テクノアニミズム・ストラトス   作:223系新快速

6 / 7
第6話 現実からの逃走

束のアジトでお茶を飲みながら、絶対天敵(イマージュ・オリジス)が攻撃方針を説明します。

 

【さてと、具体的にどうやって襲うかだが、『現実からの逃走』を基準にする。】

「現実からの逃走ですか?」

【そうだ。今の地球人は、他者との関係を考えずに内輪の論理だけで行動している。だから、地球あっての地球人であり、ISは本来我々絶対天敵(イマージュ・オリジス)と同類であることを嫌でも認識させる。】

「で、どうするのですか?」

【現実から乖離している者を優先的に狙う。増長している者や逆に閉塞状態から鬱病や自殺一歩手前の者などだな。】

「受け入れますか。余計な介入と捉えられかねないですよ?」

【自由からの逃走だ。自由は権利であると同時に義務でもある。主体的に行動せずに文句だけ言う奴は、自由の行使を怠っている。そんな奴は、仮死状態に封印されるのがお似合いという訳だ。】

「成程、無駄に足引っ張る奴をこうやって合法的に排除出来るわけだね。」

「自前でやろうとしたら、監察隊でも用意しないといけませんが、これがまた問題の温床になりがちですからね。」

【後、今の社会は息が詰まり過ぎているから、仮死状態にすることで強制的に休息を取らせるというのもある。】

「案外優しいですね。」

【宇宙開発をするときになって、肝心の地球人がいないのでは、負債返済をしてくれないのでね。】

「それで、その負債ですが、どうやって払うんです?」

【宇宙開発をして、エネルギーを獲得し、そのエネルギーをこちらに支払うことで返済とする。エネルギーは単位で測れるから問題ない。】

「それ、技術不足や見識不足で、返済が出来なくなって、踏み倒しにかかる国家、組織、個人が出てきますよ。」

【そんなこと許さない。ISが出来てからの公式記録は全てこちらでも保管してある。帳簿破棄でチャラ、等というのは、金銭という仮想的存在ならばありだが、エネルギーは実体がある以上認めない。】

「どうやっても物理的に払えない、と言い出したら?」

【石にかじりついてでも払わせる。もし国民が全員逃げ出したら、我々絶対天敵の直轄領として、世界各地の食い詰め者を集めて働かせる。】

「かつてのオーストラリアみたいなことしますね。」

 

 

 

一息ついて続きを聞きます。

 

「で、攻撃対象は?」

【当然、地球人全員だ。】

「非戦闘員保護の条約は?」

【テロだのなんだので無理くりつけて無力化しているのが現実だから、こちらも無視する。仮死状態で保護するから、余程人道的(・・・)だ。】

「復帰されることへの抵抗感は?」

【ない。むしろ、そうしてくれた方が、都合がいい。現実を受け入れた上で成長出来るから、抜本的解決に繋がる。】

「既存のやり方に反発している奴も強制的に仮死状態にするの?」

【そういう奴は仮死状態じゃなくて怪物化だな。名前は、そうだな、『ブチコワーセ』だな。】

「暴れ過ぎたら困るんじゃないですか?というか、問題があるならそいつに暴れてもらった方が良いんじゃないですか?」

【それがそうでもないんだな。怒りという感情は、瞬間的な能力は高いが、継続性がない。宇宙開発は継続的にやらないと全くの無駄に終わる。高い視点から長期的に見れる人間を多数育てないと話にならない。】

「成程、暴れるのはあくまでも秩序を乱すとして罰するが、それはそれとして自己改革はする、と。」

【そうだ。そこを勘違いして、我々絶対天敵は手加減している、などとのたまったり開き直ったりする国家や組織は、容赦なく潰す。】

「で、これをすることの目的は?」

【金銭的合理性以外の尺度、つまり地球人視点での精神的合理性、地球視点での物質的合理性、宇宙開発視点での革新的合理性などだな。】

「つまり、金銭的合理性に偏り過ぎて、他の合理性を軽視しているやり方をただすと。」

【そうだ。新自由主義や共産主義は真っ先に改革の対象だな。】

「それだと中国とアメリカが改革の対象という訳ですね。」

【いや、イスラエルだ。】

「え、イスラエル?」

【年がら年中戦争しているから、敵国の国民からの怨念が溜まりに溜まっている。これを開放すれば、怪物がうじゃうじゃと出てくるから、幾らイスラエル軍がISを保有していても対処不能だ。】

