さて俺達は現在エージー共和国を目指して旅をしている。しかしエージー共和国はここからかなり遠い。なので途中の町で宿泊しつつ目的地に向かう。そんな中での事だった……。
「ん?あれは……」
俺の視界に入ったのは遠目に見える村と、その村から煙が上がっていることだった。俺は仲間達に声をかける。
「おいみんな!あれを見てくれ!」
俺が指差す先には火の手が上がる村があった。俺の声を聞いたファラクトは言った。
「ああ見えてるよ。ここからでも見えるくらい派手に燃えてるな……」
明日他呂斗は
「……どうやら急がねばならないようでござるな」
と言い。G-ポータントも
「急ごう」
と言って俺達は走り出した。…… そしてしばらく走るとやっと村の入口まで辿り着いた。
「ひどい……」
思わず俺は呟いた。燃え盛る炎の中では多くの人々が逃げていたのだ。
「お前ら何者だ!!」
そう叫ぶ声が聞こえた。見るとそこには武装した男達が立っていた。おそらく村の自警団のような存在だろうか? ザク族の自警団員達は、
「旅行者なら早く逃げろ!この村はもうダメだ!」
自警団員のザクの言葉に俺は言う。
「待ってくれ!俺達は勇者一行だ!被害が出てるんだろ?俺達も加勢するぜ!」
するとザクは一瞬困惑した表情を見せたがすぐに真剣な顔つきに戻るとこう言った。
「分かった!だが油断だけはするなよ!」
俺達は走り出し村の中に入り込んだ。村の中は酷い有様になっていた。建物は崩れ落ちており地面には所々クレーターが出来ていた。さらにところどころから呻き声が聞こえたりしたので生存者がいると思われる。
「とりあえず手分けして探そう!」
俺がそう提案すると皆同意し手分けして行動を開始した。まずは生存者の保護から始めようと俺は思ったのだ。しかし目の前から迫ってきた敵に対処しなければならないため探索どころではなくなってしまった……。
「来たぞ!気を付けろ!」
俺が注意すると前方に現れた敵の姿が露になる……。それは、大柄な二足歩行する狼のようなモンスターだった。あれは確かウルフカペル・クゥ……。狼男のモンスターだが、図鑑に記されていた大きさより明らかに一回り大きい!しかもその全身からは禍々しいオーラが滲み出ているように見える。
「こいつはただの魔物じゃ無い!きっとグレイト・ジオンの手先に違いない!」
俺はそう判断した。
「なるほど……厄介だな……」
ファラクトがそう呟いた。彼の言う通りだ。
「どうする?逃げるでござるか?」
明日他呂斗が提案する。だが俺は首を横に振った。
「いや、ここで逃げれば村の人々を見捨てることになる。それに奴が逃げられない状況を作っておかなければいけない気がするんだ」
G-ポータントが
「ベースガンダムの意見に賛成。今のうちに倒す方がいいと思う」
と言う。俺は
「よし!じゃあ作戦通りにやるぞ!」
と全員に指示を出した。まずはG-ポータントの魔法で相手を拘束する。
「大地よ!我が敵を捕らえよ!」
G-ポータントの詠唱で地面から無数の岩石が浮かび上がる。そしてそれは巨大な狼の頭部へと集まっていく。
「グガアァア!?」
突然の奇襲に戸惑いの声を上げるウルフカペル・クゥだが既に遅かった。あっという間に完全に身動きが取れなくなった。
「今だ!」
俺は叫ぶと同時に星の剣を振り下ろした!狼の胴体に大きな傷ができる。
「グルル……ッ!!」
怒り狂ったような咆哮を上げるウルフカペル・クゥだが、更に
「ショット!」
「遅いでござる!」
ファラクトの射撃魔法と明日他呂斗の脇差による追撃を受けて、
「ガァ……ッ!?」
倒れ込み動かなくなった。ウルフカペル・クゥがやられたのを確認した俺は、
「よし!救助の手伝いを続けよう!」
と仲間たちに呼びかけた。するとG-ポータントが近づいてきて耳元で囁くように話しかけてきた。
「ベースガンダム。実はあいつから妙な反応を感じた」
「妙な反応?」
俺が聞き返すと彼女は続ける。
「詳しくはわからないけどなんか不吉な予感がする……」
不安げな表情を浮かべるG-ポータントを見て俺も不安になってきた。
「不吉な予感ねぇ……。とにかく今は村の人を救うことが最優先だな」
俺はそう言ってウルフカペル・クゥの亡骸を見た。その後俺達は他の場所にも赴き同じように人々を助けていった。幸い犠牲者は少なかったものの怪我をしている人も多くおり大変だった……。それからしばらくして俺達は一息つくために休憩していた。
「ふぅ~やっと落ち着いたぜ」
俺が息を吐くとファラクトが
「しかし意外と被害が少なかったな。もっとひどいことになるかと思ってたんだがなぁ」
「ああ。でも油断は禁物だ。またいつ襲ってくるかわからんからな」
俺がそう答えると明日他呂斗が自警団ザクに、
「あんな狼のモンスターに襲撃されるとは災難でござったな」
と労いの言葉を掛ける。すると、
「狼のモンスター?いや、村を襲ったのはそんな奴じゃなかったぞ」
「なに?」
疑問を呈した俺達が話を聞くと、何でも襲撃して来たのはウルフカペル・クゥではなく、更に巨大な何かであったらしい。その姿を見たという教師のザニーは、
