異世界転生してスローライフ送ろうとした転生者が、突如襲来した理不尽女勇者に振り回される話。


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会話文を書くのが苦手なので、それの練習用に書いてみたやつです。
故に中途半端ですが続きとかはありません。



俺の異世界スローライフ返して! 返してよぉ!

 

「ヒャッハー! 神様に最強の魔法の才能と膨大な魔力というチートをもらっての異世界転生! テンプレだけどそれがいい!」

 

「なんか、世界が現在進行形で魔王とか魔物とかに蹂躙されてて、いろいろ危険なのが気になるけど……試しにその辺のドラゴンとか巨人とかと戦ってみたけど、普通に倒せたから問題なし! 危ないなら転移とかで逃げればいい!」

 

「多分、頑張れば魔王軍にも対抗できるかもだが……注目されたり英雄扱いされても面倒だし、ここは人気のない山奥とかに引き籠ってスローライフ一択! 不便なのは魔法でどうにでもなるし!」

 

「スローライフ王に、俺はなる!」

 

 

 ~山奥にて、付近の邪魔な魔物を掃討中~

 

 

「よっしゃ、家も完成! 魔法ってホント便利!」

 

「家の周囲の安全確保、ヨシ! (狩った動物や魔物を加工した)食料、ヨシ! 家具、ヨシ! 引き籠りの準備完了!」

 

「ゲームやネットとかの娯楽が無いのがちょっとあれだけど……魔法の道具とか創るの楽しいし、今はいいか。ゲームや漫画の武器再現とかもやってみたいし……」

 

「後はやっぱ、可愛くて綺麗な女の子のハーレムだよなあ! 魔物のせいで大変な世界みたいだし、奴隷とか孤児も多い! そういう子にちょっと優しくすれば……あるいは、危ないところを魔物から助けて惚れられたりとか……くふふ、夢が広がるなあ!」

 

 ドォン!!

 

「――失礼するぞ」

 

「いきなり玄関のドアが吹っ飛んだー!? 何ごと!?」

 

 

 

 *

 

 

 

「はあ、勇者様ですか」

 

「うむ、対魔王連合において当代の勇者を襲名している」

 

「それが何で、我が家のドアを壊すことになるんですかねえ……?」

 

「中に誰かいる気配はしたが、ノックをしても返事が無かったのでな」

 

「(あちゃあ、妄想してたら聞き逃したかあ……)そいつはすみませんでしたね。で、勇者様は本日はどんな御用で?」

 

「うむ。勇者の称号を得た者は民間人はもちろん貴族からも、必要ならば物資や人を無条件で徴収することが出来るのは知っているな?」

 

「いや、知らんけど」

 

「……そうか。常識知らずだな、貴殿は」

 

「人の家のドアをいきなり吹っ飛ばした、お前にだけは言われたくねえよ!」

 

「とにかく、現在手持ちの物資が不足している。格好からすると、貴殿は魔法使いだな? 水と食料、あとは何か有用な魔法具などがあれば提供してほしい」

 

「勝手に話を進めやがったぞ、こいつ……」

 

「断るようであれば……不本意だが、強引な手段を取らざる負えないが……」

 

「分かった分かった……ほれ」

 

「……これは何だ?」

 

「キーワード唱えると、刀身に炎が宿る剣。剣を振った軌跡に沿って炎が出るから、攻撃範囲が広がるよ」

 

「魔法で硬度や切れ味を増したものならともかく、そんな武具など聞いたこともないが……伝説の武器か何かか?」

 

「いや、俺が趣味で創った」

 

「…………」

 

「そんな胡散臭そうな顔しなくても。疑うなら外で試してみりゃいいじゃん」

 

「……そうさせてもらおう」

 

「おう、その間に水と食料も用意しとくよ」

 

 

 

 *

 

 

 

「まさか本当だったとは……貴殿は凄腕の魔法使いなのだな」

 

「信じてもらえたようで何より。ほい、水と食料」

 

「うむ、協力に感謝する」

 

「礼はいらんから、とっとと帰ってくれ」

 

「ではな。貴殿が作る道具は非常に興味深い。また寄らせてもらおう」

 

「二度と来んな!」

 

 

 

 *

 

 

 

「邪魔をするぞ」

 

「またドアがー!? 前回と違って今度は魔法でガチガチに強化しておいたのに!?」

 

「ちゃんとノックはしたのに、返事をしないのが悪い」

 

「嫌な予感がしたから居留守使おうとしたらこれだよ!」

 

「また寄らせてもらうと言ったろう。私は言ったことは守るようにしている」

 

