「···護衛が離れた?」
「はい。最近、目標が一人で行動している様なのです」
「···理由は?」
「調べた所、一人は何らかのアクシデントがあったのか、怪我をしていて病院通い。もう一人は、どうやら女にうつつを抜かしている様です」
「お前、どう思う?」
「···標的が我々かは分かりませんが、罠と思って良いでしょう。しかし···」
「しかし?」
「状況が、動かないという選択肢を許してはくれそうにありません」
「外···か」
「はい。こちらの想定よりも、釣られた奴らが多い。これに便乗出来なければ、恐らく我々の次の世代でもチャンスが訪れないでしょう」
「···座していれば、後顧の憂いを無くした奴らが、嬉々として我らの力を削ぎにくる···か」
「はい。今まで何とか耐えてはこれましたが、これ以上は厳しいかと」
「分かった。今後の作戦準備を、計画の最終段階のみに集中する。明日にでも、実行に移れるよう準備しろと伝えろ」
「分かりました」
「······もうすぐ、会えるぞ」
▼▼▼
「貴方がこの作戦に乗ったなんて、正直以外だわ」
「乗ったんじゃない、乗るしか無かったんだ」
そう言って、苦虫を噛み潰したような顔でグラスを呷る夫。乱暴にお酒を注ぎ、二回程グラスを空にした所で、瓶に伸ばす手に自身の手を重ね、やんわりと止める。
「明日に響くわ。相手がいつ動くか分からないのだから」
「···すまない」
「壊理を餌に、奴らを網の届く所まで引きずり上げる。聞きたくなかった、取りたくなかった方法」
「だが、そうしなければ、害虫の様に身を隠し逃げる奴らを駆除出来ない。ああ、不甲斐ない自分が許せない」
「廻、一人で思い悩まないで」
頭を抱え落ち込む夫を胸に抱き寄せる。
「壊理も言ってたでしょ?"私達は家族。血が繋がってなくたって、家族。家族は、」
「···助け合って協力して、」
「苦難は一緒に乗り越えるの。"でしょ?」
「···ああ、そうだったな」
私の胸から顔を上げ、さっきまでの鬱々とした顔から、腹を決めてスッキリとした顔になった夫と目が合う。
「火伊那、ありがとう。隣に居るのが、お前で良かった」
「いいえ、それはこっちの台詞よ」
ゆっくりと互いの顔が近付き、唇を重ね合わさる。そして、そのままソファに押し倒されて、
「あの~、パパ、ママ、盛り上がってる所ごめんなさいなんだけど、そういうのは自分達の部屋でお願いしていいかな?お手洗い、行きたいんだけど」
「「壊、壊理!?!?」」
▼▼▼
「(ピロン)あ、壊理ちゃんから、何かな···ブッ!!!」
いつもの筋トレをしてる最中、壊理ちゃんからのメッセージが届いた事を携帯が知らせ、内容を確認してみると、そこには一枚の写真が映っていた。
それは、ベッドに女の子座りしてる、制服姿の壊理ちゃんの自撮り写真。いや、それだけなら吹き出しはしない。壊理ちゃんの格好が問題だった。
片手で顔を隠し、ブラが見えるかどうかのギリギリまでたくしあげられたシャツ。スカートの奥にある布が見えそうで見えない絶妙な角度と開き具合。写真に添えられた"頑張ってね"の文字が、何とも意味深に見えてしまうのは、俺が健全な男子高校生である証拠な筈。
「···壊理ちゃん」
稀に、こういうちょっとHな写真を送ってくる壊理ちゃん。きっかけは、肉体面に男女の違いが如実に出てきて、異性というもの意識する様になった頃。当時クラスメートに居た、自称オープンスケベな男友達から、親に見つかって捨てられそうだから、ちょっと預かってくれと頼まれて預かっていた、そこそこ際どい系のグラビア雑誌を、たまたま遊びにきてた壊理ちゃんに発見されたから。
飲み物を持って部屋に入ったら、絶対零度の表情でペラッペラッとページを捲る壊理ちゃんに、もう全身から冷や汗がドバッと出てきたのを今でも覚えている。
『ふ~ん、洸汰君って、こういうのが好みなんだ~』
『ち、違っ!!そ、そ、そ、それは、と、と、と、友達から預かってるだけで』
『へ~、そうなんだ~···使ったの?』
『え?』
『使ったの?』
『ブンブン(>< )≡( ><)ブンブン』
『ほんとう?』
『(゜-゜)(。_。)コクコク』
『···じゃあ、ゴミ箱の中にあった、この丸まったティッシュは?』
『(;¬_¬)メソラシ』
『どのページ?』
『((( ;゚Д゚)))ガクブル』
『どれ?』
『·········23ページ』
『···洸汰君、はい』
『え?うわぁっ!!!壊、壊理ちゃん!!?!』
『撮っていいよ。だから、もう二度と、他の女でシちゃ、駄目だからね?』
あの時撮った(撮らされた?)、四つん這いになって、今に比べたらまだまだ成長途中の胸を強調した、スポブラがチラ見えする写真は、未だに秘密フォルダの中に保存してある。
他には、ずぶ濡れで透けブラしてる写真だったり、アレな角度でチョコバナナ食べてる写真だったり、ベッドに押し倒されてますよ~な写真だったり。
ただ、こういうのを送ってくる時って、大抵壊理ちゃんが不安に思っている時。俺が離れていかないよう、繋ぎ止めておきたいが為に行っているんだろうって、火伊那さんは言ってた。自分のせいで、実のお母さんに捨てられたから。
多分これもそう。俺が、今回の事で離れていかないようにって。
「大丈夫だよ、壊理ちゃん。俺が絶対助けるし、死ぬまでずっと守るから」
まぁ、それはそれとして、ありがたく使用させて頂きます。
「まだまだ固いな」
照元の吐息が、耳にかかる。
「いぎっ!!お、お願い、もっと優しく」
「十分優しくしてるだろ。ほら、力抜け」
「そ、そんなこと言っても、痛っ!!」
「あれだけほぐしてやっただろ、一気に行くぞ」
「まっ!!ッ~~~!!!」
グッと、照元の体重が私に乗る。それと同時に、強烈な痛みが下半身を襲ってきた。
「痛たたたたたた!!!!」
「だから力入れんな!!」
「無理無理無理無理もう無理!!」
「閉じようとすんなっ!!!」
「うぎゃーーーー!!!!柔軟ストレッチで体壊れるーーー!!!!」
活真、ごめんね。お姉ちゃん、もうダメかもしんない。
因みに、23ページには、壊理ちゃんに似た髪色と髪型をしたモデルの水着写真だったそうな。もし、壊理ちゃんの容姿に掠りもしていなかったら、恐らくその場で既成事実作成に走っていたと思われる。
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