天網のつくもがみ ~みゆきの蜘蛛糸電文禄~   作:きないしょく

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 蛇。

 種によっては10mにも及ぶ縦長の全長に反して、頭部から尻尾に至るまでの横幅は総じて細いが、その小さな頭部に付いた顎を口が裂けそうな程に広げ、自身の顎より遥かに巨大な動物も丸呑みしてしまう肉食の爬虫類。

 スカルマン達が相対したウイルスの蛇は空想上の生物、龍の名で呼ばれても釣り合う程の巨大な体躯で白泉たま子のPETの空間に鎮座し、その場で直に威圧されるネットナビはおろか画面越しのみゆき達からも大蛇から発せられる禍々しい気配に圧倒されていた。

 

「邪悪な…魂…、作り手の…、或いはこのウイルスそのものから発せられるもの…、先輩っ、バトルチップフォルダをっ、今私の手元にフォルダがありませんっ」

 

「お、おう、アタイのを使えっ、どうせ今のアタイじゃオペレートできねぇっ」

 

 たま子が投げたバトルチップフォルダをみゆきがしっかりキャッチし、慣れた手つきでPETにセットする。

 

「こんなウイルスがインターネットに放たれたらヤバいシッ、この場でデリートするシッ」

 

「ドンッ、ゆりこ先生を呼べっ、最悪オフィシャルコースだぞっ」

 

「アイアイサーッ」

 

「おい待てゆり公呼ぶってのかっ」

 

「今そんなの言ってる場合じゃないでしょ先輩も探してよっ」

 

「チッ、おきんムリーしっかり見てろ、こいつらのサポート頼むっ」

 

 レインの号令でドンとたま子が校舎内へ駆け、みゆき達はウイルスバスティングの態勢を取る。

 

「バトルオペレート」

 

「セットッ」

 

「インッ」

 

 三人のオペレーターの合図と同時にスカルマンとバーストマンが左右に分かれ、ペンギーゴが飛翔すると身体を180度旋回させ電脳パネルに向けてショットガンアイスを放つ。

 パネルに当たった氷塊が反射散開し、雹弾が大蛇ウイルスの腹部から頭部にかけてヒットしその巨体が一瞬揺らぐ。

 

『手応えありっ、どこが効いたクワッ?』

 

『多分頭部っ、それ以外は見たところ弾かれたよっ』

 

『てことは頭を狙えってか、いくぜバレットフローリーッ、畳み掛けるぜオメガキャノン1ッ』

 

 拳型のミサイルとキャノンの嵐が電脳空間に吹き荒び、数発が顔面で爆発し大蛇がよろめくも、大蛇は尻尾を巧みに振るいキャノンを弾き返す。

 弾かれたキャノン砲をスカルマン、ペンギーゴがあたふたして回避している間に、大蛇は勢いよく頭部をパネルに突っ込ませ、ユカシタに潜み込む。

 

『クソッ、どこに隠れやがったっ』

 

『散開を意識して、絶対一ヵ所に固まらないでっ』

 

『ついでにあちこち駆け回れ、一点に留ま、クワーッ』

 

 突如ペンギーゴの目の前のパネルが盛り上がり、ユカシタから大蛇が長い体をくねらせ天高く飛び上がり、パネル上に音を立てて着地すると速度を落とす事無く電脳間を這い回り、両の顎を大きく開き立往生していたモプシーを一飲みしようと襲い掛かる。

 両顎が閉じようとする瞬間スカルマンがモプシーを横っ飛びで抱き抱え、寸でのところで事なきを得る。

 

『困ったね、硬くて速くて、これじゃあなかなか有効打が取れないよ…っ』

 

「でも…逃げちゃダメ…ッ」

 

 三人の少女と三体のネットナビは、目の前の凶兆を振り撒く巨大ウイルスへの恐れを飲み込み、手に汗を滲ませて立ち向かう。

 

 

 ゆりこ先生を探すドンとたま子は、まずは職員室へと向かいゆりこ先生の所在を確認し、職員室にいないとわかると二人は二手に分かれ、ゆりこ先生がいそうな場所を虱潰しに当たる事にする。

