妹の代わりに女装して学園に行ったらハーレムが出来た件   作:瓜生史郎

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22話

「じゃあ、亮君、恵梨香ちゃんまた学園でねー」

「またねー」

「麻奈美様、お気をつけて」

 

 麻奈美を駅へ送り届けた後、恵梨香が買い物をしたいというので、少し大きなデパートへとやって来ていた。

 

「何買うの?」

「とりあえず、自宅やサロンへ持ち込む食料や日常品を買います」

 

 そう言いながら、カートへ買い物籠を積み込むと、もう一個の買い物籠を亮に手渡す。

 

「え、なにこれ?」

「私1人だけでは終わらなので、亮様も手伝ってください」

 

 一緒に手渡されたメモ帳を見ると、そこにはぎっしりと買うものが書かれており、亮は「げっ」と嫌悪感のある声を出す。

 

「恵梨香、こんなに買うの?」

「備えあれば憂いなしですよ? そんな事もわからないとは、やはりノミ以下の脳なのでは?」

「そこまで言わなくても……。わかったよ、手伝うよ……」

「じゃあお願いしますね」

 

 ニコっと微笑んで、カートを押しながら食品売り場の中へと消えて行った。

 

「しょうがない行くか……」

 

 それから、いろいろな食品売り場や雑貨売り場を回り、恵梨香のメモ帳に書いてあったものを買い漁る。

 

 中にはこれ本当に使うのか?と思うものも多々あったが、買っていかないと何か言われそうなので渋々購入した。

 

「疲れた……」

 

 一通り回り終えた亮は、先ほど買った水を片手に人気のない静かな場所にあるベンチへ行き座り込む。

 

(帰りはタクシーだな……)

 

 大量に買い込んだ食料や日用品を見てため息をついていると、目の前を金髪でセミロングの可憐な雰囲気の女の子がふらふらと今にも倒れそうな状態で通り過ぎて行く。

 

「あの娘……」

 

 

 心配そうに女の子の事を見ていたが、本当にその場で倒れそうになったので、見兼ねた亮は支えてあげてベンチへと座らせてあげることにした。

 

「大丈夫?」

「う……う~ん……」

 

 どうやら貧血になっているらしく、亮は先ほど買ったばかりの水を飲ませる。

 

 暫くの間、女の子を介抱していると、彼女の顔色は見る見るうちによくなっていった。

 

「ありがとうございます。姫君様のおかげで助かりました」

 

 そう言いながら綺麗な角度で、お辞儀をする。

 

(あれ?姫君?)

 

 やはり、この娘は亮の事を女の子だと勘違いしているらしい。

 

「どうかされましたか……?」

「ううん。貴女が無事で良かったよー」

 

 後々の事を考えて、ノリにのって杏奈の声で喋った瞬間、金髪の女の子は亮の両手を握り、目を輝かせながら何度も何度もお礼を言い始めた。

 

「本当に貴方は私の命の恩人です。本当になんとお礼を言っていいやら……」

「別に、そこまでの事は……」

「いえ、命の恩人であることは変わりありません! 是非何かお礼をさせてください!!」

「いやいや別にいいよ! お礼なんて!」

「いえ! させてください!! それでないと気が済みません!」

 

 それから何度も断るが、両手を握りしめてしつこくお礼をさせてくれるまで放しませんと言うばかりだ。

 

 ここまで来ると少しずつ恐怖心が芽生え始めていた。

 

(何とか理由をつけて、この場を退散しないと……)

 

 そう思っていた時、スマホのバイブレーションがポケットの中で震える。

 

 恐らく恵梨香からの、帰ってこいという催促のメッセージだろう。

 

「ご、ごめん……もう戻らなきゃ……!!」

 

 チャンスとばかりに亮は、女の子の手を優しく振りほどき、一目散に走る。

 

「あ、あの!! せめて連絡先を!!!」

「ほ、本当に大丈夫だから!」

 

 女の子の少し悲しそうな顔を横目に見ながら、亮は恵梨香の元へ戻っていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 急いで恵梨香の元へと戻ると開口一番に「遅い」と言われ、さらには「ノロマ」などひどい罵声を浴びせられる始末だ。

 

 その後タクシーに乗って自宅へ戻り、恵梨香と共に晩御飯を食べながら、亮は今日あった出来事を話す。

 

「なるほど、亮様のような能無しにしては良いことをされましたね」

「能無しって……」

 

 罵声を挟みながらも、恵梨香にしては珍しく褒めてくれているようだ。

 

「でも、ちょっと無理やり逃げてきちゃったし、またどこかで会えたら謝りたいなぁ……」

「意外と、同じ学校の生徒かもしれませんよ?」

「いやいや、そんなまさか……」

 

 確かに服も少し高級そうなものだったし、雰囲気もどこかお嬢様のようだったのでありえない話ではない。

 

 だがそんな都合のいい漫画のような事は起きるはずもないだろうと、この時亮は思っていた。

 

「ところで、新メンバーの話なのですが。やはり亮様のクラスで募集してみてはいかがですか?」

 

 珍しくまじめな顔をして提案する恵梨香だったが、亮は即座に却下する。

 

「なぜですか?」

「誰でもいい訳ではない。ちゃんと杏奈にふさわしいか見極めないといけないんだよ」

 

 あのサロンは杏奈が政治や、カーストによるマウント等から無縁の環境を作るために設立したサロンである。人選を適当にする訳にはいかないのだ。

 

 そう力説し終わった途端、恵梨香の顔は不快感を持った顔になっていた。

 

「な、なんだよ……」

「なんか、親バカみたいで気持ち悪いです」

 

 恵梨香は、それだけ言い残し部屋から退散していってしまう。

 

「え、えぇ……??」

 

 1人部屋に取り残された亮は、呆気に取られてしまっていたのだった。

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