全く覚えてないんだけど、俺多分原作主人公の兄貴殺してるわ…   作:生牡蠣

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最近読んだボンバーガールの二次創作に感銘を受けたので初投稿です。
ボンバーガール自体知ったの最近のにわかだからなんか解釈違いとかあったらすみません…


※この作品にはアニメ『ボンバーマンジェッターズ』の重大なネタバレが含まれます。
未視聴の方は、アニメ本編を視聴してからのご拝読を強くお勧めします。


せめてマイティに転生したかったよ…

憑依転生

 

それは最近の二次創作で流行っている所謂転生物の一種である。

普通の転生物の場合、死後に生まれ変わったり、死ぬ前と同じ状態やチート特典を持って別の世界へ行くというのが主流だが、憑依転生物は少し勝手が違う。

憑依転生とは、元々その世界にいる人物へと憑依するタイプの転生である。まぁ、簡単に言えばアニメや漫画の登場人物になるタイプの転生と思ってもらえればいいだろう。

 

そんな憑依転生物で、俺が一番面白いと思うものが『悪役へと転生し、主人公側と協力関係になる』というパターンだ。

例えば乙女ゲーの悪役令嬢に転生して主人公や攻略対象キャラと原作にはない絆を育んでみたり、バトル物の敵幹部へ転生し主人公たちと協力し互いを高め合い原作の出来事を改変したり等、当時では考えられなかった以外な展開や新しい見解を発見したりと楽しめる要素が多いのだ。かく言う俺も()()()()()はよく類義の作品を読んで楽しんだものだ。

 

………うん?転生する前って何だって?

あ~……流れで言っちゃったからもうネタバレするけど…

 

俺、憑依転生しちゃいました。

しかも多分敵サイドのキャラに。

 

いや~、転生ってどんな感じなんだろうって前から気になってたんだけど、実際体験してみると動揺とかしないもんだねぇ…『なんか今の自分とは違う記憶あるなぁ』とか『俺の見た目こんなんだっけ?』とかについてふと気になって漠然と考えてたら『あっ、これ転生って奴だ』ってめっちゃあっさり受け入れちゃったよ。…我ながら味気ない反応だなぁ……

……さて、少し話が脱線したね。本題に戻ろうか。

 

そう、俺は敵役サイドのキャラに憑依した様なのだ。……まぁ、正確には敵じゃないんだけど…今後の状況により主人公サイドと敵対することになる可能性が高いというか…まぁ結構微妙な立ち位置のキャラになったと認識してくれればいいと思う。

……えっ?良かったじゃんって?

『前振りにあった通りそう言った展開好きなんでしょ?なら敵サイド裏切って主人公勢に

加勢しようぜ!」って?

…うん、確かにそう言う展開は好きって言ったし、俺も出来ればそのムーブがしたい。

でも、残念ながら今の俺にはそれが出来そうにないのだ。

何故かというと……()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

 

「……はぁ、なんでよりによって()()()に転生するかなぁ…」

 

 

そうため息をつきながら、俺は壁に掛けられていた鏡を見る。

そこに映し出された姿に、俺の気分はさらに落ち込んだ。

 

そこに映っていたのは、生物の要素が全くない機械の身体。暗闇の様な真っ黒ボディはまさに悪の組織の幹部の様だ。

背中には真っ赤なマントを羽織り、それがボディをより際立たせ他者に威圧感を与えている。

顔は何処かダークヒーローを彷彿とさせるかっこ良さはあるが、それは左半分のみ。右半分はもろ機械面がむき出しになっており、まるで仮面を剥いだウォーズマンの様だ。

 

俺はこのキャラクターの名前を知っている。

『ボンバーマンジェッターズ』に登場するMA-Zeroこと、『ゼロ』だ。

 

 

 

ボンバーマン。

それは爆弾を操ることが出来るキャラクター達を操作し、障害物を破壊したり敵を倒したりするゲーム作品だ。

実はファミコン時代から続く長寿タイトルで、中でも2~4人で対戦するモードは、ドカポンや桃鉄と並ぶ友情崩壊ゲーとしての人気は非常に高い作品だ。

ジェッターズは、そのボンバーマンの外伝アニメ作品である。

ストーリーは原作ゲームと違い、主人公シロボンと仲間たちが宇宙の平和を守るために敵と戦うという王道なもの。しかし内容はシリアスなものや考えさせるような話が多く、当時子供向けアニメとバカにしていたユーザーたちの度肝を抜き、虜にしていった名作なのだ。

 

そんなボンバーマンジェッターズに登場するキャラクターの一人が、俺が転生したゼロである。

…さて、俺は最初敵サイドのキャラと説明したのだが、実はこれは誤りだ。ゼロはシロボンたちの敵ではない、むしろ味方側のキャラだろう。

実際アニメでは協力して敵に立ち向かう描写もあったし、おそらく当時の視聴者たちも口をそろえてゼロは味方キャラだと言うだろう。

では、何故俺はゼロの事を敵サイドキャラと表現し、主人公たちと敵対の心配をしているのか?

