モンスターハンターストーリーズ~The Re-bloomed Lily~   作:暇を持て余す火の玉

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〜前回までのあらすじ〜
ライダーに欠かせない存在“オトモン”を手に入れる為、レマと共に村の外に出たユリは、アプトノスとの初めての戦いに臨み、見事に勝利する。
その後モンスターの巣を訪れ、巣の最奥部で“黒いタマゴ”を発見。
村に持ち帰り、絆合わせの儀式をしてタマゴを孵化させる。
しかし、黒い霧と共にタマゴから出て来たのは、禍々しい漆黒色に染まったモンスターだった…。


第7話:黒き蝕みの衣を纏う竜

タマゴから生まれて来た小さなモンスター。

その体は、禍々しい漆黒色の甲殻で包まれている。

特に目を引くのが、その体を殆ど覆い隠す程に大きな()()()()()だった。

その姿を見た瞬間、レマ達は驚きで一瞬目を見開き厳しい表情になる。

 

ユリ

「はじめまして、だね。

わたし、ユリ!

これからよろしくね!」

黒いモンスター

『ジュー…ジュルルル…?』

そんなレマに気付かず、ユリは祭壇の上でヨタヨタと歩く黒いモンスターに挨拶をする。

しかし、黒いモンスターは声には反応したが、その出所が分からない様に周りをキョロキョロと見回し、ユリがいない方へと進み始める。

 

ユリ

「…?

おーい、私はこっちだよー?」

あらぬ方へと進み出した黒いモンスターの前に回り込んでその顔を覗き込んだ時、ユリはモンスターの顔に目の様な物が見当たらない事に気付いた。

 

ユリ

「…もしかして、目が見えないの?」

黒いモンスター

『シュー…ジャアッ!』

ユリ

「わっ!?」

ユリが不思議そうに尋ねた時、黒いモンスターが身に纏っていたマント…いや、まるで外套にも見える翼を大きく広げた。

バサッと言う音を立てて広がった翼から、黒い霧の様な物が周辺にばら撒かれ、至近距離にいたユリはそれをモロに浴びてしまった。

 

黒いモンスター

『ジュルッ…!』

すると、心なしか嬉しそうに鳴きながらなユリの方に向き直るとー

 

黒いモンスター

『ジャアアッ!!』

ユリ

「うわぁっ!?」

レマ

「ユリっ!?」

翼を広げて祭壇の上からユリの上に飛び降りて来た。

驚いたユリは、そのままモンスターに馬乗りにされる。

それを見たレマはようやく我に帰り、大慌てでユリの所へと駆け寄る。

 

黒いモンスター

『シュー…シュルルル…♡』

ユリ

「アハハッ、くすぐったいよー!」

レマ

「…え?」

駆けつけたレマの目に映ったのは、黒いモンスターがユリの顔をペロペロとなめたり頭をスリスリしながら甘え、ユリは無邪気に笑いながら翼を撫でているという、なんとも平和な光景だった。

 

ユリ

「フフフッ♪

あなた、甘えん坊さんなんだね。

わぁ…翼がフワフワだ。」

レマ

「ちょ、ちょっとユリ!?

なんで翼を撫でてるのよ!?」

ユリ

「たまたま手が当たったから?」

レマ

「だ、大丈夫なの…?

気持ち悪かったり、苦しかったりしない?」

ユリ

「?

別に何ともないけど…わっ、手が真っ黒になっちゃった!?」

黒いモンスター

『シュルルル…♪(ペロペロ)』

ユリ

「わぷぷっ!

ほっぺたをなめないでよー!」

ナビルー

「きっと、ユリの事を親だと思ってるんだな!」

レマ

「…!」

ユリ

「…レマ?」

翼から手を離すと、その手が真っ黒になっている事に驚くユリの頬を、黒いモンスターはペロペロと舐め始めたので、ユリはくすぐったさで笑いが漏れる。

側から見れば平和なじゃれ合いの光景だが、レマの表情はなにやら切羽詰まった様な厳しいモノ。

ずっとじゃれつかれていたユリも、何か様子がおかしい事に気付き、首を傾げる。

 

ケイナ

「ガラ様…あのモンスターって、やっぱり“そう”ですよね…?」

ガラ

「うむ…私もこの目で見るのは初めてだが…まさか、こんな形で出会うとはな…。」

ナビルー

「ん?どう言う事だ?」

ユリ

「…皆、怖がってる匂いがする。

そういえば、レマ。

この子ってなんて言うモンスターなの?」

レマ

「…そのモンスターは…“ゴア・マガラ”。

別名、“黒蝕竜(こくしょくりゅう)”とも呼ばれるモンスターよ。」

ユリ

「ごあまがら…じゃあ、名前は“ゴマ”で良いかな。

よろしくね、ゴマ!」

ゴマ

『ジャアアッ!』

ケイナ

「ね、ねえユリちゃん?

本当に、体は何ともないの?」

ユリ

「なんともないよ?

みんな、さっきからなんか変だよ?

この子に何かあるの?」

レマ

「…さっき、翼を広げて黒い霧の様な物をばら撒いていたでしょ?

