ブルアカ×ニュータイプ概念   作:無者

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 今回は先生が登場です。


シャーレの先生

 その日の朝、シロコを除く対策委員会の皆とヒユは既に学校に着いていた。

「シロコ先輩、遅いですね。」

「何かあったんでしょうか?」

「大丈夫じゃない?シロコ先輩の事だから、変な物でも見つけたんでしょ。」

 三人は、シロコの到着が遅いため、何かあったのではと考えていた。

「ん、遅くなった。」

 シロコが戸を開けて現れた姿を見て、安堵したのも束の間、後ろに背負われている大人の姿を見て、騒然とした雰囲気に包まれた。

「シロコ先輩、遂に殺人事件を!!?」

「おおおお、落ち着いてみんな!!急いで埋める場所を探さないと!!!」

「わあ☆シロコちゃん!やっちゃったんですか!」

 アヤネとセリカの慌ただしい姿とは裏腹に、ノノミはその状況を半分楽しんでいるのか、失礼な事を言う。

「……。」

「‟あはは、なんか、ごめんね。シロコ。‟」

 背負われている大人が、申し訳なさそうにシロコに謝罪を告げる。

「……いや、先生の所為じゃないから、気にしないで。」

 シロコが不服そうな顔で、皆を落ち着かせる。

「落ち着いて、みんな。普通に生きてる大人だから。」

「‟やあ、初めまして。シャーレの先生です!‟」

 気さくに、そして元気に片手を上げて皆に挨拶をする大人……シャーレの先生が登場した。

「シャーレの先生?それってもしかして!」

「支援要請が受理されたんですね!よかったですね、アヤネちゃん!」

「はい、あ……早くホシノ先輩に知らせないと!でも、何処に?」

「委員長なら、隣の部屋でヒユくんと寝てるよ。私、起こして――」

 明るい雰囲気に包まれていた部室だったが、無粋な銃声が響き渡る。

「銃声!?」

「ドローンで映像を確認……カタカタヘルメット団です!」

「あいつら……!!性懲りもなく!」

 窓の外には、フルフェイスヘルメットを被った武装集団『カタカタヘルメット団』が、銃を乱射していた。

「ひゃーはははははは!!」

「攻撃開始だ!!奴等は既に弾薬の補給が尽きている!!あたしたちの底力を見せてやるぜぇ!!!」

「オラオラ、出てこい!アビドス……怖気づいたかぁ!!?」

 口汚い言葉で、挑発を繰り返すヘルメット団たち。

 それを聞いて、その場にいた先生以外の顔が剣呑な雰囲気を帯びていく。

「ホシノ先輩を連れてきたよ!」

「むにゃむにゃ……うへぇ、おちおち寝てもいられないじゃないかー。ヘルメット団めー!」

 気の抜けた喋りと共にホシノはセリカに連れられて、やってきた。眠たげに目をすり、その後ろにヒユも続く。先生の姿を見た瞬間、アヤネの背後に回って身を隠した。

「ホシノ先輩、ヘルメット団が再び襲撃を!!こちらの方はシャーレの先生です!」

 気の抜けた喋り方をするホシノの眼差しが、先生を見た瞬間、鋭い物になる。ホシノを見ていた先生の背中に氷柱が差し込まれた様な、冷たい殺気が叩き込まれ、それでも先生はホシノを真っすぐに見据える。しかし、すぐにいつもの調子に戻り、「うへ、よろしくー。」と返事をする。

「……ああ、よろしくね。」

「ん、すぐに出よう。先生のおかげで弾薬の補給は十分。」

「みんなで出撃です!」

 四人は急いで外に向かう。

「私がオペレーターをします。先生はサポートをお願いします!」

 ヒユはアヤネを壁にして、先生から隠れるが、少しだけ顔を覗かせて、先生の様子をじっと見ていた。

 万全の状態のアビドス対策委員会とそこに加わる先生の指揮……勝負はアビドスの勝利で終わった。

 

 その後、軽い自己紹介を済ませ、油断しているであろうヘルメット団のアジトに襲撃を仕掛けた。補給が断たれているという状況だった事と、襲撃直後に逆襲される形となり、油断しきっていたヘルメット団は碌な応戦も出来ず、散り散りになって消えていった。

 