「……ところで、誰も入って来れないように、家の周辺には幻惑とか結界とか魔法の罠とか、いろいろ仕込んでおいた筈なんですが……」

 

「ああ、以前よりもかなり面倒だったな。次からは撤去しておいてくれ」

 

「二度と来てほしくないから設置したんだっての! 分かれよ!」

 

「それよりも、貴殿から貰った剣は実に素晴らしい。おかげでより多くの魔物を倒せるようになった」

 

「人の話聞けよ! 感謝するなら、もう来ないでくれ!」

 

「だから、今日は別の物を貰いに来たのだ」

 

「こいつ臆面もなく!? 図々しいにもほどがある! 美人なら何でも許されると思うなよ!?」

 

「この地域一帯には魔物が多い。一掃するには手間がかかるのだ。それを短縮したい」

 

「本当に人の話聞かねぇなあ! こいつはよぉ!」

 

「特に群れのボス級が厄介でな。空中を自在に飛翔する怪鳥で、攻撃が中々届かんのだ。何か良い道具はないか?」

 

「いや、おまえ勇者だろ。魔法使えよ」

 

「私は魔法は使えん」

 

「なんだ、脳筋か。てか、それじゃ勇者じゃなくて戦士じゃん」

 

「……」

 

「無言で剣に手をかけるなよ!? ま、まあ……家の周囲が平和になるのは俺も助かるし……ちょっと待ってろ」

 

「うむ、期待している」

 

 

 

 *

 

 

 

「ほい、投げたら風を纏って飛翔する槍。ついでに自動で戻ってくる機能付き」

 

「……こうも神話や英雄譚でしか語られないような物をポンと渡されると、さすがに困惑するな」

 

「仮面みたいな無表情なくせによく言うよ」

 

「本心なのだがな」

 

「はいはい。渡すモン渡したんだから、とっとと帰――」

 

「あと、今回も水と食料を融通してほしい」

 

「またかよ!」

 

「魔王軍の攻勢は非常に激しい。滅ぼされた国や都市は数知れず、溢れかえる避難民でどこも食糧難だ。徴収すれば餓死しかねない村なども多い」

 

「……その割に、俺からは容赦なく持ってくよな」

 

「仕方あるまい。余裕があるところから持っていくしかないのだから」

 

「……はあ。分かったよ、もってけドロボー!」

 

「感謝する。だが泥棒ではない、勇者だ」

 

「どの口で言うかな。とにかく、これで最後だからな! 本当に二度と来るなよ!」

 

 

 

 *

 

 

 

「だから、魔法で要塞みたいに強化した防衛網をあっさり抜けて来るなぁぁ!」

 

「出迎え感謝する。罠が以前よりもさらに強固になっていて驚いたぞ。貴殿は私が今まで会った中で、間違いなく最高の魔法使いだ」

 

「嫌みか! 簡単に突破されてるのに褒められても嬉しくねえよ!」

 

「そう言いつつ、今回は貴殿もドアを開けて待ちかねていたではないか」

 

「不本意ながらな! もうドアを壊されたくないし!」

 

「不満なら、別の場所に引っ越しなどすればいいのではないか? もっとも、そうされると私としては困るが」

 

「それだと、逃げたみたいで負けた気分になるだろうが!」

 

「……まあ、負けん気が強いのは良いことだ。頑張ってくれ」

 

「どの口が言うか! この天然チート勇者がよぉ!」

 

「チートというのがよく分からないが……まあ、安心してくれ。今回はいつもとは別件だ」

 

「……はあ。もういい、疲れた。で、別件ってなんだよ?」

 

「まず、報酬だ。あの素晴らしい武具の代金にはとても足りないだろうが、受け取ってくれ」

 

「金貨とかほとんど使わんから微妙だけど……まあ、貰える物は貰っとくよ。でも、この金で食料や武具を買えばいいんじゃないか?」

 

「さすがにあれだけの物をもらっておいて何もしないなど出来ん。そもそも、いくら金があっても食料が少ない以上あまり意味が無いし、武具は貴殿から受け取ったものと比べれば玩具にすぎん」

 

「受け取った、じゃなくて強引に持っていったが正しいような……」

 

「それはともかく」

 

「誤魔化しやがったな、こいつ……」

 

「用件はもう一つあってな。こちらが本題だ」

 

「嫌な予感がするから、聞きたくないんだけど――って、いつの間に肩に手が!? 痛い痛い! 分かった、聞く! 聞くから!」

 

「感謝する。――実はとある国で、王家に伝わる秘宝が盗まれてな」

 

「光物が好きな魔物でもいたの? ドラゴンとか」

 