ゴア・マガラは目が見えないモンスターで、翼から鱗粉をばら撒いて周囲を把握しようとするの。」

ユリ

「そっか…。

やっぱり、目が見えてなかったんだね…。」

ゴマ

『シュウ…?』

レマ

「…で、問題なのはその鱗粉なのよ。

ゴア・マガラの鱗粉は、“狂竜ウイルス”とも呼ばれていて、モンスターを狂暴化させる性質がある。

そして…これは、人間にとっても有害なの。」

ユリ

「…え…?」

それを聞いて、ユリは少しだけを目を見開いた。

レマの言う通り、視覚を持たないモンスターであるゴア・マガラは、翼を羽ばたかせて散布した鱗粉を、周囲の物体やモンスターに付着、吸引させる事で周辺の状況を把握する生態を持つ。

しかし、この鱗粉を吸い込んだモンスターは神経や免疫に異常が起き始め、最終的にその身が力尽きるまで暴れ狂う様になる。

この様な性質から、ゴア・マガラがばら撒く鱗粉は“狂竜(きょうりゅう)ウイルス”、それによって引き起こされる症状を“狂竜症(きょうりゅうしょう)”と呼ぶ様になった。

勿論、狂竜ウイルスは人間も例外なく感染する。

 

ケイナ

「ユリちゃん、さっきこの子の鱗粉を至近距離で浴びたり触っていたでしょ?

あんなに触っていたら、もう体に不調が出始めていてもおかしくないのよ。」

ユリ

「そうなんだ…。

でも、何ともないけど?」

ケイナ

「すぐに症状が現れるわけではないらしいからね…。

でも、実際とても危険なモンスターである事に変わりはないわ。

ハンターの間でも、真っ先に討伐対象にされるくらいにはね。」

ユリ

「…。」

ガラ

「…ユリよ。

レマはまだ教えていないかもしれないが、ライダーとしてタマゴを孵化させたら、オトモンが災いを招いた時、その責任を取らなければならない。

ましてここにいるのは、文字通りの天災を招く事もある危険なモンスターだ。

このモンスターをオトモンとして育てるのは、それだけの覚悟がいる事なのだ。

それでも、お前は育てるのか?」

優しく、しかしハッキリとした口調で、ガラはユリに問いかける。

 

ユリ

「…わたし、ここに来て初めての事ばかりだから、知らない事が沢山ある。

だから、責任とか覚悟とか言われてもよくわからない。」

ガラ

「…そうだな。」

ユリ

「…でも、これだけはハッキリ言える。

わたし、この子を育てたい…ううん、育てるよ。

良くない事をしちゃいそうになったら、絶対に止める。

それに…ただ生まれて来ただけなのに、みんなから嫌われてひとりぼっちなのは…かわいそうだよ。」

自分の足に擦り寄ってくるゴマを見ながら呟くユリ。

レマ達の話が本当ならば、目の前にいる小さなモンスターは、とても危険な存在という事になる。

しかし、ユリにはゴマがそんなに危険な存在とはどうしても思えなかった。

それに、ゴマは目が見えないと言う。

先程初めて見た島の光景、様々な色が混ざり合い、キラキラと輝いていたあの景色。

あんなに素敵なモノを、ゴマは見る事ができない。

それどころか、目の前にいる自分の姿すらわからないのだろう。

なら、自分がやる事はただ一つ。

ゴマに寄り添い、一緒に成長していく事だと、ユリは直感で理解した。

 

レマ

「…!」

そして、その言葉はレマの心にも突き刺さる。

脳裏に映るのは、相棒であるレウスと初めて出会った時の記憶。

タマゴから生まれて来たばかりのレウスは、先程のゴマと同じ様に、レマに向かって飛ぼうとしたが、その翼が小さくて空を飛ぶ事が出来なかった。

“破滅の翼”と呼ばれていた濃紺色の小さな翼を見た他の人達は、レウスに憐みと恐怖の目を向けていたのを、よく覚えている。

 

レマ

(今のあのモンスターとユリは、あの時の私達と同じ…いいえ、ユリは記憶を失っているから、あの時の私以上に…。

…この子1人に、あんな重荷を全て背負わせるなんて、出来るわけないじゃない!)

「…わかったわ、ユリ。

それなら、私も協力させてもらうわ。」

ユリ

「レマ…?」

レマ

「私には、あなたにライダーとしてのアレコレを教える義務がある。

以前あなたに少しだけ話したけれど、オトモンはライダーの足となって、いろいろな場所に連れて行ってくれるけど、道具として利用している訳ではないわ。

お互いに足りない所を補い合いながら共に生きる、私達人間と同じ、命を持つ大切な仲間…それがオトモンなの。

あなたがこの子を育てるというのなら、私もその子を仲間として迎え入れて、責任を持って一緒に育てるわ。

…ガラ様、あの子達に何かあった時は、私も責任を取ります。

ですから、この子…いや、“ゴマ”を、この村に置いてあげてください!」

そう言って、レマはガラに向かって深々と頭を下げた。

それを見たガラは、ゆっくりと頷いてから口を開いた。

 

ガラ

「…うむ…お前達の覚悟、確かに受け取ったぞ。

ゴマの事は、お前達2人に任せる。

しっかり頼むぞ。」

レマ

「はい…ありがとうございます!」

ユリ

「…ありがとう、ガラ!」

笑顔でお礼を言うレマとユリ。

そして、その様子をユリの足元から見上げるゴマ。

目は見えないが、感覚で状況をなんとなく把握したのか、心なしかホッとした様子だった。

青空の下で、ユリは決意を固める。

ゴマと共に、一人前のライダーとなる事を。




ナビルー
「次回はユリが初めてのサブクエストに挑戦だ!」
???
『ウォオオオオオオーーンッ!!!!』
ユリ
「この黒いモンスターは…なに!?」

~キャラクター紹介~
:ゴマ:
・ユリの最初のオトモンとなったゴア・マガラ。
 甘えん坊な性格で、好きな事はユリと遊んだり寝たりする事。
 途轍もなく高い潜在能力を持つが、開花する時はまだ遠い。
・ゲーム本編のレウスポジション。
 冒険を進めるに連れて、ユリの心を支える相棒的存在となっていく。
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