モンスターハンターストーリーズ~The Re-bloomed Lily~ 作:暇を持て余す火の玉
百合ヶ丘女学院に侵攻して来たヒュージと戦っていた一柳結梨は、爆発の直前に現れた謎の渦に吸い込まれ、異界に渡った。
モンスターハンターストーリーズの世界にて、墓参りの為に“護りレウスの森”を訪れたライダーのレマは、最奥部である“護りレウスの巣”で気を失っているボロボロの少女を発見し、マハナ村に連れて帰る事にした。
※2025/01/27:第1話と第2話(※現第3話)の後半部分を別の物語に分けました。
第1話:喪われた記憶
少女は、夢を見ていた。
陽光が差し込む廃墟の中で、誰かとお話をする夢。
自分と同い年の、“誰か”と。
しかしその顔は、まるで焼け焦げた様に塗りつぶされていて、分からなくなっている。
その“誰か”からは、悲しい匂いがした。
少女
(…どうして、悲しんでいるの?)
思い出せない。
誰かが悲しんでいる理由も、誰かの名前も、自分が誰なのかすらも。
忘れてはいけない事を、忘れてしまった。
??
(…何にもならなくて良いよ。
ユリちゃんは、ユリちゃんのままで良い…。)
そう言いながら、誰かは優しく少女を抱きしめる。
少女は、自分の名前の部分だけがノイズの様な雑音に遮られて、聞き取れなかったが、誰かが自分の事を大切に思ってくれている事だけは、ハッキリとわかった。
その時、廃墟の窓から差し込んでいた日の光が強くなり始める。
夢が、終わり始めた。
少女
(…待って…まだ終わらないで…!)
しかし、少女の願いは聞き入れられる事なく、光は強くなっていく。
やがて、世界の全てが白い光に染まり…夢は、終わりを告げた。
少女
「…んん…。」
目を覚ました少女は、ゆっくりと体を起こした。
寝起きで意識がハッキリしないのか、暫くの間ボーッとしていると、扉が開くと同時に、少女より年上と思われる褐色肌の女性が入って来た。
褐色肌の女性
「あら、気が付いたのね!
無事に意識を取り戻して良かったわ〜。
レマが護りレウスの巣からボロボロのあなたを連れて来た時は、一体何があったのかとハラハラだったわよ。」
少女
「…えっと…?」
褐色肌の女性
「あっ、あなたが目を覚ました事をレマに伝えないと!
ちょっと待ってて頂戴ね!」
そう言うと、褐色肌の女性はスタスタと早足で部屋から出て行ってしまった。
少女
「…。」
少しの間ポカンとしていた少女だったが、ふと周りを見回しながら思考回路を動かし始める。
ここは何処なんだろう?
さっきの人は誰なんだろう?
そもそも…自分は誰?
少女
「…あれ…?」
少女が、自分の異変に気づきかけたその時。
褐色肌の女性
「お待たせ!
レマ達を連れて来たわよ。」
ネコ?
「おいおい、少し落ち着けって!」
山吹色の髪の少女
「ケイナ、そんなに慌てなくても大丈夫よ。
ごめんね、騒がしくて。」
少女
「ううん。
気にしてないから、大丈夫。」
ケイナと呼ばれた先程の女性が、山吹色の髪の少女を連れて戻って来た。
山吹色の髪の少女の頭の上には、猫の様な不思議な生き物が乗っている。
少し呆れた様な表情でケイナを宥めながら、謝罪の言葉を言う山吹色の髪の少女に対し、少女は首を横に振りながら答えた。
山吹色の髪の少女
「それを聞けてよかった。
取り敢えず自己紹介をしようかしらね。
私は“レマ”。
このマハナ村のライダーよ。」
ネコ?
「オレは“ナビルー”!
レマの相棒だぜ!」
褐色肌の女性
「あたしは“ケイナ”。
レマと同じく、ライダーよ。
あなたの名前は?」
少女
「えっと…私は…。」
名前を答えようとした時、少女は漸く自分の異変に気付いた。
少女
(…あれ…私の名前…なんだっけ…?)
レマ・ナビルー・ケイナ
「?」
少女
「…わからない…。」
ナビルー
「わからないって…自分の名前を思い出せないのか?」
少女
「…うん。」
レマ
「あなた、“護りレウスの巣”で倒れていたのよ。
なんであそこにいたのか、わかる?」
少女
「まもり…れうす…?
…わからない…。」
レマ
「やっぱり、そうよね…。」
ナビルー
「なあ、相棒。
もしかしてこの子…。」
レマ
「ええ…記憶喪失ってやつね。」
ナビルー
「そう、だよな…。」
ケイナ
「そんな…!」
少女
「…ごめんなさい。」
申し訳ない気持ちになり、少女は暗い表情で頭を下げた。
ナビルー
「いやいや、謝る必要はないって!
あんたが悪い訳じゃないんだからさ。」
レマ
「ナビルーの言う通りよ。
あなたは何も悪くない。
なってしまった物は仕方ないわよ。」
ケイナ
「そうそう。
それに、今思い出す事ができなくても、いつか思い出せるかも知れないでしょう?
だから、元気を出して…ね?」
少女
「…ありがとう。」
3人に励まされ、少女の表情が明るくなった。
ケイナ
「あっ、やっと笑ってくれたわね!」
レマ
「うんうん。
あんな暗い顔はあなたには似合わないわ。
…さて、これからの話をしましょうか。」
明るい笑顔から、真剣な表情になるレマ。
少女
「これからの話?」
レマ
「ええ。
今のあなたには、拠点となる場所が必要でしょう。
それで、記憶が戻って身元がわかるまでの間、マハナ村で暮らすというのはどうかしら?」
ケイナ
「私もそれが良いと思うわ。」
レマ
「尤も、決めるのはこの子だけどね。
あなたはどうしたい?」
少女
「私も、それで良いよ。」
レマ
「決まりね。
それじゃあ、暫くお世話になる訳だし、村の人達に挨拶をしに行きましょうか。」
ケイナ
「そうね!
