武者頑駄無というのは初めて聞く単語だな……。ファラクトが、
「武者頑駄無?あんな奴はこの大陸には居ないはずだが……」
と言う。
「何にせよ、お前もここで山賊諸共倒す!」
そう宣言する俺に武者頑駄無明日他呂斗は笑いながら言う。
「それは恐らく無理というものでござろうな……」
「なんだと?やってみないと分からないだろ!」
俺がそう言うとファラクトは
「いや、奴が言っている意味は分かるな……」
と言う。G-ポータントも
「……そうかも。あの人は間違いなく強い」
と言う。そして明日他呂斗はこう言った。
「拙者は強いでござるよ。もし其方が勝てば拙者達は降参するが、それでも挑むというのか?」
俺は覚悟を決めた。
「ああ!望むところだ!」
そして俺達は戦闘態勢に入る。山賊ヘリオン達が、
「やっちゃって下さい先生!」
「先生!やってやれ!」
と口々に叫ぶ。俺達は前に出て戦う意志を示す。ファラクトは
「ベースガンダム、俺達がサポートする。まずは小手調べと行こうぜ」
と言う。そしてG-ポータントも
「ベースガンダム、最初は風魔法で牽制する。そこから流れに任せても良いかも」
と提案してくる。
「ああ、頼む!」
そう言い俺は前に出て星の剣を抜くと同時にG-ポータントが風魔法を唱えた。
「風よ!我が敵を切り裂く刃となれ!」
彼女の周りに風が巻き起こりそれが鋭い刃となって明日他呂斗へと向かっていく!すると明日他呂斗は刀を抜く。そして……。彼は素早く風の刃を避けながら刀を振り回すように動かす。するとなんと風の刃が消えてしまったのだ!
「っ!?」
驚く俺達を見て明日他呂斗は言う。
「やはりそうでござったか……。その程度の風など容易く受け止められるでござる」
すると今度はファラクトがビット系魔法を使う。
「行けっ!ビット・コラキ!」
ファラクトの放ったビットが明日他呂斗に電撃を撃つ。
「喝っ!!」
明日他呂斗はその掛け声と共に電撃を躱しながらこちらに近づいてくる。俺はそれを迎え撃つ!
「ハアッ!!」
「シャッ!!」
俺の星の剣と明日他呂斗の大太刀が鍔ぜり合う。大太刀はその異様に違わずかなりの重さに感じた。
「ぐっ!」
「拙者の剛の剣を受け止めるとは中々やるでござるな!並大抵の兵なら今ので一刀両断でござった……」
しかし押し込まれて不利だ。その時だった。G-ポータントが魔法を唱える。
「大地よ!我が敵を拘束せよ!」
ゴツゴツとした岩の腕が現れ明日他呂斗を羽交い絞めにしようとするが……。明日他呂斗はそれを跳躍して回避する。そして俺達から距離を取るとこう言った。
「面白い技でござるな。しかしこれで終わりではないでござるよ?」
そう言うと明日他呂斗は刀を納刀して腰に付けていた鞘にしまう。これは……居合という技術か?
「皆!気をつけろ!何か来るぞ!」
俺が叫ぶとG-ポータントもファラクトも頷いて身構えた。そして明日他呂斗は目にも止まらぬ速さでこちらに接近してきた!早い!俺と明日他呂斗は激突する!そして凄まじい火花が散り爆音が響く!!
衝撃で吹き飛びそうになるが踏ん張る。なんて一撃だ……!! 明日他呂斗は一旦離れるとまたすぐに突進してきた。
「くっ!」
俺は剣で受け止める。今度はギリギリまで引き付けずに弾くことに成功した。しかし……、
「ぐうぅ……」
「なんとっ!?」
次の瞬間、俺の身体中に痛みが走り力が抜けていく。どうやら受け止めていただけでダメージがあったらしい。
「まだまだ行くでござる!」
そして明日他呂斗は刀を振るってくる!
「くっ!このままじゃまずい!」
G-ポータントが再び岩の腕による拘束魔法を唱える。しかし明日他呂斗は刀で切り裂くようにその魔法をかわした。
「何っ!?」
驚く俺達だが明日他呂斗は容赦しない。そのまま突進してきて……。
「がっ!!」
「うわっ!?」
俺は蹴り飛ばされてしまい壁に叩きつけられた。
「ベースガンダム!」
心配そうな表情を浮かべるG-ポータント。しかし俺はすぐに立ち上がり星の剣を構え直す。そして叫んだ。
「大丈夫だ!まだやれる!」
「ほう……。そうでなくては面白くないでござる!」
ニヤリと笑う明日他呂斗。俺達は再びぶつかり合う!……何度かの激しい攻防が繰り広げられる。そして明日他呂斗はこう言った。
「やはり只者では無いようでござるな」
「当たり前だ!」
そう言って俺は星の剣に力を込める。そして明日他呂斗に向けて斬りかかった! 明日他呂斗はそれを回避しようとするが……。俺は星の剣を振り上げると同時に横薙ぎにした。すると星の剣の軌跡が斬撃波となり明日他呂斗へと飛んでいく。
「何っ!?」
明日他呂斗は慌てて防御姿勢に入るが間に合わない!そして斬撃波は明日他呂斗を捉える!
