TSしてる主人公からの目線が怖いです……   作:加賀美 未来

9 / 10
桔花編です


ギャルの積極性は怖い(日常編)

 

 幸蔌会長と一緒に遊んだ土曜日の夜、家に帰りソシャゲのデイリーをこなしていると一通のメッセージが来た。

 

『明日一緒に遊ぼ〜』

 

 メッセージの名前欄には操桔花の名前があった。Aクラスに所属しており、ギャルっぽい見た目をしている原作ヒロインの一人だ。そして俺の最推しヒロインでもある。

 

 連日女の子からのお誘いである。とうとう俺にもモテ期が来たということか。

 

 そんな馬鹿なことを少し考えて、そんなわけがないと頭を振るう。桔花の距離感が近いのは原作通りでもある。男女分け隔てもなく、趣味が合わなくても仲良くなれそうならば誰とでも遊びに誘う。つまるところ陽キャでオタクにも優しいギャル。それが操桔花の人柄なのだ。

 

 さて、少し考えよう。彼女は原作での主要キャラ、関われば関わるほど原作からのルートに外れてしまうだろう。だけどもすでに主人公は女性になっているし、もうルートとか関係ないか!

 

『いいですよ。予定とかはそちらに任せますね』

 

 俺は快く誘いに乗った。桔花はゲームの中でもトップクラスの実力者だ。これから先バトル展開になることもある。仲良くしておいて損はないだろう。

 

 決して推しと一緒に遊びたいとか、仲良くなりたいとかそういうのではない。ないったらない。

 

 明日何着ようかと少ない服を全部取り出し色々なコーディネイトを試す。いくら試しても納得いくものがない。さながら漫画でよくあるヒロインが何着ていこうと悩むシーンのように。

 

 ギリギリ妥協したものを決めた時には1時を過ぎていた。

 

 

 

 日曜日の昼前、学園都市の中央広場にてスマホを見ながら時間を潰していた。

 

「あ、いたいた〜!お待たせ〜」

 

 声のした方を向くと桔花が手を振りながらこちらに向かってきた。ショートパンツに明るいブラウンのカーディガンを羽織った格好をしており、彼女らしい服装をしておりとても可愛い。原作では見られなかった彼女の私服姿を見てこの世界に転生できてよかったと神に感謝をする。

 

「いや、全然待ってないよ。こっちも来たとこ」

 

 彼女の新鮮な姿を見ていると思わず気持ちの悪い笑みを浮かべそうになるが我慢する。ありのままの自分の表情を見せてしまったら彼女はドン引き、好感度駄々下がりのバッドエンドで終わってしまうだろう。表情を見せないように固め、だけども自然に感じるように彼女と接する。

 

「そなの?なら良かった〜。ん、ん〜〜?」

 

 彼女は俺の顔をじっと見つめてくる。そんなに見られると気恥ずかしくなる。どこかおかしなところがあっただろうか。髪はきちんとセットしたはずだし、顔だって何度も見た。

 

「寝不足?昨日何時に寝たの?」

「え、あー、ちょっと遅くに」

「え〜何それ。あ、もしかして私とのデートが楽しみで眠れなかったとか?」

「そんなとこかな」

「……え〜〜そっか〜」

 

 彼女の癖みたいなようなものなのだが、男を勘違いさせるような揶揄う言動が多い。原作をやっていた時はこれでまだ好きじゃないとか嘘だろ!と思っていたが実際に目の当たりにすると勘違いしそうになる。もし俺が原作をやっていないクソ雑魚童貞だったら一発でアウトだっただろう。

 

 だがそれに対してやり返すと途端に弱気になり照れた顔をみせる。今でもいつも通りに振る舞っていようとしているが耳が赤くなっており照れていることがわかる。やっぱり可愛い。

 

「と、とりあえず行こっか!私がプラン決めちゃったけど行きたいとことかないの?」

「俺多趣味なんで。どこに行っても楽しめますよ。それなら桔花に任せた方がいいと思って」

「気を使わなくても良いのに。ま、今日はお言葉に甘えさせてもらおう。次遊ぶときはかなちーが決めてね」

 

 彼女はレッツゴーと言うと歩き出し、その後を追う。

 

 二人での遊びで良くあることだが会話が続かないことがあるだろう。最初は盛り上がって話すがお互いに話題が尽きて何も話さずにスマホを見ているような時間が。だが彼女とはそんな時間が全く来なかった。

 

 趣味やタレントだったり、お互いの学校生活などなど。話が止まらなかった。彼女が話し上手であり聞き上手でもあるために話しやすく、こちらも話題をどんどん出していく。今まで関わった友人が全員隠寄りだったため、彼女との会話はとても新鮮で楽しいものであった。

 

 そうして30分歩きながら話していると目的地に着いた。たどり着いた場所はスポーツ施設。ボルダリングやアスレチックなどがあり体を使って楽しむ施設であった。

 

