「貴方は死んだけど、転生して貰うわね。」
「いや、いきなり過ぎでしょ。」
「神様というのは、世界を管理しないといけないから、忙しいのよ。」
「で、どこの世界ですか。」
「インフィニット・ストラトスよ。」
「それだったら拒否します。転生しない方がマシです。」
「ちょっとー、困るわよー。」
「そっちの管理ミスを押し付けるなど言語道断。幼女が戦う仮想戦記みたく撃ち殺しますよ。」
「殺意高過ぎなんですけど。」
「私はクソ神の無能ぶりを知ってるので、碌でもない奴は処分するに限ると結論を出していて、それが揺らぐことはありません。ああでも、こちらの言い分を聞けば、考え直さない事もないですね。」
「分かった、分かったから。それで、その言い分って?」
「転生してすぐに篠ノ之束に会わせる事、私のIS適性は高い事、既に成人していてISに関する指導が出来る立ち位置にある事、ISと束が宇宙進出の為なら努力や苦労を惜しまない事、敵対的な奴が理不尽に攻撃してきたら、直ぐにボロを出すことですね。」
「意外と普通ね。転生特典で無双する、とかじゃないの?」
「それを妄想したら、結局同じ穴の
「真面目ちゃんじゃない。撃ち殺すなんて似合わないわよ。」
「それだけ転生して人生リセットしたい人間が多かったってことですよ。」
「成程ね。じゃ、転生させるわ。」
◇
転生したら、篠ノ之束のラボの中でした。
「は、お前誰?束さんのラボに入り込めるなんて、普通じゃないんだけど。」
「束様に害をなす存在であるならば、排除する必要がありますね。」
「通りすがりの女性です。普通じゃないとすれば、転生する前の記憶がある事ですね。」
「は、転生?何言ってるの。」
「あ、インフィニット・ストラトスですね。いやー、一度動かしてみたかったんですよねー。」
「凡人が、束さんが生み出したISに触るんじゃ「おー、どんどん
「束さんの想定では、第三形態ですら必要性の認識が薄くて方向性が固まらなかったんだよ。それなのになんで!?」
「何って、転生前の知識を生かして、こうしたいってイメージをISに送ったら、ISがそれに応えて第四形態を発現してくれたんですよ。」
「もしかして、束さんをも上回る能力の持ち主!?」
「それは違いますね。一から説明します。」
「あ、うん。クーちゃん、お茶。」
「かしこまりました。」
クロエがお茶を汲んできます。
「どうぞ。」
「どうも。」
ズズズ
「美味しいですね。」
原作だと料理下手の描写があったはずですが。
「クーちゃんの淹れるお茶は最高だからね。」
「それで、どこから話せばいいですか。」
「最初からだよ。何が目的で、どうやってこの世界に来たのか。今後どうしたいのか。」
「そうですね、まず、この世界に来たこと自体は、ただの偶然か事故ですね。神様に出会って転生したので。」
「フーン、束さん、神様を信じてないんだけど。」
「私は、神様に出会った以上、無神論を唱える事は出来ません。でも、神は利用する以上の存在ではない、とはいえますね。」
「成程。それで、なんでISを初起動した人間が、いきなり第四形態を発現出来るのさ。」
「それは、私がISの事を徹底的に追求し、理想を固めたからですよ。」
「ふーん、束さんみたいな天才が、似たようなパワードスーツを作った世界から来たのか。」
「それは違いますね。」
「え、じゃあ何?」
「『この世界を本として読んでいた』です。」
「は?訳わかんないんだけど?」
「どうやら、このインフィニット・ストラトスが存在する世界が、救いがなさすぎるので、誰かを送り込んで変える必要があったみたいですね。」
「つまり束さんは物語の登場人物ってこと!?ふざけんな!」
ドンッ
テーブルの上の湯飲みが揺れます。
「その怒りは誰に対してですか?」
「この世界を作った
「いいじゃないですか、協力しますよ。で、どうやります?人間の力だけで第四の壁を超える方法は、現状では確立していませんけど。」
「ISに覚えさせるよ。クーちゃん、お茶のお代わり。」
ゴクゴクゴクッ
束さんはお茶と共に怒りも飲み込みます。
「それで、君の名前は?」
「この世界の名前はまだありませんが、前世では一番星
「じゃあ、まーちゃんだね。それで、まーちゃんはどうして第四形態を発現出来たの?」
「それは、テクノアニミズムの概念を、ISに適用する事を考えているからですね。」
「テクノアニミズム?何それ?」
「まず、万物全てに命が宿るという考えを、アニミズムと言います。それを工業製品にも拡張適用したのが、テクノアニミズムです。」
「なんだ、ISコアには意識が宿るんだから、それを難しく言っただけじゃん。」
「でも、束さん「束って呼んで。まーちゃんとの間柄は、そんな余所余所しい物じゃない。」束はそれを意識した行動をしていないんですよ。」
「えっ?」
「原作では、無人機を無造作に送り込んで破壊するわ、とあるISをハッキングして暴走させるわ、クロエさんをこき使うわで、死に設定同然でしたね。」
「え、そんなに酷いの?」
「ええ。というか、自分の作ったものに最後まで責任もってないですね。束が私の事を受け入れなければ、ISの事を教育して、丸ごと寝取るつもりでしたし。」
「え…。」
「何だったら、そんな束の堕落ぶりから、ISと
「ええ…。」
「後は、束が行こうとした、別世界の人間を連れてきて、分からせするとか。」
「えええ…。」
チーン
束が真っ白に燃え尽きました。
「脅かせすぎじゃないですか?」
「クロエ、人の振り見て我が振り直せ、です。それに、これは全部私もやらかしているので、やらかし自体は強く言えませんよ。大事なのは、そこから立て直せるかです。」
「まーちゃん、束さん立ち直れないかも…。」
「そう言うと思って、ISに未来シミュレーションをするように指示します。束が悔い改めるか否かで、未来がどのように変化するかを、量子コンピュータの重ね合わせを用いて、いくつもの世界線を同時にシミュレーションするんです。」
「まーちゃん、束さんより上手く活用してる…。」
「束は同格の哲学を持つ存在が現れなかったから、腐っていったんですよ。ですから、私がいる場合といない場合とで、シミュレーションですね。」
束がISの未来予測を経験します。数十分後、終わりました。
「まーちゃんがいない場合は99%が駄目なのに対して、いる場合は99%が充実した毎日になっているよ。」
「それは良かったですね。取り敢えず、束が性能などのハード面、私が運用などのソフト面を主に担当するべきですね。もっとも、基礎部分はお互い知っておく必要がありますが。」
「分かった。それで、第四形態って何?」