「ぐあっ!」
明日他呂斗の身体が揺らぐ。俺はすかさず距離を詰め星の剣で攻撃した! 明日他呂斗はそれを受け止めるが力負けしてしまう。
「どうした?随分苦しそうじゃないか」
挑発するように言う俺に明日他呂斗は答える。
「……そうでござるな。これは少々厳しいかもしれないでござる」
「だったら降参するかい?」
「否。まだまだこれからでござる!」
そして明日他呂斗は力を込め始めた……。俺も斬撃魔法による攻撃の準備をする。
「はああ……!」
「魚蓮(うぉれん)式剣法……!」
その場の面々が固唾を飲んで見る中、俺達はそれぞれの技を放つ。
「ベースラッシュ2号!!」
「烏帽子狩(えぼしがり)!!」
それぞれの技で斬り合う俺達。そして、俺と明日他呂斗は距離を取る。更に数秒後、
「うっ!?」
俺はダメージを受けその場に片膝をついた。
「ベースガンダムさん!?」
「ははっ!先生の勝ちだ!」
行商人ジムが俺に駆け寄り、薬草を取り出して治療しようとする。山賊ヘリオン達は明日他呂斗が勝利したと思い歓声を上げる。ファラクトは、
「チッ、これまでの器か……」
と舌打ちして呟くがG-ポータントが、
「いえ、よく見て」
そうファラクトに明日他呂斗の方を見るよう促す。すると明日他呂斗は、
「…………見事」
そう呟いてその場に倒れ込んだ。山賊ヘリオン達がざわつき始めた。
「えっ?」「なっ!?」
俺は立ち上がる。どうやらお互いの必殺技によって相打った形になったようだ。
「やれやれ……、なかなか強い相手だったよ」
俺がそう言うとG-ポータントもファラクトも同調してくれる。
「ええ、特にあの連撃は凄かった」
「ああ。あそこで俺のムービガンも撃とうと思ったがベースガンダムに賭ける事にした。それが功を奏したな」
そして俺は倒れた明日他呂斗へ歩み寄る。
「……敗北でござる。しかし良き戦いでござった」
そう言って起き上がろうとする明日他呂斗。俺は手を貸し、立ち上がらせた。
「約束通りに敗北すれば我らはおとなしくする。約束を反故にするわけにはいかないのでござるからな」
そう言う明日他呂斗。俺は彼に言う。
「一つ聞きたいことがあるんだがいいかな?」
「なんでござるか?」
「君は一体何者なんだい?」
俺の問いに明日他呂斗は少し考えた後答えてくれた。
「拙者は天宮という地で生まれた武者でござる。武を極める武者修行の旅の最中、この地に流れ着き、食い扶持を求めて賊の用心棒をやっていたのでござんす」
それを聞いた行商人ジムは、
「天宮なんて所、聞いたことありませんよ?本当の話なんですか?」
あまり納得が言っていない様だ。
「行商人ジム、グレイト・ジオンの奴らもこことは違う魔界から侵略を仕掛けて来ていると聞く。この明日他呂斗もそういったこの世界とは違う世界から来たんじゃないのか?」
そう言う俺。ファラクトも
「ありえない話では無いな。そうなるとこいつは相当な武者みたいだな」
と言う。G-ポータントも
「……多分。私もそんな世界があるなんて話は聞かないけど」
と言う。俺は明日他呂斗に提案する。
「まあ、それなら良かったら俺達と一緒に来ないか?勇者一行に参加すればその生活も安定するし、強者との出会いもあるだろう」
それを聞いた明日他呂斗は一瞬迷ったがすぐ答えを出した。
「……いいでござるよ。この旅でより高みを目指せるかもしれないでござる」
「決まりだな!じゃあ行こうぜ!」
そう言う俺にファラクトとG-ポータントも続く。
「そうだな!よろしく頼むぜ!」
「うん。よろしく」
そして俺達はペガサス王国へと帰還したのだった。山賊ヘリオン達は兵士達に引き渡した。それにより俺、ベースガンダムは名実共に勇者として認められた。
山賊のアジト跡も探索してみたが、グレイト・ジオンの関係は無かったようだ。ペガサス王国の兵士からはそのように報告を受けた俺達は、一旦ペガサス王国城下町にて休息と今後の旅の方向についての話をすることになった。
◇ ◇ ◇
「それで、もうそろそろこのペガサス王国の領内から出てエージー共和国の方に向かうんですね」
その行商人ジムの言葉に、
「ああ。それにしても行商人ジム、本当にペガサス王国の外にはついてこないのか?」
そう尋ねると、
「すみません……。私もベースガンダムさん達の旅路が気になるんですが、自分は戦闘力が低いですしこの先の旅では足手まといになるかと……」
と話す行商人ジム。俺は
「そうか……。今まで世話になったな」
そう感謝を告げる。行商人ジムも
「いえいえ。こちらこそありがとうございます!ベースガンダムさん達の旅の無事を願っております」
そう言う行商人ジムに
「貴方との旅路は短かったけど、忘れない」
と、G-ポータントがしみじみと語る。ファラクトも、
「ふっ、俺も楽しかったぜ。ありがとよ」
明日他呂斗も
「また会いましょうでござる」
と言う。俺達は行商人ジムと別れ、ペガサス王国を後にした。次なる目的地は隣国のエージー共和国。その国で新しい仲間は見つかるのか?俺達の冒険は始まったばかりだ……。
◇ ◇ ◇
――エージー共和国との国境近くの村――
轟音と共に村の家が破壊され、村人は逃げ惑っていた。ほんの数刻前までこの村は平穏そのものだった。しかし、恐るべきグレイト・ジオンの尖兵がこの村に襲来したのだ。
「きゃああああ!?」
「怖いよー!」
「逃げろー!」
泣き叫ぶ子ども達。悲鳴を上げながら逃げる大人達。そんな彼らを嘲笑うかのように巨大な兵器が蹂躙する。村人の1人が村落を破壊する巨人を見る。
「そんな!?あれは!」
その姿はまるで騎士ガンダムの英雄譚に登場する伝説の巨人だった。
駄文閲覧ありがとうございました。ご感想等お待ちしております。