モンスターハンターストーリーズ~The Re-bloomed Lily~ 作:暇を持て余す火の玉
黒いタマゴから生まれて来たのは、漆黒色のモンスター“黒蝕竜”ゴア・マガラだった。
誕生を喜び“ゴマ”と名付けるユリに、レマ達はゴア・マガラがどういったモンスターなのかを説明される。
ガラから生まれて来たオトモンに対する責任と、それでもゴマを育てる覚悟があるかという問いに対し、ユリはゴマを最後までちゃんと育てると答える。
それを聞き、かつてレウスが生まれて来た時の事を思い出したレマも、ユリと共にゴマを育てて行く事を誓うのだった。
初めてのオトモン、ゴア・マガラの“ゴマ”が仲間になった。
しかし、生まれたばかりのオトモンは、体が小さく力も弱いので、ライド出来る様になるには少し時間がかかる。
ゴマがユリをライド出来る様になるまでの間は、ユリはレマから各武器の使い方を中心とした戦い方の修行に励み、少しずつ、しかし確実に経験を積んでいった。
勿論その間も、ユリはゴマのお世話を欠かす事はなかった。
それから数週間が経ち、ゴマがユリを背中に乗せられる程に大きくなった、ある日の事…。
レマ
「…。」
ケイナ
「おつかれの様ね、レマ。」
レマ
「ふう…人に何かを教えるのって初めてだし、何よりゴマの事もあるから、毎日緊張しっぱなしよ。」
ケイナ
「そういう割には、楽しそうに見えるけど?」
レマ
「まあね。
最初は上手く教えられるか少し不安だったけど、今となっては結構楽しんでる所はあるわ。」
ナビルー
「ユリは物覚えも良いしな!」
レマ
「ええ。
教えた事は全部吸収するから、教える側としても嬉しいわ。
…まさか、全ての武器の使い方を、たった二週間でほぼ完璧にマスターするとは思わなかったけど…。」
ゴマと無邪気に遊ぶユリを見て、レマは苦笑いしながら呟いた。
彼女が言った通り、ユリは自分が使用すると決めた武器3種、ガンランス、片手剣、狩猟笛だけでなく、大剣、ハンマー、弓の使い方まで完璧にマスターしたのだ。
ケイナ
「それを聞いた時は、私もびっくりしたわよ。
一日一種類ずつ、それぞれの武器の使い方を徹底的に叩き込んだとは聞いてたけど、物覚えがすごく良いわよね。」
レマ
「いや、物覚えが良いなんて次元じゃないわよコレ。
もしかしたら、ユリは天才なのかもしれないわね。
…うん、そろそろ次の段階に行っても問題ない頃かもね。」
口角を少し上げながら、レマはそう呟いた。
…翌日…
レマ
「ユリ、ライダーの戦い方やオトモンへのライドには慣れたかしら?」
ユリ
「うん。
レマのおかげで、武器の使い方とか、ゴマにライドするのも慣れて来たよ。
オトモンって、乗った時の感覚も違って来るのが面白いね。」
レマ
「そうでしょう?
さて、今日やる事の話をするわよ。
今日は、“サブクエスト”に挑戦してもらうわ。」
ユリ
「さぶくえすと?」
レマ
「サブクエストというのは、色々な人から依頼される頼まれ事で、簡単に言うと“おつかい”みたいな感じね。
新しい武具や冒険に必要な物を買ったりと、生活するにはどーしてもお金が必要になる。
そこで、色んな人の悩み事や頼まれ事…サブクエストをこなして、その報酬にお金やアイテムを貰うの。
生活に必要な物を貰えたりするし、悩み事や困り事も解決できて、正に一石二鳥というわけ。」
ユリ
「いい事いっぱいだね!」
レマ
「ただし、今回は一人でサブクエストをこなしてもらうわよ。」
ユリ
「レマは一緒に来てくれないの?」
レマ
「ええ。
何時でも私があなたと一緒にいられるわけではないからね。
何かしらの理由で、バラバラになって行動しなければならない時が来るかもしれないわ。
そんな時、自分で考えて行動出来なければ、困難を乗り越える事は出来ない。」
ユリ
「そっか…確かにそうだね。」
レマ
「それに、今回はゴマの“ライドアクション”を調べる目的もあるのよ。」
ユリ
「ゴマのライドアクション…そう言えば、ゴマって何が出来るんだろ?」
レマ
「それを知る為にも、早速修行を始めましょう。
準備が出来たら、出発するわよ。」
ユリ
「わかった。」
それから数分後、ゴマにライドしたユリは、レウスにライドしたレマと共に島の南を目指していた。
レマ
「ところでユリ。
最近、体の調子はどうかしら?」
ユリ
「んー、別になんともないよ?