…それはゼロの微妙な立ち位置にある。

 

ゼロの事に関して説明する前に、悪役キャラへの憑依転生において主人公サイドに寝返る前提条件を確認しよう。

主人公サイドへ迎えられるための大前提。それはこれまでの行いで、許される範囲を超えているか否かだ。

例えばストーリーの展開でとある町の人間を大虐殺するタイプの敵に憑依したとする。この時、憑依したタイミングが虐殺行為をする前ならば自分の行動次第で主人公の仲間にして貰えるかもしれない。

しかし、虐殺後だった場合はどうであろうか?その場合はどんなに取り繕ったとしても、中身が違う人物だとしても『大量虐殺をした』という事実は残っている為、正義の主人公たちの仲間になるのは困難…というかほぼ無理だろう。

この様に、憑依転生というものは憑依前にキャラが行ってきた所業がかなり重要になってくるのだ。

 

…まぁ、わざわざこんな説明を入れて来たのだからある程度は察せると思うが……ゼロという存在もこの問題にぶつかってしまうキャラなのだ。

 

 

何を隠そうゼロは、主人公シロボンの兄・マイティを殺した存在なのだ。

 

 

ゼロは悪の組織・ヒゲヒゲ団の科学者・メカードが作り出したアンドロイド。

ボンバーマンの力を求めるメカードの命令によりマイティを襲い、彼のボンバーマンとしての力をコピーしたのがゼロだ。その時のダメージが決定打となり、マイティ死亡へと繋がったのである。

それだけではただ主人公の兄を殺した極悪人だが、これでは終わらない。この後の展開こそがゼロというキャラクターの複雑な所なのだ。

ゼロはマイティの力をコピーした時に、マイティの人格や記憶も一緒にコピーしてしまい、マイティの持つ正義の心や仲間を想う気持ちを得てしまったのだ。その後はメカードに失敗作扱いとして捨てられ色々あってシロボンたちと協力関係となるも、マイティを殺してしまった負い目やマイティとしての意思がありながらもあくまで別の存在という苦しみを背負ったキャラクターなのだ。

 

まぁ、つまり……マイティが死ぬ→ゼロ誕生という方程式が成り立つ為、俺は主人公の兄貴を殺した後という手遅れ感満載な時期に転生してしまった様なのだ。

 

……いやキツイってッ!転生する前に取り返しのつかない分岐点がもう終わってるのは流石に酷すぎるって!!既に主人公勢と敵対する要素が強すぎるんだが!?

おまけにゼロの中身が俺って言うのは大問題すぎる!確かにゼロは終盤、シロボン達から仲間認定されてたけど、それは中身がマイティだったからだよ!?中身が全く知らん人だったらただの兄貴殺しちゃった人だからね!?仲間にして貰える要素マジでないから!!

ちくしょう!どうせならマイティに転生したかったよ!あいつ絶対モテるしミスティというほぼ嫁のいい女もいる勝ち組だもん!!

 

……えっ?もしかしたらマイティを殺す前のゼロに憑依転生した可能性が微レ存かもだからまだ慌てる様な時間じゃないって?

うん、その可能性は俺も考えなかったわけじゃないけど…多分その可能性は極めて低い。

何故かというと、頭の隅に朧気ながらも俺が誰かの後ろから近づき、何かで身体を貫いている記憶が確かにあるのだ。

これはおそらく、俺が憑依する前か、憑依してまだ俺という自我を認識できていない時にゼロが行った記憶だ。はっきりと思い出せないが、きっとあれはマイティなのだろう。

それにゼロを作ったメカードの性格からしても、わざわざアンドロイドに面倒な自我を植え付けるとは思えない。

つまりゼロがマイティをコピーする際、何等かの問題が生じて代わりに俺がインストールされてしまったという事だろう。

 

……はぁ、冷静に分析してたら救いようなさすぎて落ち込んで来たわ…

多分立ち位置的にシロボン達と関わるのは避けられないだろうしなぁ…どーしよ……

ホンットに何で憑依したのがマイティじゃなくてゼロなんだろうなぁ……

マイティに転生してたら原作の悲劇回避も夢じゃなかったし、前世知識活かしての生存ルートもいけると思うんだけどなぁ…

あーあ、せめて―――

 

せめて()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だったら最低限原作通りのエンドまでは持って行けるのにな~……

 

 

 

 

 

 

 

僕ことシロンには大好きな人が2人いる。

一人は実の姉であるシロお姉ちゃん!!