 ネットワーク社会の進展で教師もコンピュータースキルの取得を義務付けられているとは言え、古くから学校に勤める教師は世間の高齢者の例に漏れず完全に時代に適応できる者は稀である。

 現デン女の教師陣の中で最もデジタル技術に精通しているのも、生徒目線で問題が起きた際に気兼ねなく声を掛けられるのもゆりこ先生であり、頭の固い教師と当たって無用なトラブルを避ける為にも、早急にゆりこ先生を見つけなければならなかった。

 

「こんな時の為にゆりこ先生とメアド交換しとくんだったなっ」

 

 ドンは理科室、一年教室と回り、デン女のPC教室の扉を開ける。

 

「ん?」

 

「すみませんゆりこ先生いませんかっ」

 

 PC教室の奥で一人パソコン画面に向かい合う、赤いメッシュの入った黒髪ロングの大人びた女子生徒が縁の太い眼鏡を上げて、威勢よく開かれた扉の音を聴いて振り返り肩で息をするドンの姿を視認する。

 

「ゆりこ先生?急ぎの用事で申し訳ないがここは今私一人だよ」

 

「そうですかありがとうございますお邪魔しましたっ、クッソーゆりこ先生どこだーっ」

 

 嵐のように現れたドンが礼を言い扉を開けたまま駆け、数秒後慌てて戻り扉をバンと閉め嵐のように去っていく。

 慌てふためく童顔の生徒の様子を見て何かを察した褐色肌の少女が、頭上に掛けた眼鏡を下ろしパソコンをいじり組まれた両手に顎を乗せ思考に耽る。

 

「ふむ、なにやらGPS上に今まで見た事のない反応が感知されているね、先程の生徒がゆりこ先生を探しているのと何か繋がりがあるのかな?」

 

 褐色の少女が向き合うパソコンのスピーカーから、凛とした女性の声が出力される。

 

『ザラ様、これ程の邪気を見過ごすわけには参りません、どうか私に御指示をお出し下さい』

「レヴァ、君の反応からすると新手のウイルスかい?これは興味深いね」

 

 褐色の少女、ザラが手元のラーメン缶をグイと飲み干すと、学校の電脳に突如現れた未知のウイルスに好奇心を掻き立てる。

 

 

 たま子が全速力で階段を駆け上がり息を切らして音楽室の扉を開けると、そこには電子ピアノを弾きメンテナンスをしている最中のゆりこ先生の姿があった。

 

「おやこれは今北マコさんではありませんか、お一人で直接私のPETにウイルスを撒いてまた生徒達を困らせようとでも考えていましたか?」

 

「うっ、先生気付いて…っ」

 

 普段の能天気なゆりこ先生から発せられるとは思えない冷静かつ冷徹な声色を聴いて自称白泉たま子、本名今北マコは恐怖に慄くが、すぐに気を取り直し現在自分にできる事を考え、膝を折り頭を垂れ腹の底から声を出す。

 

「ゆりこ先生お願いですっ、私達の悪戯が原因でウイルスが発生したんですっ、どうか一年生達を助けてくださいっ」

 

 マコの全力の土下座を見下ろしゆりこ先生が考え事をすると、承知したとばかりに立ち上がりマコに手を差し伸べる。

 

「わかったよ、現場に案内してくれるかな?だけど今オーシャンマンはピアノのメンテナンス中だからナビの方はすぐには駆け付けられないよ」

 

「あ、ありがとうございますっ」

 

「ちょっと走らないでってば、ゆりこはこれでも先生だから廊下は走ってはいけないのです」

 

 ゆりこ先生の手を取って立ち急ぎ廊下を走るマコを静止しつつ、ゆりこ先生はPETを高速タッチしマコにはまず聞こえないような小声でPETに囁く。

 

「スプラッシュ・メタモルフォーゼ、解除」

 

 

 たま子とドンがゆりこ先生を探して十数分、放課後の体育館裏で行われる死闘は未だ決着が付いておらず、大蛇に立ち向かう三体のナビと三人の少女はじわじわと体力を削られていた。

