「それで、IS学園に行く以上、まーちゃんの専用機が必要なんだよね。」
「私の理論だと専用機なんて必要ないんですが、護身用に必要なのが、世の中歪んでますね。」
「それで、まーちゃんの好みは?」
「ラファールをベースにした扱いやすい機体ですね。但し、装備換装は宇宙ではやっている暇がないので
「装備換装の件は、この前束さんが理論を固めた第4世代機の概念を使えばいいけど、
「
「え、そんなこと出来るの!?束さんそんな設計した記憶はないんだけど。」
『愛美さんの発想が流し込まれた時に、出来るようになりました。』
「大丈夫なの!?
『問題ありません。第四形態以上の機体に限りますから。』
【成程、技術が伴わないと出来ないという事か。】
「あー、未設計のコア一つ失っちゃったかー。まあ、まーちゃんの分と思えば仕方ないか。また作ればいいもんね。」
「束、それには及ばないですね。」
「へ。」
「
『はい。』
秋津洲が元の機体に戻ります。
「えっと、何をしたの?」
「
「まってなにそれいみわかんない」
「専用機を持っていることを鼻にかけるものが出ないように、またISを効率的に活用しつつ、個々人の能力を引き出すために、必要に応じて形態移行し、また戻るのです。」
「えー!?」
「こうして見ると、発想の柔軟性というか、着眼点については、愛美様の方が一枚も二枚も上手ですね。」
『更に言うと、どの機体でも同じ形態移行出来るように、第四形態を発現させた操縦者のデータは、機体本体からコアネットワーク上に移行されます。』
【随分と能力高いじゃないか。これだけの人間に相応しい機体を作るとなると大変だな。】
「そうだね。でも、ここで引き下がっちゃ、天才束さんの名折れだよ。見ててねまーちゃん、絶対にまーちゃんに相応しい機体を作るから!」
束が意気込みます。
「それは良いですけど、身体は大事にしてください。束は寿命が尽きるまで精力的に活動してほしいですから。」
「ううん、止められないよ。ちーちゃんの事をこれまでは対等だと思ってたけど、それ以上だもん。まーちゃんがいる限り、何においても束さんが困る事はないよ。困難なことに挑むのにこんなに楽しいと思ったの、生まれて初めてかも。」
「えー、束の実力を考えたら、行き詰まるなんて事ないんじゃない?」
「物の例えだよ。」
それを聞いて、涙を流すクロエ。どうしたのでしょうか。
「どうしたの、クーちゃん、どこか痛いの?」
「いえ。愛美様にお礼を言いたくて。」
「お礼?」
「愛美様、本当にありがとうございます。束様は、これまで有象無象の存在に足を引っ張られるばかりでした。自分の研究を簡単に否定され、実績を作れば掌返しされた挙句に付け狙われ、家族もバラバラにされて。ISに没頭する事が唯一不満を逸らす手段になり、いつからか妹の箒さんとも疎遠になりました。それが愛美様の登場でやっと改善されたのです。」
「そうですね。それと良かった、クロエも救われて。」
「私がですか?」
「
「…、はい!」
◇
翌日、束は私の為の機体を作ってくれました。
「じゃじゃーん!これがまーちゃん専用機だよ!第5世代機で、
「これ、宇宙まで飛び出せますか?」
「飛び出せるけど、精々月までの往復が限度かな。これ以上となると、また一段階上の性能が必要になるからね。」
「昨日第4世代機の性能を用いるって言ってましたけど、世代が一つ上がった理由はなんですか?」
「ああそれ?第4世代機は、装備換装の観点から言えば確かに宇宙で通用するけど、継続活動時間が短いんだ。宇宙には、カタパルトを使って飛び出すのがやっと。だから世代を一つ進めたんだ。わー、凡人にも理解出来るねー。」
「成程。この先はどうなりますか?」
「第6世代機で太陽系レベルを継続的に航行可能、第7世代機でワープ、タイムスリップ機能搭載、第8世代機で宇宙全土をくまなく航行可能、第9世代機で第四の壁突破かな。」
【成程、ならデビュー戦として、私達と勝負だ。】
「良いですね。宇宙で慣らし運転したら、早速やりましょう。」
カタパルトで宇宙に飛び出し、
ドォン
「試合開始!」
合図の信号弾が打ち出され、試合開始です。宇宙空間は直接音が伝わらないので、こうやって合図をするのだそうです。なお、お互いの状況は