全宇宙で大人気も競技、ボンバーバトルの選手で、とっても強いんだ!

ちょっとおバカな所もあるけど、優しくていつも明るく励ましてくれる、僕にとっては最高のお姉ちゃんなんだ!!

 

もう一人はね~…マイティお兄ちゃん!!

 

『シロンはいつも元気だね。僕もシロンを見ていると元気を分けて貰える様だよ』

 

僕とマイティお兄ちゃんは血のつながった兄妹というわけではない。

僕の家の近所に住んでいる人で、シロお姉ちゃんとは幼馴染の関係だ。その為僕とも昔から付き合いがあるのだ。

 

『おーい、シロ~。忘れ物届けに来たぞ~…ってシロンじゃないか。一人でお留守番かい?偉いね~。そんないい子のシロンにはコスモガムを上げよう』

 

マイティお兄ちゃんは僕を本当の妹の様に可愛がってくれる。だから僕も親しみを込めてお兄ちゃんと呼んでいるのだ。

マイティお兄ちゃんは僕の事を良くしてくれる。

 

『どうしたんだいシロン?…分数の問題がわからないって?なら、僕と一緒に解いてみよう!…ん?その前にこっちの問題間違ってるぞ?9×9は81だよ。……えっ、これはシロに教えて貰ったの?あいつよくアカデミー入学出来たなおい』

 

あまり頭の良くない僕の勉強を見てくれるし

 

『シロン、ボムが上手く扱えないからって落ち込む必要はないよ。ボムの力はボムにあらず、心にあり。…焦らずに心を育てていけば絶対大丈夫さ』

 

ボムが上手く扱えず落ち込んでいる僕を力強く励ましてくれる。

 

『どうして泣いているんだいシロン?…遊んでて隣の家の窓ガラス割っちゃったのか……よし、僕も一緒に行くから謝りに行こう。…えっ、怒られるのが怖いって?…シロン、やってしまった事の責任は自分で取らなくちゃいけないんだよ。そこからは誰も逃げられない、向き合わなければいけない事なんだ。僕はシロンがちゃんと悪いことをしたら謝れる良い子だって信じてるよ』

 

時には僕が間違った道を進もうとした時には頭ごなしに怒らず、きちんと叱ってくれ、僕が正しい道に進めるよう信じてくれた。

 

『ボンバーシュートッ!!』

 

『あー!マイティ選手相手チームのベースを破壊!!これで試合終了!これにて今回大会の優勝チームが今決まりました!!』

 

お兄ちゃんはボンバーバトルも強かった。

デビューしてから不敗神話を築き上げ、やがて伝説のボンバーマンとして多くの選手の憧れとなっていった。

そんなお兄ちゃんの功績は、僕もまるで自分の事のように嬉しかった。

 

『シロンは駄菓子買わないのかい?…今月のお小遣いがもうないのか。お金は普段から意識して使わなきゃダメじゃないか。…反省したね?よし、じゃあ今日は特別に僕が一つだけ買ってあげよう』

 

『あー!シロンだけずるーい!!私にも何か奢ってよ~!』

 

『お前は自分の金で買えよ…ちょ!?そんなに引っ付くな!熱いし色々マズいから!!…分かった分かった!シロにも奢ってやるから。……うめぇ棒とかでいいだろ?』

 

『やったー♪でもうめぇ棒よりこっちの黒い稲妻の方が『調子に乗んな(バシッ!)』痛ったー!?何もブツことないじゃーん!?』

 

今よりもっと小さい頃からずっと一緒にいたマイティお兄ちゃんは、もう僕にとっては本当の家族と言っても過言ではなかった。

 

『おっ、シロンはそれでいいのかい?遠慮しなくていいんだけど…そう、いいんだね。じゃあこれで買ってきなよ。……本当にシロンはいい子だよなぁ。出来れば僕もシロンみたいな弟か妹が欲しかったよ。…特に弟』

 

『…………あるよ。シロンを本当の妹にする方法』

 

『えっ、マジで!?その話詳しく!』

 

『えっ、えっと…正確には妹じゃなくて義妹というか…////も、もう少し私達が大きくなって法的にも問題なくなったら教えてあげる!////////』

 

『えっ、非合法なの?怖っ』

 

………でも、いつの間にかどんどん女の子と仲良くなっちゃうのは僕的にはどうかと思う。

ボンバーバトル大会に参加するたびに知り合いの女の子増えてるし、その女の子たちと遊びに行ったりすることも多いし……正直面白くない。

…でも、そんな所も含めて僕はマイティお兄ちゃんが大好きなのだ。

う~ん…最近気が付いたんだけど、シロお姉ちゃんに対する『好き』とマイティお兄ちゃんに対する『好き』は何か違う気がする…この気持ちは何なのだろう?