私もゴマも元気いっぱいだよ。」
ゴマ
『ジャアッ!』
レマ
「そう…。」
いつもと変わらない様子で返事をするユリを見て、レマはその言葉に嘘はないと思った。
ゴマがライド出来る程の大きさまで成長する間にわかった事なのだが、どうやらゴマの鱗粉には、
実際、これまでゴマは村の中で何回も鱗粉をばら撒いているが、鱗粉を吸い込んだ村人がむせて咳き込むくらいで体調が悪くなったと言う話もなく、村のオトモンが暴れ出したりする事もなかった。
タマゴから生まれたからなのか、ユリの変異した絆石の影響なのかまではわからないが…。
レマ
(とはいえ、油断はできないわ。
もう少し観察を続けないとね。)
「さあ、ついたわ。
ここが今回の修行場所、“南カムナ岬の古代巣”よ。」
少ししてから、レマは石柱で出来た四角形の洞穴の前で止まった。
ユリ
「これ何?
モンスターの巣に似てるけど、なんか形が違う。」
レマ
「ここは“
ユリ
「ビンの王冠?」
レマ
「簡単に言えばビンの蓋ね。
一見ただのガラクタでしかないけど、“メラルー商会”っていう特別なアイテムを扱っているお店でアイテムと交換するのに必要な…まぁ、特別なお金みたいな物よ。」
ユリ
「特別なアイテムって?」
レマ
「わかりやすい物だと、厩舎を広くする“
アレもメラルー商会に建てて貰ったモノなのよ。
まぁ、持ってたビンの王冠を全部交換する事になったけど…。」
苦笑いしながら言うレマ。
彼女が今言った通り、ゴマには専用の厩舎が用意されている。
ゴマが正式にユリのオトモンになる事が決まった日に、レマがメラルー商会に頼んで特別に作って貰ったのだ。
…早い話、隔離用の厩舎なのだが、ユリにはその事を伝えていない。
ユリ
「へぇー。
たくさん集めたら、私も何か交換してもらえるのかな?」
レマ
「そうよ。
まあ、この古代巣にあったビンの王冠は、私が駆け出しの頃に全部集めちゃったから、もう残ってないんだけどね。」
ユリ
「え〜…。」
それを聞いたユリは、ジト目でレマを見つめる。
レマ
「古代巣はここ以外にもある筈だから、そんな目をしないの。
さて、ここからが本題よ。
今からあなたには、この古代巣から“おフダ”を取って来てもらうわ。
おフダは巣の一番奥、“タマゴのありか”と呼ばれる場所に置いてある“赤色の宝箱”の中に入っているわよ。」
ユリ
「わかった。」
レマ
「もちろん、古代巣の中には野生のモンスターもいるから、この間教えた調合レシピで回復薬を作ったりしながら、探索をしてちょうだいね。
…さて、私の引率はここまでよ。
私はここであなたが戻るのを待っているわ。
回収したおフダを私に渡したら、サブクエストはクリアよ。」
ユリ
「わかった、私頑張るよ!
それじゃあ、行ってくるね!」
そう言いながら、ユリは目の前で口を開ける古代巣の中へと入って行った。
~南カムナ岬の古代巣~
…それから約10分後、ユリ達はランポスやブナハブラ等の小型モンスターを撃退しながら古代巣の中を進んでいた。
ユリ
「…。」
(…ゴマって、結構力任せな戦い方をするよね。
もしかして、パワータイプなのかな?)
ノシノシと足を進めるゴマを見つめながら呟くユリ。
ここまでの道中で見たゴマの戦い方は、“力に任せてガムシャラに攻撃する”と言った感じだったので、ゴマの攻撃傾向はパワータイプでほぼ間違いないだろう。
ゴマ
『ジュウッ!』
途中で足を止めると、ゴマは翼を大きく広げて軽く羽ばたかせ、辺りに鱗粉をばら撒く。
視覚を持たないゴア・マガラは、鱗粉を散布しないと周囲を把握する事ができないと、ユリはレマから教わっていた。
お世話をしていた最中もこの行動を何回も繰り返していたので、ユリはすっかり見慣れていた。
ゴマ
『…シュアッ…グルルルル…!』
ユリ
「?