 

『くらえベータソードッ、クソッ尻尾が邪魔して頭がっ、ク、クワーッ』

 

「あっついシーッ熱くてシぬシーッ」

 

「なんでオペレーターが燃えてんだよっ?」

 

 ソードを尻尾でガードし、返しで口から吐かれた火炎放射をもろに喰らいペンギーゴは火だるまになり。何故かセリシーの制服に着火しセリシーが暴れ回る。

 

「バトルチップ、ホウガン、スロットイン。…あぁもうどうしてコードがバラバラなわけ?使いにくいったらないわ」

 

「リーダー攻撃力が高いチップを雑に突っ込みますのよ…、面目ありませんわ」

 

『でもおかげで当たればダメージは通るよ、一発を大事にしないと』

 

 チップコードに統一性のないたま子のフォルダに苛立ちつつ、みゆきは高火力チップを送信しスカルマンが一つ一つのチップを的確に大蛇の頭部に当てる。

 

『クソッ、これじゃ俺等の体力が先に尽きるぞっ、レインッ、なんか考えはねぇのかっ』

 

「ちょい待て動きを止めりゃバーストバレットとシャレコーベイで一気に片を付けるんだが、なんかうまい方法はないかっ?」

 

「それペンギーゴが動き止めろって?アタシ頭使うの苦手だけどなんとか、ってなんだシこれっ」

 

 ネットナビ同様ダメージを蓄積した大蛇ウイルスが動きを止めると、急激に膨れ上がった腹部がポンプのように頭部まで運び出され、喉から大量の卵が電脳一面に排出され、何事かと思索する間もなく卵のひびが割れ、中から小型の蛇ウイルスが誕生しスカルマン達に襲い掛かる。

 

『大蛇だけでも大変なのにこんないっぺんに‐』

 

 スカルマン達が小型蛇に跳びつかれた瞬間、何者かのキャノン砲が小型蛇を打ち抜く。

 発射源を探すとそこにはおきん、ムリーのネットナビ、フロプシー、カトンテールが砲台を構えて立ち尽くしていた。

 

「雑魚共はウチらに任せなっ」

 

「貴女方は大蛇に集中をっ」

 

「先輩っ、任せたシッ、ここで決めなきゃクールじゃないシっ」

 

 勢いづいたセリシーがバトルチップ、アイスキューブを送信し、ペンギーゴが大蛇を挑発し電脳空間の端へと誘い込む。

 大蛇が頭ごと突進して来た瞬間ペンギーゴが横転して避け、勢い余って電脳の壁に激突した大蛇が一瞬の隙を見せると、ペンギーゴは間髪入れずにアイスキューブを設置し大蛇の尻尾目掛けてアイスキューブを体当たりで押し付けると、見事アイスキューブが大蛇の腹部に直撃。

 背後の壁と四角い氷塊で釘付けになった大蛇は身動きが取れずその場でもがき出す。

 

「ここだみゆきっ、畳み掛けるぜっ」

 

「任せてレイン、これで仕留めるっ」

 

 みゆきとレインが息ピッタリに固有チップを送信し、スカルマンの頭部が宙を舞い、バーストマンのリストバンドが煙を吐く。

 

『シャレコーベイッ』

 

 巨大な髑髏が大蛇の頭蓋骨に降下し、大蛇は電脳パネルに奇声を上げて突っ伏す。

 巨大化した髑髏が元のサイズでスカルマンの首の上に飛来すると、重りを外した大蛇の頭がフラフラと起き上がるが、大蛇が意識を取り戻す前にバーストマンがフルパワーの右ストレートを叩き込む。

 

『バーストバレットォッ』

 

 水蒸気が爆発する音と大蛇の絶叫が小さなPETの電脳に反響し、白煙から電脳壁に叩きつけられた大蛇と全力のパンチでへとへとになったバーストマンが姿を現す。

 

『ハァーハァー、決まったぜぇ…』

 

『俺達の勝ちクワーッ』

 

「ふぅー、なんとか終わったわー…」

 

