リーフにTS転生しちゃったけどせっかくなので楽しみたいと思います   作:七色レインボー

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グリーンのことをなろう主人公と称してる感想来て「ホンマやんけ草」ってなってました
ああいう面白い感想がたまに来るから書くのはやめられない


マフィアのボスに出会うらしい

 時刻は午後四時。

 日が落ちるにはまだ早いが、何かをするには少し遅いというなんとも中途半端な時間帯だ。少なくとも、このままトキワの森を抜けてニビシティに行こうとは思わない。

 

「うーん……何しよっか、フシギダネ?」

 

「だね? だねぇ♪」

 

 フシギダネを抱き上げながら顔を揉み揉みする。意外ともち肌でいつまでも触っていたくなる感触だ。

 フシギダネもマッサージをされている感覚なのか、気持ち良さそうな声で鳴いている。うむ、これぞ両者両得。

 

 さて、ちょっと真面目に考えるならやはり飛行要員が欲しい。

 というのも“そらをとぶ"のはもちろん、この先のトキワの森でも有利に戦えるだろうからだ。

 トキワの森には虫ポケモンが多く生息しているため、フシギダネとは少し相性が悪いのだが、ここにポッポ辺りを連れていくとかなり楽になる。『むし』タイプに『ひこう』タイプの技は効果抜群だからな。

 唯一ピカチュウが出てくると弱点を突かれてしまうが、そこはフシギダネがカバーできるので問題無い。

 

 ではこの辺で出る『ひこう』タイプのポケモンはといえば、ポッポかオニスズメになる。

 正直どちらでもいいのだが……ポッポを捕まえる場合、おそらくグリーンと手持ちが被ることになる。グリーンの最終手持ちには、ポッポの最終進化形であるピジョットがいることが多いから。

 別に手持ちが被ることで問題があるかといえばそんなことは無いが、どうせならバラけさせたい気分だ。

 となると。

 

「挑戦してみようかな、オニスズメ」

 

 ここらで最も近い生息域は、トキワからセキエイ高原へ続く道である22番道路だったはず。今からでもポケモン一匹捕まえるくらいならなんとかなるだろう。

 そうと決まれば善は急げ。早速22番道路へゴーだ! 

 

 

 ◓

 

 

「……いた」

 

 オニスズメ捜索を開始してから数十分後。

 一匹でうろうろしているオニスズメを発見した。どうやらエサ探しをしているらしく、嘴で草むらをつついている。

 少し離れた草陰で観察している俺には気付いていない様子だ。これなら不意打ちも仕掛けられそうだけど、一つ試してみたいことがある。

 

「やってみるか、ヒスイ式捕獲術……!」

 

 それはシンオウ地方のかつての姿、ヒスイ地方で行われていた捕獲法である。

 当時はまだポケモンと共に戦うという発想自体が広まっていなかったため、危険を承知の上で生身でポケモンに近付きボールをぶつけていたそうな。それを今、現代に復活させる! 

 まあ有り体に言ってしまえば『ひっそり近付いて気付かれない内にゲットしちゃおう作戦』なのだが、ヒスイ式と言った方がかっこいいのでそうしておく。

 

「よし、行くぞ……!」

 

 抜き足差し足忍び足。気配を消してゆっくり背後から近付く。

 いよいよ射程圏内にその姿を捉え、高鳴る鼓動を抑えつつボールを構えて。

 

「──いけっ!」

 

 オニスズメ目掛けて投擲する。

 果たしてボールは見事にオニスズメにヒットし、その体が光に変じてボールの中に吸い込まれていった。

 緊張の時間だ。これで捕まるかどうか。

 

 ボールが揺れる。出てこない。

 ボールが揺れる。もう少し。

 ボールが揺れる。あとちょっと。

 

 そうしてカチッと音が鳴り、ボールの揺れが収まった。

 

「や、やった! ポケモン初ゲット!」

 

 草陰から飛び出し、足早にボールの元へと駆け寄って拾い上げる。

 フシギダネは博士から貰ったものだからちょっと違うし、これが正真正銘初めてのゲットだ。ちょっと感動。

 さ、早速出してみようかな……? 暴れたりしないよな……? 