新しい仲間が増えた事を皆に伝えないとね!」
ナビルー
「挨拶は大事だよな!」
レマ
「それじゃあ出発!
…と行きたいところだけど、その前に。」
少女
「?」
レマ
「服をどうにかしないといけないわね。
その格好で挨拶するわけにはいかないでしょ。」
レマの言う通り、少女が着ている服はあちこちが焦げていたり破れていたりと、ズタボロの状態になっていたのだ。
ケイナ
「あー…確かにこのままはちょっとね…。」
少女
「なんで?
私、このままでも大丈夫だよ?」
ケイナ
「いやそこは気にする所よ!?
女の子なんだから、見た目も気にしないと!」
少女
「ふーん…わかった。」
ナビルー
「で、代わりの服はどうするんだ?」
レマ
「私が昔着てた服があるわ。
貸してあげるから、暫くの間はそれを着ていなさい。
ナビルーは外で待っていて。
わかってると思うけど…もし中を覗いたりなんてしたら、“ボロス”にヘッドハンマーを容赦なく撃ち込んでもらうからね!!」
ナビルー
「ウニャッ!?
わっ、わかってるって!?」
少女
「レマ、怒ってる。」
…数分後、ナビルーとケイナは、少女の着替えが終わるのを待っていた。
ナビルー
「なあ、なんでケイナも外に出てるんだ?」
ケイナ
「“ナビルーが覗き見しない様に監視しててちょうだい”って頼まれたのよ。」
ナビルー
「そんなっ!?
オレ様がそんな事する訳ないじゃないか!」
ケイナ
「わかってるわよ。
あたしも、ナビルーがそんな事しないとわかってるわよ。
まあ、照れてるんでしょうね。」
ナビルー
「そうかあ…?」
ケラケラと笑いながらケイナは言うが、先程の発言は本気だとナビルーは思っていた。
レマ
「2人とも、お待たせ。」
その時、着替えを完了させた少女とレマが出て来た。
少女は、マハナ村の民族衣装である水色のスカートを着ていた。
ケイナ
「あら、似合ってるじゃない!」
少女
「ありがとう、ケイナ。」
レマ
「丁度サイズが合って良かったわ。
ところでケイナ、ナビルーは覗き見してないわよね?」
ケイナ
「もちろん、大丈夫よ。」
レマ
「なら良し。
まずは、“ガラ様”の所へ向かいましょうか。」
少女
「がらさまって?」
ケイナ
「この村の長老よ。
因みに、レマはこのマハナ村に住むライダーのリーダーでもあるのよ!」
少女
「リーダー…レマって、凄い?」
レマ
「そんなに凄くは無いわよ。
リーダーって言っても、見習いみたいな物だし。
まだまだ修行中の身よ。」
少女
「ふーん…?」
レマ
「まあ、この話はまた今度。
さあ、ガラ様の所へ向かうわよ。」
それから数分後、レマ達は村の中で一番大きな建物に来た。
建物の前には、白い髭を生やした男性が立っている。
少女
「あの人が、がらさま?」
レマ
「そうよ。
…ガラ様、少しお時間よろしいですか?」
白い髭の男性
「ああ、構わないぞ。
む、その子は…そうか、無事に目を覚ましたのだな。」
ケイナ
「はい。
ですが、記憶を失っているらしくて…。
暫くの間、この村で生活させたいのですが、よろしいでしょうか?」
白い髭の男性
「なんと…わかった。
このまま外に出すのも危ないだろうし、構わないぞ。」
レマ
「ありがとうございます、ガラ様!」
少女
「…あ…。」
深々と頭を下げるレマの真似をして、少女も頭を下げる。
白い髭の男性
「さて、少々遅れてしまったな。
私がこのマハナ村の長老、“ガラ”だ。
この村で何かわからない事があれば、私やレマ、ケイナに聞くと良い。」
少女
「…がら?
レマ・ケイナ・ナビルー
『っ!?』
首を傾げながら尋ねる少女に、レマ達は目を丸くした。
どうやら、少女はガラの名前を“ガラサマ”だと思っていたらしい。
レマ
「違う違うそうじゃないわよ!?
“
少女
「じゃあ、ガラって偉い人なの?」
ケイナ
「こらっ、“さま”を付けなさい!
ガラ様すいません!」
慌てながら謝罪を言うケイナに対し、ガラは笑っていた。
ガラ
「ハッハッハッ、構わないぞ。
私は気にしないから、お前の呼びやすい様に呼ぶと良い。」
少女
「わかった、ガラ。」
ケイナ
(あ。
結局呼び捨てなのね。)
レマ
「…それでは、この子に村を案内してきますので、これで失礼します。」
そうして、レマ達はガラの元を後にし、少女に村を案内して回った。
ナビルー
「次回、あの子の記憶が!?」
レマ
「指輪と絆石が共鳴してる!?」
少女
「思い出したよ…私の名前は…。」
~キャラクター紹介~
:ケイナ:
・マハナ村の女性ライダーで、レマの師匠。
明るくハキハキとした人物だが、割と大雑把でガサツな一面も。
オトモンは、ドスランポスの“アフマル”。
:ガラ:
・マハナ村の長老である竜人族の男性。
穏やかだが、確かな芯を持つ人格者。