視線の先にいる青年を見て笑みを浮かべる、きっと他の人から見れば不気味に見えるだろうだが今はそんなことはどうでもよかった
やっと報われたやっと希望が見えた
周囲に人がいなかったらきっと大きな声で笑い踊ってしまうだろう
「やっとはじまったぁ」
漏れ出た声は誰の興味にも惹かれず消えていく
軽い足取りで黒髪の青年にバレないように歩く
僕は夢を見ていた
死んだと思ったら知らない人から生まれたり、性別が変わってたり、剣を教え込まれ、物語の世界にいることに自覚したり、物語の登場人物と話して触れたり戦ったり騎士になったり、ベールを被ったかのようにはっきりしない夢のような18年間だった
でも夢から覚めた、これは現実だとはっきり分かる!今は夢じゃないと!
浮かれた足取りで進む
「人と約束してるけどまぁ最終的に会うでしょ」
黒髪黒目の青年の隣にいる人物を見て足を止めた
「エミリア様じゃん」
銀髪のハーフエルフの彼女を見て固まる
よくよく考えればそうだよな、と思いつつ考え込む
今突撃するでもいいな行こうかなでも此処で名前呼んだらあの人の気遣い無駄になるしな…気遣い伝わってないけど
2人と1匹?の死角になるように歩く
突撃したい会いたい話したい知りたい!邪魔したくない!
どうしよう
うんうん唸りながらバレぬように2人の後をつける
「ずっと気になってたんだけど、何してるんだい?」
目の前に現れた、灰色の可愛らしい精霊
「パック様、エミリア様がいつになっても来ないので探しに来たのですが、あれは入って良い空気なのかどうかを考えていまして」
「ああ、リアがごめんねちょっと大変なことになってて、徽章が盗まれてね、忘れてたわけじゃないよ」
「ぁああ〜…じゃあ僕の方でも探しておきます」
「助かるよ、それと彼の前ではリアの名前は呼ばないでおいて欲しいな」
「事情は分かりませんが分かりました」
分かっているがそんなことを言ったら怪しまれるな決まっている
「それじゃあよろしくね」
可愛らしくウィンクをしてエミリアの元へ帰っていたパックを見て少し考える
フェルトのところに行っても、邪魔をしかねない、うろうろしとこうかな
そう思い、2人とは反対の方に歩き出す
ーー
エミリア達からかなり離れたであろう場所
「ふぁ」
大きなあくびを手で隠しながら歩く
「随分大きなあくびだね」
「みっ、!」
驚きのあまり情けない声を上げ固まり、声のした方に首を動かし見る
「ラインハルト、かびっくりした」
近衛騎士になってから接点があり、親しく話す中になったんだった、イケメン誰でも仲良くなれるんだね!家族以外とは!
「レイア、エミリア様と待ち合わせをしているんじゃなかったのかい?」
疑問に思っていたのか不思議そうに聞かれる
そういえば数日前に今日の事を話したな
「エミリア様の落とし物を探してるんだよ」
「手伝おうか?」
「今日非番だろ?手伝わせるわけにもいかないよ、自分のために時間を使いなよ」
「でも友人が困っているなら」
手伝ってて言ったら絶対手伝ってくれるのだろう、だが多分色々おかしくなるのは困る、なんとかしないと
「僕はエミリア様にいいところを見せたい、そして普段多忙なラインハルトには自分の時間を使って欲しい。それに本当に困ったら頼るよ」
自信満々に胸に手を置き言い放つ
「ならよかった」
そういい優しく微笑んでいた
イケメンは何してもすごいはかいりょくだ
ーーー
さてさてそろそろかな
日が落ち始めてきた時間
ナツキスバルが初めての死を迎える頃だ
鼻歌を歌い今か今かと楽しみに待つ、と言ってもナツキスバル達がいるであろう場所からはかなり離れているが
僕が死に戻りの記憶を持ち越せるのかな、それとも今の記憶が消えるのかな?
「ふふふん」
楽しみのテレビ番組を待つかのように鼻歌を歌い待つ