 

「で、出てこ〜い、オニスズメ〜」

 

 おっかなびっくりでボールを投げれば、中からオニスズメが姿を現す。こちらをじっと見つめてくるが、とりあえず逃げたり暴れたりしようとはしないみたいで安心した。

 

「こ、こんにちは〜。今日からわたしがあなたのパートナーだよ〜」

 

 手をひらひらと振ってみる。特に反応は無い。警戒しているのだろうか。

 

「えーと……どうしようか……そうだ!」

 

 確か家から持ってきたお菓子があったはず。さっきエサを探してたくらいだし、お腹が空いているに違いない。

 バッグを漁って取り出したるはみんな大好きさくさく棒(サラダ味)。それを半分に割って地面に置いた。

 

「お腹空いてるでしょ? これどうぞ」

 

 警戒するかもしれないので、安全なことを証明するために半分は自分で食べる。するとオニスズメは軽く匂いを嗅いだあとにガツガツと食べ始めた。

 やがてオニスズメはさくさく棒を完食。うむ、いい食べっぷりだった。

 

「くえっ」

 

「美味しかった? それならよかった」

 

 オニスズメが満足そうに一鳴きして近寄って来る。どうやら警戒を解いてくれたらしい。

 今なら撫でられるだろうか。怖がらせないようにそっとオニスズメの頭に手を伸ばしてみると、オニスズメもまたそれを受け入れてくれた。

 毛並みに触れてみると、野生で過ごしてきた動物特有の硬さがあるが、その中に確かな柔らかさと滑らかさを感じる。おお、オニスズメってこんな感じなのか……。

 その後ももう少し触らせてもらうことにする。もちろん嫌そうにすればすぐにやめるつもりだ。うむむ、これはなかなか……。

 

 ──パチパチパチ。

 

 そうやってオニスズメを撫でていると、突然後ろから拍手のような乾いた音が聞こえてきた。

 慌ててそちらに振り返れば、そこには髪をオールバックにし、黒いスーツを着用した男の姿。

 

「見事だ。素晴らしい手際だった」

 

 言いながら男はこちらに近付いて来る。

 一体何が目的なのか。それはわからないが、一つだけわかることがある。

 

 ──俺は、こいつを知っている。

 

 トキワシティのジムリーダーにして、世界征服を企む悪の組織、ロケット団の総帥を務める邪悪。その男の名は。

 

「サカ……キ……!?」

 

 思わず名を呼んでしまったが、サカキは特に気にした様子も無い。

 単に聞こえていなかっただけか、それとも俺をここで消すつもりだからなのか。

 

 ──逃げるべきか? 

 

 一瞬そう考えたが、どうにも体が上手く動いてくれない。威圧感というか、オーラというか。そういうものに充てられてしまったらしい。

 尻もちをつく。目が離せない。鼓動が早まる。冷や汗が吹き出し、知らず体が震えた。

 やがて彼我の距離はほぼゼロとなり、サカキが手を伸ばせば俺に触れられるところまで来る。俺は反射的にぎゅっと目を瞑り、オニスズメを強く抱き締めて──。

 

「大丈夫か? 顔色が悪いようだが」

 

 そんな声が聞こえたところで目を開けると、そこには目の前で屈み込み、目線を合わせて俺を見つめているサカキがいた。

 状況を呑み込めずにいる俺に対し、サカキは何かを確認しているかのようだった。

 

「……ふむ。怪我はしていないようだが……腹でも痛むのか?」

 

「け、怪我? い、いえ……大丈夫、です……」

 

「そうか。それならば良いのだが」

 

 なんとか返せたその答えにフッと笑みを浮かべるサカキ。まさか……俺を心配したのか? あのサカキが? 

