボールを巻き込んでリーフストーム!!」
『ピッカァァァ!!』
『タジャァァァア!!』
『ミッジュゥ!!』
「よしミジュマル!ハイドロポンプ&アクアジェット!!」
『ミジュマァァァアア!!!!』
ピカチュウのエレキボールを巻き込んだリーフストームが電気を帯びたリーフストームへ代わり、ローブシンたちを巻き込んでいく。吹っ飛んだローブシンたちを見て、警戒しているドッコラーたちにミジュマルの攻撃が当たり、倒すことに成功する。そして倒れたローブシンたちも、ゴルーグ達も起き上がることができず戦闘不能と言った状況だ。とにかく、ルカリオさえ何とかすればいい。
この状況なら何とか勝てるはずだ―――――――。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「いい…良いですよサトシ君…!!」
その頃、アクロマは崖の上でサトシ達の戦いを見て興奮していた。能力を上げ、操っているポケモンたちをも凌駕する力を引き出し、なおかつ彼らに指示を与えているこの光景を一種の実験として見ていた。操っていたルカリオは最初は抵抗し、操るのができないとされていたが、洗脳の力を上げたために抵抗ができなくなりこうしてサトシと戦っている姿を見ることができた。ローブシンたちではできないその姿を、見ることができたのだ。
「ああ…本当に…良い!!」
「…アクロマ?」
近くにいたプラズマ団が冷や汗をかき、寒気がしそうな雰囲気を感じ取ったぐらい、アクロマの心はサトシに夢中になっていた。
そしてアクロマは、プラズマ団の計画にはなかった機械を作動させ、実行に移そうとする。
「…っサトシ!!早くポケモンをモンスターボールに移して!!操られてしまうわよ!!」
「いえいえ…そっちじゃないですよ…興味があるのはね…」
アイリスが機械を作動させようとするアクロマに気づき、注意しようと叫ぶが、アクロマの目はポケモンに移ってはいない。サトシだけを見て、動いていた。
サトシ達は、崖の下でモンスターボールに戻すよりも先に機械の方を潰してしまおうと考えて探していた。操られ攻撃しようとしてくるルカリオを避けながら、技を防ぎながらになってしまうがアクロマの作り上げた機械を壊そうと辺りを見回していた。
そして、ようやく妹であるヒナがそれに気づいた時、もう遅かった。機械は作動し、サトシに狙いをつけ、避けられてもすぐに追尾するように設定された機械を発射する。
「待った!狙いはサトシ君だ!!」
「え、なんだって!?」
「サトシ…サトシ!?」
「お兄ちゃん危ない!!!!」
――――――そして起こった事態。サトシは自分の後ろの…崖の上に機械があるということに気づかず、その声に一瞬行動を停止してしまった。その間にも発射された恐るべき機械がサトシの首元を狙ってくる…。
ヒナがサトシを狙っている機械に気づいて走り出し、サトシに抱きついて機械を躱そうと動く。そしてサトシに向かって走って抱きつこうとした反動でヒナとサトシは一緒に倒れて転がり…ピカチュウたちと離れた場所で止まった。その出来事は…一瞬の沈黙が周りに流れたぐらい、驚愕に染まっていた。アクロマの行動にも、サトシが避けられなかったという事実にも…そしてヒナが動いたということにも…。
「…ああ。想定外の出来事ですが…まあ良いでしょう。最初の実験としてはね…」
アクロマは残念そうな表情で機械を見て、そして倒れている兄妹を見た。兄妹であるサトシとヒナは両者とも倒れている。でもすぐに2人は起きた。
兄であるサトシが起きて周りを確認し、ヒナを見つける。そして倒れていたヒナがゆっくりと起き上がった。
「………………」
「……ヒナ?」
ヒナの首には首輪のような機械が取り付けられていて、
サトシが状況をすぐに理解し、崖の上にいるアクロマ達を睨んだ。そしてピカチュウたちに向かって攻撃を指示しようとする。それは全て機械を壊せばヒナが助かると思ったからだ。それに機械さえ壊せばヒナだけでなく、ルカリオ達も助けられるとそう信じて口を開いた。
だが、アクロマはそれを想定していたのだろう。サトシが口を開く前に無駄だと笑って、ヒナの方を指差す。
「機械を壊そうとしても無駄ですよ。≪あれ≫はこの装置とはつながっていませんし、あの首輪を外さなければ意味がありません。…それに私の指示はちゃんと聞きますからね?―――例えば
「お前…!」
『ピィカ!』
『カゲカゲ…』
『ピッチュゥ…』
サトシがアクロマの言う声に怒ったような表情を浮かべ、睨みつける。その怒気は凄まじく、近くにいたNや遠くにいたプラズマ団とアイリス達が息をのんで彼を見つめるほどだ。それほどまでにサトシは怒っていた。何もできなかった事実に、そしてヒナに襲いかかった機械に…。自分がターゲットにされたにもかかわらず油断をして避けられなかったという不甲斐なさにも、ヒナを助けられないというこの言葉にも…すべてを怒り、拳を握りしめてアクロマを睨んでいた。だがアクロマはそんなサトシの怒りなど気にせずため息をついて独り言を言う。
「私としてはサトシ君を実験台にしたかったんですが…まあ良いでしょう…」
狂ったような笑みを浮かべるアクロマは、自分が始めた実験を開始した。サトシを操りたいと思っていた欲望は、ヒナを操る前座として思考を変える。ヒナを操ったことで起きたバグを解消し、サトシを完璧に操れるようにしようと考えていたからだ。そしてサトシにとって…周りにとって非常に不愉快だと思われる実験を、アクロマは笑顔を浮かべながら始めていった。
「さあ行きなさい。私の可愛い
その声に反応したのは、目を真っ赤に染め上げ、操られているルカリオの近くに立ったヒナの姿。その姿はまさしく心がなく、無表情なまま人に操られるだけの人形の姿。でも、サトシにとってその姿は苦しい光景に映った。何もかも変わってしまった自分の妹に、サトシはどう解決すればいいのか困り、悔しそうな表情を浮かべて、拳を握り叫びたい衝動を抑える。
操られたヒナは、アクロマの言葉を聞き小さく口を開いた。
「…了解しましたアクロマ様。敵対象を確認、殲滅します」
To be continued.