妹の代わりに女装して学園に行ったらハーレムが出来た件 作:瓜生史郎
次の日、教室に入った途端、亮の元にクラスの女の子たちが駆け寄って来る。
「ねぇ、杏奈さん。今度の社交パーティーで瑞希さんと社交ダンスの対決をするんですよね?」
「え……? どこでその情報を聞いたの?」
若干焦りながら、そう聞いていると、更に女子生徒達が近づいてきていた。
「学園中でもっぱらの噂になってるよ?」
「え、えぇぇ!?」
「クラスの皆で見に行くから、楽しみにしているね!」
集まってきた生徒たちは、かなり期待を寄せているようで、うきうきとしながら、亮の前から去って行った。
正直、亮は男だとバレているのだと、ドキドキしていたがどうやら違うようでほっとする。
「ねぇ、亮君。私達社交パーティに出るって言ってないよね?」
「そ、そうだね……」
社交パーティに出ると知っているのは、瑞希と桜と杏奈のサロンのメンバーだ。
という事は、流した犯人は……。
「ふふふ。私達のサロンですわー」
そこにちょうどいいタイミングで、桜が登場する。
「なんでそんな事をしたの?」
麻奈美は険悪な顔をしながら、そう聞く。
「観客は多い方がいいでしょう~おっほっほー」
瑞希のように、高笑いしながら、自分の机へと戻っていく。
「本当は男だってばらして生き恥を晒させたいだけなくせに……」
拳を握りしめながら、麻奈美は心底嫌そうな顔をする。
「アイツら、完膚なきまで私を叩きのめしたいんだね……」
今まで、こちらは瑞希をコテンパンにして、恥をかかせてきたため、向こうにはかなりの恨みが溜まっている事だろう。
今度はこちらを負かせたうえで、恥をかかせて、社会的に抹殺するという事が目的であると思われる。
果たして、本当に負かせて、恥をかかせるのが目的なのか?
「杏奈? 絶対にうまくなって瑞希達をあっと言わせてあげようね!?」
「うん、そうだね!」
亮は心ここにあらずといった様子で返事をする。
「あ、杏奈?大丈夫」
「大丈夫だよ」
心配を掛けさせまいと、亮は笑顔で言っていると、後ろから佳苗がやってきて、2人の身体を叩いた。
「わ! 佳苗先生!」
「私が教えるんだからさ、絶対勝ちなよ」
そう言いながら、早く席につくように、佳苗は生徒達を誘導する。
亮達も急いで席に付こうとすると、佳苗は亮の肩を叩く。
「は、はい?」
「また放課後にね」
ウインクをして佳苗はアピールをすると、亮もそれに答えるように頷くのだった。
放課後、2人はいつものようにサロンへ向かうと智代と恵梨香が待っていて、佳苗もスタンバイしていたが、唯はまだ来ていない。
「あれ? 唯ちゃんは?」
「少し用事があるみたいですー」
「じゃあ少し待とうか」
ソファに座って、机の上に置いてあるスイーツを食べようとすると、恵梨香が神妙な面持ちで話しかけてくる。
「あの、亮様……?瑞希のサロンが、名だたる社交ダンスの教師を呼んで、ご指導を受けているようでして……」
「え……嘘!?」
まさかの事態に、亮達は驚愕していた。
「私も見たけど結構有名な人だったねー」
「そうなんですか……?」
あのプロの資格を持っている、佳苗も驚くという事は相当有名な人らしい。
まずい事になった。
そんな事されてしまえば、こちらには勝てるすべはない……。
亮達3人はどう勝てばいいんだと、落胆していた。
「こらこら! 何落胆してるの!?」
落胆している亮達に、佳苗は発破をかける。
「え……?」
「ちょっと! 最初の勝負の時にただ金に物を言わせたものではなくても、勝てたこともう忘れたの!?」
そう言われて、亮達は最初の勝負の時の事を思い出した。
確かにそうだ。ただ金に物を言わせたものでなくても、皆を魅了できるはずだ。
男だとバレてしまったという事実だけに囚われてしまっていて、忘れてしまっていたようである。
「佳苗先生の言う通りですね! よし!今日も頑張りますか!」
「そうですね。根本的な事を忘れてたかもしれません」
「だねー! そう思ってたらやる気が湧いてきた!」
「う、うん……。頑張ろう!」
3人は乗り気だったが、亮の心中ではあまり気が気でなかった。
「遅れましたー!!」
そこに、急いできたのか、息を切らした唯がやってくる。
「よーし、今日もやりますかー!! 気合入れていくよー!!」
昨日のように佳苗のレッスンが始まり、5人はいつものように、社交ダンスの練習をするのだった。