モンスターハンターストーリーズ~The Re-bloomed Lily~ 作:暇を持て余す火の玉
レマ達と共にマハナ村を案内された少女は、最後にオトモン達が生活する厩舎に立ち寄る。
そこでのレマ達の話を聞いている内に、少女もライダーになりたいと思い始める。
その際にレマが昔使っていた絆石をつけた瞬間、絆石が指輪と共鳴する様に光り始め、喪っていた記憶の一部が蘇り、少女は自分の名前が“ユリ”である事を思い出した。
※2025/01/27:第1話と第2話の後半部分を別の物語に分けました。
※2025/08/08:ボロスとユリのセリフを一部変更しました。
レマ
「うーん…改めて見ると本当に不思議ね…。」
ユリの絆石をジックリと観察しながら呟くレマ。
レマがユリに貸した絆石は、色が空色から橙色に変化していた。
ユリ
「その絆石、どうなっちゃったの?」
レマ
「わからないけど…私が着けても反応しなくなってるわね。」
ケイナ
「つまり、ユリちゃんの絆石になったって事?
ガラ様、絆石がこんな風に変わるなんて事あるんですか?」
ガラ
「ふむ…普通はないな。
人間一人ひとりに個性があるように、絆石も唯一無二。
同じ物は存在せず、他人が簡単に使えるような代物ではないからな。」
ナビルー
「だよな?
それに、絆石に浮かび上がってた模様も見た事ない物だったしな。
オレの昔の相棒が使っていた絆石にも模様は浮かび上がっていたけれど、それとも違う感じがしたぜ。」
ケイナ
「文字にも見えたわよね。」
レマ
「取り敢えず、何かの理由で絆石の性質が書き換えられたと考えるのが妥当かしら。
…そして、その原因として考えられるのは…。」
ユリ
「…私の消えた記憶?」
レマ
「ハッキリとは言えないけど、関係してる可能性は高いわね。
まあ、なってしまった物はしょうがないわ。
今この時から、この絆石はあなたの物よ。
大切に使ってね。」
ユリ
「うん!」
差し出された絆石を受け取り、ユリは右手首に着け直した。
ケイナ
「ユリちゃん?
また逆になってるわよ?」
ユリ
「ううん。
こうしないと、絆石が反応してくれないみたい。
さっき試してみたら、そうなったの。」
ケイナ
「それなら、仕方ないか。」
レマ
「まあ、絆石に決められた付け方なんて無いし、自分の好きな着け方をすれば良いと思うわ。
…さて、ユリはライダーになりたいのよね?」
ユリ
「うん!」
レマ
「それなら、ケイナ。
ユリにライダーの事を教えてあげてくれる?
こう見えても私の師匠だから、学べる事は多い筈よ。」
ケイナ
「“こう見えても”は余計!
でも、一番弟子の頼みなら仕方ないわね。
あたしが師匠として、あなたにライダーのいろんな事を教えてあげるわ!」
ユリ
「…うーん…。」
少し考えてから、ユリはレマに視線を向けながら口を開いた。
ユリ
「私、レマに教えて欲しい!」
レマ
「えっ、私?」
ケイナ
「ちょっと、あたしは嫌なの!?」
ユリ
「だって、レマはしっかり教えてくれそう。
ケイナは少し適当な感じがする。」
ケイナ
「なっ!?」
レマ
「ブフッ…w」
かなりハッキリと言われてしまい、ショックを受けるケイナを見て、レマは思わず吹き出した。
ユリ
「レマ。
私にライダーの色んな事を教えて?」
レマ
「とは言っても、私は誰かに何かを教えた事なんてないわよ?
とてもじゃないけど、私には向いてないというか…。」
ガラ
「そんな事はないぞ、レマ。」
自信なさげな表情のレマにそう言ったのは、意外にもガラだった。
レマ
「ガラ様?」
ガラ
「アルトゥーラを討ち倒した後も、お前は傲る事なくマハナのライダー達のリーダーとして修行を重ね続けていた。
教わる側から、教える側になる時が来たと言う事だ。
ユリにとってもだが、お前にとっても良い経験となるだろう。」
ケイナ
「そうね。
あなたはあたしの一番弟子であると同時に、あたし達のリーダーでもあるんだから。
もっと自信を持ちなさい!」
レマ
「…はぁ〜…そこまで言われたら引き下がれないじゃないの。
わかったわ、やってやろうじゃないの!」
頭を掻きながら半分ヤケクソ気味に言うと、レマはユリに視線を向けた。
レマ
「言っておくけど、何かを教えるのは本当に初めてだから、色々不手際な事もあるかもしれない。
それでも良いなら、私なりにライダーとしての心得とかを教えてあげるわ。」
ユリ
「大丈夫だよ。
私に色々教えてね、レマ!」
レマ
「うう…そんなキラキラした目で期待されるとプレッシャーが…。
…っと、これから私と一緒にライダー修行をするなら、他のオトモン達とも顔を会わせておいた方が良いかもしれないわね。」
ふと思いついた事を呟くレマ。
これから先で行動を共にする際には、レウス以外のオトモンと関わる機会が必ずある。
他のオトモン達にもユリに慣れて欲しい所。
今はまさに、その第一歩を踏み出すチャンスだ。
ユリ
「他のオトモン達?
