TSしてる主人公からの目線が怖いです……   作:加賀美 未来

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オリジナルルーキーランキング1位ありがとうございます〜!
1位を取れた記念としてこの休日二日間は6時と18時の2話投稿していきます!
皆様読んでいただきありがとうございます〜!


他のクラスに入るのは怖い

 学園生活が始まって2日目の昼休み。朝の裁判の続きを開かれそうになっていたがなんとか抜け出した。理由は2つある。

 

 1つ目は単純に面倒臭いから。弁明とか無理だし。

 

 そして2つ目。これが一番重要だが原作キャラとの接触だ。現状は主人公周りでしか変わっている部分が確認できていない。しかし他の人物やこの学園に関しては変わっている部分が確認できていないのだ。

 

 もし主人公だけが変わっているのならばやるべきことは簡単だ。丹霞が女性になり俺に好意を抱いている以上、ヒロインと結ばれて力を合わせてハッピーエンドは不可能と考えられる。

 

 そのため俺がやるべきことは原作知識を使ってハッピーエンドまで誘導することだ。そのためにはこの学園の学園長である唯我晴敏を説得すればいい。そして説得材料は原作知識を使えば簡単に手に入る。

 

 だがもし主人公以外にも変わっている部分があれば前提が変わってくる。俺の原作知識は何も役に立たなくなるのだ。正確に言えば何を信じればいいのか分からなくなる。

 

 この場合でもハッピーエンドを目指すように頑張るが、高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処するしかない。

 

 どちらの場合でも原作との一致点を探さなければならないだろう。そのために今は原作キャラと接触して情報を集めることが必要だ。

 

 というわけで来ました高等部1年Aクラスに。

 

 Aクラス、つまりこの学園で最上位に位置する強力な異能を持つクラスだ。強力な異能を持っている分、増長している生徒がかなり多い。原作ファンからの名称は悪役令嬢、嫌われ貴族の巣窟だ。

 

 だがその中に目当ての人物がいるのだ。俺は意を決して教室の中にはいる。

 

「すみません、操 桔花(そう くうか)さんはいますか?」

 

 操桔花、「アビリティ・ロボティ」のヒロインの一人。メインキャラである分原作で開示された設定が多い。そして俺は彼女に関する設定は覚えている部分が多い。なので最初に接触をしようとした。

 

「は?あなた誰ですか?制服が同じですし同学年ですよね?弱い能力持ちが桔花に何の用でしょうか」

 

 別なのが釣れた……。こっちからするとモブがしゃしゃり出るんじゃねぇとなるが騒ぎを起こして無駄に時間を過ごしたくないので下手に出る。

 

「少しお話ししたいことがありまして。居ないのでしたらどこに行ったのかわかる人はいますか?」

「どうしてあなたに教える必要があるのですか?目障りですので消えてください」

「そうは言ってられないので」

「私の言うことが聞けないの?なら私の異能をその身に受けてみる?」

「無断での異能使用は御法度ですよ」

「ふん、そんなの私達は知りません。何があろうと私達の方が強い。弱い者がどうやって強者である私達を罰すると?」

 

 うーんやっぱり増長している。だが彼女が言っていることも正しいのだ。実際現状では教師、つまり大人は強力な能力を持った学生に抵抗できない。軍隊を呼べば制圧は可能であるが射殺を伴う。

 

 そんなことをすればこの学園はかなりの批判を浴びることになるだろう。だから学園側からは動けない。動かないから何をしてもいいと調子に乗る。

 

 その調子はとあるイベントにて吹き飛ばされるのだがしばらく先の話だ。今はどうやって彼女から逃げて探すかだが。

 

「ちょーっと待った!あなたの探しているのは私だよね。さっき先生が言っていたことに関してだよね。ごめんね〜、ちょっと席外すわー」

 

 どうしようかと考えていると教室の奥から肩までかかった長い金色の髪をたなびかせ、春だと言うのに大きな胸の谷間を曝け出し、制服をかなり改造し、もはや別の服に仕立てている少女。

 

 一目でギャルだとわかる風貌をした彼女こそが目的の人物、操桔花であった。

 

「はい、先生から手伝いを頼まれてまして昼休みの間お借りしますね」

「りょーりょー、それじゃ行こっか!」

 

 彼女に腕を掴まれ、そのまま引っ張られる形で教室から出ていく。その際に胸が腕にあたり平常心を保つのに苦労したのは別の話である。

 

 

 

「それで君は誰かな?」

 

 教室棟から少し離れた一室にて操桔花に詰め寄られる。

 

「学校生活始まったばっかで分からなかったかもだけど、今AとBのクラスは半分学級崩壊が起こっているみたいなものだから近づかない方がいいよ」

「ええ、それは分かっていました。それでも来なければならなかったので」

「へ〜、それって私に会いにってこと?」

「ええ、そうです」

「……そ、そうなんだ」

 

 彼女は顔を赤くして目線を逸らした。……あ〜やっぱり可愛いな。

 

 そう、俺は「アビリティ・ロボティ」において最推しヒロインは操桔花なのだ。俺の好みが胸が大きいことというのもあるがギャルっぽい見た目をしているのに、チョロいところがとても可愛かったり、攻略を進めるにつれて事情から距離を離そうするところがいじらしかったりと、語ろうと思えばいくらでも語れるが今はやめておく。