 

「あ……あの……なんでここに……?」

 

「む? ああ、そうだな。突然見ず知らずの男に話し掛けられれば不審に思うか。当然だな」

 

 困惑する俺に対して、サカキは目線の高さを同じに保ったまま自らのことを話し始めた。

 

「私の名はサカキ。トキワシティのジムリーダーを務めている。ここへ来たのは、トキワへ戻る途中でポケモンも出さず、無謀にも野生と思われるオニスズメに近付こうとしている子どもを見かけたからだ。万が一があってはいけないからな」

 

 幸い心配は杞憂に終わったが、と続けるサカキ。そうか、助けてくれようとしたのか。

 この世界の現代において、そんな危険な捕まえ方をするのは何も知らない子どもか、やけっぱちになった人間くらいのものだ。まともな感性を持っていればそんなことはしないし、しようとすれば当然止められる。

 サカキは大人の責務を実行しようとしただけらしかった。

 

「結果的に無事だったようだが、ポケモンの中には凶暴で危険なものもいる。今回無事だったからといって、次もまた同じになるとは限らないんだ。だからもう二度とこんな危険なことをしてはいけない。いいな?」

 

「は、はい。わかりました。ごめんなさい」

 

「よろしい」

 

 至極真っ当なセリフを吐くサカキに思わず謝ってしまう。

 おかしい。サカキってもっとこう、冷酷無比な人間のイメージだったのに。

 目の前にいる男と自分のイメージするサカキが重ならない。だって、これではまるでちゃんとした大人みたいな……。

 

「──と、大人の私は君を叱らなければならなかったが、ポケモントレーナーとしては君に興味がある。もし良ければ少し話を聞かせてくれないか?」

 

 姿勢を戻して背を伸ばし、俺に向かって手を差し出すサカキ。その姿は正しく模範的ジムリーダーのそれであり、俺はほとんど意識しないままにその手を取って立ち上がった。

 

「歩けるか?」

 

「は、はい」

 

「うむ。では歩きながら話そうか」

 

 するりと手が離れてサカキが歩き始めたので、俺はオニスズメをボールに戻してからその横に付く。

 当たり前のように俺に歩幅を合わせているのに気付いた時は、なんだか妙にむず痒かった。

 

「さて、ではいくつか質問させてもらおう。まず一つ目に、どうしてあんな真似をしたのかだ。──ああ、そんな顔をしなくても怒るつもりは無い。ただの興味本位で知りたいだけだ。答えたくないのならそれでも構わない」

 

 嫌なところを突かれて閉口する俺に、サカキが回答の自由を与えてくれる。どうしても聞かれても……『なんとなくやりたかったから』以外に無いというか……。

 怒らないとは言っていたが、それを素直に話せば流石に呆れられるかもしれない。ここはそれっぽい理由をでっち上げるとしよう。

 

「えっと……『ひこう』タイプのポケモンが欲しかったんですけど、わたしが持ってるポケモンはフシギダネなので、不利な戦いをするくらいなら不意打ちでなんとかできないかなって……」

 

「なるほど。相性の不利を考えた結果というわけか」

 

 まあ一応嘘では無い。二割くらいは。飛ばれて逃げられるかもとかも思ったし。

 

「では次だ。君は今『ひこう』タイプのポケモンが欲しいと言っていたが、それはどうしてだ?」

 

「トキワの森には虫ポケモンが多く住むと聞いているので、有利に動けるようにです。ここもフシギダネだけだとちょっと不安なので」

 

 これは本当のことだ。

 尤もフシギダネは『くさ』と『どく』の複合タイプなので致命的なわけではないが、それでも『ひこう』タイプのポケモンがいた方が圧倒的に楽に進めるだろう。

 

「ふむ、先を見据えての行動か。君はなかなか賢い子どもだな。なればこそ、何故あんな無茶をしたのかは気にかかるところだが……まあいいだろう」

 

「あ、あはは……」

 

 ……この言い方、もしかしてさっき嘘をついたのがバレてる? 