レマって、レウスの他にもオトモンがいるの?」
レマ
「もちろんよ。
会ってみたい?」
ユリ
「うん!」
レマ
「それじゃあ、私のオトモン達を紹介するわ。
厩舎に行きましょう。」
ユリ
「うん!」
そうして、ユリ達は厩舎へ向かった。
厩舎に着くと、レウスを含めた数匹のオトモン達が、それぞれ休息を取っていた。
ユリ
「あそこにいるの、全部レマのオトモン?」
レマ
「そうよ。
皆!ちょっとこっちに集まってくれるかしら?」
オトモン達
『!』
レマが呼びかけると、オトモン達は起き上がり、レマの元に集まって来た。
レマ
「さて、それじゃあ一体ずつ紹介しましょうか。
最初は私の相棒オトモン、“レウス”よ。
もう会ってるけど、改めてご挨拶って事で。」
ユリ
「確か、リオレウスって言うモンスターだったよね。
改めてよろしくね、レウス。」
レウス
『グォオー!』
返事をする様に翼を広げながら、レウスは軽く吠えた。
レマ
「次はこの子。
ドスランポスの“ランマル”よ。」
ユリ
「よろしくね。
…あれ、あそこにいるオトモンと似てる?」
ランマルの姿を見て小首を傾げながらユリが指差した先には、赤色の縞模様をしたドスランポスがいた。
レマ
「ええ、あそこにいるのもドスランポスよ。
ケイナのオトモンで、“アフマル”って言うの。」
ナビルー
「因みに、ランマルもケイナのオトモンだったんだぜ!」
ユリ
「ケイナのオトモン?
でも、今はレマのオトモンなんだよね。
なんで?」
レマ
「うーん、私にもわからないのよね。
何でか知らないけど、私に懐いちゃったのよ。」
ユリ
「ふーん…。」
ランマル
『グルルル…クォー?』
頭の上に?マークを浮かべながら首を傾げるユリを、ランマルは不思議そうな様子で見つめたり、軽く匂いを嗅いだりしながら、レマに向かって軽く吠えた。
レマ
「…ああ、紹介するわ。
この子はユリ。
今日から私と一緒にライダー修行をする子よ。
つまり、私の後輩ね。」
ユリ
「えっと、はじめましてだよね?
私、ユリ!
よろしくね、ランマル。」
ランマル
『クォッ!
グォッグォッグォーッ!』
レマの言葉を聞いたランマルは、ユリに向かって大きく吠えた。
レマ
「ふふっ。
“こちらこそよろしくね!”
ですって。」
ユリ
「レマ、ランマルの言ってる事がわかるの?
私にはグオーとしか聞こえなかったけど…。」
レマ
「ええ。
私はモンスターの言葉を聞く事が出来るの。
といっても、絆を結んだオトモン限定で、野生のモンスターの声はまだ上手く聞き取れないんだけどね。
おじいちゃんは、野生のモンスターの声も聞く事ができたみたいだけど…。」
ユリ
「そうなんだ!レマすごい!」
ランマル
『レマの後輩って事は、僕たちの後輩でもあるって事だね。
レマの様な立派なライダーになれるように、頑張ろうね!』
ユリ
「うん!」
ユリは笑顔で頷いた。*1
レマ
「さて、次のオトモン、“クルック”を紹介するわ。」
クルック
「クルルルッ!」
次に近づいて来たのは、淡い乳白色に、頭と前脚に鮮やかな飾り羽を生やしたモンスター。
ユリに興味津々と言った様子で見つめている。
ユリ
「なんか、鳥みたいなモンスターだね。」
レマ
「クルルヤックっていうモンスターよ。
別名も“
そしてクルックは、私の最初のオトモンでもあるの。
私のメンバーの中ではランマルに並ぶ古参枠ね。」
ユリ
「そうなんだ。
よろしくね、クルック!」
クルック
『こちらこそ、よろしくっス!
