「壊理ちゃん事件簿アカデミア」   作:あならなあ

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第九話「Hero too」

 

 

 

 

「珍しいね、アンタがプライベートの方に連絡してくるの」

『まぁそうだな。だけど、こっちの方が効率的だからな』

「ふぅん、大分相澤先生に似てきたね。で、何の用?」

『近日中に、うちの生徒から連絡が行くと思うから、出来れば直接やり取りしてくれる様、話を通しておこうと思ってな』

「電気じゃなくて、絶賛産休中のウチに?」

『ああ』

「もしかして、文化祭?」

『そうだ。うちのクラスは、バンドをやる事に決まったらしい。で、お前らが一年の時にやったアレをやりたいんだそうだ』

「···アレかぁ~」

『依頼内容としては、楽曲の使用許可とバンド担当の生徒への指導になる。受けるも断るも、アンタの自由だ』

「断っていいんだ」

『当然だ。お前のお眼鏡に叶わないと思ったら、バッサリといってやれ』

「ハハッ、了解。生徒からは、事務所に連絡がくるの?」

『ああ』

「OK、事務の子に伝えとく」

『ああ、頼む』

「はいはい。あ、レイ子によろしく。またママ友会しようねって。うん、頑張ってね、心操先生」

「心操の奴、なんだって?」

「伝説再び、かもよ?あ、アンタにも力借りるかも。ついでに他も引っ張ってこようかな」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「あぁっ!!?んなお遊戯みてぇな叩き方で、観客を音で殺れる訳ねぇだろうが!!」

「は、はいぃぃぃ!!!」

 

 俺、玉城球喰(タマキ タマバミ)は、半泣きになりながらドラムを叩いている。クラスでバンドをやる事が決まり、あの伝説の曲の使用許可と、その当事者達による指導も取り付ける事が出来たと聞いた時は、物凄くテンションが上がった。

 女の子にモテるかも、と多少は不純な動機でドラム担当に志願し、高倍率を勝ち抜き(じゃんけん)手にした時の自分に言ってやりたい。この先は地獄だぞ、と。

 

「いちいち楽譜見んな!!体に叩き込めって言ってんだろうが!!!」

「す、すみませーん!!!」

「口動かす前に手足動かせやボケがぁああ!!!」

「ひぃぃぃぃ!!!!」

 

 巷では、大分丸くなったと言われている「ダイナマイト」こと爆豪勝己さんだが、んな事は無いと世間に訴えたい。本当に、なんでこんな乱暴な人が、あんな美人な人と結婚出来るんだよちくしょう!!俺も、ウラビティみたいに優しくて、フロッピーみたいに包容力があって、インビジブルガールみたいに明るくて、イヤホンジャックみたいに格好良くて、ルミナイネンみたいお尻がプリッとしてて、ピンキーみたいに腰が括れてて、クリエティみたいにおっぱい大きい、美人な女の子と付き合って、あ~んな事やこ~んな事してみてぇ!!!!!

 

「「「おい、何を考えていやがる」」」

 

 七方向から伸びてきた手に頭を鷲掴みにされてから、俺の記憶は無くなった。気がついたら、女性陣とは隔離された部屋で、唯々無心にドラムを叩く自分が居た。

 恋愛世代こええ。

 

 

 

 

「うん、そう、そこはそういう感じで」

「やっぱり、歌いながら演奏するのって難しいですね」

「最初にしては上出来、壊理ちゃん。電気より覚えるの早いし、練習あるのみ。後、上手く歌おうとか、上手く弾こうとか思わない事。ヘタクソでも、ミスしても、楽しく歌って弾く。これが一番」

「はい、師匠」

「だから、その師匠ってのは止めて。そんな柄じゃないし恥ずかしいから。響香でいいよ」

「はい、響香師匠」

「だ~か~ら~、アンタわざとやってるでしょ」

「ウフフ、ごめんなさい、響香さん」

「大人をからかうんじゃない。ほら、練習再開」

「はーい」

 

 怒っている風な響香さんに、頭をコツンとされてから、再びギターに向き合う。クラスで一番歌が上手いって理由で、響香さんのポジションだった、ボーカル兼ギターに選ばれた私。最初は断ろうかと思ってたけど、洸汰君から、男子一人を囲んでのハーレムダンスパートがあるから、私にはバンド担当で居て欲しい。私が歌って弾いてる所を見てみたいって、そう言ってくれたから、一念発起してOKした。

 文化祭の映像を何回も見直したり、色んな人のギターの解説動画を見たり、色んな人の歌ってみたを聞いたりして、自分でも練習してきたつもりだけど、本職からすれば付け焼き刃に過ぎなくて、アレコレとダメ出しされるけど、ちょっとずつ上手に出来る様になっていって、本当に楽しい。

 あの日見たステージに負けない位、素敵なステージにしてみせる。

 

 

 

 

「ステップステップ、クルッと回ってウワッ!!」ズテン

「大丈夫か?洸汰」

「盛大に転けたわね。流石の出水も、ダンスは苦手なのね」

「イテテ、やっぱ普通の運動とは違うよ。リズム感あんまりないから、足が変に絡まっちゃう」

「取り敢えず、動きだけでも体に覚えさせようぜ。そうすりゃ、後は曲に合わせて体動かすだけだ」

「良いわよね、アンタ達は。私なんて、演出で幻影出しながら踊んなきゃなんないのよ。体だけじゃなくて、頭でも覚える事で一杯よ」

「ま、その分アピールにはなるんだ。家族も見に来るんだろ?頑張れよ、真幌」

「アンタに言われなくても頑張るわよ!!」

 

 猫又さん曰く、最近ラブ臭がするんだよねぇという、いつもの二人の漫才を聞き流し、振り付け表を見ながらのダンス練習を再開する。

 

「そういや、この前誘われてたよな、壊理」

「え?ああ、ミスコン?」

「そう、ミスコン。出るのか?」

「いやいや、出ないよ。練習で忙しいし、そういうのに余り興味が無いからって、その場で断ったから。島乃さんは出るの?」

「は?なんで私が。出るわけないでしょ。壊理ならともかく、私なんかじゃ勝負になんないわよ」

「···お前もそんな悪くねぇと思うけどな。そもそも、壊理と比べる事が間違ってんだよ、ベクトル違うだろうが」

「な、なによ急に」

「お前も、ミスコンに出場出来る位、可愛いぜ」

「んなっ!!?」

「ま、優勝するには、もう少し女らしさと落ち着きとおしとやかさがいるけどな」

「······(ブチッ)、こんの、馬鹿光輝ーーーー!!!!!」

「おっと、そういうトコだぜ、ま·ほ·ろちゃん」

「待てやごらぁぁあああああ!!!!!」

 

 よし、自分の事に集中しよっと。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

『雄英全員!!音でヤるぞーーー!!!!』

「よろしくお願いしまーーす!!!」

 

 文化祭は上手くいった。玉城君は、女子から「あんな乱暴な人だったんだ」「怖~い」「ダイナマイト様の真似かしら、片腹痛いわ」とか噂されて、こんな筈じゃなかったと膝を付いていた。

 

 

 

 




玉城君は、原作でかっちゃんのマスクを個性で喰い破った、あの間瀬垣小学校の子です。
仮免補習が無かったので、恐らく改心せずに居たと思う。ただ、洸汰や光輝どころか、壊理にまでボコボコにされて分からされて、本作での円場君ポジに。要するに、恋愛不憫枠。強く生きろ。


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