「ここってなんでもあるよね〜。こういう施設あるって分かったときはびっくりしちゃった」

「下手な都市より充実してますよね」

「ま、楽しいんだからいいんだけどね。それじゃ早速いこいこ〜」

 

 受付にお金を払って中に入っていく。中には様々な施設があり、ここだけで一日を潰せる量があった。

 

 お互い更衣室に入り動きやすい格好に着替える。更衣室から出るとすでに桔花は着替え終わっており待っていた。

 

 スポーツウェアを身に纏い、長い髪を短くまとめているその姿をみて改めて神に感謝の祈りを心の中で捧げる。あぁこの世界に産んでくれてありがとうと。

 

「………」

「な、なに?」

 

 またじーっと見つめられる。きちんと心の中の心情は隠していたと思うのだが、もしかして漏れてしまったのだろうか。

 

「いや、何でもない。早く遊びに行こ。人気なやつは早く行かないと混んじゃうから」

「あ、ああ」

 

 なぜ彼女が俺のことを見つめたのか分からないまま遊びへと繰り出した。

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

「いやー楽しかったね!」

 

 全てのアスレチックを周り、休憩スペースにて椅子に全体重を預け体を休めている。対して彼女はまだまだいけるといった顔でスポーツ飲料水を飲んでいた。

 

「よく、体力、保つね」

「慣れだよね。昔から体を動かしてたし。それにかなちーも付いてきて凄いじゃん。危なくなったら助けようかなーって思ってたけど全然いらなかったし」

「昔、武道やってたから、かな」

「へ〜、今はやってないんだ」

「まあ、別のことに興味が湧いて」

 

 小学生時代に親から体を鍛えるために武道をやらされていた。前世ではそういったことはしてなかったのでとても楽しかったのだが、中学時代に異能力に目覚めてそっちに没頭していた。

 

「え〜勿体ない。でも別に楽しいことができたなら仕方ないか。今日は付き合ってくれてありがとうね!」

「いや、こっちも、久しぶりに、体を動かせて、楽しかった」

「それなら良かった」

 

 軽く会話をした後呼吸を整えるために大きく息を吸って吐く。それを繰り返していきゆっくりと呼吸のペースを戻していく。

 

 一通り落ち着いた後、対面の椅子に桔花が座った。

 

「今日はありがとう、付き合ってくれて。前あんな別れ方だったし断られるかなって心配してたんだ」

 

 前というのは空き教室に二人で話したときのことだろう。あのときは彼女の過去を知るために彼女の心に踏み込んだ行動をしてしまった。それが原因で空気が悪くなり、そのまま逃げるように去ってしまった。

 

「俺も謝りたいと思ってたからちょうど良かったよ。あのときはごめん」

「こっちこそごめんね。よし、これでこの話は終わり!」

「わかりました」

 

 一種のけじめのようなものを終える。お互い言葉にし、一言謝る。これで全てが終わりというわけではもちろんないが、お互いの心のもやもやは晴れる。だから短いやりとりながら必要なことであった。

 

「そういえば1つ聞きたいんだけど、どうして今日誘ったの?」

「1つはさっきの話。それともう1つは、かなちーと二人で遊びたかったからかな」

「それはどうして」

「んー、かなちーと一緒にいると気が楽っていうか。目線?とかが他の人と違うからかな。やっかみとかその……いやらしいのとか。そういうのが話しててなかったから」

「あー」

「私を見てくれているって感じ。だから一緒に遊んでみたいなって思ったんだ」

 

 確かに彼女にそういった目線を向けていない。俺は推しでは抜けないタイプであった。もちろん彼女の女性らしい部分を押し付けられると意識はしてしまうがそれくらいである。そういったところが気に入られたのだろう。

 

「それで今日一緒に遊んでみて、どうだった?お世辞とかはすぐにわかるから本音で」

「すっごく楽しかった!また一緒に遊ぼう!次はかなちーのいきたいところで!」

 

 お世辞抜きの本当に楽しそうな笑顔を向けられる。太陽のような、それでいて聖母のような優しさを持つその顔を見て思わず見惚れてしまう。だけどもそういった視線を向けないように意識し、平静を保つ。

 

「勿論。俺も今日一日楽しかったよ」

「ん、良かった。なら次どこ行くかもう決めちゃおうか!」

「え、もう?」

「そりゃ勿論!予定は早いうちから決めておいた方がいいでしょ!」

 

 その後、お互いの空いている日程を確認し次に遊ぶ日程を決めた。閉館時間も近いと言うことでどこで遊ぶかは調べておいてということになった。

 

 この24時間で遊びに行くことが決まり、次に遊ぶ日程も決まった。これがギャルの行動力か……。

 

 生きている世界と基準が違うんだなと実感しつつも、彼女と遊ぶことはとても楽しいものであり、次を楽しみに帰路に着いた。

 

 




たまに読み直すんですけど誤字脱字多いなぁと感じる。一応一度読み直してはいるのですが。
読みづらかった申し訳ありません。
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