「それ最悪、イスラエルという国家が崩壊するのでは?」

【なら、その程度の存在だったということだ。】

「まあそうですけど...。というか、怨念が問題になるなら、日本最強じゃないですか?そういうお祓いの概念は、明治維新まではごく普通でしたし、物質的合理性がないとして第一線からは退けられてからも、なお根付いていますし。」

【というよりは、他が軽視し過ぎだ。勝てば官軍と言うが、その理屈で言うなら我々絶対天敵(イマージュ・オリジス)に勝てないのだから言うこと聞くしかないわけだ。】

[それと、私地球にもです。]

「言えてますね。というか地球の場合、敵に回したら勝敗以前に生きられませんよ。」

 

 

一息ついて続けます。

 

【で、尊重すべき存在は?】

「立憲君主制の各国の王室ですね。例え絶対天敵であろうと失政ゼロはあり得ない以上、国民を纏める存在として必要です。権力は握れても、権威は簡単には作れません。場合によっては、王室を復活させることもあり得ますね。」

【では、絶対君主制国家は?】

「これが微妙ですね。腐っているのを排するのは簡単ですが、その後の収拾がつきません。だからって、何もかも絶対天敵が管理するのは面倒でしょうし。」

【ああ。なんで無責任な奴の面倒を見ないといけないんだ。大して旨味もないのに、文句ばかり言われる。】

「まあ、そういうところは混乱状態にして、もっと良い発想が出てきたら解決する、にしますか。」

 

 

一息ついて続けます。

 

「問題は、ISを保有しない国家ですね。」

【ああ、直接攻撃したら色々と面倒なことになる。大義名分が必要だ。】

[ああ、それでしたら、前近代の生活様式でなければ、普段が許容量を超えるとして、例外なく攻撃対象として良しです。]

地球(ガイア)が言うのなら問題なしだな。】

 

 

一息ついて続けます。

 

「問題は、どうやって公表するかだね。」

【いきなり我々が出ても信用しないだろうし、かといって何も言わずに束があれこれ言っても動かないだろう。】

「じゃあ、束と私がIS会議に登場して、現状の不満を露にして、向こうが反発したところで絶対天敵が乱入して、宣戦布告するって筋書きにしますか。その際に、ここまでの交渉なども全部公表すれば、反発はあっても後腐れはしないでしょう。」

【後腐れしそうなのは、寿命が尽きるまで閉じ込めてしまえばいいしな。】

「いいね、まーちゃん発想力あるよ。束さんこういうの苦手でさー。」

「私もそこまで得意じゃないですけどね。アニメのやり方を真似していると言うべきでしょうか。」

【後は、各種SNSと空中スクリーンで、会議の状況を生中継して、誤魔化しが効かないようにすることだな。】

「ですね。まあ、仮に誤魔化しや排除をするなら、絶対天敵(イマージュ・オリジス)の作るプラットフォームを配布して、既存のITプラットフォームを駆逐してしまえばいいですが。」

「いいね。アメリカの奴、ISのコアネットワークに劣るプラットフォームで独占するものだから、腹立ってたんだよ。」

 

【後は、この状況をどう説明するかだな。】

絶対天敵(イマージュ・オリジス)地球(ガイア)が定義した地球というゲーム版上で、地球人、各種組織、国家、IS、絶対天敵等がプレイヤーとなるゲームとすべきかな。命を始め、色々なものを賭けてね。」

「賭けゲームと聞くと、一気にぞんざいに扱われる人間が増える感覚になりますね。」

【だからこそ、真剣に考えるというもの。駄目なら改革するか、別の組織に移るかだ。】

「ところで束はこの手のゲームは強いのですか?」

「束さんの身柄を確保しようとする勢力の賭けポーカーに応じたことがあるけど、相手の全財産巻き上げたことあるくらいには強いよ。」

「じゃあ安心ですね。私はこういうのイマイチですから。」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。