いやーそれにしても、ついにレマも師匠になる時が来たんスねぇ…。
オイラ、感激っス!』
レマ
「そんな大袈裟な…。」
そうは言いつつも嬉しそうなレマを見て、ユリもクスッと笑いが漏れる。
???
『ブォオオオーッ!』
ユリ
「ん?」
そんなユリの元に、ドシンドシンと大きな足音を立てながら近づいて来たのは、冠状に発達した大きな頭殻が特徴の茶色いモンスターだ。
ユリ
「レマ、このモンスターは?」
レマ
「“ボルボロス”よ。
名前は“ボロス”。」
ボロス
『おうおうおう!
お前、見ねえ顔だな。
レマ
「その子はユリ。
今日から私と一緒にライダー修行をする子よ。」
ユリ
「えっと、よろしく?」
ボロス
『オレ様は、
よろしくな、ユリの嬢ちゃん!』
ユリ
「…。」
レマ
「?
どうかしたの、ユリ?」
何かを考える様に黙り込むユリを見て小首を傾げるレマ。
それから少ししてから、ユリは口を開いた。
ユリ
「ボロスって、そんな感じに話してるの?」
レマ
「ええ、そうよ?」
ボロス
『なんだ?
オレ様の話し方に何か気になる事でもあるのか?』
ユリ
「んー…ボロスって、右手で何かを削ったりできる?」
レマ
「ブッ…w」
ボロス
『あ?
何言ってんだ嬢ちゃん?
一応地面に穴掘れるけどよ、そん時は手よりも頭を使うぞ。
てか、姉貴からも同じ事聞かれたぞソレ。』
ユリ
「え、そうなの?」
レマ
「ク…クク…w
え、ええ…実はそうなのよ。
初めてボロスの声を聞いた時にね、私も同じ質問をしたのよw」
ボロス
『ったく…姉貴と良い嬢ちゃんといい、な〜〜〜んでどいつもこいつもオレ様の声とか話し方を聞いたら真っ先にそんな質問すんだぁ?
大体なんで右手なんだ…?』
ユリ
「ふふっ…ん?」
怪訝そうな様子で首を傾げるボロスをクスッと笑っていたユリだが、ふと視線を感じる事に気付き、視線の元…ボロスの後ろ側を覗き込んでみる。
???
『…キシッ…!?』
ユリ
「お?」
ボロスの背後に隠れる様にプルプルと震えながらユリを見つめていたのは、背中に紫色の棘が生えた蜘蛛のようなモンスターだった。
一瞬黒っぽい色に見えたが、良く見るとゴム質の皮をかぶっており、本体の色は白色をしている。
ユリに気付かれた蜘蛛のようなモンスターは、被っている皮を引っ張って顔を隠そうとしている。
レマ
「その子は“ネキュラ”。
ネルスキュラというモンスターよ。」
ユリ
「私、ユリ!
よろしくね、ネキュラ。」
ネキュラ
『…。』
ユリ
「?」
挨拶をするも、ネキュラは何も反応を示さないので、ユリは首を傾げる。
ネキュラ
『……え…えと…よ、よろしく……。』
少しの間を置いてようやく返事をしたが、その声は正に蚊の鳴くようなとても小さな声だった。
レマ
「やれやれ、ネキュラの人見知りは相変わらずね。」
ユリ
「?」
レマ
「ごめんなさいね、ユリ。
ネキュラは恥ずかしがり屋で、初めて会う人と話すのは苦手なのよ。
あなたを嫌ってる訳じゃないから、安心してちょうだい。」
ユリ
「わかった。」
レマ
「それじゃあ、最後は…“ラギアス”ね。」
ラギアスと呼ばれたのは、厩舎の側でジッと様子を見ていたモンスター。
レウスと対を為す様な青色の鱗が特徴的な海竜種モンスター、“
ラギアス
『…グルゥ…。』
ラギアスは軽く唸り声を上げながら起き上がると、ゆっくりとユリに歩み寄って来る。
僅かに青白い電流を迸らせながら近付いて来るその様は、まるで王の様だ。
そして、ユリの目の前までやって来るとー
ラギアス
『ガルォオアアアオオオオーッ!!!!』
レマ、オトモン達
『ーッ!!?』
空気が震える様な雄叫びをあげた。
あまりに突然だったので、レマや他のオトモン達も驚いて動きが固まる。
ユリ
「…あなたがラギアスだね。
私、ユリ!
