ミレニアムのサイボーグ   作:サイボーグじゃがいも

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戦闘シーンが書きたかったので書きました
当初から考えていたストーリーとしてはこの四話で完結です





ミレニアムのサイボーグ

 

 ここ最近ミレニアムとその周辺地域で出自不明の噂が広がっていた。

 噂の内容はどれもバラバラで関連性がないように思える。

 

 ミレニアムには天狗が住んでいる!──

 

 指先から弾丸を放つ魔法使いが居た!──

 

 屋根の上を走ってた! あれは間違いなく忍者だ!──

 

 しかし、共通することもある。

 噂が立つ場所は何かしらミレニアムに関係する場所であること。

 

 そして、何かしらの悪事を計画、実行した者の前に姿を現すこと。

 

 

 

 

 

 人通りの多い大通り……から外れた路地裏。

 太陽が沈んでいることもあり、ただでさえ街灯などが無くて暗い路地がより暗い。

 路地の先には何かが潜んでいそうな不気味さがある。

 

 そのような場所にわざわざ集まる物好きはあまり居ないだろう。

 

 だが今日はその物好きが沢山いるようだ。

 

 雇われであろう不良生徒が大型トラックに中身の判らない荷物を積んでいる。

 周囲には所属が分からぬように何かのロゴが黒く塗りつぶされたオートマタ兵士が複数人。

 オートマタ兵士は“偶然”にもカイザーグループが雇用しているものと瓜二つだ。

 

「ぐずぐずするな! その荷物はお前たちの命より重いぞ!」

 

 一体の兵士がもたついていた不良生徒に怒鳴る。

 怒鳴った所で作業効率が改善するはずもなく、更にもたつく。

 それを見てイラついた兵士は一発殴ろうと不良生徒に近づき……

 

 ふと、兵士は気づいた。

 

 路地の向こうにヘイローの光が見えるのだ。

 そして、それはこちらに近づいてきている。

 

 夜中に路地を歩くなど怪しいにも程がある。

 

「おい! そこのお前! ここは立ち入り禁止だ!」

 

 暴行を加えようとしていた兵士は己の職務を全うする為に声をかけた。

 荷物を積んでいた不良生徒も作業の手を止めて、兵士と共に暗闇の向こうを見つめる。

 

 オートマタ兵士たちは訝しみながら。

 不良生徒たちは向こうの何かに恐怖しながら。

 

 段々と近づいてくる光の円。

 

「……」

 

 それを確認した兵士が周囲の兵士にハンドサインで合図を送り、カイザー印の自動小銃を構える。

 

 ここキヴォトスでは、暴力に訴えた方が解決が早い。

 警告が聞こえなかったのか、それとも聞こえていて無視しているのか、どちらにせよやる事は同じだ。

 むしろ撃つ前に警告しただけ優しいと言えるかもしれない。

 

 闇に潜む者が姿を見せるより先に引き金が引かれた。

 

 一斉に銃弾が撃ち込まれ、断続的なマズルフラッシュの光により周囲が照らされる。

 金色の薬莢が大地に吸い込まれていく。

 

 オートマタ兵士たちの統制された一斉射撃はマガジンのリロードによって途切れた。

 

 だが、先制攻撃でワンマガジンもの銃弾を放ったのだ。

 それも数人分。

 相手が誰であろうと倒れ伏しているだろう。

 

 そう考えた兵士たちは構えた銃を下ろす。

 

 

 

「ひとつ」

 

 鋭い轟音。

 

 兵士の一体が吹き飛ばされる。

 

「なんだと!?」

 

 片手でボルトアクションを行い、重い排莢音を鳴らす。

 

 流れるように、腰だめのまま。

 次の獲物に狙いを定める。

 

「ふたつ」

 

 二度目の轟音。

 

 空を飛ぶように宙に浮かび、不法投棄されているダンボールの山に突っ込んだ。

 

「ッ! 撃て!」

 