 いや、完全な嘘ではないんだけど、本当のことを言ったわけでもない。だからもしかしたらそこを追求されるかもと思ったのだが、幸いそれは無くサカキは質問を続けた。

 

「ではもう一つ。この辺りには『ひこう』タイプのポケモンは二種類いるのは知っているか?」

 

「はい。ポッポとオニスズメですよね」

 

「ああ。そしてポッポは穏やかで大人しい性格のポケモンであり、対してオニスズメは好戦的で気が短い傾向にある。君は見たところ新米トレーナーのようだし、単に『ひこう』タイプのポケモンが欲しいというだけであればポッポを選ぶべきだと私は思っているのだが……どうしてオニスズメを選んだのだ?」

 

 これもまた鋭い質問だ。

 ここら辺はゲームじゃわからない部分だが、ポケモンを育てると一口に言っても、それぞれに育てやすさというものがあるのだ。

 それはレベルの上がりやすさ……ではなく、もっと単純に性格の問題である。

 ここでいう性格とはステータス補正のことではなく、辞書に載っている通りの意味だ。

 例えばさっきの話で出たポッポは温厚で人に懐きやすいが、逆にオニスズメは気性がやや荒い。どちらが育てやすいかなんてのはわざわざ言うまでもないだろう。サカキが言っているのはそういうことだ。

 ……ただ、これに関しても『グリーン(友だち)と被りたくないから』とかいうしょーもない理由なのである。

 こちらに関してはある程度理解が得られるような気もするが、呆れの対象であることに変わりは無い。ここもそれらしい理由を適当に付けておくとする。

 

「えーと……ポッポよりバトルに向いてそうだから、です。攻撃力も高いですし……」

 

「!」

 

 流石に未進化ポケモンの正確な種族値までは覚えていないが、オニスズメはポッポと比較すると『こうげき』の種族値が高かったはず。『すばやさ』もだったかな? 

 まあ誤差といえば誤差なのだが、あえてオニスズメを選ぶ理由なんてのはそれくらいしかないだろう。

 

「……なるほど、能力傾向まで考えてのことか。いやはや全く、近頃の子どもは侮れないな」

 

 サカキがニヤリと笑う。あ、その顔はロケット団のサカキっぽい。

 

「ではこれで最後にしよう。──君に夢はあるか?」

 

「……夢?」

 

 これまたサカキらしくないワードが飛び出してきた。

 どうしてそんなことを聞くのだろう。サカキの真意が掴めない。

 

「それは、今までの質問と何か関係があることですか?」

 

「いいや、ただの雑談だよ。君は思慮深い性格のようだからな。そんな君なら何を夢とするのかを知りたくなった」

 

 ……あれ、なんだかサカキの雰囲気が変わった……? 

 いや、ちょっと不気味なくらい穏やかなのは変わらない。話題がおかしいわけでもないし、敵意を向けられた感じも無い。だけどなんだろう、確かに感じるこのプレッシャーは。

 手を繋いでいなくてよかった。手の平の汗がバレたかもしれないから。

 

「答えにくいか? ならば私の夢から話そう」

 

 言い淀む俺をどう思ったのか、サカキは己の夢を語り始める。

 

「私は最強になりたい。誰よりも、何よりも強くなりたい。今はカントー最強のジムリーダー等と呼ばれているが、その程度では私は満足できない」

 

 夢を語るサカキから何か暗い光のようなものを幻視する。どうしてなのか、それから目が離せなくなった。

 

「足りないのだ。私が目指すのは世界最強であり、カントー等というちっぽけな地方で収まるつもりは毛頭無い。私はいずれ必ずこの世界の覇者となる。そして全てのトレーナーにこのサカキの名を知らしめるのだ」

 

 なんという熱量。なんという執念。これがサカキが心の内に秘めるものか。

 目が惹き付けられた。言葉に耳を奪われた。サカキの言動にはそういう力がある。

 サカキの本性を知っている俺でもこれなのだ。その求心力とはいったいどれほどのものなのだろう。ロケット団員の心酔ぶりにも納得がいくというものである。

 サカキが続ける。

 

「ふふ、子どものようだと思ったか? だが夢など存外そんなものだ。何かを成したい。何かになりたい。そういう気持ちが原動力となって人を動かし、そして輝かせる。そう、夢とは魂の輝きなのだ」

 

 一拍置き、次の言葉に耳を()()()()()()て。

 

「──故に、夢を持たぬ人間に価値など無い。そうは思わないか?」

 

 ぞくりと背筋が泡立った。

 