ゴマ、どうしたの?」
その時、ゴマは何かを警戒する様な唸り声を上げ始めた。
その頭は、ある一点に向けられていたので、ユリもその方向に顔を向ける。
ユリ
「…なんだろう…あの赤い光。」
ユリ達からかなり離れた位置で、赤く光る不気味な玉が浮遊していた。
フィールドで見かける事がある光蟲にも見えたが、赤黒く光る話は聞いた事がないし、何より大きさがかなり巨大なので、恐らくモンスターなのだろうとユリは思った。
ユリ
「ちょっと怖いし…近付かない様にしよう…。」
ゴマ
『グル…。』
少し不安そうな表情で呟くと、ユリ達は赤黒い光の玉を避ける様に進んで行った。
それから更に進んだ頃、ユリはある事に気づいた。
ユリ
(あれ…そういえば、何でゴマはあんなに離れた場所にいるモンスターに気付けたの?)
「…ライダーノートに何か書いてあるかな?」
ゴマ
『ジュウ?』
キョトンと首を傾げるゴマの背中で、ユリはライダーノートを取り出すと、ペラペラとページをめくる。
ユリ
「えっと…さっきゴマがやったのに似てるのは…これだ!
モンスター探知!」
ライドアクション“モンスター探知”は、一定範囲内にいるモンスターの位置を把握するライドアクションだ。
壁の裏などに隠れたモンスターも補足出来るので、探索の時などに便利だとレマから聞いている。
ユリ
「ゴマのライドアクションがわかっちゃった。
後でレマに教えよっと。」
ゴマ
『ジャアッ!』
再び翼を広げて鱗粉を散布するゴマ。
マントの様に翻る大きな翼を見ていたユリは、ふとある事を思い、尋ねてみる事にした。
ユリ
「…ねえ。
ゴマって、もしかして空飛べる?」
ゴマ
『グル?
…シュウ…。』
ユリの質問にキョトンとした様子で首を傾げるゴマだったが、広げていた翼をゆっくりと上下に動かすと、
ゴマ
『…ジャアッ!』
ーバサバサァッ!ー
ユリ
「わあっ!?」
大きく羽ばたかせながら跳躍した。
突然の事にユリは驚きの声を上げると、振り落とされないように鞍にしがみつく。
ゴマ
『ジュウ!』
ユリ
「…わぁ…!」
少ししてゴマの動きが大人しくなったので、きつく閉じていた目を恐る恐る開いたユリの目に映ったのは、先程よりも遥かに高く広がった世界だった。
ふと横を見ると、バサリバサリと言う音を立てながら上下に動くマントの様な翼が目に映る。
ユリ
「すごい!
やっぱり、ゴマは空も飛べるんだね!」
ゴマ
『ジャーッ♪』
褒められたのが嬉しかったのか、ゴマは嬉しそうに鳴きながら空を飛び回り始める。
ユリ
「気持ち良いーっ♪」
吹き付ける風は、興奮と日差しで火照った体を優しく冷ましてくれる。
初めて感じる“空を飛ぶと言う感覚”に、ユリはすっかり虜になっていた。
…だから、気付くのが遅れてしまったのだ。
低空飛行をする自分達の目の前に、木々の壁が迫って来ていた事に。
ユリ
「…あっ!?ゴマ、前!?」
ゴマ
『ジュアッ!?』
ーガササバキバキィッ!ー
ユリ
「わぁああっ!?」
ゴマ
『ジャァアッ!?』
お互いが木の壁に気づいた時には既に遅し。
ユリ達はそのまま突っ込んでしまった。
木々を薙ぎ倒しながら少しの間地面を滑り、ようやく止まる。
ユリ
「…いたた…ご、ゴマ…大丈夫…?」
墜落の衝撃で鞍から振り落とされたユリは、全身に葉っぱや小枝がくっ付いた状態でフラフラと立ち上がり、近くにいるゴマの安否を確認する。
ゴマ
『…ジュゥゥ…。』
対するゴマも、頭をゆっくりと振りながらユリの方に振り返る。
見ると、ゴマも全身が葉っぱや小枝まみれになっている状態でだった。
しかも、墜落したのが怖かったのか、よく見ると生まれたての子鹿の様に足が震えている。
ユリにはその姿がとても可笑しく見えてしまいー
ユリ
「…ぷっ…くくっ…あははははっ!」
ついに笑い出してしまう。
とても無邪気に、純粋に面白いと感じたままに、輝く様な笑顔で笑う。
ゴマ
『グル…グググググw』