「いや、盗んだのは人間だ」

 

「人間かよ……魔王軍がブイブイ言わせてるのに何考えてんだか」

 

「こんな世の中だからこそ、悪事に耽る人間は多いということだ」

 

「言われてみればそうか……それで?」

 

「盗んだのはかなり有名な盗賊に率いられた一味でな。神出鬼没で、これまでいくつもの豪商や貴族を出し抜いてきた連中だ」

 

「で、今回ついに王族にすら盗みを成功させたと。さぞ調子に乗ってるんだろうな」

 

「ああ。事が事である以上、騎士団も威信にかけて捜索しているが、一向に所在がつかめん。だから、秘密裏に私に解決が依頼された」

 

「魔物じゃなくて人間の争いに勇者を使うとか、無駄遣いにも程があるだろ……」

 

「同感だ。故に、出来る限り早急に解決したい」

 

「まあ、そうだろうな」

 

「だから、なんとかできそうな道具が欲しい」

 

「――いや、結局いつもと同じじゃねぇか!」

 

「何を言う。今回の相手は魔物ではなく人間だぞ」

 

「俺がすることは変わらねえよ!」

 

「私は探し物は苦手なのだ」

 

「だろうな! どう見ても力技で解決することしか出来なさそうだし!」

 

「こんな依頼、本来であれば絶対に断っている。しかし、今回の依頼主は魔王軍による攻勢の苦しい中で、他国や私を出来る限り支援してくれた数少ない国だ。無碍には出来ん」

 

「……何か、実はかなり焦ってる感じ?」

 

「当然だろう。私が一分、一秒立ち止まっている間にも、魔物は人間を蹂躙しているのだ。こんなことで時間を浪費するわけにはいかん」

 

「……なあ。お前さ、ちゃんと休んでる?」

 

「そんなことはどうでもいい。とにかく、この件は一刻も早く終わらせたいのだ」

 

「……ああ、もう! ちょっと待ってろ!」

 

「うむ、感謝する」

 

 

 

 *

 

 

 

「ほら、これだ」

 

「……失礼だが、ただの紙にしか見えないのだが……」

 

「そうだよ?」

 

「…………」

 

「怖っ!? 本気で殺気だして睨むなよ!? よく見ろ、地図が書いてあるだろ!」

 

「……確かに書いてあるが、これは?」

 

「例の盗賊が潜伏してる場所」

 

「なに?」

 

「探知魔法というか、占術? 例の連中の居場所を魔法で探したんだよ。それがこれ」

 

「…………」

 

「うわぁ、最初以来だな、その胡散臭そうな顔。安心しろって、俺が渡すのはいつも役に立ってるだろ?」

 

「……そうだな。貴殿は二度も期待に応えてくれた。今回もそうだと信じよう」

 

「そうしろそうしろ」

 

「では、また。結果が出たら知らせに来よう」

 

「知らせなくていいから、もう来ないでくれ。てか、マジで来ないでくれ。俺はスローライフがしたいんだよ!」

 

 

 

 *

 

 

 

「しばらくぶりだな、魔法使い殿。貴殿のおかげで、あの後すぐに盗賊を捕縛でき、秘宝も奪還できた。感謝する」

 

「……仏の顔も三度までという言葉を知ってるか?」

 

「いや、知らないが。ホトケとはなんだ?」

 

「だろうな! だから来るなっつってんのに、平気な顔で何度も来れるんだもんなぁ!」

 

「平気ではないぞ。私でなければ死んでいるだろう、この家への道程は」

 

「そんなこと言いつつ、傷ひとつないだろうが! もういっそお前の言う通り、全撤去しようかと検討してるよ!」

 

「ああ、それについてだが。以前の発言は撤回させてもらう。最近気づいたのだが、貴殿の家の周囲にかけられた魔法や罠はよい鍛錬になる。むしろこれからも頑張って欲しい」

 

「くああ、ムカつく! どうせ今回も何か持ってくつもりなんだろ!」

 

「貴殿は話が早くて助かる。悪いとは思うが、これも人類の為だ」

 

「それを言えば何でも許されると思うなよ!? ええい、今日という今日は簡便ならん! この強盗め! 覚悟しやがれ、吹き飛ばしてやる!」

 

「強盗ではない、勇者だ」

 

「人の物を強引に持ってく奴は強盗で十分だ! くらえ、マジックミサイル、ライトニングチェイン、フレアカノン! くたば――」

 

「遅い」

 

「うわらば!?」

 

 

 

 *

 

 

 

「し、死ぬかと思った……」

 

「安心しろ、峰打ちだ」

 

