妹の代わりに女装して学園に行ったらハーレムが出来た件   作:瓜生史郎

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33話

 5月になって、杏奈は車椅子に乗り外出ができるようになった。

 

 少し前に約束した通り、4人で近くの公園を散策する。

 

「懐かしいなぁ……。この公園も昔のまんまだね」

「あそこの遊具も4人で遊んだ時のままだ」

 

 麻奈実は杏奈の車椅子を押しながら、2人で公園の要所、要所を指差して昔話をしていた。

 

 かなりの面積のある公園で、中には植物園や小さな動物のいるふれあい広場のような商業施設もある場所で休日になる大勢の客で賑わうようだ。

 

「あそこ、亮様が迷子になった場所ですよね」

「よく覚えてるな……」

「亮様の醜態は全部覚えていますよ?」

 

 煽るように恵里香はニヤッと笑う。

 

「なんで俺の醜態だけ覚えてんだよ……。じゃあかっこ良かった所とかは?」

「もちろん覚えていません」

「ひどい!!!」

 

 ドヤ顔で答える恵里香に、亮は今にも泣きそうになりながら突っ込む。

 

 和やかな雰囲気で思い出話をしながら、一向は公園内を一周し終えて、大きな東屋の前に立ち止まる。

 

「お腹すいたー……」

「そういえば、向こうにキッチンカーが来てたよね? 何か買ってこようか」

 

 この公園には休日になると、大量のキッチンカーがやってきて大勢の人で賑わう。

 

 中には有名なお店のキッチンカーも来ているようで、それを目当てに来る客も後を経たない。

 

「そうですね。では私達2人は買いに行くとしましょう。何か希望はありますか?」

「私、たこ焼きー」

「じゃあ俺は.....」

「亮様には聞いていません」

「はぁ!?」

 

 そう言って恵里香は麻奈実と共にキッチンカーの止まっている広場に向かって行った。

 

「まさか、何も買って来ないなんて事はないよな……」

「お兄ちゃん、恵里香はそこまでいじわるじゃないよ……」

「そうだと良いんだけどなぁ……」

 

 杏奈の乗った車椅子を押して、東屋の中に入った2人を待つ事にする。

 

 東屋の中からは、大きな池があってその上をたくさんのスワンボートが浮かんでおり、家族連れやカップルが乗っていた。

 

「お兄ちゃん、私達もよく日曜日になるとあのボートに乗ってたよね」

「あー、そうだったな」

 

 ほぼ毎週のようにスワンボートを楽しみにしていた2人は、よく親と一緒に乗っていた。

 

 子供ながら、かなりのスピードを出して進んだりして暴走していたので、乗り終えた後にはよく怒られていたものだ。

 

「ねぇねえ、後で乗りにいかない?」

「いやいやダメに決まってるだろ?」

「ぶーなんで……」

 

 拒否された杏奈は可愛く頬を膨らませる。

 

「だって、まだ入院中の身だし、何あったらまずいだろ?」

「やだぁ、やだぁ......!! 今乗りたいの!!」

 

 まだ完治していない足をバタバタ動かしながら、駄々をこねる杏奈を亮は慌てて慰める。

 

「わかった、わかった! 完治したらお前の気が済むまで乗っていいから!」

「本当……?」

「約束するよ。だから今は足の怪我を直すのに専念しような?」

「うん! わかった! 約束だよ!」

 

 喜ぶ杏奈の頭を撫でていると、そこにキッチンカーで買ってきた食べ物の入った袋を麻奈実と恵里香が東屋の中に入ってきた。

 

「遅くなりました」

「すごい混んでたよ……」

 

 そう言いながら、机の上に食べ物を出していく。

 

「はい、これが杏奈様の分です」

「わーい、ありがとう!」

 

 リクエスト通りのたこ焼きが入ったフードトレーを杏奈の目の前へ置くと、杏奈は我慢できずに食べ始めた。

 

「あれ? 俺の分は?」

 

 机の上に置かれた食べ物は3つで他の2つは恵里香や麻奈実の分だろう。

 

 となると、亮の分は買い忘れたことになるのだが.....。

 

「ありませんよ」

「え?」

「ごめん、買い忘れてた」

 

 悪びれることも無く、2人は真顔で答える。

 

「え、まじ?」

 

 亮が呆然としながらそう聞くと2人は無言で頷く。

 

「嘘やん……。しょうがない買いに行くか……」

 

 しょうがなく立ち上がって買いに行こうとすると、急に麻奈実が笑い始めた。

 

「な、なんだよ」

 

 馬鹿にされたのかと亮は少しキレ気味に聞くと、机の上に別の袋を置かれる。

 

「ごめんね。買い忘れたって言ってからかったらどうなるのかな? って2人で隠してたの」

「良かったぁ……ちゃんと買ってきてくれてたんだ」

「いい反応でしたね、亮様」

「恵里香は謝ることを覚えてよ……」

 

 手渡された袋からトレーを取り出すと、中に入っていたのはオム焼きそばだった。

 

(普通の焼きそばで良かったのに、オム焼きそばとは......)

 

 少し豪勢なものを買ってきてくれた麻奈実に感度しつつ、トレーの蓋を開けるとソースのいい香りが漂う。

 

「では、全員に食べ物も行き渡ったので、いただきまーす!」

 

 4人は麻奈実の号令の元手を合わせて、食べ始める。

 

「何これすごくおいしい!」

「やはり、有名なお店というだけあって、すごく本格的ですね」

 

 恵里香は小さなオムライス、麻奈実は焼きそばとそれぞれ味わいながら舌鼓を打っていた。

 

「ごちそうさまー」

 

 そんな中先に食べていた杏奈がかなりの速さで食べ終える。

 

「早いな……杏奈もう食べ終えたのか?」

「だって、めっちゃお腹空いてたんだもんー」

 

 そういいながらフードのトレーの蓋を閉めて、袋の中へと片付けると、急に亮のオムそばを見つめ始めた。

 

「あげないぞ」

「ぶー、お兄ちゃんのケチ!!」

「杏奈、私のあげよーか?」

「本当?ありがとう!」

 

 箸で焼きそばを掴み杏奈にあーんと言い食べさせてあげる。

 

「おいしいー!」

「でしょー? まだほしい」

「欲しいー! 麻奈美ちょうだーい!」

 

(本当に仲良いなぁ)

 

 仲睦まじく、食べさせてあげている様子を見ていると隣の恵里香と目が合う。

 

「そんなに見つめても、貴方のような家畜にはあげませんからね?」

「別に欲しいとも言ってないよ!」

 

 ただ目があっただけなのに、ひどい言われようだと、亮は落ち込むのだった。

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