それに釣られて、ゴマも笑う様に喉を鳴らした。
ある筈の瞳は無いが、確かに無邪気に笑っていたのだ。
それから暫くの間、ユリとゴマは笑い続けた。
…木々の隙間から覗く赤い瞳が、その様子を伺っていた事に気付かずに。
ユリ
「や…やっと着いた〜…。」
ゴマ
『…グルゥ…。』
…それから更に数時間経ち、日が沈んで辺りが暗闇に満ちた頃、ユリ達は巣の最深部にある“タマゴの在処”に到着した。
因みに、古代巣に到着したのはお昼過ぎ辺り。
本来なら、既に南カムナ岬の古代巣は探索し終えている頃だ。
では、何故こんなに時間がかかったのか。
理由は単純明快、“墜落した森の中で迷子になっていたから”である。
あの後、自分達がどこにいるのかわからず、適当に森の中を歩き回り、ようやく森から出られたと思ったら、スタート地点に逆戻り。
土地勘のないユリ達は、古代巣の中を最初から探索し直す羽目になり、予定よりもだいぶ時間がかかってしまったと言うわけだ。
ユリ
「赤い宝箱…赤い宝箱…あった。」
流石のユリも疲れてしまい、タマゴの在処の近くの岩陰に置いてあった赤い宝箱を見つけても、あまり元気がない様子だった。
宝箱の蓋を開けて、中に入っていた灰色の小さな紙切れを取り出す。
ユリ
「思ってたより時間かかっちゃった…。
早く戻らないと…ん?」
その時、ユリは宝箱の近くに不思議なキノコが生えている事に気付いた。
透き通る様な色をした、見ただけでわかる程の繊細なキノコだ。
ユリ
「このキノコ…何だか不思議な感じがする。
綺麗だし、一緒に持って帰ろうっと。」
そう言って、不思議なキノコも幾つか摘み取りはじめる。
ゴマ
『!
ジュウ…グルルルルル…!』
ユリ
「?
ゴマ、どうしたの?」
その時、突然ゴマが何かを威嚇する様に唸り声を上げ始めた。
それに気付いたユリは、自分の周りを見てその理由を理解した。
ユリ
「さっきの赤い光…!」
先程見かけた、あの不気味な赤い光の玉がユリ達に接近して来ていた。
数は8体。
気付いた時には、ユリ達は不気味な赤い光の玉に取り囲まれていた。
撃退しないと村に帰れないと思い、ユリは武器を構えた。
???
『ウォオオオオオオオーーンッ!!!!』
ユリ
「!?」
その時、空気を震わせる程の咆哮と共に、ソレは現れた。
不気味な赤黒い稲妻が迸る黒い姿は、正に“地獄の番犬”と呼ぶに相応しい。
赤い光の玉…
“
ジンオウガ亜種
『ガルルルルル…!』
ジンオウガ亜種は、唸り声を上げながらユリを威嚇している。
対するユリは、突然の事態に頭が真っ白になっていた。
目の前にいるモンスターは、今までに出会ったモンスターとは明らかに格が違う。
どう考えても、今のユリ達が敵う相手ではない。
ユリ
「ゴマ、走って!!」
ゴマ
『ジャアーッ!』
ライドしながらユリが叫ぶと、ゴマは全速力で古代巣の入り口へ向かって走り出した。
今自分がする事は、目の前に現れたモンスターから逃げる事だ。
しかし、それを簡単に許す程、相手も甘くない。
ジンオウガ亜種
『グルルル…ガアッ!!』
唸り声を上げながら、ジンオウガ亜種が後を追いかけてくる。
その移動速度はゴマよりも僅かに早く、少しずつ距離が縮まり、古代巣の入口付近で追いつかれてしまった。
ジンオウガ亜種
『ガルルルッ!!』
ジンオウガ亜種が、空中で回転する様にジャンプをすると、その身から大蝕龍蟲が数匹放たれる。
放たれた大蝕龍蟲は、ユリ達に向かって一斉に飛来し、地面に着弾すると同時に爆発する。
ゴマ
『ギャアオッ!』
ユリ
「きゃあっ!?」
爆発の衝撃でゴマが体勢を崩して転倒する。
その拍子にユリは背中から振り落とされてしまった。
ジンオウガ亜種
『グォオーンッ!!』
雄叫びを上げながら、龍属性エネルギーを纏わせた前足を振り上げ、間髪を入れずにユリへ飛び掛かる。
喰らったら只では済まされないであろう攻撃に、ギュッと目を瞑った時ー
???