【先手必勝!】
パパパパパ
ジャブのマシンガンですが。
スッ
パァッ
【何!?】
【ならば高威力のこれはどうだ!】
ドォン
高い威力のバズーカ。ですが、
【何ぃ!】
それくらい、展開したSEのうち固体の量を増やせば済む話です。
【それなら、焼き払ってやる!】
火炎放射器と、助燃材ですか。
【ま、まるで燃えないんだが。】
操縦者保護を行う
【くそ、隙がない。】
「じゃ、こっちから行きますよ。」
【来たか、だがこれはどうだ!】
「えっ!?」
激しい衝撃と共に押し出されます。不味いですね、なら。
パァ
【ハア!?】
【ちょっと待て、なんで俺が撃った時は硬質で、お前がぶつかった時は軟質なんだよ!?】
「試合が終わったら説明しますね。今は真剣勝負ですから。」
こういう、認識で上位に立つ時が一番楽しいです。ま、油断したら宇宙では死ぬので、気を緩めずに行きますが。
相手がライフルで狙ってくるので、
さて、やりたいことは一通りやりましたし、いよいよフィニッシュといきますか。
「ちょっと痛いですよ。」
ドォン
「試合終了!勝者、一番星愛美!」
勝ちました!前世ではアニオタだった私が、パワードスーツを用いた格闘戦分野でデビュー戦を勝ちで飾りました!
【全く、初見とはいえ負けるとは。】
「えへへ、勝てて良かったです。」
【取り敢えず、全部説明して貰うぞ。】
「はい。」
◇
地上に戻り、自分の使った技術を一つ一つ説明していきます。
【凄い発想力だな。】
「自分が定めた領域内は、どんな攻撃も通さない。」
「空間の支配者、君臨する皇帝って感じですね。」
「どうも。ま、テロリスト封殺を考えたら、これくらい実力差がないと、とても間に合いませんからね。」
「テロリストの事まで考えるの?」
「アメリカが無思慮な介入を繰り返すから、テロが消えないんですよ。テロ対策はどういうものか、ISを用いて示すということです。」
今後宇宙での衝突を考えても、こういうのは必須です。
「どうも。因みに、一番大事なのは、訓練機の時点で鍛えられるやり方ってことです。武装の多寡で決まるのは好きじゃないですね。」
『それじゃ私の専用機としての存在意義って、ただ
「いや、一つ一つは当たり前でも、それを連結していくと当たり前ではなくなる。そんなコンセプトの機体にしたいと考えただけです。」
『でも、他の機体でも同じことが出来るなら、私の存在意義って何なんですか?』
「そ、そこまで言われると…、答えに窮しますね。」
まさかこんなことになるなんて。
「愛美様もミスをするのですね。」
「そうですけど、これは致命的ですよ。専用機にそっぽを向かれたら、操縦者として失格です。」
『そんなことはありませんよ。』
「
『そっちの未だ機体名なしのISが愛美様の専用機を降りるというのなら、私が取って代わるだけの事。』
『ちょっと待ってください、そんなのありですか!?』
『あら、地球人だって専用機持ちとして競争するのですから、ISがそれをしてはいけないという決まりでもあるのですか?それに、競争がないとそれこそ今の地球人のように腐りますよ。』
『わ、分かりました。愛美さん、これからよろしくお願いします。』
「こちらこそ、よろしくお願いします。ああそうだ、名前を考える必要がありますね。」
と言っても、もう決めていますが。
「貴方の名前は
【
「いいえ、これしかありません。だって、私の思いを届け、響かせるための機体となればこの名前が一番相応しいですから。」
【成程。】
「それはそうと、
『人機一体を鑑みると、あそこでああ言うのが一番効きますからね。あのままだと愛美様にIS全体がおんぶに抱っこになる危険性がありました。危機感煽るには、敢えて空白を設けて、不満があるならいつでも取って代われるという意識を植え付けるのが一番ですね。』
「本音は?」
『他人を煽るのって、超楽しー!後、それがいつでも出来る、束の専用機になろーっと!』
「「『【私が言うのもなんだけど、性格悪っ!】』」」
戦わない最強戦士のリメイクであることの理由がこの機体名です。正直それ以外に理由はありません。