「やったシ、アタシ達の勝ちだシーッ」

 

 みゆきとスカルマンを除いた全員は電脳壁に磔になった大蛇を見て完全に油断しきっていた。

 勝鬨を挙げて勝利の余韻に浸る三体のネットナビの背後で、沈黙したと思われた大蛇の瞳がカッと開き満身創痍の全身を震わせ特大の火炎放射放出の合図を出す。

 

「あっ…」

 

 最初にみゆき、直後にスカルマンが気付き、バーストマン、ペンギーゴとそれに続くが、大蛇から至近距離の三体のネットナビは回避行動を取ることも叶わず、小さなPETの電脳で消し炭と化すネットナビの未来が見えたみゆきに奇妙な感覚が生じた。

 

(これは…何?目の前に、大蛇の、口、からオレンジ色の光が放たれて…、両隣にはバーストマンとペンギーゴ、遠くから優しそうな女の人の歌声、そして、大きな盾を構えた、翠銀の、女騎士‐)

『‐レヴァ・シールド』

 

 みゆきの視界が炎に包まれようとしたその時、自分とバーストマン、ペンギーゴが泡に包まれると同時に、上空より現れた浅緑色の美しい長髪と白と翠の高貴な鎧に身を纏った騎士らしき女性が自身の背丈ほどはある大盾を構えて先陣に立ち、みゆき、バーストマン、ペンギーゴを高温の閃光から救い出す。

 それら一連の流れが動画の低速再生のようにみゆきのヴィジョンに鮮明に映し出され、オレンジ色の光が薄まると今度はみゆきの左視点にバトルチップ、ダッシュアタックが出現する。

 不意に現れたダッシュアタックを「使用する」とみゆきのいつもとは違う右腕に鳥形ウイルス、キオルシンが装着され、普段ネットナビが使うダッシュアタックと同じ要領でスカルマンのような右腕を突き出し、息も絶え絶えの大蛇目掛けて突進する。

 キオルシンの速度で大蛇の口内に突撃し、校内で軌道を上方に変え、大蛇の頭上を突き破る。

 大蛇は断末魔の叫びを上げ、今度こそ完全に機能を停止し電脳空間から消滅(デリート)される。

 

 

「っ、はぁっはぁっ」

 

 気が付くとみゆきの視界には、いつも通りの風景である体育館裏の風景が映し出されていた。

 

「み、みゆきっ、大丈夫かシッ」

 

 突然荒い呼吸で膝を突くみゆきに驚き、セリシーがみゆきの両肩を掴み介抱する。

 

「はぁっはぁっ…だ、大丈夫…ちょっと焦っただけ、だから…」

 

 皆に心配かけまいとみゆきは精一杯虚勢を張ったが、混乱する精神をなんとか落ち着かせてからさっきまでの数分、或いは数秒の出来事を振り返ると、みゆきが見たあの情景は大蛇と対峙するポンタくんの視界から見たものとしか思えなかった。

 現実世界の存在であるみゆきに何故電脳世界の光景が映り、ましてや自分自身がポンタくんに憑依したかのような感覚に陥ったのか。

 みゆきの疑問は尽きなかったが、今はそれよりも先に確認すべき事があった。

 

「…大蛇ウイルスはデリートされたの?」

 

「いや、オメーがやったんだろうが…。みゆきの判断とあの騎士風のネットナビがいなかったら俺等のナビは全員燃えカスだったぞ。誰だかわからないが、ありがとう」

 

 レインがPETの画面に目をやり、電脳上に威風堂々と直立する白と翠の色調の女騎士型ネットナビに礼を言う。

 

『礼なら我々にバブルラップを張ってくださったあのお方に言うべきです、悔しいが私だけの力では貴方達のネットナビを守り切ることができなかった』

 

 長髪の女騎士がはるか遠方に目を向けると、三又の槍を構え下半身が魚の、まるで人魚の様なシルエットが浮かび上がる。

 みゆき達が人魚の陰に近づこうとすると、人魚らしき存在はたま子のPETの電脳からプラグアウトする。

 