「普通の人間は、剣の腹で何十メートルもぶっ飛ぶような威力で殴られれば死ぬんだよ!」

 

「貴殿は普通じゃないだろう」

 

「そうだけども! あと、お前にだけは普通じゃないとか言われたくねぇ! このゴリラ女がよぉ!」

 

「ゴリラではない、勇者だ。そもそも、目の前で悠長に魔法なぞ唱えるからそうなる」

 

「いや、詠唱破棄してたからね!? しかも多重発動で、全部ほぼ一瞬で発動だからね!?」

 

「確かに、魔法の矢と雷は危なかったな」

 

「絶対命中の筈のマジックミサイルは全部切り払われて、ライトニングチェインは当たり前みたいに避けられて、フレアカノン発射前に剣でぶん殴られましたがね……」

 

「攻撃に夢中で防御が疎かだったのが敗因だ」

 

「ちゃんと防御結界5枚以上重ね掛けしてたんですけどぉ!?」

 

「確かに、これまで戦ってきた者の中で一番硬かったな。正直、驚いたぞ」

 

「防御魔法の中には、物理攻撃無効とかもあったんだけどなあ……」

 

「……しかし、本当に驚いている。魔物相手でも圧倒できると思えた魔法使いは、貴殿が初めてだ。貴殿が対魔王連合にいてくれたなら、戦況はずっと楽になっているに違いない」

 

「……外の状況って、そんなに悪いん?」

 

「言葉を飾らずに言えば、もはや人類の命運は風前の灯火だな。このままでは滅亡は免れん」

 

「お前がいるのに? 俺の防犯魔法とをものともしないとか、死ぬほど強いと思うんだが……」

 

「確かに私はこれまで負けたことは無いが、あくまで一人だ。私が戦う場所以外のすべてで負けていては、どうにもならん」

 

「どんだけ弱いんだよ人類……いや、魔王と魔物が強いのか?」

 

「魔王に率いられた魔物どもの強さは凄まじい。通常の戦士や騎士・魔法使いでは、最下級の魔物相手でさえ、逃げるので精一杯。大陸の国々は、碌に抵抗も出来ずに次々と滅ぼされている。おまけに、奴らは捕虜を取ることもしない。文字通りの皆殺しだ」

 

「うわあ、思ってたよりずっと酷い……」

 

「むしろ、なぜ貴殿は知らないのだ」

 

「いや、(この世界に来てから)ずっと引き籠っていたもんで……」

 

「……そうか。魔法使いは陰気で人嫌いが多いからな。貴殿もそうなのだろう」

 

「ナチュラルに失礼だなお前!」

 

「それで、今回の要件なのだが」

 

「もうツッコまんからな。はいはい、今度のご注文はなんでしょうかー?」

 

「うむ、とある国を攻めている厄介な魔物がいてな。体が砂で出来た巨人なのだが、いくら損傷を与えてもすぐに形を取り戻してしまうのだ。剣で切ろうが槍で突こうが、効いた様子が無くて困っている」

 

「そういうのって、核とかがあるのが定番だけど……」

 

「私もそう考えたが、どうも体を構成する砂自体に特殊な魔力か何かが込められているらしく、見当たらない。故に、全体を消し飛ばす以外に無いのだ」

 

「そりゃまた厄介な……相手が砂だと、砂嵐とかで目潰しもしてきそうだしなあ……」

 

「いや、それは勘で何とでもなるのだが」

 

「なるんかい!」

 

「なるのだ。攻撃自体は大したことがないので負けることは無いが、勝つことも出来ない。正直なところ、手詰まりで困っている」

 

「なるほどねー……まあ、手はあるけど」

 

「ほう、流石だな魔法使い殿。ぜひお願いしたい」

 

「へいへい……あれ……? いつの間にか、普通に渡すことになってる……?」

 

 

 

 *

 

 

 

「今回はこれ。打ち込んだところに魔力的な衝撃波と爆発を起こすハンマー。爆発には魔法無効化(ディスペル・マジック)の効果もあるから、これで何度もぶっ叩けば砂の魔力も消えると思うぞ」

 

「相変わらず、凄まじいものを簡単に用意するな、貴殿は」

 

「それで助かってるんだから文句を言うな」

 

「文句ではない。驚いているだけだ」

 

「分かりづらいわ! いい加減にその鉄面皮を何とかしろ」

 

「この顔は生まれつきだ」

 

「そりゃー悪うござんしたね。とにかく、一度試してみてくれ」

 

「うむ、そうさせてもらう。今回も世話になった」

 

「……言っても無駄だと思うが、感謝するならもう来るなよ」

 