「間違いありません!あの姿は嘗て騎士ガンダムと戦ったとされる石の巨人、サイコゴーレムですよ!」
と主張する。自警団ザクの1人は
「馬鹿言っちゃいけねえよザニー先生。サイコゴーレムは大昔に騎士ガンダム様に倒されたんだろ?何でこんな所に居るんだよ?」
教師ザニーの話に否定的だ。しかし、巨大な何かが村を襲ったのは確かなのだろう。このまま放っておくのは危険だ。すると村長らしき年老いたザク族の男性が、
「いや……、ザニー先生の話は一概には否定できぬかもしれぬ……」
と言う。その理由を問うと、
「ここ最近この辺りでは様々な奇妙な事が続いておった……。動物達が夜中に暴れ出すとか水位が異常に減ったり増したりとか……。だからそのサイコゴーレムというのはともかく何か良くないことの兆候かもしれん……」
と言ってため息を吐いた。
「とにかくまずは情報を集めないとな」
俺の提案にファラクトが
「賛成だな」
と言う。G-ポータントが村長に、
「貴方方はどうするの?」
そう尋ねると村長は、
「近隣の村や町に避難するつもりですじゃ。まさかこんなところまでモンスターの手が伸びているとは思いませんでしたが……」
そう言って項垂れる村長。そして彼は続けた。
「それよりも皆さんをお連れできたことを感謝します。貴殿らのおかげで少なくとも何人かは命拾いしたことでしょう」
深々と頭を下げる村長に対して俺は言う。
「気にしないでください。困っている人がいれば助けるのが当たり前ですから。ところでサイコゴーレムの襲撃に遭った時の詳しい話を聞かせて貰えますか?」
俺の質問に村長は静かに話し始めた。曰く突如として現れた怪物を見てパニックになり逃げようとするが上手く行かず結局逃げ遅れた住民や一部の建物等は破壊されてしまったということらしい……。ちなみに教師ザニーに例のサイコゴーレムについても聞いてみたところ
「ええ、石の巨人サイコゴーレムは闇の勢力によって無理矢理操られた末に騎士ガンダムと対決して深い眠りについたらしいのですが……。もしかすると何者かがサイコゴーレムを復活させたのかもしれません……」
と言っていた。
「なるほど……。サイコゴーレムのことも気になるが今はそれよりもこの村周辺の捜索を続けよう。まだ生存者もいるかもしれないし」
俺がそう提案すると仲間たちは皆賛成してくれた。それからしばらくして俺達は村周辺を捜索していたが途中で奇妙なものを発見した。
「なんだこれ?」
俺が発見したのは地面の凹みだ。それは点々と村から森林の方に続いていた……。
「これは……、もしかして足跡でござるか?」
「いや、足跡にしてはデカすぎないか?もしこれが足跡なら、俺達なんて虫の様に踏み潰されるぞ?」
「でも確かに形状は足跡っぽいね」
その凹みはとても大きく、人間の倍以上のサイズだった。
「もしかしたらこれが例の巨人の痕跡かも知れない。この先に行ってみよう」
俺の言葉に他のメンバーも同意して先に進むことにする。しばらく歩くと木々が生い茂った森に出た。俺は星の剣を構えながら慎重に歩を進めていく……。しかし特に何も起きずそのまま進むことができたので一安心だった。
「何も無かったな。この先は行き止まりになっているみたいだし……」
安堵した様子で言うファラクトに明日他呂斗は言った。
「まだ気を抜くなよ?油断している時に限って敵はやってくるものでござるからな」
G-ポータントが
「確かにこの辺り一帯が荒れている割には特に変わったところは無かった。村を襲った巨大な何かはどこに行ったんだろう……?」
と疑問を呈す。するとファラクトが
「さあな?案外すぐ近くにいるかも知れないぜ?」
そう冗談めかして言う。その時だった。
「ギャオオォンッ!!!」
突然轟音と共に大地が激しく揺れる。すると茂みから多数の動物やモックスライムが飛び出して来た。動物やモックスライム達は俺達には目もくれずに逃げ出していく。これはもしや……
「おいおいマジかよ!?まさかあのサイコゴーレムってやつじゃないだろうな?」
焦った様子のファラクトに対し俺は冷静に状況分析を行うことにした。
「少なくとも、動物達が逃げ出して来た方向に何かがいるのは間違いなさそうだ……!」
G-ポータントは、
「こんな時斥候が居ればいいのに……。どうする?まだ相手の正体が分からないし不用意に近づくのは危険かも」
臨戦態勢を取りながらそう言うが俺は
「いや……ここで逃げたら誰があの村の人々を助けられるんだ?俺は行くぜ!例のサイコゴーレムかどうかは分からないがここで奴の尻尾を掴まない限りはまた村が狙われるかもしれない!」
と決意表明をする。ファラクトは、
「やれやれ、なら前衛はセオリー通りベースガンダムと明日他呂斗だな。俺とG-ポータントは後衛として援護するからな。やられるなよ」
と呆れながらも了承してくれる。
「分かった!」
「了解でござる!」
と返事をして俺達は先に進むことにした。
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