「行っちゃった…、お礼くらい言わせて欲しかったのに。…ところで、女騎士さん、貴女のお名前は?」

 

『申し遅れました、私は‐』

 

 女騎士が名乗り出ようとしたその時、女騎士の全身にプラグアウトの演出が起こり、人魚らしきネットナビと同様に電脳空間から退出する。

 

「行っちゃったシ、たシかにクールだけど名前くらいおシえてほシかったシ」

 

 一同が呆気に取られると、遠くからたま子がゆりこ先生を連れてやって来る。

 

「おおーいっ、ゆりこぅ…、ゆりこ先生連れて来たぞーっ」

 

 

 体育館裏にみゆき、レイン、セリシーと、たま子に連れて来られたゆりこ先生、そしてゆりこ先生を見つけたとメールで送りクタクタでやってきたドンの五人に、たま子、おきん、ムリーの三人がしっかり姿勢を正して謝罪をする。

 

「すみませんでした、以前の理科室の事件と此度の騒動は全て私達が引き起こした事です、どんな罰も謹んでお受けします」

 

「軽々しく罰を受けるなんて言うものではありません、見知らぬ人からウイルスを買ったことも、ウイルスを学校に撒いたことも、本来ならオフィシャルに通報して貴女達は即退学処分です」

 

 ゆりこ先生は優しくも厳しい口調でたま子達を叱責する。

 

「う…、だけどこの事はオフィシャルに通報しますよね?」

 

「ウイルス購入の件は通報しないといけませんが、ゆりこがなんとか貴女達に罪が及ばないよう考えておきます。…貴女達はもう反省してるんでしょ?」

 

「…私達は先生や後輩達の理解が足りていませんでした、心優しい先生や一生懸命な後輩達に比べ、私達はとても身勝手で今はとても惨めな気分です。反省します」

 

「…よろしいっ、ゆりこの大好きな生徒達だよ、みんな素敵な子でしょ?もう酷いことをしないでね?」

 

「は、はいっ」

 

「いい子いい子、それじゃあゆりこは上手い言い訳を考えておくから安心してね?さってとどうしようかなー…」

 

 たま子達の反省の言を聞き上機嫌となったゆりこ先生は、ウイルスが混入されたSDカードをつまんで一足先に体育館裏から退場する。

 

「ふぅーあたしくたびれ損だったわー、まぁでもたま子先輩がゆりこ先生見つけてくださって助かりました」

 

「マコ、ホントはマコって言うんだ。なぁレイン、白泉たま子は代々デン女メタルヒロインズのヘッドが名乗る伝統の名前なんだ、レイン、アタイに代わって白泉たま子をやらねーか?」

 

「んー、パス、興味ないッス」

 

「そっか、それじゃあしょうがねー、白泉たま子は空席でアタイは初心に返ってktkr(キタコレ)マコとしてやり直しだっ」

 

「だから何なんですかそのダサい芸名」

 

「ドン、心にしまいなさいって…」

 

 

 体育館裏の騒動を解決し、空が茜色に染まりだした頃、みゆき、ドン、セリシーの三人は自分達の教室で世間話をしてくつろいでいた。

 

「レイン大丈夫かな、あたし達のせいでバイト大幅遅刻っしょ?」

 

「そのはなシだとレインを止めなかったアタシも悪いシ、クビになったらアタシ達でバイト先に謝ろうシ」

 

「どうかな?レインはアレで私達よりしっかりしてるからそういうの嫌がりそうだけど」

 

「まぁ今あたし達が心配しても仕方ないか。そう言えば電脳間にかっこいいネットナビが現れたんだって?」

 

「そりゃクールだったシッ、颯爽と現れ名前も言わずに去る様はヒーローだったシッ、…まぁ名前くらいおシえてくれてもよかったけど…。ヒーローと言えば最後みゆきはなんか凄い動きしてたけど、アレもクールだったシッ」

 

「…アレ?アレは…その…とりあえず保留で‐」

 