「では、何かあったらまた寄らせてもらおう」

 

「だから、もう来るなっての」

 

 

 

 *

 

 

 

「やっぱ無駄だったかー……」

 

「やあ、魔法使い殿。例の魔物は無事討伐できた。貴殿のおかげだ。……それにしても今回の罠は、前回に比べて少々発展性に欠けていたと思う。体調でも悪いのか?」

 

「ついに批評までし始めやがったよ、こいつ……」

 

「スランプならば、気分を変えて見ると良いと聞くぞ」

 

「毎度毎度一生懸命考えたのに何度も突破されまくれば、やる気も無くなるわい!」

 

「いかんぞ、諦めては。どんな時でも前を目指す気概があってこそ、人類の明日は開けるのだ」

 

「……ここまで図々しいのは才能だよなぁ、ホント……」

 

「貴殿に褒められると面映ゆいな」

 

「褒めてねえよ! ……はあ、どうせ今回も何か話があるんだろ? ちょうど用意してたところだし、茶でも淹れるよ」

 

「……いや、悪いが遠慮しておこう」

 

「なに、今回は急ぎか?」

 

「そうではないが……ここに来る前に、ポーションを飲んだのでな」

 

「はあ? 意味わからんぞ。別に腹に溜まるもんでもないだろ、ポーションって」

 

「貴殿こそ何を言っているのだ? ポーションを飲んで数日は味覚は機能しなくなる。知らないわけもあるまい」

 

「……は? 何それこっわ。味覚に異常が出るポーションとか、怖くて飲めないじゃん」

 

「むしろ残っている方が困るぞ。私は滅多に使わないが、他の者は戦いながら何度も服用することになるのだからな。味覚が正常なら耐えられん」

 

「……そこまでマズいの?」

 

「死ぬほど不味い。というよりも、味覚が正常だと吐き出してしまうから、麻痺させる効能が含まれているのだ。私でも味が分かる状態で飲むのは、生きるか死ぬかの状況でもなければ絶対に遠慮したいぞ」

 

「うへえ……」

 

「付け加えれば、傷の深さによって強い苦痛も生じるからな。味覚だけでも麻痺させておかねば、戦闘で使用など出来んよ」

 

「重傷な奴ほど飲まないと死ぬのに、重傷なほど飲むと苦しいとか地獄じゃん」

 

「本来なら時間をかけて治すところをすぐに傷を癒せるのだ、贅沢は言えんさ。数は非常に少ないが、最高級ともなれば欠損した四肢も再生できるのだからな。……もっとも、再生の際に常人なら発狂するような痛みが生じるので、生き残れるかは運次第になるが……」

 

「欠陥品じゃねえか!」

 

「仕方あるまい。そのような重傷を癒せる治癒魔法を使える者などほんの一握り。それが、誰もが使えるポーションで助けられる可能性があるだけでもマシだろう」

 

「……」

 

「それより、今回はまた貴殿の占いをお願いしたい。速度と隠密性に優れ、各地の村や都市を襲っては逃走を繰り返す魔物の集団がいるのだが――」

 

 

 

 *

 

 

 

「今回も助かった。礼を言う、魔法使い殿」

 

「おう。あと、これ渡しとく」

 

「ふむ? ポーションのように見えるが……ありがたいが、私は十分な数を持っているぞ?」

 

「それ俺が作った、不味くなくて苦痛もないポーション。試しに作ってみたら出来たからやる。とりあえず20本ぐらいあるから持ってけ」

 

「…………なんだと?」

 

「味は普通――てか、レモン味みたいな感じにしてある。傷を治す時の痛みも、せいぜい痒みがあるくらいで……っておい。聞いてる?」

 

「聞いている……聞いているが……いくら何でも、ありえんだろう……」

 

「俺が一度でも嘘を言ったことがあるか?」

 

「……無い、な」

 

「まあ、騙されたと思って一回試してみろ。自分で飲むのが嫌なら、他の死にそうな奴に飲ませればいい。多分、四肢欠損くらいまでならいける筈だから」

 

「……貴殿は、本当に規格外だな」

 

「いや、お前にだけは言われたくないんだけど」

 

「私も、同じ言葉を返させてもらおう……だが、これはありがたく受け取っておく。上手く使えば、人類にとって偉大な発明となるだろう」

 

「他のポーションが酷すぎるだけだと思うけどな……まあ、もうお前の物なんだから好きに使ってくれ」

 

「うむ。では、さらばだ。また会おう」

 

 

「あ……もう来るなっていうの忘れた……まあいいか。どうせ無駄だろうし」

 

 

 


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