妹の代わりに女装して学園に行ったらハーレムが出来た件   作:瓜生史郎

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13話

 放課後、亮は1人でサロンルームへと向かう。

 

 麻奈美や恵梨香は用事があるらしく少し遅れるらしい。

 

 入口の前まで来ると、唯が待っていた。

 

「唯ちゃん早いね」

「杏奈様、お待ちしてましたー。今日もお菓子を持って来たので一緒に食べましょうー」

「本当? すごく楽しみー」

 

 カギを開けて中に入ると、飼い主を待っていた子犬のように、笑顔で亮の後ろをついてくる。

 

「恵梨香さんと麻奈美さんはどうしたのですか?」

「2人共、用事でちょっと遅くなるって」

「そうなんですかー」

 

 唯はソファに座ると、机の上に持って来たプリンやお菓子をたくさん広げる。

 

 相当プリンが好きなようで、半分はプリンだ。

 

「唯ちゃんは、本当にプリンが好きなんだね」

「は、はい。もうこれがないと生きていけない! っていうくらい好きです!」

 

 目を輝かせながら、唯は力説する。

 

 「そこまでなんだ。あ、紅茶用意するね」

 

 紅茶を用意するべく、キッチンへと向かうと、その後ろを唯がついてくる。

 

「私も手伝います」

「唯ちゃんはいいよ。ソファに座って待ってて」

「いえ、杏奈様のお役に立ちたいので!」

 

 鼻息を荒くしながら、唯はやる気満々だ。

 

「じゃあ、そこの戸棚にあるカップ取ってくれる?」

「わ、わかりました!」

 

 そう指示をして、紅茶のティーバックをポッドの中に入れようとすると、カップの割れる音が響く。

 

 振り向くと、唯が涙目になって立ち尽くしており、床にはカップの破片が散乱していた。

 

「杏奈様、ごめんなひゃい……」

「だ、大丈夫だよ。私が片付けておくから、唯ちゃんはそのティーバックを入れたポッドの中にお湯を入れてくれる?」

「わかりました~……」

 

 床に散らばった破片を片付けようと、箒と塵取りを出そうとすると、今度は唯の悲鳴が聞こえる。

 

「今度は何!?」

 

 咄嗟に振り向くと、今度は盛大に机の上に紅茶をこぼしていた。

 

「本当にごめんなひゃい……」

「だ、大丈夫だから……。後は私に任せてソファで座って待ってて」

 

 落ち込んでいるようだったので、頭を撫でながらそう言うと、唯は安心したのか笑顔になって、「はい」と返事をしてキッチンを出て行く。

 

(あの娘……。相当なドジっ子だな……。ていうか恵梨香来る前に片付けないとなぁ……)

 

 とぼとぼとキッチンから出て行く唯を横目に、急いで散らばった破片と、こぼした紅茶を片付けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「はい、唯ちゃんどうぞ」

「ありがとうございます……」

 

 プリンを食べていた唯に亮は紅茶を渡す。

 

「あの……」

「何? 唯ちゃん」

「ど、どうしたら杏奈様みたいな人徳のある人になれますか……?」

 

 急な質問に困惑する亮だったが、杏奈を尊敬して質問してくれていると思うので、真剣に考えた。

 

「そうだなぁ……。まずはもう少し人と仲良く接せることが大切だよ?」

「ひ、人仲良く話すですか……?」

「そうだよ」

「うぅできるかなぁ……」

 

 そう2人で話していると、恵梨香が入ってくる。

 

「お二人とも、もう来ていらしゃったのですね」

「あ、丁度良かった。唯ちゃんまずは練習として恵梨香と2人きりで話してみて」

「え、えぇ……!?」

 

 驚く唯を置いて、そそくさと退散して2人きりにし、遠くから見守ることにする。

 

「え……えっと……恵梨香さん……」

「はい、なんでしょう」

 

 恵梨香が振り向いて、目を見た瞬間に唯はびくっと体を震わせた。

 

「それにしても、今日はすごくいいお天気ですね」

「え、えっと……。昨日は雨がふ、降ってましたよ」

「あ、え、えぇ……そうですね……」

 

 困惑した顔で恵梨香は返事をすると、唯は怯えた様子で黙り込んでしまう。

 

(ダメだ……会話のキャッチボールが成り立っていない……)

 

 耐えかねた亮は、2人のもとへと向かった。

 

「恵梨香、唯ちゃんが怖がってるからもっとフレンドリーにして……」

「フレンドリーって、具体的にどうすればいいのでしょう?」

「例えば、その敬語やめようよ」

「わかりました」

 

 アドバイスをして、もう一度2人きりにして遠くから見守る。

 

「あ、あの……」

「唯ちゃん! プリン食べようよ!」

 

 とびっきりの笑顔で恵梨香は、プリン1つ開けて食べ始めた。

 

「う~んすごくおいしい~」

「そ、そうですよね! これ私のお気に入りのプリンなんです!」

「へ~そうなんだ! とってもおいしいよ~。後でまたお店教えてよ」

「お、お安い御用です!!」

 

 敬語をやめたおかげで、先ほどよりもスムーズに会話をできているようだ。

 

 2人は仲睦まじく会話をしていると、唯がふと何かを思い出す。

 

「そういえば、杏奈様のメイドになった理由ってなんですか?」

「メイドになった理由ですか……」

 

(そういえば聞いたこともなかったな……)

 

「それはね。杏奈様の夢を応援しようと思ったからだよ」

「夢ですか……?」

「そう。その夢を一緒に追いかけたいと思って仕えているんだよ」

 

 そう言えば昔、杏奈は皆から慕われるような人になりたいと言ってたっけ?と思い出す。

 

 いつの間にか亮も少しこみ上げるものがあった。

 

「すごい、そこまで杏奈様の事を思ってメイドになったんですね」

 

 目を輝かせて、恵梨香に尊敬のまなざしを向ける。

 

「すごいことかなぁ……?」

「私は、すごいと思います! だからこれからは恵梨香様と呼ばせてください」

「い、いいですよ……」

 

 頭を深々と下げて唯はそうお願いすると、恵梨香はまた困惑しながらも了承する。

 

「な……何これ……?」

 

(あ……やっべ……)

 

 恵梨香に頭を下げているという異様な光景に今入ってきた麻奈美も困惑した様子だった。

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