「みっつ」

 

 残りのオートマタ兵士が思い出したかのように引き金を引く。

 その間に三度目の轟音が響く。

 

 また一体の兵士が地に伏せた。

 

 兵士たちが放った弾丸が雨のごとく飛来する。

 

 しかし、それらは何の痛打にもならない。

 蟻が象を咬んだとしても皮膚を貫けないように。

 

「くそ! 弾幕を張り続けろ!」

 

「弾幕とは、こういうのを言いますのよ!」

 

 金属製の左腕を前方に伸ばす。

 即座に前腕から内蔵されていた多銃身回転式機関銃、要するにガトリングが展開され、僅かコンマ数秒の空転。

 

 そして切り裂くような機銃の音。

 

 放たれた弾道が連なり、鞭のように兵士たちへ襲いかかった。

 

 

 

 

 

 ここは路地裏。

 トラックが爆発炎上し、炎の光に照らされて周囲は明るい。

 

 事件現場には対物ライフルを肩に掛けた不審人物。

 その惨状を作り上げた犯人が立ち尽くしていた。

 

「任務完了しました」

 

 犯人は甲賀アズマ。

 ミレニアムの一般的な生徒である。

 と本人は思っている。

 

 アズマはフルフェイスの機械的で、無機質なヘルメットに手を当てて呟く。

 

「情報通り箱の中身は禁製品まみれ、だからトラックごと燃やしましたわ」

 

『そう……それで大丈夫よ』

 

 ヘルメットは無線機能付き。

 無線相手はリオのようだ。

 

 燃えるトラックからは刺激的な匂いがする。

 この匂いに中毒性などはないので、嗅いでも問題はない。

 

 炎の煙が夜の空に消えていく様を見ながら状況を詳細に報告。

 

「警備のオートマタは案の定カイザーだった。一応偽装されてたけど。それと、みんな気絶してそこらに転がってるのは……対処します?」

 

『いいえ、その必要はないわ』

 

 無人兵器ならバラバラに爆散したりするが、オートマタ兵士は人?なので当然そんな怪奇現象は起きない。

 

 先程の戦闘でボコられた兵士が隅に積んである。

 かなり雑な扱いだが、別にこれくらいで死ぬ事はない。

 

『……新たに怪しい集団を発見したわ。座標を送る、向かってちょうだい』

 

「了解です」

 

 アズマは肩に下げたスナイパーを担ぎ直し、家々を軽々しく跳躍して移動する。

 その姿は闇に紛れ、あっという間に見えなくなった。

 

 念願の力を得た彼女はリオのため。

 そしてリオの掲げたキヴォトス救済のために駆け続けることだろう。

 

 

 己の信念が尽きぬ限り。

 

 

 文字通り、死ぬまで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇリオ? 新しい機能思いついたんだけど」

 

『はぁ……』

 

「帰ったら追加しても良いかしら」

 

『良いわよ、でもその時は私を呼びなさい』

 

「もちろんよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リオはアズマの姿を見るたびに己の過ちを自覚する。

 

 笑顔を見るたびに自信が湧き出る。

 

 そして同時に思うのだ。

 

 キヴォトスを必ず救わねばならないと。

 

 





おまけ

甲賀アズマ
保安部門の部長に就任したがほとんど姿を表さない幻の幽霊部員
また学園内でも出会うことはほぼ無い
ごく稀ではあるが時々リオ会長と楽しそうに歩いているとこを目撃された
しかしリオ会長が滅多に表に出ないのでやっぱり出会うことはほぼ無い。

調月リオ
“全てを統制するビッグシスター”のヒマリが付けた異名とは別に
彼女は生徒会長としては優秀だが学園運営のために全てを捨てているような姿から
血も涙も無くロボのように感情を感じられぬ人という意味で“サイボーグ”の異名が付けられた。
アズマの四肢を見ると胸が苦しくなるがそれはそれとして一緒に散歩する

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