 皆が帰ってきて、漸く普段の対策委員会の雰囲気に戻った。

「皆さん、お疲れ様でした。」

「アヤネちゃんもお疲れ!」

「これで火急の事案だったカタカタヘルメット団の件が片付きましたね!」

「ん、これでやっと、重要な事案に集中できそう。」

「うん!これでやっと借金返済に取り掛かれるわ!」

 そう言って、セリカはしまったと言わんばかりに口を両手で抑える。

 しかし、先生はその話に気付いていないのか、いつまでたっても話を切り出す事は無かった。

 何も喋らない事に不思議に思い、先生の方に視線を向けるセリカだが、そこで意外な物を見る。

 ヒユがいつの間にか先生の足元まで来ていたのだ。

「‟…………?‟」

 先生がそれに気づき、膝立ちになり目を合わせ「‟どうしたの?‟」と問いかける。すると、ヒユは小さく「おとうさん?」と呟く。

「ええ!?そんなまさか……先生が!!?!?」

「‟いやいや!私に子供はいないよ!?それにお父さんって言ってるじゃん!私、女なんだけど!?‟」

 先生は慌ててアヤネの言葉を否定する。しかし、ヒユの発言と同じくらい衝撃的な発言が飛び出したことに、教室内の空気がピシりと止まった。

「……え、あの………先生って女の人?」

「‟…………こんな顔だけど、歴とした女だよ。よく勘違いされるけどね。‟」

 先生は遠い目をしながら明後日の方を見つめる。

『えええええええええええええーーーーーーー!!?』

 その日、珍しくホシノまでも驚きに声を上げた。

「……おかあさんだったの?」

 ヒユだけが、場違いにもそんなことを言っていた。

 

 暫く経ち、落ち着きを取り戻した対策委員会と先生だったが

「‟ん゛んぅ。さて、話を戻すけど、どうしてお父さんなんて?‟」

 ヒユはっ考え込む様に首を傾げる。

「なんとなく。」

 「嫌だった?」と不安そうに声が震えている。

「……ふぇ!?」

 先生はヒユを抱き上げる。

「‟嫌じゃないよ。びっくりしただけ。‟」

 その言葉に安心したのか、ヒユは体を先生に預ける。

「いやぁ、良かったねぇ、ヒユくん。パパが帰ってきてくれて、ママは安心して眠れまちゅ。」

「ちょっと、ホシノ先輩!先生困っちゃうでしょ!?」

 セリカがホシノに突っ込みを入れる。ホシノの冗談を聞き流しながら、先生は先ほど聞き流したある事を尋ねる。

「‟そういえば、借金って?‟」

 その言葉に、セリカはピシリと動きを止める。

「先生、何処でその話を?」

「‟え?だってさっきセリカが言ってたよ?‟」

「そうだった!!」

 頭を抱えて恥ずかしさに耳を真っ赤にする。

「忘れてたんだ、セリカ。」

「ふふ。恥ずかしがっているセリカちゃんも可愛いです☆」

「お二人共、あんまり揶揄わないで上げて下さい。」

 セリカを弄るシロコとノノミの二人をアヤネが諫める。セリカは「ああああああ!!」と叫ぶ。

「あ、あの……借金と言うのは」

「まってアヤネちゃん!!」

 セリカが慌てて言葉を止める。しかし、ホシノは「良いんじゃない?」と言った。

「え?ホシノ先輩?」

「別に隠すような物でも無いしさ~。」

 その言葉にセリカは納得がいかないのか、まくし立てる様に話す。

「だからって、わざわざ話す事でもないでしょ!」

 ホシノは二ヘラと笑いながら、セリカを諭す。

「別に罪を犯した訳じゃないんだしさ。それに先生は私たちを助けてくれたんだし、何か分かるかもしれないでしょ。」

「ホシノ先輩の言う通りだよ、セリカ。ヒユも懐いてるし、信頼しても良いと思う。」

 シロコがホシノの意見を擁護する。

「それはそうだけど……!」

「先生がパパっと解決出来る問題じゃないかもしれないけど、この問題に耳を傾けてくれるのは先生くらいしかいないじゃーん?悩みを打ち明けてみたら、何か解決法が見つかるかもよー?それとも、何かいい方法があるのかなー、セリカちゃん。」