いつか分かる日が来るのかな…?

 

『うん、ちょっと遠くの星のボンバーバトル大会に出場して来る。シロ~、僕が起こさなくても遅刻せずにアカデミー行くんだぞ~』

 

『うぅ…自信ないよぉ…せ、せめてモーニングコールしてぇ~…』

 

『………はぁ、しょうがない。その代わりちゃんと起きるんだぞ』

 

『うん!えへへ~やっぱり朝はマイティの声を聞かないと1日が始まった感じしないからね~♪』

 

『調子の良い奴…』

 

そんなお兄ちゃんが、遠くの星で開かれるボンバーバトル大会に出場するためにしばらく僕達の星から離れることになった。

これまでもボンバーバトルで他の星へ行くことはあったが、今回の大会は開催期間が長いらしく数週間単位で帰って来れないらしい。

そんなに長い間お兄ちゃんと離れた事のない僕は、正直お兄ちゃんが遠くに行ってしまうのが嫌だった。

 

『大丈夫だよシロン。シロンが良い子にしてたらすぐに帰って来るさ。…帰ってきたら、僕のとっておきの風船ボムのやり方を教えてあげるね』

 

お兄ちゃんに行って欲しくないと駄々をこねた僕に、お兄ちゃんはすぐに帰って来ると約束してくれた。

おまけに風船ボムのやり方を教えてくれる約束もしてくれたのだ。風船ボムは戦闘等では役に立たない、風船を出すだけのボム。だけど、色鮮やかなたくさんの風船が空に向かっって飛び立つ光景が綺麗で、僕は一番好きなボムだった。そんな風船ボムを楽しみに、僕はお兄ちゃんを送り出したのだった。

 

 

 

 

 

………そう、お兄ちゃんは大丈夫だって言ったんだ。帰って来るって約束したんだ。

 

 

 

 

 

『――番組の途中ですが、臨時ニュースをお送りいたします。数時間前、○○惑星へ向かう旅格宇宙船が謎の爆発事故を起こしていた事が判明しました。現場には重軽傷者が複数確認されています。死者・行方不明者はまだ明らかになっていません。爆発事故の原因はまだ分かっておりません。○○惑星は数日後に大規模なボンバーバトル大会が行われる予定でその為宇宙船にも多くの搭乗者が……たった今新しい情報が入りました。宇宙船に乗っていた乗客の救助が終了したようです。重軽傷者数名、死亡者は0名ですが、行方不明者が1名いるようです。現地に行っているレポーターの情報では、行方不明者はボンバーバトルの有名選手であるマイティ氏であるとの事で―――』

 

 

だから、絶対に大丈夫なんだ……!

 




〇主人公
実はボンバーガール世界のマイティポジに転生していた人。
ジェッターズとは違う世界観や本来いるはずの弟がいない事に戸惑いながらもボンバーバトルを純粋に楽しむ好青年となった。
前世ではボンバーガールの存在を知らなかったのでシロボンがメスガキ化してるのには気が付いていない。
現在は事故によって行方不明になっている。どこ行ったんだろうね?(すっとぼけ)
ちなみに色々な女の子とフラグを乱立させ、クソデカ感情を向けられているらしい。事故で行方不明になった結果多くの女の子を曇らせた大罪人でもある。

〇ゼロ
主人公(マイティ)のコピー。
コピーの衝撃によってマイティとして転生してからの記憶を失っている為最初からゼロに転生したものだと勘違いしてる哀れなアンドロイド君。
多分これからボムの投げ方とかでゼロ=マイティ説が流れて女の子たちの感情をぐちゃぐちゃにする未来が待っている。

大人になっても忘れなかった結果がこれだよ…というか公式がシロボンメスガキ化とか何してんの…?
とりあえず連載にしてるけど続くかは未定。続いたら絶対ヤンデレが出る(確信)あと曇らせとかやってみたい。


ここまでご拝読ありがとうございました
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