原作始まる前ぐらいの話
騎士団にも懇親会的なのはある
年に一度あるものだが、怪我や家の立て直しもありレイアが参加するのは初めてだった
楽しげに会話する騎士達、そんな中暇そうにグラスに入った液体をクルクル回しながら眺める
「飲んじゃいなよ」
見かねたのか、隣にいたフェリスにそんなことを言われてしまう
「僕酒飲んだ事ないよ」
レイアはこの世界での成人は超えている、酒も飲める歳だが前世での成人のこともあり進んで飲むようなことはしなかった
「お酒ダメダメだっらゃ、フェリちゃんが面倒見てあげる」
との後押しがありながらも少し躊躇しているのかなかなか飲まない
「フェリスに迷惑はかけたくないし…」
「フェリちゃん的には酔った勢いで面白いことをしてくれるのを期待してるんだよ?」
「わぁ…もっと悩む」
飲む決意をしたのか手に持っていたワインを恐る恐る一口、口に入れた
「変な味」
「第一声がそれ?」
首を傾げながらそう呟き、匂いを嗅いでいる
「でもお酒飲んだことにゃ言ってすごく意外だったな、だってレイアもう成人過ぎてるでしょ?」
「うん、家では誰も飲まないし、酒なんて買う暇なかったから」
と言えば納得した表情をしている
家を建て直すために日々努力している、表向きにはそうなっている、だからだ
「へー」
興味なさげな声を聞きながら残すのは嫌だったのでまた口をつける
ーーー
「フェリスは可愛いね〜」
「弱すぎにゃい?」
顔を赤くして楽しげに笑っているレイア
フェリスも驚きだ、たったワイン一杯でこれだ
「…フェリス、飲ませすぎでは?」
「フェリスにレイア…どれくらい飲ませたの?」
挨拶回り的なのが終わったのであろうユリウスとラインハルトが不思議そうな顔をして近寄ってきた、フェリスはからになったグラスを2人に見せ
「ワイン一杯」
「…」
「逆に凄いね」
唖然とするユリウスに驚くラインハルト
それほどレイアが酒に弱いという話なのだが
「ユリウスーに、ラインハルトーだぁー」
楽しげに名前を呼んでだ、いつもは見せない幼い顔で
「レイア大丈夫?」
「何でー?僕はちょーぜつだいじょーぶだよ?変なのー」
舌足らずに幼く言い放った姿を見て少し困惑しながら微笑む
ラインハルトから見たレイアは多少駄目なところはある、頼りになる友人でもある、それゆえにこんなダメダメな所を見て驚きを隠さず見つめていた
「取り敢えず、フェリス水を飲ませよう」
「わかってるよーレイア水飲める?」
「んー?」
わかってなさげに首を傾げている
「全く面倒見るって言った手前ほったらかしにできにゃいよ」
「フェリスはいい子だね、すごくいい子それで、凄く優しい、優しすぎて不安になる」
ユリウスから水が入ったコップを受け取ろうとしたフェリスに抱きつき頭を撫でてそう言い放った
「それでね凄く頑張ってる、だからね」
「レイア?」
「頑張ってる子は好きだから特権たくさんしてあげる」
「特権?」
ユリウスの疑問じみた声にレイアは笑顔で答えた
「うん、特権、頑張ってる子には頭を撫でて凄いねって頑張ったねって、いい子だねって褒めてあげるの!だからフェリスは可愛くって頑張ってて優しいくっていい子だから」
「にゃ!ちょレイア!ユリウスもラインハルトも見てないで止めてよ!」
恥ずかしそうにあわあわしているフェリスを眺めて2人は顔を見合わせた
「頑張ってる人の特権を邪魔するのはダメだよね」
「そうだね」
「にゃ!2人とも!」
髪型を崩さないようにリボンをずらさないように丁寧に頭を撫でている姿を見て止める気は起きなかった
「何だか新鮮だね」
「ああ」
「他人事だと思って!ほらレイアあの2人にもおんなじことやってあげてよ!」
「フェリスはね〜凄くいい子、最初会った時もめんどくさそうにしながら傷の手当て完璧にやってくれたし、周りの目に負けないで頑張ってて、凄い!凄いことなんだよ、それでね自分らしさを強く持ってて、僕にできないことも簡単にやっちゃうのでもその裏で凄く努力していててね、それでねそれでね、教え方も凄く上手なんだよ、治癒魔法の使い方教えてもらった時もすごくわかりやすかった、多分僕がね治癒魔法使えていたら一発で出来てたってくらい、教え方が上手なの、それでね」
「もうわかったから!レイアやめて!」
突然の発言に顔を真っ赤にさせ、レイアの口を塞いでいた
「レイアは時々よく人のことを見ていると思っていたが…これほどとは…私も気をつけなきゃいけないね」
ユリウスは感心しつつ自分がこの餌食にならないように気を張ることにした
「レイアとフェリスはすごく仲がいいね」
ラインハルトは微笑まし光景とでもいいだげに笑みを浮かべていた
だが2人とも絶対に餌食にならぬよう少し距離を取っていた
ユリウスは自分もフェリスのように褒め殺しにあって仕舞えば、今のフェリス同様あまり見せないようにしていた顔を見せてしまうから
ラインハルトはレイアが女性であることを知っている、それゆえに遠慮気味になっていた
「そこ騒ぎすぎだ」
問題児を見るかのような目で見つめてくるのは騎士団長であるマーコスだ
他に比べてレイアの褒め殺しやフェリスの照れ隠しに近い抵抗で騒がしかったのだろう
「フェリックス、レイアに一体どれだけ飲ませた」
「ワイン一杯だけです」
顔を真っ赤にしているフェリスの代わりにユリウスが答えれば、信じられないとでも言いたげにレイアを見つめていた
その視線に気づいたのか顔だけはマーコスのほう向いていた
「酒の弱さは父親に似たか…」
残念そうにそう呟き、レイアの首根っこを掴んだ
「んぎゅ」
「酒の弱さが父親に似たなら何しでかすか分からない、コイツは仮眠室に閉じ込めておく」
レイアの父親も酒に弱く友人であるハインケルやその場にいたマーコス達にダル絡みをしていた、父親に似て酒に弱いレイアを見てそんなことを思い出し苦い顔をしてしまっている
「そうしてくださいよ!」
やっと解放されたフェリスはまだ顔を真っ赤にしながらそう言い放った
「戸締めこられるの?」
「そうだ」
「朝にはちゃんと出してくれる?」
「酔いが覚めてたらな」
「ならよかった」
少し不安が残る会話をしつつ、この場から2人が出て行った
「もう!レイアに2度とお酒は飲ませにゃいんだから!」
自分で飲ませたがまさかの状態にそう叫ぶしかなかった
「そうかな?僕は見てて楽しかったよ?」
「見ている分にはね!」
「だがレイアの意外な一面が見れたね」
見る分には良いそう頷きながら微笑む
ーーー
二日酔いのせいか頭が痛い、何なら仮眠したな閉じ込められていたんだけど、何したの?僕?マジで
昨日は懇親会だったというのに、今日も仕事なのか廊下でユリウスとすれ違う
驚いたような顔をされた
何したのぉ?僕?
「なんかしでかしたことは覚えてる」
顔を抑えそう呟く
レイアの言葉に優しく答えてくれた
「フェリスを褒め殺していたよ」
「菓子折り持って謝りに行くよ」
この日レイアは自分が何をやらかすか分からない人間だと再度認識し、2度と酒を飲まないと決めた