「壊理ちゃん事件簿アカデミア」   作:あならなあ

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第三話「ロックオンされた人」

 

 

 

 

「で、どうだったの?例の子は」

「取り敢えず、問題は無かった」

「そう、なら良かったわ。あの子が関心を持つなんて、滅多に無い事だもの」

「それより、問題の海外の方はどうなってるんだ?」

「···懸念通りだったよ。各国のヴィラン組織が、こぞって日本にやって来ようとしている」

「合従軍じゃないのが、唯一の救いだ」

「じゃあ、何でこんな足並み揃えて日本にやってくるんだよ」

「それは、どこもかしこも跡目争いや筆頭争いで忙しいからだよ。分かりやすい成果を示す為に、日本で大暴れしようって考えてんのさ」

「んで、他所に先越されまいと、皆が動き出したしまったって訳か」

「···それと、とある噂が流れているらしい」

「噂?」

「···日本には、不老を可能にする個性を持った女の子が居る、という噂」

「それって···」

「末端の弱小ヴィランの間でも、真しやかに囁かれている。確実に、誰かが意図的に流した噂だよ」

「目的は、撹乱だろうな。海外の奴らに手一杯な所を突いて、自分達が手に入れる為の」

「だろうね。各国のヒーローに応援要請は出してるけど、自国の事もあるから、十分な協力は得られないと思っておいて」

「かぁ~、この前デクの女房のおめでたでお祝いしたっつ~のに、狙ってくんなよな」

「だからだろ。頭数は、お前頼みになるから気合い入れとけ」

「はいはい、分かってるよ。嫁さんと、もうすぐ産まれてくる子供に心配掛けねぇ様、頑張らせてもらうって」

「じゃあ、また情報が入り次第共有しますから、各自備えをよろしくお願いしますよ」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「はぁ···」

 

 口から漏れた溜め息が、疲労の溜まった体に響く。

 今日も、アイツらに勝てなかった。プロヒーローの息子な出水洸汰、推薦組の照元光輝、その二人とつるんでる筒美壊理。

 私とは比べ物にならない位、専門的な訓練を積んできたんだろうってのは、身に沁みて理解している。しかし、それでも悔しいものは悔しい。

 

「え?嘘!?今日雨が降るなんて言ってなかったじゃん」

 

 どんよりした気持ちで、下駄箱から靴を取り出していたら、ザーッという音が耳に入った。校舎の外は、土砂降りとまではいかなくとも、結構な強さで雨が降っていた。傘は持ってきていない。

 

「···走るしかないかぁ」

 

 ここから駅まで行くのに、ずぶ濡れは確定。もう諦めの境地で、飛び出し全速力で駆ける心の準備をする。そして、いざ行かんという時、

 

「おい、待てよ」

「わぶっ!?ちょっ、誰よ······げっ!!」

「人の顔見てげっ!!とはなんだ、げっ!!とは」

 

 後ろから腕を引っ張られ、踏ん張れずに引っ張ってきたであろう人物に、抱き付くようにぶつかった。顔を見上げてその人物を確認すると、そこに居たのは、憂鬱な気分にさせられた元凶の一人である照元光輝だった。照元の後ろには、出水と筒美の二人が案の定居る。コイツら、本当にいつも一緒だ。

 

「体育祭み近いってのに、濡れて風邪でもひいたらどうすんだ?」

「う、うっさいわね!!大丈夫に決まってるでしょ!!つか放しなさいよ!!!」

「島乃さん、良ければコレ使って」

「は?いや、それアンタの傘でしょ。アンタはどうすんのよ」

「私は大丈夫、洸汰君に入れて貰うから」

 

 バッと照元から離れ、掴まれている腕を解放しようともがいていると、筒美がスススッと近寄ってきて、ピンクの女の子らしい傘を差し出してくる。つか無理矢理持たせてきた。その本人は、嬉しそうに出水にピトッとくっつく。コイツ、私を出汁に相合傘するつもりか。

 

「あ、私パパの所に用事があるから先に行くね。傘はいつでもいいから。また明日ね、光輝君、島乃さん」

「またね、光輝、島乃さん」

「おう、社長や皆によろしく」

「ちょっ!!」

 

 狼狽える私を他所に、一つ傘の下、腕は組まないけどピッタリ寄り添って帰っていく筒美と出水。勝手に押し付けて勝手に帰んな!!

 

「で、アンタはいつまで人の腕掴んでんのよ!!」

「放したら、壊理の傘使わずに帰りそうだからな」

「んぎっ!···そ、そんな事しないわよ!!」

 

 口ではそう反論したけど、多分勢いに任せてそこら辺の傘立てに放り込んでただろう。

 

「壊理の傘使うか、俺の傘の中に入るか、どっちか選べ」

「はぁっ!!な、な、なんで私がアンタと!!!」

「さっさと決めろ、俺も早く帰りたいんだ」

「あぁもう!!使えば良いんでしょ使えば!!!」

 

 もう自棄糞になって、ピンクの傘を差して下校を始める。隣に、照元が並んで。

 わざと歩幅を小さく、歩みを遅くする。照元も遅くなった。逆に、足を速める。追い付いてきた。水溜まりに思いっきり足を踏み出して、水を散らしてやる。個性で出した闇で防がれた。

 

「だああ!!傘使ってんだからさっさと一人で帰りなさいよ!!」

「何イライラしてんだ?」

「してない!!」

「···はぁ。本当なら、夏合宿辺りを考えてたんだけどな、状況がそうも言ってられなくなった」

「はぁ?何意味分かんない事言ってんのよ」

「島乃、俺と付き合え」

「はぁーー?!??!」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「島乃さん、大丈夫かな?」

「光輝君だし、なんだかんだ上手くやると思うよ」

「ん~、上手くはやるだろうけど、島乃さんってツッコミ気質っぽいし、光輝が面白がってからかってないといいけど」

「でも、私も洸汰君も、今の島乃さんとお話は難しいから、光輝君にしかないって話になったんでしょ?後は、果報を寝て待つだけだよ。それと、」

「それと?」

「他の女の子じゃなくて、私の事考えて欲しいなっ!!」ワキバラツネリ~

「痛たたたたっ!!!ご、ごめんなさい!考える!!考えます!!!」

「ボディーガード、よろしくね」

「う、うん、頑張るよ」

 

 

 

「あ、頭!!お嬢達、来たみたいですぜ!!」

「···そうか(prrr)···俺だ、準備は出来ているか?ああ、後で俺も合流する。しっかりと揉んでおいてやってくれ。俺もそろそろ、腕の錆を落としておかなきゃならんからな(pi)。電話番、任せたぞ」

「へい。けど頭、姐さんに言っとかなくて本当にいいんすか?」

「ただの訓練に、何を報告する事があるんだ?まぁ、熱が入りすぎて、多少やりすぎてしまう事があるかもしれないが、ただの訓練だ、いいな?」

「へ、へい!!!」

「さて、躾の時間だ」

 

 

 

 

 




10話位で終われたらいいなぁ。

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