これからよろしくね!」
ラギアス
『グオッ!?』
しかし、ユリはそんなプレッシャーを一切気にしてない様子だった。
ラギアスにとっても意外な反応だったのか、少し驚いた様な鳴き声を上げる。
ラギアス
『ほう…我の咆哮に全く動じないとは、貴様なかなか面白いな。』
レマ
「ラギアス!
いきなり咆哮を放つんじゃないわよ!
びっくりしたじゃない!?」
ラギアス
『すまぬな、主よ。
少々この小娘を試してみたくなったものでな。』
ユリ
「声が大きくてちょっと驚いたけど、怖くはなかったよ。」
ラギアス
『フハハハハハッ!
幼子の様な気配の割に肝が座っているようだな、小娘!
うむ、気に入ったぞ!
確か、ユリと言ったな?
改めて自己紹介をしよう。
我は大海の王、“ラギアス”である!
新たな仲間として、我は貴様を歓迎するぞ。』
ユリ
「ありがとう!」
レマ
「まったく…ユリが気にしてないなら良いけど、あんまりそういう事をしないでよ。
さて、これで一通りの自己紹介は終わったわね。
他にもオトモンはいるけれど、出会った時に改めて紹介するわ。」
ユリ
「うん!」
(レマって、色んなオトモンがいるんだ。
私も、早く自分のオトモンに会いたいな。)
オトモン達と笑顔で話すレマを見て、ユリはこれから先で出会うオトモンとの出会いを思い浮かべ、胸を高鳴らせるのだった。
ナビルー
「次回はライダー修行の前準備をするぞ。」
レマ
「何事もまずは準備から。
ユリには私からプレゼントがあるわよ!」
ユリ
「プレゼントって、どんな物だろう?」
~キャラクター紹介~
:ランマル:
・レマのメインオトモンの中では最古参のオトモンであるドスランポス。
世話焼きで、少し心配性。
・レマが駆け出しの頃にケイナが貸し与えたオトモンで、何故かケイナよりも懐いたのでそのままオトモンになった。
意外と感情豊かで、色んな表情を見せる。
:クルック:
・レマの最初のオトモンで、ランマルと同じ最古参オトモンでもあるクルルヤック。
お調子者で、語尾に“っす”をつけて話すのが特徴。
・タマゴ探しのエキスパート。
タマゴを回収した後の逃げ足の早さがとんでもなく早く、その速度は突進のライドアクションを発動したオトモンを上回る時もあるトカ…。
:ボロス:
・“泥も滴る突撃番長”と自称する、パーティの切り込み隊長。
非常に血の気が多い荒くれ者で、レマのオトモン達の中では一番口が悪いが、頼れる兄貴分と言った感じで悪い奴ではない。
レマの事は“姉貴”と呼んで慕っている。
突撃番長を自称するだけあって、戦闘時は先陣を切って突撃する事が多い。
・ラヴィナ鉱山で岩を破壊していたボルボロスで、レマとアユリアにボコボコにされた事がある。
基本的に怖いもの知らずで、どんな場所にも一切躊躇する事なく進んで行けるので、モンスターの巣等の探索の際に斥候担当としてライドされる事が多い。
文字通りの石頭だが、岩砕きは出来ない。
:ネキュラ:
・レマのオトモン達の紅一点であるネルスキュラ。
人見知りが激しい臆病な性格で、常にレマや他のオトモンの背後にくっついており、ライド中も大型モンスターの気配を感じると、怯えて動きが鈍くなってしまう。
・プルプル震えながらゲリョスの皮で顔を隠して怯えたり、小さな物音に驚いたりと、所々で可愛らしい動きを見せる。
大咆哮やフラッシュを使える…いわゆる魔改造オトモン。
レマ曰く、ネキュラ本人の望みに沿って伝承させた結果こうなったとの事。
:ラギアス:
・レマが最後に仲間にしたオトモンであり、メンバーの中では一番の新参者。
自らを“大海の王”と自称するだけあり、王者の様な堂々とした風格が特徴。
レマの事は“主”と呼んでいる。
・レウスの事は好敵手として見ており、関係性は悪くない。
泳ぎが得意なのでレマが溺れると救助の為に出動するハメになるが、その際には普段からは想像できないような大慌てっぷりを見せる。