『グワァアアアッ!!!!』
ーバサバサ…ザシュッ!ー
ジンオウガ亜種
『グォンッ!?』
咆哮と共に、黒い影がユリとジンオウガ亜種の間に割り込んで来るや否や、ジンオウガ亜種に強烈な蹴りを打ち込んだ。
月明かりに照らされる緋色の甲殻と大きな翼、そして、その背に跨る山吹色の髪をなびかせる少女。
レマ
「ギリギリ間に合ったわね…ユリ、大丈夫!?」
レウスにライドしたレマが、間一髪の所で攻撃を食い止めたのだ。
ユリ
「レマ!?」
レマ
「それにしても、なんでこんな所にジンオウガ亜種が…いや、考えるのは後回しね。
ユリ、巻き込まれるかも知れないから、下がってなさい!
少し暴れるわよ、レウス!」
レウス
『ああ、行くぞ!』
ジンオウガ亜種
『グルルルル…ウォオオオオオーンッ!!』
戦意を漲らせるレウスとレマに対し、ジンオウガ亜種は、雄叫びを上げながらレマ達に飛び掛かるが、レウスは素早く空へと舞い上がって攻撃を回避すると同時に、口の中に炎を溜め始める。
レマ
「…今よ!
ぶちかましなさい、レウス!」
レウス
『喰らえ!
“フレイムブラスター”!!』
炎が最大まで溜まると同時に、レウスは口から火炎放射の様なブレスを放った。
範囲内にいるモンスターを、火炎ブレスで焼き払う伝承スキル、“フレイムブラスター”。
放たれた炎によって大蝕龍蟲は一掃され、ジンオウガ亜種も火傷を負う大ダメージを受けた。
ジンオウガ亜種
『ガルルル…!』
短く唸り声を上げると、古代巣の奥へと走り去って行った。
不利と悟り、撤退する事を選んだ様だ。
レウス
『どうする、追いかけるか?』
レマ
「…いや、目的は果たせたんだし、深追いする必要はないわ。」
レウス
『…それもそうだな。
わかった。』
ユリ
「レマ、助けに来てくれてありがとう。」
レマ
「まったく…いつまで経っても出て来ないし、突然モンスターの咆哮が聞こえて来て、嫌な予感がして駆け付けたら、ジンオウガ亜種に襲われていたなんてね。」
ユリ
「…ごめん。
道に迷っちゃって、時間がかかったの。
でも、おフダはちゃんと取って来れたよ。
あと、こんなキノコも生えてたから、一緒に取ってきた!」
そう言いながら、ユリは回収したおフダとキノコをレマに差し出す。
レマ
「あら、“ヨルシメジ”も取って来たのね。」
ユリ
「前に、“フィールドで薬草とかキノコとかを見かけたら積極的に採取した方が良い”って言ってたでしょ?
だから、集めて来た!」
レマ
「…そう。
教えた事をちゃんと実践できて偉いわね。
でも、今はこの古代巣から急いで出ましょう。
ここは恐らく、あのジンオウガ亜種の縄張りよ。
モンスターの縄張りに私達が留まり続けるのは危険だし、本来この辺りにいない筈のジンオウガ亜種が村の近くに現れた以上、このまま放置する事はできないわ。
マハナ村に戻って、ガラ様に報告するわよ。」
ユリ
「わかった。」
レマ
「さあ、村に帰るわよ。」
そう言うと、レマは古代巣の出口へ向かう。
ユリも、ゴマにライドして後を追った。
ユリ
(さっきのモンスター…ジンオウガあしゅってレマは言ってたっけ。
怒ってる匂いと一緒に…悲しい匂いと怖がってる様な匂いもした。
いったい、なにを怖がってたんだろう…?)
ジンオウガ亜種に抱いた、小さな疑問を浮かべながら…。
…因みにこの後、ゴマのライドアクションについて話した際に、モンスターの巣の中で空を飛んで墜落した事を知ったレマにこっぴどく叱られた後、モンスターの巣の中や複雑に入り組んだ地形をした場所での飛行を禁止されたのは言うまでもない。
ナビルー
「次回はユリがケイナと一緒に大型モンスターと対決する修行だ!」
レマ
「ハンターの間では“先生”とも呼ばれるあのモンスターが相手よ!」
ユリ
「ケイナと一緒に、がんばるよ!」
~おまけ解説~
:ゴマのライドアクションについて:
この物語でのゴマのライドアクションは“モンスター探知”と“飛行”。
鱗粉を振り撒いて索敵をするが、その精度と索敵範囲は他のオトモンと一線を画す程高性能。
飛行に関しては目が見えないのと、ユリがライダー見習い故に安定した飛行が出来ず、今回の様に入り組んでたり狭い地形の場所だと、木や壁に激突しまくるので大変危険。