「……そ、そう、です……ね……?」

 

 それしか言えなかった。それを言うのが精一杯だった。

 一体なんなのだ、このプレッシャーは。何がどうしてこんなことになった。

 かなり本気で泣きそうになったが、そんな俺を見てサカキが少しバツの悪そうな顔をする。

 

「……いや、すまない。少し熱くなってしまった。ここまで言うつもりは無かったのだが……不思議なものだな。君に可能性を見たからかもしれない」

 

「は、はあ……」

 

 知らねえよなんだよ可能性ってわかる言葉で説明しろよ意味わかんねえよもう早く帰りたいここから逃げたい。

 そこからはお互いに何も話さずひたすら歩き続け、そしてようやくトキワシティが見えてきた。

 ああ、やっとこの地獄から解放される。あそこが俺の天国だ。

 さて、さっさと逃げ出したいのは山々だが、ここまで送ってもらったことに変わりは無い。相手が悪人だとしても礼くらいは言っておくべきだろう。

 サカキに向き直って頭を下げる。

 

「あの、送ってくれてありがとうございました。では」

 

「ああ──いや、少しだけ待ってくれ。最後に一つだけ」

 

 手早く別れを済ませたかったのに引き止められた。なんだよさっき最後って言ってただろ早く帰してくれ。

 

「──私はいつでも君を待っている。その時が来れば歓迎しよう。以上だ」

 

 それがサカキの最後の言葉だった。

 よし、以上って言ったな? もういいよな? よし帰るぞじゃあなおっさん! さっさとレッドに潰されろバーカ! 

 などと間違っても口には出せない悪態を心の中で吐きながらその場を全力で離れた。

 

 

 ◓

 

 

「……フッ、なかなか面白い子どもだったな」

 

 トキワに向けて走り去る少女を見送りながらサカキは独りごちる。

 当初見かけた時は無謀な子どもがいるなというくらいの認識だったが、話を聞いてみれば意外や意外、存外色々考えていての行動だったらしい。

 オニスズメという弱い相手とはいえ、野生のポケモンにも物怖じせずに近付ける胆力。タイプ相性を理解し、レベル差ではなく有利なポケモンで戦おうとする合理性。そして何より──。

 

「くくっ。まさかあの歳でポッポとオニスズメの能力差を考慮するとはな」

 

 ポッポとオニスズメの能力差など誤差程度でしかない。個体によっては逆転してしまう程度の差だ。

 だがそれでも間違いなく差はある。それを考慮するのは間違いなく勝利への貪欲さの表れに他ならない。

 加えて言うのなら、あの少女はオニスズメが秀でる部分が物理攻撃であることも理解していた。

 あれは相当ポケモンへの知識が無いと知りえない情報のはず。前述の通りポッポとオニスズメの能力は似通っているため、見た目では判断がつきにくいからだ。

 新米トレーナーではまず間違いなく判断は不可能と断言できる。であれば、誰かの入れ知恵と考えるのが妥当だ。

 彼女の親かその友人に優秀なトレーナーでもいたのだろうか。そしてその知識を彼女は引き継いでいる。おそらくはそんなところだろう。

 あの少女の相手が凶暴なポケモンでなくて良かった。あわや将来有望な若い芽を摘まれてしまうところだ。

 彼女がトレーナーを続けるのであれば必ず強くなると。そうサカキは確信めいた予感を持っていた。

 そして彼女が強きトレーナーに成長したその時、自分と彼女はどうなるのか。

 激しくぶつかり合うのか、それとも──。

 

「……おっと。名前を聞くのを忘れていたな」

 

 初歩的なミスをしていたことに遅まきながらに気付いたものの、いずれ遠くない未来に必ず知ることになるだろうと、サカキは名も知らぬ少女に思いを馳せて、自らの拠点であるトキワのジムへと歩を進めた。

 

 一方、トキワシティへ戻ったリーフはといえば。

 

「レッドぉぉぉぉ!! 怖かったよぉぉぉぉ!!」

 

「…………!?」

 

 ようやく追いついて来たレッドに泣き付き、宥められているのであった。

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