妹の代わりに女装して学園に行ったらハーレムが出来た件 作:瓜生史郎
5月の終わりになり、杏奈はリハビリの日々を送っていた。
リハビリの甲斐もあってか、杏奈はだんだんと歩けるようになってきていて、6月になれば、予定通り退院できるだろうと医者からは言われているらしい。
「だいぶ、手すりなしでも歩けるようになってるな」
「そうですね。来月中には退院ができるみたいですよ」
「亮君とももうすぐ学園に行けなくなるのかー寂しいなぁー」
3人のいつものメンバーは、杏奈の頑張っている様子を外から見ながら会話していた。
「俺みたいな男子がいて嫌だっただろ?」
「別に私はそんな事なかったよ?」
「まぁ、私も別に嫌でしたけど、不快ではありませんでしたね……」
「なんだよそれ……」
そんな会話をしていると、リハビリを終えた杏奈が出てきて、3人は出迎える。
「今日も終わったぁ……」
「だいぶ歩けるようになってきたなー」
「まぁねー。だいぶ治りが早いって先生にも言われたんだー」
車椅子を用意して、病室に向かって引き上げていこうとすると、急にその場で踊りだそうとする。
「よっとっと……!!」
足をふらつかせて、倒れそうになるが、間一髪のところで亮が体を支えた。
「おい、馬鹿。何やってんだよ……」
「えへへ、久しぶりに踊ってみたくなっちゃって……」
昔から杏奈はダンスをするのがかなり得意で、幼少期は麻奈美とよく2人で、音楽に合わせて踊ったりしていたらしい。
本人曰く、動画を1度見ただけで踊れるんだとか。
「そうだ! 麻奈美ちゃん、退院したら制服着てまた踊ろうよ」
「うん、退院したらやろうね」
そう2人で約束して、杏奈は車椅子に乗って病室へと戻る。
「ところでお兄ちゃん。ノートを持って来た?」
「持って来たぞ」
病室に戻り、ベッドの上に座ると、亮の持って来たノートを開いて、中身を確認し始めた。
丁度、中間テスト前に学園へ通う事になるので、中間テストに向けて勉強するためだ。
あの学園は、テスト範囲が他の学校の2倍以上の範囲がある。
なので、入学したての1年は、こうして何ヶ月も前から予習をしておく必要があるのだ。
「お兄ちゃん……。字汚すぎ……。ちゃんと授業受けてる?」
険悪な顔をしながら、杏奈は文句を言い始める。
「受けてるわ!」
「亮君。ちゃんと受けなきゃだめだよ?」
「ちょ……麻奈美ちゃんまで!?」
同調して、麻奈美も険悪な顔をして、指摘し始めた。
(杏奈に指摘されるのは分かるけど、麻奈美ちゃんに指摘されるのは納得できない……)
麻奈美とは席が隣同士で、亮が真面目に受けてるいるのは、分かっているはずなのに、この仕打ちだ。
理不尽すぎると内心泣きそうになっていると、麻奈美が隣にやって来る。
「ごめんね、つい杏奈の味方しちゃった」
そう耳打ちをすると、麻奈美は可愛くぺろっと舌を出す。
「別に大丈夫だよ……。気にしてないぞ」
「なら良かったー」
安心した様子で麻奈美は杏奈の元へと戻っていく。
「じゃあ、皆ー? 早速始めようー」
杏奈がそう声をあげると、恵梨香や麻奈美もノートを取り出し、杏奈と一緒に勉強会を始めると、あーだこーだと3人はお互いの分からないところを教えあっていた。
(さて、俺はなんもすることがないなぁ……)
勉強会をしている中、暇を持て余している亮はスマホをいじって遊んでいると、恵梨香がそれに気づく。
「おいニート、何やってるんですか?」
「普通に、スマホいじってるだけなんだけど……」
「そんな事をしてる暇あったら、妹のために手伝ってあげたらどうですか?」
そう言いながら、杏奈の方へと引っ張られてしまう。
しかし連れてこられたのは良いのだが、杏奈はすらすらと、悩むことなく、教科書の問題を解いており、全く話しかけられる雰囲気ではなかった。
「あのー……」
「何? お兄ちゃん邪魔しないで」
「分からないところあったりしない?」
「私の事は良いから、麻奈美ちゃんの勉強教えてあげて!」
「わ、わかった!」
怒りを露わにした杏奈に、亮は追い払われてしまうのだった。