 セリシーが尋ねた体育館裏で起きた謎の現象についてみゆきが言い淀んでいると、人気もすっかり少なくなった学校の教室の扉を静かに開ける音が聞こえてきた。

 

「あれ?レイン、バイトはどうしたの?」

 

 教室の扉を開けていつになく力なくうなだれるレインを見て、自分達が原因でバイト先からこっぴどく怒られたのだと判断したみゆき達は椅子から立ち上がる。

 

「…ごめんなさい、私達のせいで‐」

 

「皆、今から流すニュースを俺と一緒に見てくれないか?」

 

 深刻な顔つきのレインを前に三人は真剣な表情でレインの頼みを聞き入れる。

 

 

ー緑川ケロです。

 今日午後4時頃、デンサンシティデンサンタウン4丁目の喫茶店に大型トラックが衝突する事故が起きたとの110番通報がありました。

 現時点で喫茶店の店主、40代のトラックの運転手含め、負傷者は確認されていないとの事です。

 無事トラックから救出された運転手によると、突如運転の制御が効かなくなって暴走し喫茶店に猛スピードで突っ込んだと証言しております。

 繰り返しお伝えしますが現時点で負傷者は確認されておりません。

 警察は、事故の原因について何かトラックに異変が起きなかったか詳しく調べています。

 

 

‐ピッ‐

 

「あっ、なんで消しちゃうんだよまどい~ボクまだ見てたのに~」

 

 

 犯罪組織 WWW(ワールドスリー)所属Bランクネットナビ

 

 カラードマン.EXE

 

 

「これ以上見たって意味ないでしょ?みーんな無事だったって言うんだしさー」

 

「ま~そ~だけどさ~、やっぱ僕の撒いたウイルスで誰か一人くらいは死んでるかどうか期待しちゃうじゃ~ん?」

 

「バカねーカラードマン、こういうのは生きてるから意味あるのよ、中途半端に生きてるとこの時の事故のトラウマが延々と脳内にフラッシュバックされるのよー?

 運転手くんはこの事故で二度とトラック運転できなくなっちゃうし、バカップルどもを庇ってワタシをコケにしてくれたクソ忌々しい店主のジジイは老い先短いのに店無くしちゃって、老後はいったいどうしちゃうのかしらねー?」

 

 

 犯罪組織 WWW所属Bランクオペレーター

 

 色綾まどい

 

 

「あははは、言えてる~っ」

 

「まーでも最初にワタシに楯突いた若いバイト二人、アイツらくらいは負傷してて欲しかったからそこは残念だけどねー?とりあえず人生の運をここで使い果たしちゃったって思う事にしよーっと」

 

「少ない運を使い果たしちゃうなんてかわいそ~。…と、まどいまどい~、マハ・ジャラマからメールだよ~、新型ウイルスダイジャンのプロトタイプはど~したかって~」

 

「ちゃーんとバカそうなJKに売り捌いたって送っといて、こっちはそんなのよりこの車のメーカーの株価チェックしなきゃいけないんだからさ、事故は買い、事件は売りってね?世間には自然発生の事故と見られてればいいけど…」

 

「りょ~かい。でもさでもさ~、その口で今回のWWWのウイルス技術をウラに売りつけるんでしょ~?」

 

「とーぜん、金づるは手広く把握するものよー?」

 

「あっははは~」




ダイジャン

ゲームのコミカライズに良くある、終盤の強敵が序盤でエンカウントするやつ
1のダイジャンのプロトタイプという事でレイドボスみたいな感じでの登場

ザラ

ルナーラックスのレイン隊のメンバー

レヴァ

ワンステップフロムエデンのプレイアブルキャラクターの一人

スプラッシュ・メタモルフォーゼ

原理としてはデザートマンのデザート・メタモルフォーゼと同じようなもの
何ティや何アたんの線も考えていました

奇妙な感覚

鷹岬版の設定を取り上げています

色綾まどい

私は色綾まどいを「悪役」として大好きで、原作1を見る限り殺人も手馴れていると見ているので、この話のまどいはハッキリ人を殺しています、と言いたいのですが、本当に人を殺していたら改心はさせられないので難しいところです
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