妹の代わりに女装して学園に行ったらハーレムが出来た件   作:瓜生史郎

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32話

「遅い……」

 

 結局、麻奈美や恵梨香の欲しいものを買ってあげていると、気が付けば夕方になっており、病室に戻ると案の定杏奈はご立腹の様子だった。

 

「ごめん……。ちょっといろいろあって……。ちゃんと買うものは買ってきたからさ」

 

 亮はそう言いながら、フルーツゼリーのコンプセットを杏奈に手渡す。

 

「わーい! ありがとうお兄ちゃん!!」

「うわっ!」

 

 受け取った杏奈はさっきまで、怒っていたのがウソのようにケロッと機嫌が直って、亮に抱き着いて喜ぶ。

 

「せっかくだし、皆で食べよ?」

 

 そう言いながら、机の上にフルーツゼリーを全種並べる。

 

「いいのー? やったー。じゃあ私桃もらおうー」

「私はぶどうをもらいますね」

「俺は、りんごで」

 

 3人それぞれ手に取って、付属のスプーンで食べ始めた。

 

「うーん、おいしいー。やっぱあのお店のゼリーは格別だねー」

 

 流石フルーツ専門店の本格的なゼリー、味もそんじょそこらのゼリーとは大違いだ。

 

「こんなにおいしいなら、私も単品で買えばよかった……」

「今度、麻奈美様の家にお送りしましょうか? 亮様払いで」

「やったー。ありがとう恵梨香ちゃん!」

「ちょっと待って、今聞き捨てならない事が聞こえたぞ……?」

 

 恵梨香にそう指摘するが、一瞬亮の方を向き何事もなかったかのように麻奈美の方に向き直る。

 

「後でご住所を教えてくださいね」

 

(ダメだ、このままだと恵梨香に全部使われてしまう……)

 

 近いうちにクレカの暗証番号を変えようと亮は心に誓ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 1つ目のゼリーを食べ終えたところで、杏奈がここで嬉しい知らせがあると言い出す。

 

「なんと5月から、車椅子に乗って外出ができるようになりましたー!!」

「本当に!?」

 

 一同その嬉しい知らせに、喜びを表す。

 

「でも、あまり遠くにはいけないんだよねー……」

「仕方がないよ、外出できるようになっただけでも喜ばないとな」

 

 少ししょんぼりする杏奈を亮は慰める。

 

「せっかくだから、5月になったら近くの公園をみんなで散歩しようよ」

「良い提案だな」

「さんせーい!」

 

 3人は和気あいあいと話を進めているが、恵梨香だけは不安げな顔をしていた。

 

「もし亮様が杏奈様と歩いているところを、学園の生徒に見られたらどうするのですか?」

 

 確かに瓜二つの亮と杏奈が並んで歩いている所を見られれば、学園で大騒ぎになる事は間違いないだろう。

 

 流石にないとは信じ難いが、感のいい奴なら、替え玉と気づくかもしれない。

 

 どう転んでも面倒な事になりそうな予感。

 

(なんか俺も不安になってきた……)

 

 亮も不安に思っている中、杏奈は机をバンと勢いよく叩く。

 

「大丈夫! 妹と言えば丸く収まるよー」

「で、ですが……、名前を聞かれたときは……」

「それも私に任せて!」

「そこまで言うなら……」

 

 鼻息を荒くして自信満々に言う杏奈から押されて渋々恵梨香は承諾する。

 

 流石の恵梨香も杏奈には逆らえないようだ。

 

(俺の言う事も聞いてくれればいいのにな……)

 

 そんな事を思いながら、ふと机の上に目をやると、麻奈美が食べたであろうゼリーの容器の中に桃の切れ端が残っていた。

 

(嫌いなのかな……?)

 

 行儀がよくないのは分かっているが、我慢ができなくなった亮は手でつまんで食べてしまう。

 

(おいしい……)

 

「あれ? 容器に入ってた桃は……?」

 

 食べ終わった直後、2つ目のゼリーを食べ終わった麻奈美が、容器の中に入っていた桃の切れ端がない事に気付く。

 

「ご、ごめん……。俺が食べちゃった……」

「え……」

 

 亮がそう言った瞬間、麻奈美は目から少し涙を流しながら頬を膨らませる。

 

「あの桃の切れ端は最後に食べようと楽しみに置いたのにぃ!!」

「えぇ!? そうなのー!? 本当にごめんね?」

 

 頭を何度も下げて、謝罪をするが、麻奈美の機嫌は直らない。

 

「全部ばらすからね?」

「へ……?」

 

 唖然とする亮を横目に麻奈美はスマホを取り出して、操作すると、その画面を杏奈に見せる。

 

「杏奈見てー? これー。亮君、杏奈のゼリーの事をほったらかして智代ちゃんとデートしてたんだよ」

 

 その画面を見た瞬間先ほどまで上機嫌だった杏奈の表情が一瞬にして変わった。

 

 ただ手を繋いでいたり、抱き着かれてるところだろうと安心しながら、亮も、麻奈美のスマホの画面を見ると一瞬にして血の気が引く。

 

 あろうことか、ランジェリーショップで智代といるところや喫茶店で食べあいをしているところが収められていて、亮は大量の冷や汗をかいていた。

 

(嘘やん……。なんで?いつの間に……?)

 

「お兄ちゃん!?」

「ひぃ!! ごめんなさい!!」

 

 今まで以上に杏奈は激昂して、毎週のようにフルーツゼリーを買う羽目になってしまう。

 

 食べ物の恨みは怖いと改めて思うのだった。

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