 ホシノの言葉に、思わず顔を俯かせる。

 事実、アビドスの抱える問題は、対策委員会だけで抱えるには限界だったのだろう。毎日、定例会議を行っているものの、碌に解決策など出る筈も無かった。

 しかし、それでも……短い間ながら、セリカは全力で問題解決に取り組んできたのだ。連邦生徒会は頼っても、力なき自治区であるアビドスの問題を碌に取り合わず、住民や企業は皆アビドスから撤退するばかり。

 だからこそ、自分たちがアビドスを守っていくんだと、そう決意した矢先、先生が現れた。だからこそ、セリカが納得できないのも当然の事だった。

「で、でも……今まで、大人何て、誰も助けてくれなかったじゃない!今更出てきたポッと出の大人に頼るなんて…………私は認めない!!!」

 そう吐き捨てて、セリカは教室を飛び出していった。「私、様子を見てきます!」と、ノノミもセリカの後を追い、教室を出て行った。

「‟何があったのか、聞いても良いかな?‟」

 先生は、静かに対策委員会の面々に事情を聴く。

 

 先生は、説明を聞いて、静かな怒りを覚えた。

 砂嵐によって、自治区が次々と砂に埋もれた事。それをどうにかしようとかつてのアビドス高校は、多額の資金を支払い、何とか砂を除去しようとしたが、不幸なことに、砂嵐が収まる事は無かった。資金は尽き、銀行からの融資を受けようとするが、そんな大金を貸してくれる銀行などどこにも無かった。

だから、悪徳金融業社に頼るしかなかった。そして、その借金の額は――九億六千二百三十五万円と言う途方もない数字だった。

利息だけで七百八十八万と言う途方も無い数字なのだ。それを子供が……たった五人の対策委員会が支えているという事実に、先生は憤りを抑える事が出来なかった。

「‟頑張ったね……これからよろしくね?みんな!‟」

「それって、もしかして……」

 アヤネが期待を含んだ声で先生に問いかける。

「‟うん、私は対策委員会の顧問になるよ。‟」

「や、やったー!ありがとうございます。先生!」

 喜びを抑えきれず、アヤネは飛び跳ねる勢いで喜ぶ。他の皆も、どことなく嬉しそうな様子だった。

「…………ちぇ。」

 教室の外で一人、それをつまらなそうに聞いていた少女だけを除いて……

 

「セリカちゃん、何処にいったのかしら……」

 校舎の外で、ノノミの声だけが寂しく響いた。

 

「ああ、そうでした。あの、先生に頼みたい事があったんです!」

「‟頼みたい事?‟」

 先生は首を傾げる。

「ヒユくんについてなんですが……」

 先生は、ヒユについて大まかに内容を聞いた。ヒユがキヴォトスの外の子供かもしれないと言う事。

「先生の方で、何か分からないかと思って。」

 アヤネの言葉に先生は顎に手を当てて考える。

「‟…………なるほどね。分かったよ。ヒユくんの事はこっちで調べてみる。‟」

「ありがとうございます!」

「ん、ありがとう。先生。」

「‟それじゃあ、今日はもうシャーレに戻るよ。‟」

 先生はそう言って、アビドス高校を後にした。

 

 先生が駅に向かう道中、目の前の路地裏から小さな影が出てきた。

「やっほ。せんせ~。」

 小鳥遊ホシノが、ひらひらと手を振りながら先生の前に現れた。

「‟ホシノ?どうしたの?‟」

「実は先生に、伝えてなきゃいけない事があってねぇ……」

 ゆったりとした声色だが、何処か真剣な雰囲気を帯びていた。

「ヒユくんの事なんだけどさぁ……後輩の皆には、言ってない事があってねぇ。」

「‟言ってない事?‟」

「うん――ヒユくんが、何処かの施設で実験体にされてたんじゃないかって話。」

「‟……詳しく聞こうか。‟」

 先生がホシノの話を聞いた。

「病院のお医者さんの話なんだけどね。ヒユくん。色んな薬物を投与されていたかもしれないって検査結果が出たんだって。ああ、因みに、ヒユくんの診断書はおじさんの家で保管してあるんだ。

 こんな事、みんなには伝えられないでしょ?でも、先生には伝えておこうと思ってさ。」

「‟分かったよ。それも含んで調査してみる。ありがとう、ホシノ。‟」

「うへぇ、大した事じゃないよ~。」

 話を終えるとそれぞれの帰路に就いた。

 




 先生は女性にしてみました。完全に自分の趣味なので、ご容赦下さい。

 


 此処まで読んで頂き、ありがとうございました。
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