転生して霊媒師になった俺、やたらと退魔師や妖にビビられる 作:暁刀魚
かくして、零号霊魂タツメやら、その他諸々にまつわる事件はここに幕を閉じた。
零号霊魂が成仏したのは、世界でも初めての事例だったため、まぁ色々と俺は注目を集めた。
とはいえ、退魔寮に所属していない謎の立場の人間であることと。
宗屋さんがいい感じに対応してくれたので、注目も少しずつ薄れていく。
零号霊魂が成仏したのは世界中の退魔業界に広がっただろうが、それを成し遂げたのが誰かまでは、そこまで伝わらないだろう。
まぁ、退魔寮からの見合いの依頼は倍増したが。
「倍増したうえで、ほぼ全てミクモちゃんなんですが」
「ふふーん、私の魅力に退魔寮が気付いてしまいました」
『どう考えても厄介事を御鏡家に押し付けたいだけだろう』
今回のタツメ騒動で最も存在感を発揮した退魔師が御鏡家である。
それ故か、完全に退魔寮は御鏡家を俺との窓口に定めたようだ。
ミクモちゃんしか紹介しないなら、見合いも何も無いだろうとは思うものの。
それ以上なにかしてくるわけではないので、今は放置している。
「と、いうよりもですよ」
『うむ』
そんなことよりも、大問題が一つ。
『いつまでそこの神は、霊媒師の膝の上にいるのだ』
「あらぁー?」
リツが俺から離れなくなったことである。
それはもう、1日中べったりだ。
風呂の中と布団の中とトイレの中は本人の羞恥心が勝るのか、入ってこないものの。
それ以外はずっと隣にいる。
「別にいいでしょー? それともロウクは私のれーばいしさんになにか言いたいことでもあるの?」
『……』
ロウクは黙った、賢い。
「それに、私。別に全部を納得したつもりはないのよ?」
「と、いいますと?」
「確かに、私は幸せになっていいのかってことと、私がサトルのお返しを受け取れてないことは納得したわ」
そういいながら、ぎゅうとリツは俺に抱きついてくる。
結構痛い。
「でも、サトルが無茶することに関しては、納得するつもりないから」
「それは……まぁ」
流石にそこは、俺だって言い訳できないところはある。
それでも、どうして無茶するのかはお互いにきちんと理解できただけでも、結果としては上々だろう。
「だからぁ、れーばいしさんが無茶したら、私がこうやってぎゅっとするの」
「うぐぐ」
「わあ、霊媒師さん苦しそう……」
結構苦しい……
「そ、そうだ。退魔寮の方からタツメ討伐の報酬の話が」
そこで、ミクモちゃんが話題を逸らす。
タツメ討伐の報酬、そりゃあ出るだろうとは思っていたが。
……黒字になるのか? あんだけバカスカ撃ちまくって。
「すごいな、余裕で黒字になるわ」
「それから、今回霊媒師さんが作った弾丸、自分たちで作らせてほしいって言ってました」
「ということは、遂に退魔寮にも現代銃火器の時代が」
「西洋ではとっくに使われてたのに、やっとですよやっと」
タツメの報酬はそれはもう結構な額になっていた。
どんだけ零号霊魂の存在が、退魔寮にとって目障りだったのかが解る。
ついでに、俺がタツメ討伐に有用性を示したことで、銃火器が退魔寮でも採用されることになったらしい。
新世代派が頑張ったそうな。
「ふぅん、別にお金なんて興味ないけど、サトルが評価されてるのは悪い気しないわね」
『そのせいで、世界中から注目を集めても、か?』
「じゃあ要らなーい。れーばいしさんは私だけのものよ♪」
さらに締め付けが強くなった。
ぐぐぐ、おのれロウク。
「それで、雨降って地固まったお二人ですが、これからどうするんですか?」
「これから?」
ふむ?
「タツメのこともそうですが、お二人も色々とお互いの思いをぶつけ合って、心境に変化があったと思うんですけど」
「心境、心境ねえ。確かに変化はあったけど……」
リツは、そこで少し腕を緩めて俺の方を見上げてきた。
俺はほっと息を一つ吐いて、ミクモちゃんの方を見る。
あ、また腕に力が……ぐあああ
「ぐ、お、俺達は……アレだ。契約関係なんだよ、この街を……守るっていう」
「ええ、ええそうね? 私達の関係は、どれだけ経っても変わらないわ」
だからまぁ、お互いにこれからも色々と思うところはあるだろうけど。
根本的なことは変わらないだろう。
「何より、俺は霊媒師なんだ」
結局のところ、霊を導き除霊することは、俺達にしかできないことだ。
俺一人でも、危険な霊魂は除霊できない。
リツがいないと、始まらない。
「それでいて――サトルがいなかったら、この関係も始まらない」
だから、ちょっと霊と話ができて、神に愛されてるだけの俺は――これからも、リツと霊媒師を続けていくんだ。
第一章はここまでになります。
お読み頂きありがとうございました。
次回からは第二章となります。
第二章「因習村破壊RTA」、どうぞお楽しみに。
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