 

 彼女の可愛い反応を見れたことだし揶揄うのはやめて真面目にやる。

 

「まずは自己紹介からですね。俺の名前は石狩要です。1年Eクラスに所属しています。好きに呼んで構いません」

「わかった、かなちーね」

 

 やった〜!最推しヒロインからあだ名で呼ばれた!嬉しい!だが俺の推しスタンスは基本見守るなのだ……。幻想は幻想のままでいい。観葉植物となって近くで観察していたい。だから付き合いたいとかは思わないのだ。

 

「それで操さんを呼んだ理由ですが」

「ん、桔花でいいよ。苗字呼びってよそよそしくて苦手だし、こっちがあだ名で呼んでいるんだからそっちからも親しみを持って欲しいな。あと敬語もなし」

「なら桔花さんで」

「…………」ジトー

「桔花を呼んだのは聞きたい事があったからなんだ」

「うん、なになに!」

「俺、異能事変の時に強い異能力持ちに虐められていてさ。ほらEランクだし能力が弱くてそのことで虐められていたんだ」

 

 これはまるっきり嘘であるが嘘ではない。実際に異能が覚醒した初期に社会問題になっていたことだ。強い異能力者は今のAクラスのように増長して下の者をいじめる。当然その中には弱い異能力者も含まれる。

 

 そして無能力者は異能力者に虐められた鬱憤を自分達と力関係がほとんど変わらない弱い異能力者にぶつける。この2つの板挟みをくらった異能力者の精神が病む社会問題が起こった。

 

「あーテレビで聞いたことある。私の近くじゃなかったけど……大変だったね」

「気にしないで、って言いたいけど引きずっているから今相談しているんですよね」

「うん、大丈夫だよ。私に目をつけたかなちーは慧眼だね。さしずめ、もし絡まれたら助けて欲しいーとかそういうのかな?」

「いえ、そうではないんですが」

「違うんかい」

 

 ビシッと手の甲で体を軽く叩かれた。この反応も原作通りである。彼女は出身が大阪であるため突っ込む際に芸人のような突っ込みが出てしまうのだ。

 

「格好悪いじゃないですか、女の人に助けてもらうなんて」

「ふーんへ〜、男の子だね〜。私そういうの好きだよ」

 

 ……そんな目でみられるとこそばゆくなる。あと好きにならなくていいから……。

 

「揶揄うのはやめてください」

「え〜本気だよ〜?」

 

 知っている、彼女はいつも自分に正直なのだ。だからいつも明るくしているし、いつも多くの人に囲まれている。自分の知っている通りの彼女であった。

 

「それで、相談したいことなんですが」

「あ、話切ったね。というか敬語になってるし、そんなに嫌だったんだ。それじゃあやめるね」

「さっき言っていたけどAとBって学級崩壊しているって噂を聞いてさ」

「一部の生徒だけどね。なんとか説得はしてるんだけど」

「そう、その一部の生徒について教えて欲しいんだ。名前さえ知っていれば近づかなくても済むしね」

「それくらいならいいよー。虐められてたなら自衛は出来るだけしておきたいしね。ただ初日だし全員は流石に分からないよ。それでもいいならいいけど」

「ありがとう、少しでも分かるなら気休めになるよ」

「あ、なら連絡先交換しよ。もし追加でわかったらすぐに教えられるし」

「了解した」

 

 その後は要注意人物の名を教えられながら連絡先の交換を行った。

 

「なにかあればすぐに教えてね〜、助けにこれるから」

「あはは、だからその話は……そのごめんなさい」

 

 俺は過去のトラウマを思い出したかのような暗い表情を作る。

 

「え、え、なにどうしたの?」

「すみません、話してたら昔のことを思い出して。ある程度は乗り越えたと思っていたんだけどやっぱりまだダメでした」

 

 真に迫った演技で数粒の涙を流す。その様子を見て桔花は心配の表情を浮かべていた。

 

「その、もし良かったら手を握ってくれませんか。なんだか桔花と話していると安心して」

 

 俺は彼女の方に手を差し出す。あとは彼女の反応次第だが。

 

「……えっと、あ」

 

 彼女は俺を安心させようと俺の手を握ろうとするが触れる直前になって手を離してしまう。……確認は完了した。

 

「ごめんなさい、会ったばかりの人に我儘を言ってしまって。もう大丈夫です。少しだけ泣いてすっきりしました」

「え、あ、あはは。こっちもごめんね」

「悪いのはこっちですから。……もうお話しする空気でもなくなっちゃいましたね。付き合ってくれてありがとうございました。また何かあれば連絡しますね」

 

 桔花は無理やり作ったような笑顔でこの悪くなった空気を流そうとした。だけども俺はその空気に耐えることも、彼女の顔を見ることが出来なかった。

 

 そうして俺はそそくさとその場から去っていった。

 

 話していて分かった。桔花は原作のままであった。

 

 ポケットのスマホに通知が入る。見るとそこには桔花から「ごめんね」というスタンプが送られていた。

 

 彼女にあんな顔をさせてしまった自分に苛立ちながら気にしないでくださいと返信をした。




ちなみにこの連続投稿でストックが全部尽きます
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